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これが新しいドラえもんだ「ドラえもん のび太のひみつ道具博物館」レビュー

4.0
ドラえもん のび太のひみつ道具博物館 映画
画像引用元:(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2013
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評価 ★★★★☆(70点) 全103分

ドラえもんから離れてしまった貴方へ「ドラえもん のび太のひみつ道具博物館」アニメレビュー

あらすじ ドラえもんの鈴が未来世界の「怪盗DX」と名乗る盗賊に突然盗まれる。引用- Wikipedia

これが新しいドラえもんだ

本作品はドラえもんの映画作品。
ドラえもんとしては33作品目の作品となり、
声優が変わってからの新ドラえもんとしては第8作目にあたる。
監督は寺本幸代、制作はシンエイ動画。
テレビ朝日開局55周年記念作品として作られている

作画

見出して感じるのは作画の素晴らしさだろう。
特に「背景」の描写は本当に素晴らしく、
妙に高いレベルで描かれる「のび太の家」や部屋、
細部にまで描き込まれた背景描写が「映画」としての
制作側の作りこみの熱の入り方を序盤早々に感じることができる。

今回の映画は「コメディタッチ」に仕上がっている。
冒頭からギャグなのび太の夢だったり、あっさりと「スズ」を盗まれる
ドラえもんのリアクションなど高いレベルの作画でコミカルに動きまわり、
表情がくるくると変わるシーンの数々は大人が見ても思わず「クスクス」
っと笑ってしまうシーンになっている。

ギャグとしてのアニメにおける演出や描写がしっかりとしており、
そこに「ドラえもん」や「のび太」のキャラクターを活かした動きの数々が
純粋にアニメーションとして笑えるシーンになっている。

テンポよく、コミカルに、そしてスズを無くしたことによる副作用で
「ネコ化」するドラえもんなど大人でも笑ってしまうギャグシーンになっており、
それが全編にわたって散りばめられており、何回も、本当に何回も笑ってしまう 。
大人も子供も笑顔になれる作品だ。

探偵

冒頭からあっさりと何者かに「鈴」を盗まれたドラえもん、
大切な鈴であるドラえもんは誰が盗んだのかを調査することになる。
ドラえもんの鈴が未来のひみつ道具博物館にあることを突き止めた二人は
未来へと赴くことになる。

ドラえもんの映画といえばタイムマシンで過去に戻ったり、
宇宙に行ったり、ファンタジーな世界観に行ったりすることが多いが、
しかし、今回の舞台は「未来」だ。
私の記憶が確かならば未来が舞台の作品はこの作品が初めてなはずだ。
(ミニドラSOSなどの番外編を除く)
だからこそ新鮮であり、だからこそ面白い。

新ドラえもんの映画はリメイクが多く、オリジナルはハズレが多い。
だが、この作品は「オリジナル」でありながら、
ドラえもんらしさを画面いっぱいに感じることができる。

最近の映画ではすっかり出番のない「ドラミちゃん」の
出番があったりと、自然な流れでいつもの5人で
未来のひみつ道具博物館へ行くことになる流れも自然であり、
ストーリーがシンプルに分かりやすい。

ドラえもんのスズは決して特別なものではない。
しかし、ドラえもんは新しいものではなく、
今までつけていたものをどうしても取り返したがっている。
ドラえもんはなぜスズに固執するのか、ドラえもんのスズを
盗んだものの目的はなんなのか。

ストーリーの期待感もシンプルに生まれている。

ひみつ道具博物館

ドラえもんたちが訪れる「ひみつ道具博物館 」を見て
ときめなかない人はいないだろう。
子供の頃から見てるドラえもん、そんなドラえもんの中ででてきた
道具の数々、そんな道具の博物館。
思わず「行ってみたい」という気持ちが強烈に生まれる。

初期型のどこでもドアから始まり、
シーンが切り替わるたびに画面狭しとひみつ道具が描写される。
きせかえカメラ、ぬけ穴ボールペン、雲固めガス、花咲か灰、
ガリバートンネルetc…子供の頃に見た「ひみつ道具」がどこかにきっと描かれている、
子供も「子供の頃にドラえもんを見た」大人も味わえるシーンの数々は
ワクワクが止まらない。

特に私が好きなのは初期型のどこでもドアの大きさだ。
ひみつ道具はドラえもんの中では既に「完成」されたものとして描写されている。
だが、この作品ではその「ひみつ道具」がまだ未完成の道具が多く描写されており、
初期型のどこでもドアは無駄にでかい。それだけで面白い。

その他にもタケコプターの製作過程や、ひみつ道具の素材など
今までに描かれなかった未完成の未来のひみつ道具の描写が、
子供も一緒に見てる大人ですらも前のめりになって
「好奇心」をくすぐられる面白さが有る。

