「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」レビュー

スポンサーリンク
映画
スポンサーリンク

評価 ★★☆☆☆(25点) 全約98分

あらすじ 全てのポケモンの“はじまり”と言われ、「清らかな心と、会いたいと強く願う気持ち」の2つを持つ冒険者の前にだけ現れるという幻のポケモン・ミュウ。引用- Wikipedia

スポンサーリンク

どこがEvloution、むしろDegenerationでは?

本作品は「ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」のリメイク作品。
監督は湯山邦彦、榊原幹典、製作は OLM Digital、Sprite Animation Studios
フルCGで制作されている。

冒頭


画像引用元:ミュウツーの逆襲 EVOLUTION 予告2より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro
・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト

旧作は劇場公開版と完全版に分かれており、完全版は尺が追加され
冒頭にミュウツーが生まれてくるまでの過程や、
彼がなぜ逆襲に至ったかというエピソードが追加されている。
ミュウツーをしっかりと描写することで彼のアイデンティティの確立の
物語をより際立たせていた。

リメイクである今作は尺が約98分となっている。
完全版の尺が85分だったことを考えれば、よりストーリーやキャラ描写が
追加されていると考えるのが自然だ。

しかし、冒頭から違和感がある。
なにせ完全版で描かれたはずの「アイツー」との交流が一切ない。
フジ博士がクローン研究に没頭していた理由や、
ミュウツーが「涙」の意味や「生きる」ことの意味を考える切っ掛けにもなった
「アイツー」が一切リメイク作では存在しない。

意味不明だ。わざわざ旧作より10分以上尺が多いのにも関わらず、
旧作である意味で1番重要な部分をカットしてしまっている。
確かにアイツーとミュウツーのエピソードは暗く重い。
しかし、重要なエピソードであることには変わらず、それがあるのと無いのとでは
作品の厚みが違ってくる。

つるつる


画像引用元:ミュウツーの逆襲 EVOLUTION 予告2より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro
・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト

昨今の3DCGのクォリティはかなり向上しており、
海外はより「リアル」に描写する方向、日本はセルルックという
「アニメ調」に描写する方向でそれぞれ技術が進歩しており、
CGでありながら違和感のない作品が増えてきた。

しかし、この作品はそのどちらでもない。とにかくツルツルだ。
ミュウツーの肌、機械、人間の肌、どれもこれも「ツルツル」であり、
リアルでもなければアニメ調でもない。確かに綺麗だ。
だが、綺麗すぎて違和感しか無い。

本来は少なからずあるであろう「汚れ」が描かれないことで違和感を生んでおり、
どちらかというと「フィギュア」のような感じが強く出てしまっており、
ただ綺麗なだけのCGにしかなっていない。

同時期に「名探偵ピカチュウ」というポケモンをCGでリアルに描写する
作品が合っただけに余計にこの作品のCGのどっちつかずな中途半端さが
悪目立ちしてしまっており、日本らしい「セルルック」で追求せず、
ただきれいなだけのCGにしかなっていないのは残念でしか無い。

無駄に派手なシーン


画像引用元:ミュウツーの逆襲 EVOLUTION 予告2より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro
・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト

旧作から10分~20分以上の尺が伸びており、その伸びた部分は
ただ派手なシーンが追加されただけだ。
ミュウツーが暴れた際の爆発による建物の破壊などを
CGを使って派手に描くことで映画として見応えのあるシーンを
作ろうとしているのは分かる。

だが、その見応えのあるシーンを作ろうとしてテンポが悪くなっている。
旧作は子供向けながらも哲学的かつ重くシリアスなストーリーと雰囲気なだけに
テンポを良くすることでダレさせず見やすくする工夫がされていた。
しかし、今作は派手なシーンを追加することでテンポが崩れ、
余計なシーンを足すことで明らかにテンポが崩れている。

キャラクターのセリフも明らかに増えており、
そのせいでよりテンポが悪くなっている。
例えば旧作ではサトシが登場するシーンはすでに昼食の準備をしており、
そこに「レイモンド」演じるキャラクターが勝負を仕掛けオープニングが流れた。

しかし、今作では「昼食」に至るまでのセリフが追加されている。
眺めがいい場所を見つけてランチをすることになり、
サトシはポケモンセンターで朝食をたらふく食べたものの、お腹が空いている。
腹が減っては戦はできないからランチにしようと、
この冒頭のシーンでさえこのようなセリフが追加されている。

そこに面白さやストーリーの中での意味があるなら別だが特に無い。
旧作のスムーズな始まりと比較すると、一歩遅い印象を強く受けてしまう。
細かいシーンの追加で尺を稼いでいるような感じも強く、
無理やり1時間半に仕上げているような印象だ。

旧作に合ったテンポの良さがない。

不気味の谷


画像引用元:ミュウツーの逆襲 EVOLUTION 予告2より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro
・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト

ポケモンたちのCGによる描写は「凄い」という感じはないものの、
しっかりとCGで描かれており、そこに違和感はない。
CGで描かれているからこそ「ぬるぬる」とした動きは、
ポケモンの可愛らしさの描写にもつながっており、特に細かく動く
ピカチュウはしっかりと可愛らしい。

