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暗黒期の再来!?煽り運転コナン映画「名探偵コナン ハイウェイの堕天使」レビュー

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名探偵コナン ハイウェイの堕天使 映画
画像引用元:(C)2026 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
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評価 ★★☆☆☆(20点) 全109分

劇場版『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』公開直前PV【4月10日(金)公開】

あらすじ コナンと蘭、園子、小五郎は、バイク好きの世良真純とともに、バイクの祭典「神奈川モーターサイクルフェスティバル」が開催される横浜・みなとみらいに向かう途中、暴走する謎の黒いバイクに遭遇する。引用- Wikipedia

暗黒期の再来!?煽り運転コナン映画

本作品は名探偵コナンの劇場アニメ作品。
名探偵コナンとしては29作目の作品となる。
監督は蓮井隆弘、制作はトムス・エンタテイメント

なお、本レビューにはネタバレを含みますのでご注意ください。

萩原千速

本作のメインとなるのが風の女神こと「萩原千速 」だ。
神奈川県警の交通機動隊の白バイ隊員であり、
過去のコナンでも描かれていた「松田陣平」と交流があり、
更に「萩原研二」の姉でもある。
コナンとしては新しめのキャラクターであり、
最近のキャラであるがゆえに知らない人も多いかもしれない。

ここ数年は公安やFBI、黒の組織、
怪盗キッド、服部平次などのおなじみのキャラが
映画でも中心になることが多かったが、去年は
「長野県警」のキャラクターをメインにした映画を作り上げており、
今年は「神奈川県警」をメインに据えている。

神奈川県警には「横溝警部」もおり、そんな横溝警部との
関係性も深いのが「萩原千速 」 だ。
そんな映画としての新キャラを本作品では掘り下げようとしたのはわかる、
わかるのだが、あまりにも彼女がメインすぎる。

キャラ描写

特に序盤から中盤は主人公たる「コナン」の活躍がろくになく、
ほぼアクションも推理もしていない。
毎年いろいろなゲストキャラやメインとなるキャラが居るが、
「名探偵コナン」の映画だからこそコナンが物語の主軸に居てこそ
コナン映画だ。

しかし、今作では「萩原千速 」 がメインに来すぎており、
コナンの活躍が薄く、コナン以外の活躍も薄い。
もう一人、ゲストキャラとして「世良」も出ているが、
中盤ちょこっと戦うシーンがあるくらいで、
終盤はただついてくるのみだ。

「萩原千速 」 の描写ばかりで主人公のコナン含めて
キャラクター描写がかなり浅く少なくなってしまっている。
予告などで見ると「毛利蘭」もメインとして描かれそうな感じがあったが、
中盤でちょろっと活躍するシーンが有るくらいで、
あとは見せ場らしい見せ場も出番も少ない。

あくまでも「萩原千速 」 の映画になっており、
過去作と比べてもゲストキャラの描写の偏りが半端ない作品だ。
少年探偵団や毛利小五郎、そういったおなじみのキャラの
活躍もなく、「萩原千速 」 を主軸にしつつ、
彼女単独でも今作の犯人と言える人物にはたどり着いている。

だからこそ余計に主人公であるコナンの存在感も薄く、
「萩原千速 」 に対する思いいれで作品に対する感想も
変わってくるかもしれない。

彼女の過去回想では「松田陣平」と「萩原研二」 の二人も
がっつりと出てくるため、この二人のファンならば楽しめるかもしれないが、
個人的には「萩原千速 」 に対する思い入れがほとんどなく、
メインキャラというよりはサブキャラに近いキャラを
メインにしてしまったことで映画全体としての弱さを感じてしまう。

アクション

彼女がメインということで必然的にバイクアクションがメインとなる。
序盤からそんなバイクアクションが描かれたかと思えば、
またバイクアクションが描かれ、またバイクアクションが描かれる。
バイクアクションばかりだ。

このバイクアクションも序盤はスピード感のある演出がかなり多く、
カメラワークによるスピードの表現などアニメーション的に
面白い部分もあるのだが、飽きる。ずーっとバイクアクションだ。

