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「SING」レビュー

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評価 ★★★★☆(69点) 全108分

あらすじ コアラのバスター・ムーンは、幼い頃に父に連れられてみたショーの舞台に魅せられ、宇宙飛行士の夢を捨てて劇場主となった。 引用- Wikipedia

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最高のエンタメを!

本作品はイルミネーションによるオリジナルアニメ映画作品。
監督はガース・ジェニングス、制作はイルミネーション

配役

本作品はタイトルからも分かる通り「歌」を題材にしている作品だ。
作品の6割位のシーンで何かを歌っていると感じるほど
歌まみれであり、映画の冒頭からラストまで歌声に溢れている。
そんな作品だからこそ誰が歌い、誰が演じるかが重要だ。

いわゆるプロの声優も多い。
山寺宏一さんや坂本真綾さんなど声の演技もさることながら
歌唱力も素晴らしい声優さんがこの作品には出演されており、
彼らの素晴らしい歌声も堪能できる。

そして更に凄いのは芸能人声優だ。
アニメ映画の場合は「宣伝」という意味も込めて芸能人が出ることが多い。
しかし、この作品はそんじょそこらの若手俳優でも話題のアイドルでもない。
「MISIA」である(笑)

この作品ではMISIAさんが恥ずがしがりやな「象」の女の子を演じている。
歌はうまいのに人前では恥ずかしくて歌えない、
そんなキャラクターを「MISIA」であることを感じさせない自然な演技をしつつ、
いざ歌いだせば、これぞ「MISIA」だ!といわんばかりの歌声を
響き渡らせてくれる。

もうこれだけでお腹いっぱいなのに更に「スキマスイッチ」のボーカルである
「大橋卓弥」さんも出ている(笑)
いったいどこのサマソニだと言わんばかりのメンツがこの作品には出ている。

この手の歌がメインの作品の場合は歌唱パートと日常パートで
声優さんが違うこともあるが、この作品はそうではない。
象をMISIAさんが演じ歌い、ゴリラをスキマスイッチが演じ歌い上げている。
あまりに豪華すぎる配役に思わず笑ってしまうほどだ。

面白いのはこの作品は海外のアニメ映画であるがゆえに
「吹替版」と「字幕版」があるということだ。
日本版ではMISIAさんやスキマスイッチさんなどがでており、
海外版ではジェニファー・ハドソンさんや
トリー・ケリーさんなど有名な歌手が出ている。

普段、私は吹替版を見ることが多いのだが、
この作品に限っては吹替版をみたあとに
「字幕の方では誰がどんなふうに歌っているのだろう?」と
シンプルに気になってしまい、みてしまったほどだ。

「歌」が重要な要素だからこそ誰が歌うのかもこだわっており、
そして歌唱パートと日常パートにわけず歌手に声優をさせている。
MISIAさんもスキマスイッチの大橋卓弥さんも演技が素晴らしく、
芸能人声優感は薄い。
これだけで高い評価ができてしまうのがこの作品だ。

ストーリー

この作品のストーリーはかなりシンプルだ。
人間は存在せず、擬人化した動物たちが住まう世界。
そんな中で彼らは人間のように生きて暮らしている。
人間のように暮らしている彼らだからこそ、そこには夢と希望、
そして挫折と後悔がある。

主人公であるコアラこと「バスター・ムーン」は劇場の主だ。
しかし、そんな劇場は潰れる寸前でボロボロだ。
それでも彼は「どん底」にいることをわかっていながらも、
自らの夢を諦めきれていない。

かつてのようにお客さんでいっぱいの、夢と希望にあふれた劇場にしたい。
だからこそ、彼はどん底の状況の中でも諦めずに何かをなそうとしている。
この作品のメインキャラクターたちは彼と似たような状況だ。

毎日繰り返しの日々に生きる主婦のブタ、
やりたくない父のギャングの仕事の手伝いをしているゴリラ、
彼氏とアーティスト活動しているが芽が出ないヤマアラシ、
歌はうまいが人前では恥ずかしくて歌えないゾウなど、
彼らは現状に不満があるものの「夢」を持っている。

ブタもゴリラもヤマアラシもゾウも「歌」がうまい。
彼らは自分が持っている特技である歌、
唯一他の誰にも負けないと自分でも思ってる歌で何かをなしたいという
思いを抱えて生きている。
しかし、現状に不満を感じつつも、彼らはそれを変えることができていない。

