普段のレビューの中で何気なく使っている
「質アニメ」という言葉、みなさんはこの質アニメという言葉を
どう定義づけていますでしょうか?
質アニメ
ここ最近は使う人も少なくなっていった印象で、
「萌え」という言葉が使われなくなっているのと同じで、
言葉というのは徐々に使われなくなっているものもあります。
その言葉の1つになりつつあるのが「質アニメ」という言葉で、
その原因は「定義」の甘さにあるかもしれません。
私も普段、何気なく使っていますが、
今回、あえて、この「質アニメ」という言葉に向かい合っていこうと思います。
私
まず私の使用例をいくつか出してみることにします。
当サイトで「質アニメ」という言葉が使われているレビューはいくつかあり、
最近でいえば「ChaO」や「アイドルマスターシャイニーカラーズ」、
「アークナイツ」、「ワンダーエッグプライオリティ」などで使われています。
自分でも思った以上に「質アニメ」という言葉を使っておらず予想外でした。
傾向としては自分の中で定義づけていたものと似ており、
まず質アニメというのは大前提として
「作画の良さ」というのがあります。
上にあげた4作品もそうですが、世間的に質アニメといわれるものは
「坂道のアポロン」や「ピンポン」などのノイタミナ系や、
「イヴの時間」などがあります。
その多くが作画はよく、質アニメといわれるもので作画が悪いものは
存在しないといってもいいでしょう。
品質
質アニメの質は「作画の質」でもあります。
アニメという媒体においてその表現における質がいい、
その質の良さは、見た目でわかる作画の良さがもっともわかりやすいでしょう。
しかし、その「作画の質」だけでは質アニメとは言われません。
例えば最近でいえば鬼滅の刃や呪術廻戦などの作品は
作画がいいと言われはしますが、質アニメとは言われません。
作画の質はいいのに質アニメとは言われません。
ストーリーの質、脚本の質というのも含まれるのでしょう。
総じて品質が高いのが質アニメと呼ばれる、
しかし、ストーリーも作画も何もかもが最高級のものでも
質アニメとは言われない。
それは安易にいえば神アニメや名作と言われます。
しかし、神アニメであり質アニメというのはあまり存在しません。
これには質アニメという言葉が生まれた経緯にあります。
売上
この質アニメという言葉がもっとも使われていたのは
2010年代前半くらいでしょうか。
いくつかネットの記事などを調べてみると、
匿名掲示板のスレッドやブログなどで「質アニメ」という言葉が
かなり多用されていることがわかります。
この質アニメは元々、皮肉めいた言葉です。
売れなかった作品のファン、当時円盤が全盛期で、
円盤が売れるかどうかで2期がきまり、円盤の枚数で
覇権や爆死と言われる事が多くありました。
そんな売れなかった作品のファンが
「でも、質は高い」と擁護したことが、
この質アニメという言葉が生まれた始まりでもあります。
つまり売れてるアニメは質アニメではありません(笑)
鬼滅の刃や呪術廻戦がいくら作画の質や脚本の質が良くとも、
売れたアニメである限りは質アニメになることはできません。
いわゆる売りスレやアニメの売上というものが
話題になることが多かった時期に
皮肉めいた言葉として質アニメというものが生まれました。
ただ作画の質がよく、話も面白いのに売れないという作品は多くあり、
そのどれもが「質アニメ」と呼ばれるわけでもありません。
そこにもう1つの条件が加わることで質アニメと呼ばれます。
高尚さ
これは私の個人の考えではあるのですが、
多くの人が質アニメと呼ぶものは、どこか哲学的な、
高尚なメッセージ性を含んでいる作品が多い傾向にあります。
いわゆる萌えアニメやわかりやすいバトルアクションアニメや
ラブコメにはない、質アニメと呼ばれる作品にある
「高尚さ」、これが売上とは逆の「質がいい」という
言葉による擁護のうえでの定義付けの1つになっていると私は思います。
最近私が質アニメという言葉を使った
「アークナイツ」や「ワンダーエッグプライオリティ」、
このどちらも売上的には芳しく無く、
同時に「人を選ぶ」作品です。
特にワンダーエッグ・プライオリティは「死」というものを
描いている作品であり、ラストは問題がありましたが、
そのメッセージ性と考察性の高さ、そして作画のクォリティの高さと、
売上の悪さで「質アニメ」と呼ばれることが多い作品です。
この高尚さは質アニメにおいては重要です。
大衆には理解されずに売れなかった、しかし、
その高尚さ、メッセージ性の高さ、作品の面白さは自分は理解できる、
そんな感覚を感じさせてくれるのが「質アニメ」なのかもしれません。
強烈に人を選ぶ感じや、売上の悪さもあいまって、
思わず「特別視」したくなるような感覚が生まれる作品が
質アニメの中には多いのかもしれません。
質アニメとはかくあるべし
質アニメという言葉自体が「売上」が注目されるようになったからこそ
生まれた言葉であり、「覇権」という言葉が最近は少しずつ、
使われなくなってきているのと同じように質アニメという言葉自体が、
使われなくなっていくのも自然なのかもしれません。
ただ、今回こうやってきちんと質アニメとはなにかと
自分の中で定義づけたことも相まって、私個人としては、
今後あえて使うかもしれません。
作画のクオリティは高いし、ストーリーも面白い、
哲学的な内容や設定の難解さで強烈に人を選ぶうえに、
大衆受けするとはいえない、事実、話題になることもなかった。
こんな作品を「質アニメ」という言葉1つで表現できてしまいますし、
この1つの言葉で色々な要素が濃縮されており、伝わりやすい。
いわゆる「作家性」というような言葉を使うような作品には
合いやすい言葉かもしれません。
制作側のやりたいことはわかるし、気合も感じる、
でも、それをエンタメにしきれておらず、どこか自己満足的なものも感じる。
それがまさに質アニメなのかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。


