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う◯こ映画「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」レビュー

劇場版 SPY×FAMILY CODE: White 映画
劇場版 SPY×FAMILY CODE: White (C)2023「劇場版 SPY×FAMILY」製作委員会 (C)遠藤達哉/集英社
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評価 ★★★☆☆(59点) 全110分

『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』 最新予告映像《主題歌 Official髭男dism 「SOULSOUP」》【12月22日(金)公開】

あらすじ 西国(ウェスタリス)の凄腕スパイ「黄昏」ことロイド・フォージャーのもとに、進行中のオペレーション「梟(ストリクス)」の担当者を変更するとの指令が届く引用- Wikipedia

う◯こ映画

本作品はSPY×FAMILYの劇場アニメ作品。
監督は片桐崇、制作はWIT STUDIO、CloverWorks

振り返り

この作品はスパイファミリーとしては初の映画作品だ。
1期で大人気になり、原作のコミックも売れ、
アーニャは老若男女問わず愛されるキャラとして確立した。
ある種の国民的アニメになりつつある作品だ。

しかし、1作目だからこそ、初の劇場作品だからこそなのか
映画冒頭では軽くスパイファミリーというものを説明するようになっている。
ロイドのスパイとしての日常から始まり、
ヨルの暗殺者としての日常が描かれ、
そんな二人が正体を隠しながらも家庭を築き、
偽りの家族の中心には「アーニャ」という超能力の少女と犬がいる。

この基本的な振り返りのおかげでスパイファミリーという
作品を知らない人でも楽しめるように、わかりやすい導入が描かれている。
コナン映画では毎度お約束として冒頭で説明シーンが入るが、
同じような流れをスパイファミリーでも作ることで、
誰しもスパイファミリーという作品を楽しめるようになっている。

作戦中止

そんな偽りの家族を築いているのには理由がある。
特にロイドはスパイとしての「作戦」だからこそ
偽りの妻と偽りの娘を手に入れることで作戦を遂行しようとしている。
しかし、そんな作戦の中止が命令されるというところから
物語が始まる。

偽りの家族といえど、ロイドには家族に愛情がある。
作戦を成功させるという目的はもちろんあるが、
それと同じ、もしくはそれ以上に二人に愛情を持ってしまっている。

だからこそ、作戦を継続させるためにも、
自分たちが作戦に「必要」な存在であると組織に認識してもらうためにも、
アーニャが「ステラ」を獲得するために
美味しいスイーツを作ろうとしている。

日常から非日常へ。
これは国民的アニメの映画作品の多くがやってきたことだ。
ドラえもん、クレヨンしんちゃんなどの作品は
いわゆる日常系作品だが、映画では非日常な世界、
いつもと違う場所でのストーリーが描かれることが多い。

スパイファミリーも、そんな国民的アニメに習うように
普段住んでいる街から雪国へと足を運ぶ。

子供

アーニャは子供ではあるが同時に「超能力者」だ。
人の心が読める彼女はロイドとヨルの真実を知っている。
ロイドがスパイであること、ヨルが暗殺者であることを知りながら、
同時に子供であるからこそ、それを無邪気に受け止め、
「かっこいい」と感じている。

そんな無邪気さが今回の事件を大きくしていく。
アーニャは雪国へと向かう列車の中でトランクに
しまわれていた「チョコレート」を飲み込んでしまう。

悪い人たちが何かを隠したチョコレート、
そんなチョコレートを飲み込んだアーニャは
今作において重要な人物になってしまうというところから
物語が動き出す。

三者三様

ただ、序盤は淡々としている。
3人と1匹、家族での初めての旅行、そんな状況に
アーニャはテンションが上っており、
ロイドもまた任務のためではあるものの楽しんでいる。
だが、ヨルだけは別だ。

ロイドが女性と居るところを目撃してしまった彼女は
「浮気」を疑っている(笑)
いつわりの夫であり、本来は愛情というものはそこにないはずだ。
しかし、彼女の中には自分でも自覚していない恋心が在り、
それもあってヤキモキしている。

ロイドは作戦を遂行し、アーニャは旅行を楽しみ、ヨルは浮気を疑う。
3人の登場人物がそれぞれ別の「目的」をもっており、
それが3人のメインキャラクターらしい行動と
魅力を生み出してはいるのだが、同時に散漫になっている。

ロイドとヨルは互いに正体を知らない。真実を知るのはアーニャのみだ。
だからこそ3人のストーリーの方向性がばらばらになってしまっており、
更にそこに今作の「敵」の目的もからみ、
敵の視点も描かれているため、場面転換も多い。

