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約2時間の映画なのに鑑賞料金3600円!?「劇場版 Collar×Malice -deep cover-」レビュー

劇場版 Collar×Malice -deep cover- 映画
画像引用元:©IF・DF/劇場版Collar×Malice製作委員会
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評価 ☆☆☆☆☆(8点) 全104分

『劇場版 Collar×Malice -deep cover-』本予告

あらすじ 20XX年、新宿の街で謎の組織アドニスによる連続凶悪事件「X-Day事件」が発生した。すっかり危険な街となった新宿で地域の安全を守るべく奔走する警察官・星野市香は、ある夜何者かに襲撃され、毒の仕込まれた首輪を装着されてしまう。引用- Wikipedia

約2時間の映画なのに鑑賞料金3600円!?

原作は乙女ゲームな本作品。
前後編、それぞれ60分ほどで2時間弱の映画として上映された。
監督はわたなべひろし、制作はステジオディーン

X-DAY

冒頭からかなり慌ただしい。この世界では
犯行声明動画を出したあとに警察を殺す事件が起き、
同一組織と思われる凶悪な事件が起きている。
犯人はアドニスという組織名を名乗り、
どこの誰だかわからない、そんな中で政府は「新宿隔離措置」を決行する。

正直意味不明だ。
凶悪な事件が連続しているからといって新宿を隔離する意味がまずわからないのだが、
隔離だけならまだ1億歩譲って飲み込めるが、
政府は隔離して取り残された日本人に護身を目的とした
「銃」を配布している(笑)

世界観の設定自体のツッコミどころが凄まじく、
その説明だけで「いったいどういうことなんだ..?」となってしまう。
当たり前のように新宿の治安は悪化する。

ヒロインのナレーションでは
「ところが皮肉にも、この政策が新宿の治安を悪化させることになった」
といっているが、皮肉もクソもない。そうなることは想像できる。

ようは新宿を危険な地域かつ隔離された特別な場所という
設定にするための設定なのはわかるが、
あまりにも無理やりな設定すぎてゲームをやっていない人からすれば
意味がわからないだろう。

作品全体で作画というよりアニメーションのクォリティが低い。
1枚絵をひたすらカメラを動かすことで動いてる風に見せたり、
演出で1枚絵を見せたり、明らかに低予算なのがうかがえる。
とにかく作画枚数を減らそうとしているような感覚だ。

1枚絵でキャラの口が動いてるだけ、まばたきをしてるだけで、
あとは1枚絵を動いている風に見せる演出でひたすらごまかしている。
TVアニメならともかく、この作品は映画だ。
久しぶりにここまで作画枚数の少ない作品をみたと感じるほど
作画枚数の少なさをとにかく感じる。

あの100ワニと近いレベルだ。

コナンか…?

冒頭の説明の連続はコナン映画の自己紹介シーンを彷彿とさせる。

「私は星野 市香!アドニスに毒入りの首輪をつけられた私は、
その事を警察に話せば殺すと脅され、独自でX-DAY事件を捜査する
元警察官の柳さん達と一緒にアドニスの正体を追うことになった!」

ゲームでの導入部分を大胆にカットしているため
「もうわざわざ説明しなくてもご存知ですよね?」と
言わんばかりの自己紹介だ。
感覚として名探偵コナンを一切知らずに初期の映画ならともかく、
最近のコナン映画を見るような感覚だ。

もうすでに新宿で独自に事件を捜査する面々とヒロインは
出会っており、自己紹介もすんでいる。
原作ゲームをやっていない状況だと誰がなんだかわからない。
名前はおろか、どんなキャラなのかも把握しきれず、
どんどんとキャラが出てきて話が進む。

とにかくキャラが多い、原作は色々なルートが有り、
ボリュームもかなりあるのだろう。そう感じるほどキャラが多く、
主人公が所属する警察関連のキャラ、警察をやめたメインキャラの5人、
主人公の弟まで出てくる。本当にキャラが多すぎる。

何度も起きる事件はどうやら「交換殺人」のように
何らかの事件の被害者や其の関連者が加害者になっているというところまで
彼らはつきとめている
その加害者たちは「御国れい」議員とのつながりがあることもわかり、
そんな議員を捜査しようとしている。

話は途中から描かれている感じではあるものの、話自体は
原作ゲームをプレイしなくてもついていけるものの、
とにかくキャラも多ければ作画も悪く、作画枚数も少ないため
シンプルにみていて退屈だ。

序盤は淡々とした会話劇を繰り広げられている感覚が強い。
そんな捜査の中で敵の罠にはまり、死体を見つけるものの
現場が爆破され、メインキャラのうちの二人が容疑者として
警察に追われることになってしまう。