そんな中で「バスター・ムーン」は劇場の起死回生を図るべく、
世界最高の歌唱コンテストを開催する。
歌手になりたいもの、賞金を目当てに訪れるもの、多くの中に彼らもいる。
彼らの夢は果たして叶うのか?という
ストーリー自体はかなりシンプルなものだ。

諦めなければ夢は叶う、誰しもに才能はある。
そんな古今東西、アニメに限らず様々な創作物で語られてきた
普遍的なテーマと言える。
だが、そんな普遍的なテーマを王道のストーリーに仕上げてるのが
この作品だ。

アニメーション

そんな王道なストーリーを盛り上げているのが
イルミネーションによるアニメーションだ。
擬人化された動物である彼らの動物的な特徴を活かしつつ、
一人ひとりのキャラクターがコミカルかつダイレクトに動いている。

例えばオーディションにキューティーズという
5人組のレッサーパンダのグループが参加している。
彼女たちは「きゃりーぱみゅぱみゅ」の曲に合わせて踊っており、
その姿がなんとも可愛らしく、そこまで出番は多くないのにも関わらず
妙に印象に残るキャラクターになっている。

細かい動きで一人ひとりのキャラクターらしい動きを見せることによって
一人ひとりのキャラクターを思わずじっとみつめ、
彼らの一挙一動に惹かれてしまう。
名前すら覚えていないキャラも居る、だが、そんなキャラたちの
さりげない行動がギャグになり、笑いに繋がっている。

アニメーションによる「動き」があるからこそのキャラの魅力、
動きがあるからこその笑いが大人も子供もくすくすと楽しめるものに仕上がっている。
一言で言えば「エンタメ」感溢れる作品だ。

強烈なメッセージ性があるわけでもない、
号泣するような感動的なストーリーというわけでもない。
しかし、王道だからこそ素直に楽しめるストーリーと、
そんなストーリーを魅力的かつコミカルなキャラで綴ることで
この作品はまさに「エンターテイメント」な作品に仕上がっている。

挫折

この作品の中でメインキャラクターたちは1度は挫折している。
ヤマアラシの女の子は彼氏に浮気され、
専業主婦のブタは機械で自動化した家事がうまくいかなくなり、
ギャングの息子のゴリラは父が警察に捕まってしまい、
ゾウの女の子はオーディションで歌をうまく歌えなかった。

特別ななにかになりたい、自分の才能を活かしたい、夢を叶えたい。
そんな人間ならば誰しもが抱えている思いを彼らも持っている。
しかし、現実と同じようにそう簡単には行かない。
誰しも1度は「挫折」というものを味わうはずだ。

主人公である「バスター・ムーン 」も同じだ。
彼らは諦めそうな彼らを励まし、どん底とわかっていても
そこから這い上がることだけを目的とし、常に前向き、落ち込まず、
支配人として彼らを支えていた。

しかし、そんな彼も挫折してしまう。
資金を集めるためのデモ公演の中で劇場が崩壊してしまい、
土地も銀行に差し押さえられてしまう。
何もかもを失ってしまった彼は夢を諦めてしまう。

そんな諦めた姿すら愛おしい。
彼が劇場の支配人ではなくなり、生活のために始めた仕事は「洗車」だ。
ただの洗車ではない、自らの「モフモフ」をスポンジ代わりに
車を洗う姿は悲しいシーンのはずなのに笑えてしまうと同時に
彼の愛くるしさに抱きしめたくなってしまう。

しかし、彼も諦めきれない人間だ。
「ゾウの女の子」の歌声を初めて聞き、その才能に惚れ、
再び彼も夢に向かって歩き出す。

諦めなければ夢は叶う。

何度も何度もビジネス書や哲学書の類から
どこぞのアイドルまで言い続けてきた言葉だ。
そんな言葉通り、彼らはどんなに挫折を目の前にしても諦めない。
何度も立ち上がる姿に胸を打たれ、彼らのショーを誰よりも楽しみにしてしまう。

幕が開く

そんな多くの挫折をそれぞれが味わった。
劇場も劇場と呼べるようなものではない、ただの野外会場だ。
やってきているお客さんの身内ばかり。
かつてのようなきらびやかな劇場と満員のお客さんはそこにはいない。