しかし、そんなポケモンに対して人間のキャラの描写がひどい。
アニメもキャラデザはタイトルが変わるごとに変化しているものの、
そんなアニメのキャラデザとは全く違うキャラデザになっており、
特に「サトシ」の違和感は凄まじい。

この作品のCGはどっちつかずであり、リアルでもなければアニメ調でもない。
ツルツルしたフィギュアのようなクォリティになってしまっているからこそ、
人間のキャラクターの描写の違和感が凄まじく、
いわゆる「不気味の谷」現象に近い状態になっている。

特に水に濡れたときの描写は最悪だ。
もう全身オリーブオイルでも塗りたくったかなようなテカテカさであり、
違和感しか無い。
リアルでもアニメ調でもない中途半端な出来栄えのCGだからこそ、
人間のクォリティが悪い。

アクションシーン


画像引用元:ミュウツーの逆襲 EVOLUTION 予告2より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro
・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト

ポケモンバトルのシーンでは旧作にはなかったシーンがいくつか追加されている。
最近のポケモンの技を使っている。
最近のポケモンの技も取り入れたことでポケモンバトルのシーンが
より派手になっている印象だ。

ただ、しっかりとポケモンバトルを描いてしまったために
旧作に合ったコピーポケモンたちの「圧倒感」もやや薄れており、
旧作はさらっと描いたからこそより圧倒的かつ絶望感が強まっていた。
このあたりは映画としての派手さを取るか否かの好みの問題だろう。
CGを使ったことで演出が派手になっており、技もド派手になっている。

このあたりはCGを使ったからこその利点だろう。

ストーリー


画像引用元:ミュウツーの逆襲 EVOLUTION 予告2より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro
・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト

良くも悪くもストーリーは一切替わっていない。
その点は評価すべき部分ではあるものの、
ただCGにしただけになってしまっている感じも否めず、
リメイクしたからこそのストーリーの補完があるわけでもない。

それどころか完全版のアイツーとミュウツーのストーリーも無いため、
オリジナルとコピーのポケモンがサトシの姿を見て「涙」を流し、
その姿を見てミュウツーが改心しアイデンティティを確率するに至るまでの
伏線がなくなってしまっている。

しかし、ストーリーは変わっていないのに
旧作に比べリメイク作ではどうにも気になる部分が多すぎて、
感動に至れなかったのは残念でならない。

スポンサーリンク

総評:所詮コピーはコピーだ


画像引用元:ミュウツーの逆襲 EVOLUTION 予告2より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro
・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト

全体的に見て残念な作品だ。ミュウツーの逆襲を敢えてフルCGでリメイクする。
そこに何かしらの意味があるのかと思いきや、特に無い。
CGのクォリティはリアルでもセルルックでもないどっちつかずな中途半端な
クォリティであり、昨今のCGで作られた映画と比べれば見劣りしてしまい、
それどころか人間のデザインやクォリティは不気味の谷現象を起こしている。

旧作から尺が増えているのにも関わらず、完全版のシーンを完全には組み込まず、
「アイツー」という本作における重要なキャラを削っており、
そのせいでミュウツーが最後にポケモンたちの涙を見て
オリジナルもコピーも関係ない、生きてるんだと確信するに
至る過程が弱くなっている。

余計なシーンを追加したせいで作品全体として間延びしており、
アクションシーンはたしかに派手なものの、余計なスローモーションや、
ただ派手なだけのシーンも多く盛り上がりに欠けてしまっており、
旧作に合ったテンポの良さがなく、キャラクターのフィギュア感もあいまって
いまいち感情移入できない。

ストーリーに変更はない。描いてるテーマは素晴らしく、
本来なら泣けるはずなのに泣けない。
旧作と比較してしまうと余計なことをしてる部分が多く、
CGになって派手になっただけでCGになったからこその良さがるわけでもない。

もちろん旧作は1998年の作品であり、今の子供達が見れば
「古臭い」と感じる部分もあるだろう。
そういった点からCGで綺麗にリメイクするというのはありではあるものの、
肝心のCGが中途半端でしか無く、やるならやるでもっとしっかりと
クォリティを追求してほしかったところだ。

個人的な感想:しょこたん邪魔


画像引用元:ミュウツーの逆襲 EVOLUTION 予告2より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro
・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト

エンディングテーマも旧作と変わらず小林幸子が歌う
「風といっしょに」だが、なぜか中川翔子が邪魔をする。
小林幸子さんだけでいいのに、中川翔子さんがしゃしゃりでてくることで
最後の余韻まで台無しにされる。

リメイクはシーンやセリフの追加など微妙に余計なことをシているが、
最後の最後まで余計なことをしていたという印象が拭えない作品だ。
同時期に名探偵ピカチュウをやっていなければ、
この作品ももう少し注目されたかもしれないが、
あのピカチュウを見たあとに、今作のピカチュウを見てしまうと物足りなさが凄い

日本のCGはセルルックでアニメ調で日本らしく、この20年進歩してきた。
そんな進歩を20年前の作品のリメイクで見せてほしかったところだが、
そうはならなかったのが本当に残念でしか無い。
本当にどこかエボリューション(進化)なのだろうか。
色々とディジェネレーション(退化)しているだけにしか見えない作品だった。

コメント