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水増し地獄「劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編」レビュー

1.0
劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編 映画
画像引用元:(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
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評価 ★☆☆☆☆(11点) 全105分

『劇場版 転生したらスライムだった件 蒼海の涙編』本編映像【つかの間の平穏編】|大ヒット上映中

あらすじ 水竜を守り神と崇める海底の国・カイエン国。そこは、かつて人々が平和な地を求めて世界をさまよった末に水竜から与えられた、争いのない王国のはずだった。 引用- Wikipedia

水増し地獄

本作品は転生したらスライムだった件の映画作品。
転生したらスライムだった件としては2作品目の映画となる。
監督は菊地康仁 、制作はエイトビット

前作

転生したらスライムだった件は皆さん御存知の通り、
なろう系で俺つえーなタイプの作品だ。
なろう系としては割と初期の作品であり、人気のキャラも多く、
TVアニメも大人気の作品だ。

ただ前作の映画はかなり微妙で、ベニマルなどの鬼人を中心にしつつ、
オリキャラの鬼人との話を描いていた。
そんな中で主人公であるリムルの存在、活躍が薄く、
いわゆるなろう系の主人公特有の「俺つえー」要素が
映画としての作品づくりの難しさにも直結していた。

前作のプロデューサーが
「リムルが強すぎるので、起承転結を作るのに苦労した」と
述べており、リムルという最強の主人公をオリジナルのストーリーの中で
どう活かすかが転生したらスライムだった件の映画においては
重要な問題になっている。

そこが果たして今作で改善されているかが個人的には
気になるところだったが、結局、改善されていない。

バカンス

今作でリムルたちはバカンスに来ている。
映画特有のキャラクターたちのオリジナル衣装に身を包み、
バカンスを楽しむ様子を序盤20,30分見せられる。
序盤、20,30分だ(苦笑)

ダラダラダラ,メインキャラたちが色々なところで
バカンスしている姿を見せられるのは退屈でしかなく、
メインストーリーが本当に進まない。

映画の冒頭で映画オリジナルキャラである「ユラ」が
自分の国から宝を盗み出しており、リムルたちと接触しようとしている。
だが、なかなか接触しない。
途中でゴブタに見つかってゴブタとともに敵から逃げたりするシーンが
ダラダラダラ続いてしまう。

この映画は100分ほどの作品だ。
そんな100分のうちの3分の1の尺を使っているのに
話が全く持って進まず、ようやく進むかな?と思ったら
曲を流しながらダイジェストでゴブタと映画オリジナルキャラが
逃避行してる様を見せられる。

意味がわからない。

ゴブタ

前作はベニマルと映画オリジナルキャラの物語を描いていた。
これはまだ理解できる、ベニマルは人気キャラの1つであり、
リムルという主人公を動かしにくいからこそ、
他のメインキャラを主軸にするストーリーになるのは納得だ。

今作もパターンとしてはそのパターンではあるのだが、
問題は主軸になるキャラクターだ。
ゴブタである(苦笑)

他にも人気なキャラクターはいっぱいいる、それこそ魔王である
ミリムなどは大人気キャラであり、他にもシオンやヴェルドラ、
ルミナス、ディアブロなど大人気なキャラクターは多い。
人気キャラクターランキングをみると、
このあたりのキャラが転生したらスライムだった件では人気であり、
転生したらスライムだった件を見ていれば納得できる順位だ。

しかし、何故か今作ではそんな人気キャラクターランキングに入らない
「ゴブタ」を主軸に映画を作っている。ちょっと意味がわからなさすぎる。
ゴブタとオリジナルキャラが逃避行している間に
恋心のようなものも互いに生まれており、ラブロマンス的なものも描かれる。

ゴブタがだ(苦笑)
他のキャラクターだとラブロマンス的なものは
描きづらいからこそ白羽の矢が立ったのかもしれないが、
ドラゴンボールでいえばウーロンくらいの立ち位置のキャラが
メインになるのは意味不明でしかない。

ゴブタよりも映画という媒体で見たいキャラがいるのに、
そんなキャラたちを差し置いてゴブリンであるゴブタが
主人公であるリムルよりも大活躍している。
意味がわからない。

ゴブタがオリジナルキャラと出会い、オリジナルキャラと逃げて
戦って、また逃げて、戦う。
この序盤のパートが長すぎだ。

水竜

今回の映画オリジナルキャラは海のの国のお姫様であり、
彼女の国は水竜に守られている。
そんな国のそばにはしょっちゅう「核魔法」が落ちており、
核魔法の被害にあっている。

