映画

マリオだから出来る?ドーパミン中毒映画「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」レビュー

3.0
ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー 映画
画像引用元:(C)2025 Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved.
スポンサーリンク

評価 ★★★☆☆(50点) 全99分

【日本語版】 『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』 最終トレーラー

あらすじ 双子の配管工マリオとルイージは、キノコ王国でピーチ姫を助けながら、捕らわれた大魔王クッパの世話をしたり、みんなの困りごとを解決したりしていた。引用- Wikipedia

マリオだから出来る?ドーパミン中毒映画

本作品はスーパーマリオを原作としたアニメ映画作品。
マリオとしては第2弾の映画作品となる。
制作はイルミネーション、監督はアーロン・ホーバス、マイケル・イェレニック。

前作

2023年に公開された前作は、とんでもない大ヒット作品となった。
日本の興行収入は140億円、世界規模でもとんでもない売り上げになっており、
それもあって第2弾へのハードルが高くなった印象だ。

前作は、いい意味で映像体験に割り切った作品だった。
マリオというゲームに触れたことがある人ならば、
ワクワクできるような映像の数々、原作リスペクトな小ネタの数々を
ばらまきながらも、起承転結のすっきりとした映画が作られていた。

マリオとルイージという兄弟、ピーチというヒロイン、クッパという敵。
そこにサブキャラたちが加わることで、
マリオという世界観を映画でしっかりと感じさせてくれた印象だ。

前作のラストでは「ヨッシーの卵」が映り、
続編を匂わせており、あれから3年の月日を経ての第2弾となった。

ギャラクシー

本作はタイトル通り「スーパーマリオギャラクシー」の世界観をもとにしている。
もともとはWiiで発売されたものであり、
「スーパーマリオギャラクシー2」もWiiで発売されている。

前作は、マリオの基本的なキャラを知っていれば問題ない作品だった。
マリオ、ルイージ、クッパ、ピーチ、キノピオ、ドンキーコング。
多くの人にとって知っている、なじみ深いキャラクターだ。
今作ではそこに「ロゼッタ」というプリンセスが追加されている。

このロゼッタがクッパジュニアにつかまったところで、
物語が動き出す。

ヨッシー

映画の冒頭でロゼッタがクッパジュニアに捕まった後に、
マリオブラザーズの活躍が描かれる。
とある砂漠の遺跡の土管で見つけたヨッシー。
そんなヨッシーがあっさりとマリオとルイージと仲良くなり、
彼らの仲間になる。

ここは、少しあっさりしすぎている印象だ。
前作は「シンプル」なストーリーで、マリオというゲームの
映像をアニメーションとして、映画館で楽しめる作品だったが、
今作は一言でいえば、かなり軽い。

前作のラストの「引き」でもあり、大人気キャラであるヨッシー。
ヨッシーとマリオたちとの交流、関係性、
エピソードというものをもっと深く描いてもいいはずだ。
だが、この作品ではそういう方向にはあまり踏み込まない。

出会って、なんとなく仲良くなって、あとはずっと仲間として一緒にいる。
マスコットキャラとしてはかわいいのだが、
それ以上の存在感まではあまり描かれない。
マリオたちとの関係値がかなり薄く、そこは少し物足りなさを感じた。

ヨッシーまわりの映像的な面白みはある。
彼が敵を飲み込んだり、時にはヨッシーアイランドのように
赤ちゃんになったマリオとルイージを背負ったり。
そういう原作に対する小ネタ的な映像は
面白くはあるのだが、キャラ描写という面ではやや淡白だ。

ロゼッタ

それは今作から登場したロゼッタも同様だ。
彼女は星屑から生まれたらしく、
スターたちの「ママ」としてスターたちと暮らしており、
特別な力を持っている。それ以上の部分は、あまり深く語られない。

ロゼッタの出番自体も、序盤と終盤のちょこちょこっとした部分が中心で、
ヨッシーと同様に、キャラ描写はかなり控えめだ。
前作はきちんとキャラの掘り下げ、印象づけがあり、
ストーリー自体は「シンプル」ではあったが、薄いとは感じなかった。
しかし、今作はストーリーとキャラ描写の部分で、やや物足りなさがある。