それでも彼らには関係がない。
今自分ができることを、今自分がやりたいことを、歌に乗せて表現する。
彼らのショーの幕が開けば、そんな諦めなかった彼らの歌声に
多くのお客さんが集まってくる。

本当にみていてワクワクしてしまうショーだ。
普段はただの子沢山のお母さんで主婦でしか無いブタがノリノリで歌い、踊る。
きらびやかなライティング、衣装チェンジの演出、ブタの大きなヒップ、
蠱惑的とも言える彼女のショーは思い返すだけでニヤニヤしてしまう。

そしてゴリラ。
その図体からは想像もできないハイトーンな声と、繊細なタッチで響かせるピアノ。
その歌声は絶縁し、収監されている「父」の耳にも届いている。

「あれは俺の息子だ」

息子を突き放し、息子の夢にも理解できなかった父が
息子の演奏を目にして初めて息子の姿に惹かれ、
自慢の息子を抱きしめるために脱走する(笑)

そしてゾウの女の子である「ミーナ」。
彼女はここまで多くの人の前で歌えていない、
オーディションのときですら歌っていなかった。
唯一家族の前や、誰も効いていない場所で歌っていたくらいだ。

だが、そんな歌声に「バスター・ムーン」は再起させられた。
彼女の歌には挫折した人を立ち上がらせる力がある。
恥ずかしそうに、照れくさそうにする彼女の背中を仲間たちが押す。
歌えば良い、歌いだせばきっと大丈夫。

そんな仲間たちの声に支えられ、彼女がゆっくりと歌い出す。
そして夢が咲き乱れる。
多くの観客が、彼女を馬鹿にしていたネズミが、
そして私達が彼女の歌声に魅了される。

誰しも才能がある、夢は諦めなければ叶う。
そんな普遍的なテーマをどストレートに見せてくれた作品だった。

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総評:才能は君にもきっとある

全体的にみて非常にストレートな作品だ。
訳ありなメインキャラクターたちが時に挫折しながらも、
諦めずに自らの夢を叶えるために紛争する。
物語としてはそれ以上でもそれ以下でもない。
ものすごく直球なストーリーではある。

しかし、そんな直球なストーリーを王道のエンタメに仕上げている。
コミカルに動く擬人化されたキャラクターたちの
それぞれのストーリーを描くことで彼らに愛着が湧き、
そんな彼らが挫折しながらも立ち上がり、
ショーをする展開に感情移入し、盛り上がりに繋がっている。

誰にも才能はある、夢は諦めなければ叶う。
物語のテーマ性としては物凄くシンプルだが、
シンプルであるがゆえに誰がみても楽しめる。
子供も大人も彼らのコミカルな動きにクスクスと笑い、
彼らの人生をかけたショーに心が踊り、ときに涙腺を刺激されてしまう。

テーマが歌だからこそ歌にもこだわりがあり、
MISIAやスキマスイッチなどのプロの歌手に演じ歌わせたことで
より物語にも説得力が生まれており、
大人ならば思わず「字幕」ではどうなってるのか気になってしまう。

起承転結すっきりとしたストーリーを108分という尺で楽しむことができ、
素直に「あー面白かった」といえてしまう作品だった。

個人的な感想:芸能人声優

MISIAさんは歌手であるがゆえに声優としての演技は
やや拙さを感じる部分はあったものの、とてもお上手だ。
そしてスキマスイッチの人は普通に演技がうまい(笑)
歌えばスキマスイッチだが、歌わなければプロの声優に近いレベルの
演技をしており、この二人のお陰でこの作品の吹き替えの完成度は上がっている。

失礼な言い方かもしれないが、
MISIAさんやスキマスイッチは「今どき」の歌手ではない。
流行りのバンドや若手のアーティストというよりかは、ベテランだ。
このお二人のうち、どちらかが出るならばまだ分かるが、
二人も芸能人声優が出ていて、違和感がないのがすごいどころか、
出たことにきちんと意味がある。

芸能人声優というとデメリットなことが多いが、
この作品はそこをきちんとメリットに変えていることが
高い評価にも繋がった作品だった。

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「SING」は面白い?つまらない?

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