この核魔法はとある悪魔がとある魔王にちょっかいを出すために、
直撃しないくらいの場所に定期的に落としているものであり、
どこか北朝鮮を彷彿とさせるものだ(笑)
そんな北朝鮮のミサイルにより被害にあっていた国は
水竜を蘇らせて状況をなんとかしようとしている。

しかし、実はその被害は海底の国の宰相が仕組んだものであり、
水竜を我が物として地上を征服しようとしている。
というなんとも安易な話だ。

この宰相も実は黒幕が居て…という展開になるのだが、
そいつも目的は世界征服であり、あまりにも話のスケールが
小さすぎるうえに悪役の目的が安易すぎる。
話自体のクオリティが低い。

戦闘シーン

復活した水竜と黒幕、そして映画オリジナルキャラを救うために
リムルたちが奔走するという流れになるのだが、
もう話が浅すぎて退屈でしか無い。
これで戦闘シーンが面白ければ話は違うが、全くもって面白くない。

序盤はゴブタと映画オリジナルキャラが雑魚敵と
ちょこちょこと戦うくらいだ。
中盤ようやくリムルの出番があったりするが、シーンとしては短く、
終盤でようやく勢力戦になり多くのメインキャラが出てくる。

出てきたら出てきたで面白くなるわけでもなく、
各キャラが水竜の分身のような存在に対して
自らの必殺技を叩き込むの繰り返すだけだ。
前作も色々と問題があったが、戦闘シーンだけみれば
前作のほうがまだましだ。

リムル

今作のリムルも影が薄い。
主人公の座をゴブタに取られてしまっており、
本来の主人公であるリムルは「ゴブタ!ゴブタ!」と
何回も叫んでるくらいだ、あとは雑魚敵を処理したりしながら、
特に見せ場らしい見せ場も最後まで無い。

最後の最後でようやく必殺技を放つパートがあるくらいで、
それ以外の活躍が本当に薄い。
根本的なストーリーの練り込みが足りず、ゴブタを主軸にするという
アイデア自体は斬新だったかもしれないが、
そこ以外の掘り下げや深みがあまりにもない作品だ。

黒幕も実は悪魔が操っていたというような事実があるのかと思いきや
そういったこともなく、結局、世界征服をしたかっただけの
なんか力を持っているやつというふわっとした感じで終わっている。
敵も浅ければ話も浅い。

ラストのオチに関しては意外性はあるものの、
最初から最後まで退屈な作品だった。

総評:転スラという作品の限界

全体的に見てひどすぎる映画だ。
リムルを主人公にできないという転スラの映画特有の問題が
この転スラという作品自体の限界であり、
その限界を越えようとゴブタを主軸にするという斬新な手を繰り出したが、
その斬新さだけでは面白さは生まれない。

序盤から中盤までのグダグダとしたストーリー展開はあまりにもひどく、
挿入歌を入れながらのダイジェストや回想シーンは
テンポの悪さを余計に感じさせ、メインキャラの多さに振り回されるように
場面転換しまくりでろくにストーリーが進まない。

映画の尺を稼ぐために必死だ。
余計なシーンを除けば45分くらいで解決しそうな話を
映画にするために水増ししまくった作品でしか無い。
これが45分くらいのファン向けのOVAなら、
ゴブタ主人公の作品として楽しめたかもしれない。

映画にするために、映画としての尺を稼ぐために
冗長な日常シーン、無駄な挿入歌によるダイジェストで
水増ししており、なんとか映画に仕上げたような作品だ。

ファン向けであることは百も承知だが、それを踏まえても
ひどすぎる作品だった。

個人的な感想:映画はもう無理では…

ファンが多い作品だからこそ、そこそこ興行収入はいく。
だからこそ映画を作る流れがまた生まれたのだろうが、
前作以上に映画としてひどい作品だ。
現時点では興行収入も前作割れしている。

前作はまだ初映画ということもあり、ファンも飲み込めただろう。
だが、今作はSNSや感想サイトを見るとファンであっても
厳しい部分があるようで、不評な意見が多い。

転生したらスライムだった件でオリジナルストーリーの映画をやる、
これがそもそも難しい。
リムルという俺つえーな主人公が動かしにくいという
最大の欠点をどうにかしない限り、第三弾があったとしても
同じようなことになりそうだ。

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