お約束

ドラえもん映画といえば「ポケット」が使えなくなるという展開だ。
今作ではすっぽんロボットがポケットに侵入してしまったがゆえに
ドラえもんが道具を出せなくなってしまっている。
そんなドラえもん映画あるあるがきちんとある、
抑えるところはきっちり抑える、それがこの作品の良さでも有る。

ドラえもん映画といえば初期は戦争や環境問題を多く扱ってきた。
子供向けのアニメ映画ではあるものの、
きちんとそこにメッセージ性が含まれていた。
本作でも「レアメタル」問題と「原子力問題」を描いている。

未来のひみつ道具はいわゆるレアメタル的なものでできており、
そのレアメタル的なものは有限だ。
いつかひみつ道具が作れなくなるかもしれない。
そんな状況を打破使用と研究している者たちも居る。

そんな未来のひみつ道具を作り出した博士は
「太陽」を再現する道具も作り出しているのだが、
研究は道半ばで失敗してしまっている。
この太陽は言い換えれば原子力だ。

なにかきっと

ドラえもんがスズにこだわるのは「のび太」との思い出があるからだ。
出会ったばかりの頃、何もできず、得意なこともない、
良いところがないと思っていた「のび太」の良いところを見つけられた、
そんな思い出が詰まったスズはドラえもんにとって思い出の品だ。

オリジナルキャラであるクルト・ハルトマンも、
のび太と同じように「ダメ人間」と周囲に思われている。
偉大な祖父をもちながらも、彼の道具はいまいち役に立たないものばかりだ。

しかし、誰にもなにかきっと優れたなにかがある。
この作品はそんなメッセージが含まれている作品だ。
のび太は勉強や運動は確かにできない、
だが、友達の大切なものを一緒に探してくれる優しさがある。
欠点もあれば良いところもある、それが人だ。

ドラえもんのスズを盗んだ犯人、そして黒幕も、
世間では「駄目な人間」と言われている人だ。
だが「諦めない」ことでそんな駄目な人間も、良さを発揮する。
誰かに駄目だと言われても、負けても、諦めずに前に進む。

終盤の伏線回収は見事の一言だ。
ひみつ道具の素材、そんな素材とは別の素材で作られてる
オリジナルキャラの道具が終盤で役に立つ。
終盤では太陽、原子力が暴走する中で
ドラえもんとロボットが戦う展開はロボットアニメでも見ているかのようだ。

最初から最後までありとあらゆる「ひみつ道具」が
目まぐるしく登場し、要所要所で使われながら展開していく物語が
心地よく、素晴らしい作品だった。

総評:ドラえもんを改めて楽しめるようになった作品

全体的に見て素晴らしい作品だ。
この作品には制作側の「ドラえもん」に対する愛情とこだわりを
しっかりと感じることができる。

あえて未来を舞台にし、あえて「ひみつ道具」にスポットを当てることで
新しい要素では有るものの、きちんと懐かしさも感じさせながら、
ドラえもん映画として抑えるべきところをしっかりと抑えたものになっており、
「ひみつ道具」というドラえもんの根幹、夢を
最初から最後まで感じさせてくれる。

昔ドラえもんを楽しんだ大人も今ドラえもんを楽しんでいる子供も
同じように笑って楽しめる。
そんな素敵な作品になっており、
新ドラえもん映画を改めて楽しめるようになれる作品だ。

個人的な感想:藤子不二雄イズム

ドラえもんの原作者である藤子・F・不二雄先生はすでに亡くなられている。
亡くなられたあとに多くのオリジナルアニメ映画が制作されており、
藤子・F・不二雄先生が作られたドラえもんの世界は大きく広がっている。
ドラえもんの声優陣も変わり、変わったからこそ新しいドラえもんというものを
制作側も模索し続けていたのだろう。

だが、私はなかなか受け入れることができなかった。
2006年ののび太の恐竜2006から約8年、新声優もなかなか
受け入れることができず、ドラえもん映画に足を運ぶことも無くなっていた。
しかし、この作品はそんな私を大きく変えてくれた作品だ。

今までのドラえもんでは描かれなかった「新しい」ドラえもんの面白さが
この作品にはぎゅっと詰まっている。
ドラえもんにおける「ひみつ道具」というオリジナルの面白さを
ストレートに描き子供も大人も同じように
「ひみつ道具」のワクワク感じを楽しむことができる。

決して新しいだけではない、「ゴンスケ」を出したり、
懐かしの道具の数々を出しながら、
藤子・F・不二雄先生のイズムのようなものを感じさせている。

今後のドラえもん映画も楽しみだ。

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