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「あした世界が終わるとしても」レビュー

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評価 ☆☆☆☆☆(7点) 全90分

『あした世界が終わるとしても』公開直前PV

あらすじ 高校3年生の真(しん)は、幼い頃に母親が突然死して以来、心を閉ざしがちでいる。幼馴染の琴莉(ことり)は、そんな真を見守り続けてきた引用- Wikipedia

あいみょんの無駄遣い

本作品は劇場オリジナルアニメ作品。
監督は櫻木優平、制作はクラフタースタジオ

3DCG


引用元:(C)あした世界が終わるとしても

本作品は全編フルCGで作られている作品だ。
冒頭からキャラクターが「ぬるぬる」と動く。だが、それだけだ。
よく動いてはいるが、それがアニメーションとして面白いわけではない。
確かにCGの質は素晴らしい、だが質だけだ。

無駄にヌルヌルと動かしすぎていて「重さ」を感じないCGと、
綺麗すぎて違和感しか感じない街並みはCGの技術だけで
アニメづくりにおける「センス」を感じない。

質がよく、動かせる技術がある。
其の技術を見せつけたいだけでアニメーションとして
面白くしようとしているという風に感じない。
動かさなくていい部分まで動かしてるせいで見てる内に少し酔いそうになるほどだ。

キャラが立ってるだけでゆらゆらと動いているのは流石に動かしすぎだ。
目の瞳孔すらも細かく動かすような技術はたしかにすごい、
だが、その技術の凄さが面白さにはつながっていない。
キャラクターデザインも無個性の極みみたいなキャラデザで
主人公とヒロインに何の特徴もない。

???


引用元:(C)あした世界が終わるとしても

特に思い入れもない主人公とヒロインがデートをするシーンを序盤で見せられる。
「あいみょん」のBGMが流れる中でダイジェストで流れるデート模様に
特に何の面白みもない。
わざわざダイジェストにするほどでもないようなデート模様だ。
そんなデートの途中で主人公は告白しようとする。

するといきなりシーンが切り替わり、まるで別世界のような光景が映され
主人公の父親と似たような人物が「処刑」される所であり、
主人公そっくりな人物は変なロボットの前で俺がこの日本を変えると言い放ち、
ヒロインそっくりな人物は自らを「皇女コトコ」と名乗り日本をやり直すと宣言する

正直訳がわからない。
青春映画かと思ったら、いきなりSFになっていく展開はやや強引で、
主人公やヒロインそっくりな人物の違う世界での行動の視線に変わりまくるため、
状況が余計に混乱しやすい。

しかし、そんな混乱する状況は期待できる部分でもある。
あまりにも謎すぎる部分が多くストーリーに全くついていけないが、
逆にそれをどう「見せて」いくのかという期待感だけはある。

ナレーション


引用元:(C)あした世界が終わるとしても

そんな期待感を直後に粉々にぶっ壊してくれる。ナレーションだ。
いきなり世界観の説明をナレーションで説明してくれる。
ストーリーの中で自然に世界観の説明をするのではなく、
ナレーションベースで片付けてしまう。

正直呆れ果てるしか無い。

「第二次世界大戦の最中、物質転送の研究を行ったが
研究が失敗し次元に歪みが生じ、世界は2つに分裂した」

これだけならまだいい。だが、更にナレーションは続く

「2つの世界には相対する人物が居る、お互いの命はリンクしており、
片方が死ねばもう片方が死ぬ」

もはやナレーションで片付けるにはあまりにも重要な設定だ。
こんな重要で面白い設定をストーリーの中で自然に明かすのではなく、
ナレーションで片付けてしまうのは自らの脚本力のなさを
堂々と宣言してるようなものだ。

更にナレーションは続く

「それぞれの日本は異なる歴史を歩んだ。1つは戦争を忘れつつあるこの日本、
そしてもう1つは内戦が続く日本公国、こちらの世界では
格差は限界に達しようとしていた」

もはやここまで続くと、ナレーションで説明するのをやめろという怒りすら
湧いてくる、作中のキャラクターは演じていないのに
なぜか「古谷徹」さんにナレーションをやらせており、
彼の声でごまかそうとしてるのかもしれないが余計に滑稽なだけだ。
まだナレーションは続く。

「もし、この国の人達が我々の日本を見つけたとしたら、
日本ともう1つの日本の衝突が始まろうとしていた」

壮大な設定を全てナレーションで片付けて冒頭で感じた期待感はもはやない。
開始15分足らずで「この作品はダメだ」とひしひしと感じさせてくれる。

どこかで見たような…


引用元:(C)あした世界が終わるとしても

ストーリーが進んでも既視感にあふれる要素しか無い。
いきなり主人公の前にもう1つの日本の主人公が現れる中で、
主人公はもう1つの日本からの「死角」に狙われる。
死角は見た目は少女のような外見だが兵器でアンドロイドだ。

