劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない

評価/★★★☆☆(44点)

劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 評価

全99分
監督/長井龍雪
声優/入野自由,茅野愛衣,戸松遥,櫻井孝宏,早見沙織ほか

あらすじ
鳴子、松雪集、鶴見知利子、久川鉄道ら6人の幼馴染たちは、かつては互いをあだ名で呼び合い、「超平和バスターズ」という名のグループを結成し、秘密基地に集まって遊ぶ間柄だった。しかし突然の芽衣子の死をきっかけに、彼らの間には距離が生まれてしまい、それぞれ芽衣子に対する後悔や未練や負い目を抱えつつも、高校進学後の現在では疎遠な関係となっていた。

ゆきあつがおかしくなってた時の話とゆきあつが王子になった時の話

本作品は2011年にTVアニメで放送された「あの日見た花の名前を僕はまだ知らない」の映画版
内容としては総集編を基本に新規カットと後日談が追加されている。
なおTVアニメ版を見ていないと完璧についていけない内容になっている

開始早々、最終話のじんたんがめんまを背負って秘密基地に行くシーンから始まる。
物語の最大の盛り上がりどころ間近のシーンから始まることで
忘れかけていた「あの花」のストーリーが頭のなかに蘇ってくるようだ。
そこから「めんま」の新規回想シーンへとつながる展開は素晴らしい。
この作品は最初から最後まで「ストーリー構成」が面白い作品だった。

もちろん総集編なので「一見様お断り」で「TVアニメを見ている前提」の内容になっており
ある程度ストーリー展開とキャラクターを覚えていないと厳しい部分はあるものの、
TVアニメのストーリーを覚えていれば、きちんと楽しめる構成になっているのは好感が持てる

基本的にTVアニメ最終話から1年経った「超平和バスターズ」の現状を描きつつ、
彼らが再び秘密基地へ集まる様子を描きつつ、
それぞれのキャラが「めんま」への手紙を書きながら、1年前のことを思い出しつつ
ストーリーを展開している。

回想シーンは総集編なのでほとんどTVアニメからの使い回しだが、
各キャラの視点で各キャラが思い出しながら「あの時の自分」をナレーションを入れながら
思い出し語る様子は見ていて面白く、自然にストーリーに入り込んでいける。
TVアニメでは語られなかった要素もあり、
そういった面からも同じシーンでも新しい面白みを生んでいる。

たとえば「ゆきあつ」がランニングを日課にしていた理由だったり
たとえば「ぽっぽ」がいつも首からぶら下げていた袋の中身だったり
たとえば「めんま」のクラス内での状況だったり、
テレビアニメ版では語られなかった要素や新規カットが入ることで回想シーンも面白くなっている

終盤の彼らのかくれんぼや、TVアニメでは描かれなかった「めんまが手紙を書くシーン」など
思わず涙腺をくすぐられるシーンもある。
この作品のファンならば新規カットや新規ストーリーで十分に満足できるだろう。

ただ、それぞれのキャラがそれぞれのキャラの回想をするため
時系列がかなりバラバラになっており、
1年後の彼らだったり、1年前の彼らだったり、5年前の彼らだったりととにかく忙しい(苦笑)
登場人物に対する呼び方も目まぐるしく変わっているので、
前述したようにある程度TVアニメのストーリーを覚えていないとついていきづらい。
何も知らない人が見れば「ゆきあつ」という人物は何のために女装していたのかと思うかもしれないw

更に言えば新規ストーリー部分での「変化」がない。
1年後の彼らということで「恋愛関係」などの進歩も期待したが、
微妙に進歩はしているが結局誰も付き合っていない状態になってしまっており、
1年前の彼らと微妙に違うというだけで、もう少し変化がほしいと感じてしまう。

それこそ思い切って10年後くらいの設定でも良かったのでは?と思ってしまう。
それならば大人になった姿やそれぞれの現状など新規ストーリー部分でもっと面白みが生まれただろう
更に言えば「めんま」の望んだ「生まれ変わり」というような展開もできただろうし、
中途半端に「1年」という時間経過が中途半端な感じになってしまったのは否めない

全体的に見てこの作品を好きなファンならば満足できる作品だろう。
新規カットや新規ストーリーも最近の総集編作品に比べれば多く、
ストーリー構成も新規お断りで展開の変化が忙しくはあるが新しい面白みもうんでおり
ファンならば「やっぱりあの花面白いな」と再認識できる作品だろう。
だが、ファン以外の人、特に初見の人にはおすすめしにくい。

これがOVAやDVDBOXの特典映像ならば納得できる部分もあったが
1800円の映画と考えると物足りなさを感じてしまった。
この作品が好きな方は劇場へ、それほどでもない方はDVD待ちでもいいかもしれない

個人的にはやはり映画という大音響で安城鳴子のアダ名が何度も連呼されるのは
なかなか慣れなかった(笑)