今回の犯人ともいうべき存在が「ルシファー」と呼ばれるバイクだ。
このルシファーが序盤でいかにも何かしてそうな二人を
バイクで煽り運転しており、こけさせたあとに逆走などしてきたり、
街中を大暴走し、それを追いかける。この追いかけっこが何回もある。

序盤こそコナン映画らしく「萩原千速 」が壁面走行したり、
マリオカートのごとくショートカットを決めるようなアクションで
見せてくれるのだが、それ以降のアクションはあまりピンとくるものがなく、
終盤のアクションはかなり大胆ではあるものの、
「見たことがある」アクションだからこそピンとこない。

緊張感

この作品は妙に過去作を彷彿とさせる要素が多い。
例えば「瞳孔を開かせる目薬」が出てくる、
これは初期のコナン映画でも出てきた目薬だ。

バイクアクションに関しても過去では「服部平次」が
散々やっており、それと比べると緊張感というものが薄い。
今作も命の危険にさらされる中での大アクションではあるものの、
その緊張感を作品全体で感じさせないような作りになっているせいで、
せっかくの終盤のアクションの盛り上がりに欠けてしまう。

1番わかりやすいのがコナンが爆弾を解体するという
1番最初の映画を彷彿とさせるシーンだ。
コナンがバイクの後ろに乗りながら爆弾を解体するという
曲芸なのだが、あっさり解体する。

時計じかけの摩天楼のあの緊張感はどこへやらだ。
「萩原千速 」 という二人の爆弾解体者との関連のあるキャラだからこその
解体シーンなのはわかるが、本来はそこに「無事に解体できるかどうか」の
緊張感があってしかるべきなのだが、一切なく、
びっくりするほどあっさりコナンが解体してしまう。

この緊張感のなさは本当に致命的であり、
今作の犯人とも言える人物が基本的に煽り運転しかしておらず、
殺人事件も1件おこるのだが、誰が殺されるのかというような
サスペンス的な緊張感も薄い。

犯人

そもそも「ミステリー」としても浅い。
もうびっくりするのだが、序盤「犯人」っぽいキャラが唐突に出てくる、
序盤では、なんの証拠も見ている側には提示されていないのだが、
「あ、こいつが今作の犯人じゃない?」と感じさせる雰囲気があり、
その通りの犯人である(苦笑)

そして、その犯人の裏にいる人物も
「でしょうね!」と思うほどわかりきった人物であり、
今作出てくる映画オリジナルの登場人物すべてに
「私が犯人です」、「私が黒幕です」、「私は事件の関係者です」と
書いてあるが如くわかりやすい。

びっくりするほどミステリーとして浅い。
コナンがわざわざ推理するまでもなく、「萩原千速 」 が
犯人にたどり着くレベルであり、推理するシーンなどほとんど無い。
犯人はお前だ!というミステリーアニメにおける決定的なシーンもなく、
毛利小五郎が活躍することもない。

一応事件の概要としては「軍事的」なものを含んで
海外の人も出てくるような事件ではあるものの、
そんな重大な事件であることを感じさせないほど
小さなスケールで事件が描かれてしまっている。

中盤で殺人事件が起こるのだが、この殺人事件も
コナンが推理するまでもなく、観客も推理しなくてもいい。
なぜならぽっと出の婦人警官が事故として処理されそうな事件を怪しみ、
ほぼ真相にたどり着いている(苦笑)

なんのためのコナンなのか、なんのための探偵なのか。
名探偵コナンという作品としての方向性を見失ってしまっている

スケボー

私はコナン映画において個人的に大事にしている3つの要素がある。
それがスケボー・爆発・蘭である。
コナン映画におけるスケボーアクション、爆発、
そして蘭という名のラブロマンス要素は欠かせないものであり、
それがどれくらいあるのかで個人的な評価が決まると言ってもいい。

そういった意味では今作は最低だ。
まずスケボー。今作はスケボーアクションはほぼない。
中盤で世良とともに戦う時にちらっと使うくらいで
後は単なる移動手段としてのみにつかっている。

別に壊れても居ないのにスケボーアクションがないのは
本当に悲しい。普段コナンがスケボーでやっていることを「萩原千速 」 が
バイクでやってしまっており、
そのせいでスケボーがないがしろにされてしまっている。