このあたりはスパイファミリーの設定上、
ストーリーを作る上で難しかったところなのだろう。
ロイドとヨルが互いの正体を知らない、だからこそ、
終盤になってシリアスな場面になると、それに無理が出てくる。

特に終盤でアーニャが敵に捕まり飛行船で連れされてしまうのだが、
ロイドはアーニャをおうため戦闘機で飛び立ち、
そんな様子をなんの疑問もなくヨルが見ていたかと思えば、
ヨルはヨルでそんな戦闘機にこっそりとしがみつきついていってしまう。

更に終盤では戦闘が行われ墜落仕掛けている飛行船の中で
ロイドとアーニャが居るところに、ヨルがいきなり現れる。
ヨルもヨルでそんな状況に言い訳をするのだが、
ロイドは信じてしまう。

このあたりの状況的に無理な部分がこの作品にはちらほらとあり、
優秀なスパイであるロイドがそれに気づかないという
無理な状況も生まれている。

互いに正体を知らないからこそ、壮大なストーリーになると
色々と無理のある状況が生まれてしまうのは、
スパイファミリーという作品の欠点なのかもしれない。

ワクワク

しかしながら、今作をみると「アーニャ」の偉大さを強く感じる。
ロイドとヨル、この二人だけではスパイファミリーは成立しない。
ヨルは暗殺者という顔を持ちながらもピュアな女性だ。
だからこそ自覚していない恋心が可愛らしく、
キャラクター的な魅力も在り、作品を後押ししている部分がある。

ロイドは本来は真面目なスパイだ。
そんな二人の間に「アーニャ」という子供が交じることで
この作品は老若男女問わずに楽しめる作品になっている。

自分が悪い人に狙われているのに、彼女は常にワクワクドキドキハラハラだ。
旅行だからこそのシチュエーションで、お祭りを楽しむ様子や、
美味しいものを食べてる姿が本当に可愛らしく、
アーニャらしいセリフが飛び出るたびに笑いにつながる。

それが作品全体のコメディリリーフにもなっており、
スパイファミリーの映画らしい作品に仕上がっている。
特に今作でも「顔芸」といいたくなるようなアーニャの
百面相ぶりにはおもわず笑ってしまう。

そこにさらにアーニャの相棒的存在として
「ボンド」という犬が1期のラストから加わっており、
バランスの良いキャラクターの立ち位置が、
キャラクターのそれぞれの魅力を後押ししており、
3人と1匹のメインキャラクターに愛着を持てる。

シンプル

物語自体はかなりシンプルだ。
悪いことを企んでいる敵がおり、そんな敵の作戦には不可欠なものを
「アーニャ」が飲み込んでしまい、狙われてしまう。

序盤から中盤まではアーニャもロイドもそれに気づかずに、
のんきに旅行を楽しんでおり、
料理を作るための素材集めに勤しんでいたりもする。
このあたりの「テンポ感」はやや悪く、
110分という尺のせいもあってか、作品全体が冗長になっている部分もある。

しかし、中盤からストーリーは盛り上がってくる。
飛行船を追いかけるための戦闘機での戦闘シーンや、
映画だからこその「爆発」というコナン映画的な派手な要素、
そして「ヨル」の人間離れしたアクションシーンは
かなり気合が入って描かれている。

作画に関して言えばTVシリーズとあまりかわらない。
TVシリーズの段階から高いクォリティで描かれており、
ある意味で安定した作画とも言える。

ただ「ヨル」の戦闘シーンだけはやたらめったら気合が入っており、
特に終盤の戦闘シーンは炎渦めく中でグリグリと動くアクションと、
舐め回すようなカメラワークは映画だからこその、
スクリーン映えするアクションになっていた。

う◯こ

そして今作は「う◯こ」映画だ(笑)
見ていない人には何の話だとなってしまうかもしれないのだが、
間違いなく「う◯こ」映画である。

アーニャは敵が探している重要なものをチョコレートと一緒に
飲み込んでしまっている。
敵はそれに気づいており、アーニャの「う◯こ」待ちだ(笑)
心が読める超能力だからこそアーニャもまた「う◯こ」を
しないように気張りまくっている。

それがアーニャらしい「顔芸」にもつながっている。
見ているとお尻のあたりがムズムズしてきそうなほどの、
我慢ぶりは劇場が笑いに包まれており、
「う◯こ」という老若男女問わずに受けるネタは
やや反則じみてはいるものの、しつこいくらい我慢し続ける
アーニャの姿に笑ってしまう。

その我慢の末に「う◯この神」まで見えてしまう(笑)
アーニャが我慢しすぎて見えてしまった幻影なのか、
はたまた「う◯この神」が本当に存在するのかはわからないが、
そんなアーニャと「う◯この神」による世界の描写は
予想外過ぎて思わず笑ってしまう。