映像的な面白みは多いのだが、
その映像的な部分に付随するストーリーとキャラ描写が控えめで、
ストーリーだけを説明するならば5行もいらないほどだ。

ロゼッタというピーチのお姉さんがクッパジュニアにさらわれました。
ピーチが助けに行く中で、クッパジュニアがキノコ王国を襲います。
マリオたちは謎の惑星にたどり着きながらピーチと合流し、
ロゼッタを助け出しました。

大まかにいえば、これ以上でもこれ以下でもないストーリーだ。
ネタバレを気にするほど複雑な展開があるわけでもなく、
かなりシンプルに進んでいく。

つながり

シンプルなストーリーであることは別に問題ではない。
前作もそうだった。
だが、前作は起承転結がきちんとあったのに対し、
今作はそのストーリーの流れ、つながり自体がやや突飛に感じる部分がある。

例えば序盤でロゼッタがさらわれ、逃げ出したスターの一人が
キノコ王国にたどり着き、ピーチにロゼッタを助けてほしいと求めるという展開がある。
ここで引っかかるのは、この時点で「ピーチ」が「ロゼッタ」を知らないことだ。
見ず知らずのスターと、見ず知らずのロゼッタという姫のために、
ピーチが危険を顧みずに宇宙へ飛び出す展開には、少し違和感がある。

見ず知らずの人に頼まれて、見ず知らずの人を助けに行く。
ピーチらしい優しさといえばそうなのだが、
物語としては、もう少し動機づけがほしかったところだ。
飛び出していったピーチ姫はマリオたちにキノコ王国のことを託すのだが、
マリオたちもすぐにピーチ姫を追いかけるわけではない。

いきなり飛び出していったピーチ姫を心配して追いかけるのではなく、
マリオたちはキノコ王国のトラブルを解決して回る。
その解決して回る姿には映像的な面白さがしっかりとあるのだが、
同時に頭の中では「ピーチ追いかけなくていいの?」という
疑問が少し付きまとってしまう。

この作品には、いわゆるロードムービー的な側面がある。
ただ、ここも少し気になる部分だ。
本作品はテンポが悪いというより、
話のつながりが弱いせいで「今やっていることの意味」が
本筋のストーリーにつながりづらく、結果的にテンポの悪さを感じてしまう。

ピーチが宇宙に飛び出す中で、クッパジュニアが訪れ、
ピーチ城ごとマリオたちがさらわれてしまうのだが、
その中でピーチ城がとある星に落下し、そこでの旅が始まる。

終盤でも目的地に行く前にクッパジュニアに襲われ、
とある星に落下して旅をするという展開がある。
二度も似たような展開があり、しかも、その星に行く意味が
マリオたち自身の目的と強く結びついているわけではない。

これは原作、ゲームのほうのスーパーマリオギャラクシーでは
「スターを集める」という意味があり、色々な星に訪れているのだが、
本作ではクッパジュニアの妨害によって、たまたま訪れただけに見えてしまう。
そのため、今作ではマリオという主人公の主体性や存在感も、
少し薄まっている印象を受けた。

スマブラ

ロゼッタ、ヨッシー、クッパジュニア、さらに各惑星のキャラ。
そこに加え、本作では「フォックス」まで出てくる。
彼はスーパーマリオのキャラクターではない。
スターフォックスという、別の任天堂のゲームのキャラだ。

前作でも「ドンキーコング」が出てきたが、
一応ドンキーコングはマリオとの関係性もあり、納得ができる。
だが「フォックス」は、かなり別作品のキャラクターという印象が強い。
スマブラなどでの共演こそあれど、それ以外でのつながりは薄い。

そこにさらに「ピクミン」や「Mr.ゲーム&ウォッチ」まで出てくる。苦笑
本作品は、実質スマブラのような印象も受ける。
それ自体はお祭り的な要素で楽しく、ファンサービス的な面白みはあり、
ピクミンなどはちょっとしか出てこないからこそ受け入れやすい。

ただ、フォックスに関してはがっつりと絡んでくるわりには掘り下げは控えめだ。
ダイジェスト的にバックボーンの紹介はあるものの、
キャラクターとして強く印象に残るほどではなかった。