爆発

今作の舞台は横浜だ、横浜といえば色々と巨大な建物があり、
最近できたばかりのKアリーナなど
「爆発させてください」といわんばかりの建物が数多く存在する。

コナン映画において巨大建築物というのは爆発されるためのものだ。
去年も巨大なアンテナが破壊されており、
過去にも巨大なビルや、オリンピックで使われる会場も倒壊したことがある。
しかし、今作はほぼ爆破と呼べるものはない。せいぜい爆竹レベルだ。

終盤でバイクに仕掛けられた爆弾が爆発したり、ヘリが爆発したりするが、
その程度でしか無い。アリーナも、ビルも、橋も、なにも爆破倒壊しない。

今作におけるラブコメ要素も薄い。
一応「萩原千速 」 と「横溝」の要素はあるものの、それくらいだ。
肝心のコナンと蘭にかんしては無く、
しかも、今作における蘭の扱いはひどい。

予告ではメインで出てきそうな感じだが、
ほぼ事件に対する絡みはなく、中盤でバトルシーンがちらっとあるくらいだ。
そうかとおもえば終盤で真犯人的な存在に唐突に誘拐される。

蘭のピンチはコナン映画においてお約束であり、
唐突な誘拐ではあるものの、そういうシチュエーションを作り出すためならば
まだ納得できる。コナン映画において「らぁあああん!」はお約束だ。
しかし、この作品はことごとく、そういったお約束を外してくる。

誘拐された蘭は気絶したまま、あっさりと助かる、
びっくりするほど拍子抜けするような感じであり、
その拍子抜け感もあいまって「蘭が誘拐された」という
要素自体が必要ないようにも感じる。

ラストは流石に盛り上がるアクションなどはあるものの、
蘭の誘拐要素や真犯人や関係者の動向など、
ごちゃごちゃして終わった感じも否めず、パッとしないストーリーだ。
TVSPならともかく、映画としては物足りなさが残ってしまう作品だった。

総評:もっと爆発しろよぉぉぉぉぉ!

全体的に見て暗黒期を彷彿とさせる内容だ。
あの頃のコナン映画はミステリー要素にもツッコミどころが多く、
TVSPで十分では?というような作品も多かった。
それでも、とんでもない規模の爆発や、とんでもアクションの数々、
スケボーアクションでは大いに笑わせてくれたが、この作品にはそれすらない。

メインストーリー部分は詳細に語れば語るほど、
見てない人でもこいつ犯人だなとわかってしまうほど浅いミステリーでしかなく、
コナンよりも先に証拠はないものの犯人や黒幕、関係者が
見てる側が想像できてしまうような浅さだ。

コナンが活躍せずとも「萩原千速 」 が大体の問題を解決してしまっており、
コナンの活躍を「萩原千速 」 が奪ってしまっている。
これは安室さんや赤井さんが出始めの時も同じようなことが起きていたが、
「萩原千速 」 というキャラでそれをやってしまっており、
彼女では安室さんや赤井さんほどのキャラの強さや立ち位置的な重要さもない。

結局、「萩原千速 」 をメインにしてしまったがゆえに
脚本が迷走している感じが凄まじい作品だ。

特に序盤の脚本は本当にひどく、「萩原千速 」 と「横溝」が
コナンと蘭をホテルに送っていくという話をしてたのに、
唐突に「萩原千速 」 が寄り道をしたかとおもえば過去の事件について話だし、
その事件に関係していた人物の家にいきなり行く。送るという話はどこへやらだ。

このあたりの脚本の甘さは作品全体の甘さにつながっており、
爆竹レベルの爆発で作品の面白さもはねきらない作品だった。
本当に残念だ。

個人的な感想:久しぶりのハズレ

ここまで明確にやらかしてるコナン映画は久しぶりだ。
個人的には100万ドルの五稜星もあまり好きではないが、
アクションの派手さやラブロマンス要素など抑えるべきポイントは抑えてる、
だが、この作品にはそういうものすらないか、薄くしかない。

個人的にはワースト10,いや、
下手したらワースト5くらいに入る作品だった。
来年は30作品目という記念スべき作品であり、期待したいところだ。

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