ただの特撮映画ではない、まさに娯楽映画だ「シン・ゴジラ」レビュー

2016年8月10日

評価★★★★★(85点)119分
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あらすじ 東京湾羽田沖で大量の水蒸気が噴出、同時に海底を通る東京湾アクアラインでもトンネル崩落事故が発生、政府は事故の原因を海底火山や熱水噴出孔として対応を進める引用 – Wikipedia


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ただの特撮映画ではない、まさに娯楽映画だ

当サイトは基本的にアニメのレビューサイトですが、
新世紀エヴァンゲリオンの監督でお馴染みの庵野秀明がゴジラを作る。
1オタクとしてこれ見ておかなければ!と思い立って行ってきました。

見たあとの衝動で思わずレビューを書きたくなり、
「番外編」としてレビュー記事をここで公開します。
アニメ監督が作ったのだから、
アニメレビューサイトで記事にしてもいいじゃないか!(笑)
若干ネタバレもありますので注意。

見だして感じるのは
「ああ、庵野秀明監督だw」ということを実感させられる演出の数々。
特撮に対する熱い思いと、その思いから生み出されるオマージュ、
庵野秀明監督の特撮好きが痛いほど伝わってくる憎い演出の数々は
思わず「ニヤリ」とさせられる。

新世紀エヴァンゲリオンを見たことのある人ならば「お!」と
思うようなサービスシーンも有り、
「演出面」での面白さが映画の中で光っており、
その演出の面白さを感じられるかどうかで作品の評価も変わる。

更に特撮といえばの「ミニチュア」を使ったシーンは
明らかにミニチュアとわかるからこそ面白い。
あえてCGに頼らずにミニチュアという現物にこだわる、
制作側の特撮に対する強い愛情を感じ、
「京急線」など関東地方民にとっては
馴染み深い電車が出るのは面白いポイントだ。

以前のゴジラ映画にはなかった「SNS」要素やスマホなどもうまく
演出として取り入れており「ニコニコ動画」的演出もあったりと、
「最新ゴジラ映画」を感じさせるシーンは素直に面白く、
ゴジラが本当に現れたらTwitterやニコニコ動画は
こんな感じになるだろうなという描写とともに、
映画自体のリアルさの後押しにもなっている。

そしてストーリー。
はっきりいってしまえばストーリーは「子供向け」では決してない、
ついでにいってしまえば「人気だから見てみよう!」という
気軽な思いの人やデートで見るような映画でもない。

非常に生々しいまでに「ゴジラ」という生物に対する「日本」を描いている。
なにせ序盤から中盤くらいまでゴジラに対して
日本政府は攻撃が一切できない。
自衛隊の運用に関する問題、国民に対する問題、政治情勢etc…

ゴジラが目の前にいて街を壊しまくっていても、
簡単に住宅地で「発泡」することすら
この日本ではお役所仕事をしないと許可が降りない。
ようやく許可が降りても、民間人の避難が間に合っていなければ発泡はできない。

最初のゴジラ上陸に対して日本政府が行ったのは避難だけだ。
想定外の事態に対し「日本」という国の面倒くささを
物凄くリアルに、法律や条例に忠実に描いている。
この生々しさを「面白い」と感じられるかどうかで
この作品に対する評価も変わる。

ゴジラが暴れる中、会議の連続。
同じようなシーンが非常に多く、登場人物も関係各所が出てくるたびに増えていく。
その大量の登場人物を有名な俳優がさりげなく演じており、
意外な俳優が意外な場所でいきなり出てくる面白さは大人にしか伝わらないだろう。

「ゴジラが本当に日本に現れたらどうなるのか?」
この一点を追求し、そこにフィクションだからこその
「日本という国の底力、日本人の強さ」を描くことで、
会議続きだった序盤から中盤の成果が終盤で実っていく、
人物描写とストーリーが積み重なっていく面白さを感じることができる。

ただ若干会議が多すぎるというのは好感を持った私でも感じた点であり、
2時間という尺の5割は会議シーンだ。
ゴジラが暴れてる中で地味な描写が挟み込まれることも多く、
この辺りが賛否両論を生んでいる部分だろう。