簡単に言えばターミネーターだ。
ターミネーターは未来の主人公の存在を消すために過去の世界に
ターミネーターが送られるが、この作品は未来という部分が
並行世界に変わったに過ぎない。
ターミネターは筋肉竜骨なマッチョなシュワちゃんだったが今作は美少女だ。

並行世界の主人公はヒロインの命を狙っており、
自分が死ぬか、ヒロインが死ぬかでしか解決しない状況は面白いとも言える。

稚拙な場面展開


引用元:(C)あした世界が終わるとしても

冒頭の青春恋愛映画っぽい雰囲気から唐突にSFになるシーンもそうだが、
根本的に場面の切り替えがあまりにも下手だ。
ヒロインがアンドロイドに殺されそうになった瞬間に謎空間にいきなり行き、
そこでなぜか悟ったかと思えばいきなり戦闘力が向上する。

あまりにも唐突な展開は意味不明でしか無く、
場面展開やシーンの切り替えが下手なせいで
1つ1つの要素を面白く見せられていない。
製作者の頭の中だけでストーリーが完結してしまっており、
「伝える」ということができていない。

緊迫した状態にも関わらずのんきな日常描写が挟まれるのも謎でしか無く、
序盤で主人公とヒロインのデートシーンがダイジェストで「あいみょん」の
曲をBGMにして描かれたが、それと同じようなことを中盤でもやる。
バカの1つ覚えとはまさにこのことだ。

しかも、曲は全く同じ曲だ。ちょっと意味がわからなず、
序盤のデートシーンと同じように中盤の日常パートもまるで面白くない。
ダイジェストでキャラクターを掘り下げられてると勘違いしてるのかもしれないが、
キャラクターの掘り下げなどできていない。

あっさり納得


引用元:(C)あした世界が終わるとしても

並行世界の主人公は絶対ヒロイン殺すマンだったのだが、
ターミネター美少女二人の説明であっさり納得してしまう。
並行世界のヒロインはただの「操り人形」であり、
並行世界のヒロインは並行世界の役人を殺すために主人公たちの世界の
同一人物を殺しまくっている。

これを説明しただけで並行世界の主人公はあっさり納得してしまう。
少しは「疑う」ということができないのだろうかと思うほどに
あっさりと納得するさまは滑稽でしか無くストーリーとしての面白みもない。
あまりにも見せ方が下手だ。

本来は自分が狙っていた、恨んでいた人物が実は操り人形で黒幕は違ったという
事実をもっと劇的かつ盛り上げて並行世界の主人公に伝えるべきだ。
それこそヒロインを殺した後にその事実を知るような展開のほうが盛り上がる。

だが、そういう「盛り上がる」見せ方はこの作品では出来ない。
冒頭のナレーションと同じように淡々と見る側に「実はこうなってます」と
明かすだけだ。設定資料集でも読まされてるような気分であり、
きちんとした「脚本」ができていない。

本来はもっと丁寧に描くべき部分を丁寧に描かずあっさり描きすぎるため
ストーリーがまるで盛り上がらない。
あっさりと並行世界のヒロインもよくわからん連中に殺され、
ヒロインも突然死する。ヒロインが死んでも盛り上がらないストーリーはなかなかだ

何がしたいの?


引用元:(C)あした世界が終わるとしても

そもそも敵側の思惑がまるでわからない。
並行世界の日本は内戦が続いている日本だ。
そんな並行世界の日本を操ってるのは「公家」と言われる面々だ。
そんな彼らは操り人形だった並行世界のヒロインを抹殺したかと思えば、
ヒロインが操ってたターミネターを使って今度は彼女を操り人形として祭り建てる。

なら最初からそのターミネターを祭り建てておけばよかったはずだ。
そうすれば並行世界のヒロインのようにクーデターを企むこともなかった。
ちょっと意味がわからず、そんな意味がわからない状態から
今度はこちら側の日本の秩序を正す!と乗り込んでくる。

ますます意味がわからない。並行世界のヒロインのクーデターを防ぐまでは
理解できたのだが、わざわざ別の世界にターミネターを送り込んで
次々と無差別に人を殺していく。
だが、彼らを殺せば当然、並行世界の同じ人物が死ぬことになる。

結局わかりやすい舞台装置としての「悪役」でしかなく、
深い理由なんて無いのだろう。並行世界の日本も支配してやる!という
安易な理由でしか無い。
敵の顔も布で隠されていており、キャラ描写の下手さが終盤でますます響いてくる。

並行世界の人口密集地に「核」を落として大量虐殺を行うことで
並行の人物を同時に殺すという意味不明なこともしており、
30万人以上、自分たちの世界でも並行世界でも殺す意味がわからない。