ただ、この「我慢」のシーンはかなり長く、
このあたりでも110分という尺を使い余してる感じは否めない。

ジャンプ

この作品はいい意味でも悪い意味でもジャンプアニメ映画だ。
最近のヒットした鬼滅の刃や呪術廻戦は、
アニメの続きと前日譚というTVアニメとのつながりのある作品だった。
しかし、それは「異例」なことだ。

本来のジャンプアニメ映画はワンピースがやっているように、
映画オリジナルキャラクターがでて、
そんなオリジナルキャラクターとメインキャラが絡むことで、
映画オリジナルストーリーが生まれ、本編に影響がない形で終わる。
それがまさにジャンプアニメ映画だ。

ドラゴンボール、NARUTO、BLEACHがやってきたような
ジャンプ映画をまさにスパイファミリーという作品でも見せてくれている。
故に名作とは言い切れない。

ストーリー自体もかなりシンプルであり、
そんなシンプルなストーリーを「キャラクターの魅力」で
ゴリ押している部分もあり、シンプルではあるのだが、
最近の100億超えのジャンプアニメ映画を見てしまうと、
どこか物足りなさを感じてしまうことも事実だ。

特に敵は掘り下げ不足な感じが否めない。
終盤でいきなり「改造人間」が現れてヨルとバトルをするのだが、
この改造人間に関してはあくまでヨルの相手をするためだけの
キャラクターであり、特に掘り下げめいたものはない。

メインの敵である「大佐」も戦争を再開させようとしている
悪いやつというだけで、あとはグルメと言う以外は
特に掘り下げもなく、彼がどうして戦争を再開させたいのかなどの
深い掘り下げもない。

かなりシンプルなストーリーだ。
いつもと違う場所で爆発や飛行船という特殊な状況もあるものの、
それ以外は「いつもの」スパイファミリーだ。
そういった意味での物足りなさはかなりある。

ただ、だからこそ「スパイファミリー」を好きな人には楽しめる。
子供も大人も、クスクスと笑い「面白かったね」と
シンプルな感想がでて笑顔で見ておわれる作品だ。

そのシンプルさこそが、この作品の魅力であり欠点でもある。
最近のジャンプアニメ映画のような「大作」感こそないが、
どこか懐かしいジャンプアニメ映画のノリを強く感じる作品だった。

総評:王道ジャンプアニメ映画

全体的に見ていい意味でも悪い意味でも
ジャンプアニメ映画っぽさがある作品だった。
いつものスパイファミリーらしく3人の1匹の
愛くるしいキャラクター描写と、そんな偽りの家族の関係性と
日常を楽しむストーリーは安定した出来栄えだ。

ただ、その一方で敵側の掘り下げ不足はかなり目立つ。
特に終盤に出てきた改造人間は
「ヨルの対戦相手」としてしか機能しておらず、
このあたりの掘り下げ不足は残念なところだ。

映画的な盛り上がりとして中盤以降は激しいアクションシーンなどもあり、
過去のジャンプアニメ映画らしい作品に仕上がっており、
シンプルな面白さが詰まった作品にはなっている一方で、
最近の大作アニメ映画と比べると物足りなさを感じてしまう。

スパイファミリーは小さな子供のファンも多い作品だ。
だからこその「シンプルさ」であり、
しつこいくらいの「う◯こ」ネタも制作側が
それを意識したからこそのものだろう。

「う◯こ」ネタはやや反則ぎみではあるものの、
全人類皆、くやしいかな笑ってしまうものだ(笑)
しかも、それをアーニャという可愛らしいキャラにヤラせることで
より強い笑いに繋がっている。
シンプルかつ王道でありジャンプアニメ映画らしい作品だった。

個人的な感想:アーニャかわいい

鬼滅の刃、呪術廻戦、ワンピース、スラムダンクと
ここ最近のジャンプアニメ映画は大好調だ。
今作もかなり仕掛けてきており、宣伝はもちろんのこと、
話題性もかなりある作品だ。
制作側も興行収入100億を狙っている部分がある。

ただ、そんな100億を超えたジャンプアニメ映画と比べると
やや見劣りする部分もある。作画も充分ハイクォリティではあるのだが、
おもわず唸ってしまうほどの作画というわけでもなく、
ストーリーもかなりシンプルだ。

このシンプルさはファミリー向けの映画としては正解だ。
ただ逆にオタク向けと考えると物足りなさを感じてしまった。
それでも見終わった後に「面白かった」と思ってしまうのは
スパイファミリーのキャラクターたちの魅力があるからこそだろう。

今後もスパイファミリーは映画が続くかもしれないだけに、
1作目の無難さから、2作目がどうなるのかは気になるところだ。

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