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「名探偵コナン 純黒の悪夢」レビュー

2.0
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評価 ★★☆☆☆(39点) 全112分
https://www.youtube.com/watch?v=ZZ-FzCK9Uq4

あらすじ ある日の夜、警察庁内に何者かが侵入し機密データを閲覧していた。これを察知した安室透や風見裕也ら公安警察は侵入した女と対峙するも、警察庁内から逃げられてしまう。引用- Wikipedia

主役が蚊帳の外

本作品は名探偵コナンの映画作品、
名探偵コナンとしては20作品目の作品となる。
監督は19作目と同じ静野孔文、脚本は櫻井武晴。

カーアクション

冒頭からど派手なアクションを展開してくれる。
名探偵コナン映画といえばアクションであり、
毎回、コナンがどんなアクションを見せてくれるのか?というのは
注目のポイントだ。

しかし、今作は冒頭は主人公たるコナンはでない。
名探偵コナンを見ている人ならばお馴染みの「安室」と
今回の映画の中心人物となる女性の格闘がかなり激しく描かれる。
更に逃走した女性を追うために、首都高バトルよろしく、
赤井も加わり大逃走劇のカーアクションが描かれる。

車は一部CGなどで描かれているものの、作画のクォリティも高く、
無駄と思えるほどに動き回るアクションと非現実的な
カーレースのシーンは被害に合う一般車両の数も尋常ではなく、
思わず笑ってしまうほどのカーアクションはコナン映画らしい
アクションシーンと言えるだろう。

ただ、主人公を一切登場させないまま、
コナンそっちのけで描かれるアクションシーンは、
安室や赤井のファンならば楽しめるかもしれないが、
やや冗長なアクションシーンにも感じるものの、
ストーリー的には非常に期待感をそそられる。

記憶喪失

記憶喪失になった女性と出会ったコナンたちが、
記憶喪失になった女性の正体に迫りつつストーリーが展開される。
視聴者目線では彼女が黒の組織の一員であることはわかっており、
いつ彼女の記憶が蘇るのか、いつコナンたちが彼女の正体に気づくのか?
という期待感を感じさせてくれる。

しかも、この記憶喪失になった女性と最初に出会うのが
「巨大な観覧車のある海上に浮かぶ水族館」である。
この1行で多くのコナン映画ファンあらば
「あ、観覧車爆破されるな」「あ、水族館沈むかな?」など
過去の映画でのお約束敵爆破、沈没などのシーンを浮かべるはずだ(笑)

だだ、序盤のアクションシーンのインパクトは確かに強いのだが、
その後のストーリー展開が非常に地味だ。なにせ殺人事件が起こらない。
これはコナン映画としては非常にレアケースだ、第一作目である
「時計じかけの摩天楼」を除けば、劇中で何らかの殺人事件は起きており、
それを基盤としてストーリーが進むが、この作品の場合は
殺人事件ではなく「黒の組織」が中心にストーリーが展開する。

だからこそ、展開としてはやや地味だ。
殺人事件も起こらず、派手なアクションシーンも中盤は殆ど無い。
記憶喪失になった女性が黒の組織のNO2である「ラム」ではないか?
という疑いは確かに緊迫感はあるものの、
実際に灰原やコナンが命狙われるのではなく疑うだけだ。

優秀すぎるサブキャラ

コナンたちが疑っている間に今回の主役である「赤井」と「安室」、
そして黒の組織たちが勝手にストーリーを進めている感じが強く、
コナンがどうにも蚊帳の外とまではいかないものの、
主人公としての存在感が薄く、淡々とストーリーを進めてしまっており、
中盤はやや冗長に感じるシーンも多い。

はっきりと言ってしまえばコナンの優秀さがFBIである「赤井秀一」と
公安である「安室透」という二人の何でも出来る男たちのせいで
霞んでしまっており、この二人が居なければ過去の映画では
コナンがなんとかしていたはずのシーンが、
この二人が居たせいで何とかなってしまう場合が非常に多く、
この二人を際立たせるためにコナンが傍観者になってるシーンも少なくない。

正直、コナンという作品の突っ込みどころにあえて
突っ込むのはしたくない行為ではあるのだが、
流石に日本の警視庁のデータベース?のようなところに
「世界中のスパイの情報」が格納されているのは非現実的だろう。

安室透の正体だけならばまだ日本の公安に所属しているため理解でき、
そのせいで安室透が裏切り者として粛清されそうになるのならわかるが、
FBIのスパイの情報までとなると無理が出て来る。

黒の組織

黒の組織ももはや日本中、世界中にさらされても良いのか?と思うほど
裏の組織としての暗躍感がまるでない。
冒頭の首都高バトルだけならばまだコナンという作品の範疇だろうが、
中盤になると組織の中に隠れているスパイを白昼堂々と暗殺しまくる(笑)

終盤になると「どでかいアーム付き」の戦闘機で戦闘行為を行っている。
いくら夜で停電してるから暗くて見づらいという状況でも
ツイッターで拡散されそうなど派手さだ(苦笑)