そしてゴジラ。気持ち悪い(笑)
おそらく多くの人が最初のゴジラの姿を見てそう思うはずだ、
「ゴジラ」と聞いて想像する姿に徐々に「進化」していくのだが、
この進化の過程もリアルに描いているため、
そのリアルさが気持ち悪さを生んでいる。

しかし見慣れたゴジラになり、最終形態になると
その「反則じみた強さ」に大人も子供もワクワクするはずだ。
こんな生物をどうやって倒すのだろう?と真剣に思ってしまうほど
強すぎるゴジラの描写は映画館という大きなスクリーンで
たっぷりとその迫力を味わってほしい。

ただ、その最強のゴジラに対する対処がやや地味だ。
地味というかシュールとも言えるのだが、
硬すぎるせいでミサイルなどの兵器があまり有効打にならず、
米国は「核兵器」という最終兵器まで使用するかどうかまで行っている。

それに対し日本は「薬品」だ。
外がダメなら中から攻撃すればいいじゃないという作戦はいいのだが、
描写としては大量に作った薬品をコケさせたゴジラの口の中に
流しこむという描写であり、
ゴジラが倒れる中、歯医者さんで治療されているかのように
薬品を口に流される光景はややシュールだ(笑)

ゴジラを横に倒し薬を流し込める状況にするまでの
兵器使用や電車を使った攻撃などは派手なのだが、
とどめを刺す薬品を流す描写がすごい地味で、
面白くリアルな描写ではあるのだが、シュールだ。

「倒したぞォォ!」という感じではなく「倒した・・・のか?」という
リアルを追求したからこそのゴジラの最後の描写は、
この作品らしい姿と言えるだろう。

全体的に見て非常に好みの分かれる作品だ。
リアルすぎるほどに細かく描いた日本政府のゴジラに対する反応、
ゴジラの強すぎる描写の数々、日本というの底力を感じさせすストーリー展開、
クセのあるキャラクターたち。
この作品はニヤニヤしながら見てしまうほどの面白さを秘めている。

だが、その反面で「恋愛描写」などは一切なく、
ストーリー的にもムズがしい用語が多く出るため子供向けでもない。
決してデートで見るような映画でもなく、決して家族で見るような映画でもない。
気軽に見て気軽に爽快感溢れるシーンを見てすっきりと見終われる作品ではなく、
ガッツリな作品だ。

私が行った時にも映画館には小さな子どもやデートっぽい男女、
話題だから見に来た感じのある軽いノリの人もかなり居たが、
決してそういう人向けではない。
ゴジラという作品を一切見たことがない人でも楽しめるが、
「人を選ぶ」映画であることは間違いない。

男女年齢問わずダレでも楽しめる最高傑作ではなく、
見終わったあとに私は「面白かった」と思うのだが、
批判的意見が出るのも納得で来る作品だ。

ただ個人的にはその批判的意見を見ていても
「そうそうw」と笑って聞いてしまえる欠点の面白さがある。
面白かったと感じる人にとってはその欠点すらも面白いと感じられるのだが、
「欠点を面白い」と感じられるかどうかは、
その人の好みによる部分が非常に大きい。

ぜひ、あなたの好みを試してもらいたい。
「普通」だったという感想はおそらく出ない、
「面白かった」か「つまらなかった」のどっちかでしかない。

好き嫌いがはっきり別れる。
娯楽作品らしい映画を味わうことのできる作品だ。
変に媚びず、変に妥協せず、面白いと思って貰える人に
存分に楽しめるように作られている。
制作側の映画、特撮、ゴジラに対する「愛」に満ちた作品だ。

ぜひ、劇場であなたの「感性」を試してもらいたい。
自分の中の「感性」をきっちりと自覚することのできる
本当に面白い映画だった。

個人的には地元ネタが非常に多く出てきて
横浜市民として思わず笑ってしまった(笑)
ついでにいえば石原さとみは可愛い。
あの英語の発音は色々な意見があると思うが「可愛いは正義」である。

なお、4DXで見ると石原さとみさんが出るシーンは
「いい匂い」がするそうです(笑)