ストーリーは良いのに詰め込みすぎ「ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」レビュー

評価★★★☆☆(52点)全101分

あらすじ 夏の暑さに耐えかねたのび太たちが向かったのは、南太平洋に浮かぶ巨大な氷山。ひみつ道具「氷細工ごて」で遊園地を作っていたのび太たちは、氷漬けになっている不思議な腕輪(リング)を見つける。引用 – Wikipedia


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ストーリーは良いのに詰め込みすぎ

本作品はドラえもんの劇場アニメ作品。
ドラえもんとしては37作品目の作品となり、
新ドラえもんとしては12作品目の作品となる。
本作品は旧作品のリメイクではなく完全なオリジナル作品となっている。
監督は高橋敦史。

見出して感じるのは大胆なアクションシーンだろう。
10万年前の南極での出来事が冒頭で描かれるのだが、
キャラクターの動きがかなり激しく、やや
ドラえもん映画らしくない大胆なアクションシーンが描かれる。
「スクリーン」を意識したアクションシーンは冒頭から期待を感じさせる

ストーリーの流れも分かりやすい(笑)
暑いのでかき氷を思いっきり食べるために氷山に訪れる。
氷山の氷を用いたテーブルやイス、欲望のままにかき氷を食べつつ、
氷の遊園地を作ったりとドラえもんらしい「夢のある遊び」がテンポよく描かれ、
ドラえもん達が「10万年前の落とし物」を見つけるという所からストーリーが始まる

ただややテンポが良すぎだ。
のび太が「氷の遊園地を作ろうよ」と言った次の瞬間には遊園地ができており、
ジャイアンたちも居る始末。
子供向けだからこそグダグダとしないテンポの速さは素晴らしくも有るのだが、
じっくりと見たいシーンまで一瞬で描かれってしまうのはややもったいなさを感じる

しかしながら氷山での遊びから10万年前の落とし物の持主を探すための
冒険の流れは「古き良きドラえもん映画」を彷彿とさせるストーリーの流れであり、
これまでの新ドラえもんのオリジナル映画ではあまり感じなかった
「ドラえもん映画」らしい流れと面白さを冒頭から感じさせてくれる。

広大な氷の大地である北極に落とし物の元の場所を探しにどこでもドアで行く。
非常に単純なシチュエーションではあるのだが、
「北極を探検する」という状況づくりと、その探検の様がストレートに面白い。

探検中に出てくるひみつ道具の数々は
原作を読んでる人ではないと忘れてそうなマニアックな道具が多くでており、
いわゆる「有名所」ではないひみつ道具も多い。
映画オリジナルのひみつ道具ももちろんあるのだが、
有名所ではないひみつ道具をあえて登場させるところに原作への愛情を感じる部分だ

更に大人でも気になるストーリー。
10万年前の落とし物を探していく中で氷の下の古代都市と、
石になったドラえもんが氷漬けされている姿を発見し、
10万年前の過去に遡ると「氷の天井」に空が写った古代都市があったという
大人でも先が読めないストーリーは「大人でも子供でも」楽しめる
ドラえもん映画らしいストーリー展開だ。

ただ色々とややこしい。
南極というシチュエーションから10万年前の南極に行ったら、
10万年前の北極には謎の遺跡があって、その遺跡の調査を宇宙人が行ってたりと、
過去で宇宙人で北極でといろいろと設定過多でややこしく壮大だ。
大人ならばついていけるが、子供だとこの設定の多さはやや
難しいと感じてしまい飽きてしまうかもしれない。

内容的に明らかに尺が足りてない。
序盤の南極体験もわりとあっさりとしており、
中盤での遺跡探索はダイジェストで描かれたりと、
本来ならそこをじっくりと描かなければならない所まで早足で描いており、
制作側が描くべき部分を洗練しきれていない。

1時間40分という枠にそれを無理矢理押し込めてしまっているため、
せっかくの北極というシチュエーションや、
宇宙人が作った古代の遺跡など、活かしきれてない部分が非常に多く、
見ていると強いもどかしさを感じてしまう。

その割にはどうでもいいシーンに無駄な尺がかかっていたりと、
もっとテンポよく描いていい部分がダラっとしてしまっていたりと、
尺の使い方が悪い。

更にいうとびっくりするほど影の薄い、しずかちゃん。
ジャイアンやスネ夫などは活躍どころが多く台詞も多いのだが、
しずかちゃんに至ってはセリフも少ないし活躍の場も少ない。
ジャイアンやスネ夫もドラえもん映画としては優しさが足りないキャラになっており、
やや違和感は強い。

全体的に見て色々と惜しい作品だ。
ストーリー自体はよくできており、制作側のやりたい事も分かるのだが、
それを1時間40分という枠に収めきれておらず、
ダイジェストになってしまっていたり、詰め込みすぎてテンポが早すぎたりと、
作品の枠からやりたい事が溢れ出してしまっており、
そのせいでややこしく感じる部分や物足りなさを感じる部分が出てしまっていた。

ただ新ドラえもんのリメイクではないオリジナル映画作品は
「ひみつ道具博物館」以外は手放しで褒められるものがないのだが、
この作品は大人が見ると気になる部分や引っかかる部分はあるものの、
それなりに良く出来ている作品だ。

近年のドラえもん映画はゲスト声優なども芸能人を起用していることが多いが、
この作品も芸能人を起用しているが、脇役だったり鳴き声だけだったりで
メインヒロインは「釘宮理恵」さんが演じているため
芸能人声優の違和感な殆ど無い。

個人的には高い評価はしにくく詰め込みすぎている感じは否めないが、
起承転結すっきりとドラえもん映画らしさを感じる作品だった。

来年は「宝島」を原作としたドラえもん映画のようで、
藤子プロ創立30周年記念作品と気合が入ってそうな作品なだけに
期待したい所だ。

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