今回のアクションはそういった意味でもかなり過剰な部分があり、
黒の組織の戦闘機の使用もそうだが、
安室さんと赤井さんが「観覧車」の上でバトルを繰り広げる。

一歩間違えば死にかねない場所で殴り合うさまは
ファンならば嬉しいシーンかも知れないが、ファン以外の人には
「一体何を魅せられているんだろう」という疑問すら浮かびそうなシーンだ。

推理とアクション

今作ではコナンの前で殺人事件はおこっておらず、
あくまでも黒の組織の一員であり記憶喪失になった
「キュラソー」を巡るストーリーになっている。

記憶喪失の間に子どもたちと触れ合ったことで彼女の中に変化が生じ、
終盤では命を賭けてまで子どもたちを助け出そうとする。
その変化と成長自体は悪くないものの、
ストーリー的にはコナン映画としてはぱっとしない部分がある。

そんなストーリー的な地味さを覆い隠すように
終盤のアクションはど派手なものになっている。
特にラストのアクションは意味不明な領域にまで足を突っ込んでいる。
流石に「伸縮ベルト」で「観覧車の動きを止める」というのは無茶だ(苦笑)

どんだけ伸縮するんだ伸縮ベルト・・・
どんだけ耐久性があるんだ伸縮ベルト・・・、
コナンがスケボーで雪崩を起こしても私は寛大な心で爆笑できたが、
流石に今作の伸縮ベルトの超非現実的性能は爆笑というよりも、
苦笑してしまう感じの強いシーンだった。

更にコナン映画としては致命的とも言える欠点をこの作品は抱えている。
スケボーだ。私はコナン映画はスケボーシーンを
見るために見続けていると言っても過言ではないほど、
コナンのスーパースケボーアクションの大ファンである。

今年は20週年にふさわしいスケボーアクションを見せてくれるはず!
と期待したのだが、大切なスケボーは草葉の陰に隠してしまい一切活躍しない。
本当に残念でしか無い。

総評:無駄アクション極まれり

全体的に見て微妙な作品だ。
「赤井秀一」と「安室透」というキャラクターが好きならば
大活躍するので楽しめる作品ではあり、決してつまらないというわけでもない。
しかし、コナン映画ならではの面白さや、コナン映画ならではのお約束敵シーンはなく、
コナンの映画でありながら、コナンの映画っぽさが薄い感じの作品になっていた。

例えばお約束のスケボーアクションもない、
例えばお約束の蘭ねえちゃんの格闘シーンもない、
例えばお約束の蘭がピンチになる展開もない。
例えばお約束のド派手過ぎる爆発シーンもない。

確かに見飽きた感じはあるシーンの数々ではあるものの、
もはや20作も作られてきたコナン映画だからこそのある種
「伝統的シーン」が無いのはどうにもしっくりとこない。
特に爆破シーンはやや地味な感じになってしまっている。

確かにアクションシーンは凄い、純粋にアクションアニメ映画としてみれば
起承転結のすっきりとしたストーリーになっており、
いつもどおり本編の謎は結局謎のままではあるが、
2時間という尺の中で「赤井秀一」と「安室透」というキャラをしっかりと立て、
サスペンス・アクションドラマを丁寧に展開していた。

だが、その丁寧さは中盤の退屈さをうみ、映像の凄さは
「名探偵コナンの映画」としての凄さではない感じが強く、
これは私の個人的な主観が強すぎるのかもしれないが、
「名探偵コナンの映画としての方向性」が
この作品は少しずれているように感じてしまう。

ゲスト声優も天海祐希でしっかりと演技をしており、
過去の棒ゲスト声優陣のあのなんとも言えない演技が
妙に懐かしく感じてしまった(笑)

シンプルにコナンファンならば間違いなく楽しめるだろう、
だが私のようにややズレたコナンファンの場合は物足りない作品だ。
殺人が起きていないため子供向けと言いたいところだが、
基本黒の組織VSFBI&公安のゴタゴタストーリーなので
子供にはちょっとわかりづらいだろう。

静野孔文監督のコナン映画作品はこれで6作目だが、
年々推理要素が薄まっていき、
年々コナン映画としての方向性がずれていっているような感じだった。

個人的な感想:キャラに振り回される

コナンも長期シリーズになっており、主人公であるコナン以外の
キャラクターも増え、そのキャラの人気も上昇しているだけに、
キャラクターの扱い方の難しさが生まれている作品だ。

誰をメインにして、どう描くか。
シンプルではあるもののコナンという人気作品だからこそ難しく、
今作は赤井さんと安室さんというキャラだけでなく、
映画オリジナルキャラであるキュラソーにまで
「コナン」という主役が食われてしまっている印象の作品だった。

出演:高山みなみ, 出演:山崎和佳奈, 出演:小山力也, 出演:山口勝平, 出演:天海祐希, 監督:静野孔文

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