ご都合主義の塊兵器たち


引用元:(C)あした世界が終わるとしても

終盤はもう逆に笑ってしまうほどに滑稽だ。
主人公たちがいる世界と並行世界の日本では技術力があまりにも違う。
通常兵器ではターミネターたちをやっつけることもできず、
並行世界から来た主人公や味方のターミネーターでしか倒すことができない。

それなのになぜか終盤で主人公の父親が勤めてた会社が出てきて、
主人公に「脚力増強ブーツ」というどこぞの名探偵が持ってるようなアイテムや、
ターミネーターに「フィックス」、つながっている人物の脳を破壊する銃弾まで
出てくる。

どんだけご都合主義なんだと思うほどの便利アイテムが続々と出てくるのは
笑うしか無く、意味不明でしか無い。
しかも並行世界のヒロインは殺されてるのに主人公の世界のヒロインだけは
肉体的には生かされてる状態にされている。

並行世界の人物が死ぬと突然死するはずなのに、
肉体的には死んでない状態というのがまるで意味がわからず、
最終的にヒロインを生き返らせるためだけの設定でしか無い。
ヒロイン以外に30万人も犠牲になってるのに生き返らせるのは
ヒロインだけというのもとんでもない話だ。

色々とご都合主義がひどすぎてめまいがしてくるほどだ。

終盤


引用元:(C)あした世界が終わるとしても

終盤、主人公は並行世界の主人公とともに並行世界に乗り込む。
悪者をやっつけるためだ。
敵側は敵側は建物ごと主人公たちの世界に来ようとしている。

なぜ建物ごとなのかはちょっと意味がわからないがあっさり転送されてしまう。
並行世界にわざわざ来たのに5分も立たない内に元の世界に戻っている(苦笑)
なら最初から敵側が建物ごと乗り込んできて、
そこに主人公たちが攻め込めばよかったはずだ。ひと手間余計だ。

最後は予想通り「ご都合主義弾丸」を撃ち込んで終了だ。
特にそこに何の意外性も面白さもない。
悪い奴らを4人倒して世界が平和になりましたという安易さの塊のような
展開はもはや何の感情もこの作品に抱けなるほど空虚だ。

並行世界の人間が死ぬと同じ人物が死ぬ問題もあっさり解決し、
ヒロインだけが何故か生き返っており、主人公が告白して終了だ
もはや呆れてしまうようなご都合主義全開のラストは
乾いた笑いを誘うのみだった。

総評:とんでもない駄作


引用元:(C)あした世界が終わるとしても

全体的に見て震えるほどの駄作だ。
見た目だけはきれいな3DCGは見た目だけで、動かす必要のないところまで
動かしまくってるせいで見てる内に酔いそうになるほどで、
それがアニメーションとしての面白さにつながっていない、ただの自己満足だ。
アクションシーンもよく動いてるだけ、ただそれだけだ。

ストーリーは本当にひどい。どこかで見たことのあるような設定を
繋ぎ合わせただけに過ぎないパッチワークの世界観を
「ナレーション」でいきなり説明することで視聴意欲を萎えさせ、
ダイジェストでキャラクターを掘り下げていると勘違いし、
ストーリーがまったくもって盛り上がらないままラストを迎える。

ご都合主義の塊のような特別な靴や弾丸の存在や、
30万人以上犠牲になってるのにヒロインだけが生き返る展開も
意味がまるでわからず、話が進めば進むほどストーリーが破綻していき、
ご都合主義にご都合主義を重ねたラストは理解不能でしか無い。

キャラクターの掘り下げは本当に致命的なまでにできておらず、
最後まで主人公にもヒロインにも並行世界の人物にも何の感情も抱けない。
敵も敵で一体全体何がしたいのかよくわからず、
彼らを倒して平和になりましたというラストも納得できるものではない。

ありとあらゆる点がダメだ。
1つの作品として形になってないとすら感じるほどの強烈な駄作であり、
本当に見た目だけの作品だった。

個人的な感想:なんだこれ


引用元:(C)あした世界が終わるとしても

久方ぶりにここまでひどい作品に出会った気がする。
見た目が良いだけにきちんと脚本家が脚本をかけば
もう少しまともになった部分もあるかもしれない。
やりたいこと、描きたいことはわかるがそれをきちんとした
ストーリーにできていない感じだ。

ここまで強烈な作品に出会うのは200本に1本あるかないかだが、
何気なく見始めた作品だっただけに不意打ちを食らったような衝撃だった(苦笑)
あいみょんの曲を聞ける以外の良いところが見つからない作品だった。

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出演声優 梶裕貴, 中島ヨシキ, 内田真礼

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