アクション

今作はひたすらにアクションだ。
感覚としては2割ストーリー、8割アクション。
下手したら1割ストーリー、9割アクションといってもいいくらい、
とにかく常にキャラクターが動き回っている。

そのアニメーションはシンプルに面白い。
原作のゲームの小ネタや内容を入れつつ、
マリオというゲームを映画という映像にして体験する。
これは前作と同様の試みであり、マリオの映画の方向性でもある。

実際、終盤のアクションはワクワクして観てしまう部分がある。
「実質マリオメーカー」な部分や、クッパとのバトルまで
アクションの連続であり、思わずワクワクしてしまうような
映像がこの作品にはある。

前作と同様に、そこはしっかり楽しめる作品だ。

ショート動画

ただ、前作と違うのは「緩急」がかなり急だということだ。
この作品はものすごい勢いでシチュエーションが変わっていく。
宇宙でロゼッタがクッパジュニアと戦っていたかと思えば、
キノコ王国ではマリオたちが遺跡を探索し、
各惑星にも目まぐるしいアクションが詰め込まれている。

とにかく飽きさせない作りになっている。
常にアクションシーンを詰め込んでおり、
そのアクションシーンからアクションシーンに至るまでの
つなぎがやや弱く、アクションシーンに対してストーリーが薄いため、
結果的にアクションシーンばかりが続いているように感じてしまう。

この次々と様々なアクションシーンが流れる感じは、
感覚としては「YouTubeショート」や「TikTok」の動画を見ている感じに近い。
スワイプ、スワイプしながら、次々と色々な動画という名の
映像が流れ込んでくる。スワイプする隙さえ与えない印象だ。

そういった意味では「今の子供」に向けた作品なのだろう。
いい意味でも悪い意味でも、前作より
尖った作品になった印象だ。

総評:マリオだからできる映像快楽

全体的に見て、個人的にこれを「映画」として評価するのは難しいと感じた作品だ。
ストーリー的な部分はシンプルだが、そのシンプルを
ストレートに楽しめるような起承転結はやや弱く、
キャラの行動や展開に引っかかる部分がいくつか生まれている。

前作はそういったところが少なかったからこそ素直に楽しめたが、
今作はその引っかかりが少し多い。
特にキャラ描写に関しては、もう少し踏み込んでほしかった。
せめてヨッシーの掘り下げをもう少ししてくれれば違ったかもしれないが、
今作ではあくまでマスコットキャラ止まりだ。

クッパJr.やクッパに関しては、ある意味人間臭さがあり、
この二人の親子関係は見ていて面白い。
ただ、逆をいえば、この二人以外のドラマやストーリーはやや薄い。
ピーチやロゼッタの関係性も明らかにはなったものの、
もう一歩踏み込んだ部分がなく、少しぼんやりしたまま終わっている。

一方で、ストーリーやキャラ描写をいったん横に置いて、
映像だけを見れば素晴らしい作品だ。
4DXなどで見れば、まるでUSJのアトラクションのように楽しめそうだなと
思わせてくれる、息つく暇もないアクションシーンの数々。
イルミネーションらしいコミカルなキャラクター表現もさすがだ。

映像だけ見れば100点に近い。
ただ、ストーリーやキャラ描写の部分では物足りなさもあり、
だからこそ評価に困る作品になってしまっていた。

個人的な感想:期待外れ

前作は個人的に大好きな作品だったがゆえに、
今作のキャラ描写やストーリーの薄さは、少し気になりながら観てしまった。
ストーリーが進んでいる感じがあまりなく、意味があるのかないのか
よくわからないアクションシーンをひたすら見せられる。
この感じは、本当にショート動画に近い。

現代は、そんなショート動画の影響もあって
多くの人がドーパミン中毒になっているといわれている。
私はこの言葉自体はあまり好きではないものの、
そういう人でも楽しめる作品になっているというのは、
映画を観ている最中でも感じてしまった部分だ。

ある意味でこれは、新しい映画の作り方なのかもしれない。

「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」に似てるアニメレビュー