キャラの作画に関しては本当にクォリティが低く、
ろくに動かないのだが、なぜか「爆発」だけは気合が入っている。
CGを使っているからというのもあるのだが、
キャラの作画に比べて明らかに爆発のクォリティだけが違う。
もしかしたら、コナンリスペクトな作品なのかもしれない。

前編

そんな中で「御国れい」議員を狙うことがアドニスの
犯行声明によって判明する。主人公たちが濡れ衣を着せられる中、
「御国れい」を守ることができるのか。話自体はわかりやすいものの
前編の60分だらーっと世界観と基本的な設定を
描いていたような感覚だ。

前編のエンディングもひたすら1枚絵を見せられる。
本当に予算がなく、作画枚数が少ないことをエンディングでも
実感させられる。100ワニですらエンディングは
もう少し動いていた

しかも、後編含めて、この作品は「通常料金」になっている。
本来60分以下の映画の場合は通常の鑑賞料金ではなく、
若干安い鑑賞料金に設定されることもあるが、
この作品は一切の割引が効かない1800円という料金だ。

100ワニも63分と短いが、60分超えていたため通常料金だったが、
この作品は60分以下、しかも前後編の2本に分かれているため、
完結まで見るならば3600円も払わないといけない。
ファンから搾取しようと必死だ。やり方があまりにも汚い。

本来なら前後編つなげたものを1本の映画、2時間の作品として
上映することもできたはずだ。それで1800円なら
普通の映画と変わらないため、作画の悪さには目を瞑るとしても
ファン向けの映画としてまだ飲み込める。

だが、この作品は分ける必要もないのに分けて、
2回の上映料金を取ることでファンから搾取している。
ファンの愛情に甘えた作品だ。

アドニス

私は原作ゲームをやっていないため憶測でしかないが、
アドニスという謎の組織が在り、そこのボスが一体誰なのかというのを
ヒロインとメインキャラ5人で捜査しながら
探していくのも原作の面白さなのだろう。
だが、この作品の場合、前編のラストであっさりと明かしている。

拍子抜けするほどあっさりと明かしており、正体の衝撃も
恐ろしいほどにないどころか「誰だっけ…?」という感じだ。
原作ゲームをやらずに、この作品をいきなり見た人が
前編のラストで出てくるボスの正体に対して何も衝撃を受けない。

もう少しキャラを減らしてスッキリと見せれば、
映画だけでも楽しめそうなほどストーリー自体は悪くないのに、
作画の悪さやキャラの多さ、テンポの悪さも相まって
全く衝撃ではない。

本来はヒロインと5人のメインキャラの色恋や思い、
過去や事情などもあるのだろう、だが、映画ではほとんどわからず
掘り下げることもない。

そもそも原作なら各ルートや複数エンディングがあるようだが、
映画は特定のルートにはいることを避けてオリジナルストーリーにしている。
そのため、メインキャラであるはずの5人とヒロインの関わりが弱い。

ネオ新宿プラン

前編の段階で色々と突っ込みどころがあったが、
後編でも「新宿の治安やべーから新宿の中に条件付きの国家を作るわ!」
というネオ新宿プランという言葉も飛び出してくる。
この世界の日本政府は現実の日本政府よりもだめそうだ。

前編に比べて作画の質自体は後編のほうが上がっている感じはあるものの、
後編では無駄に背景を見せるシーンも多い。
キャラが喋っているシーンの作画すら省略しようとするような
カメラワークや演出が前編以上に目立っている。

後編ではストーリーが本格的に進む。
この作品は復讐とそれぞれの正義の物語だ。
「警察」という正義の組織、そんな組織にいながら、
映画オリジナルのキャラである「拾和 ミツル」は正義に悩んでいる。
警視監の父を持ち、そんな父に育てられた彼の生き方と正義は歪んでいる。

もし現実にヒーローが居たら。
子供の頃に憧れたヒーローがいないことは大人になれば実感してしまう。
警察という組織ですら正義を守れない、だからこそ正義に絶望をし、
悪に染まっても悪を裁こうとしているものの、
映画オリジナルストーリーであるがゆえに、
アドニスのボスなども関係なく、そのあたりが解決することはない。

そのあたりのストーリー自体は悪くないものの、
そのストーリーをさばくことに必死でメインキャラの掘り下げが甘く、
印象付けもかなり弱い。映画だけなら居ても居なくてもいいような
キャラクターもかなり多く、映画オリジナルキャラが後編は
かなり目立ってしまっている印象だ。

ストーリー的にも俺達の戦いはこれからだ!で終わっており、
色々ともやもやする作品だった。

総評:謎のコナン映画リスペクト「

全体的に見てやり方が汚い作品だ。
前後編で2時間の尺だが、テンポ自体はあまり良くなく、
本来は90分でまとめられるような話を尺稼ぎしつつ、
120分にし、なおかつ2本に分けて上映し、
しかも特別料金にすることでファンから搾取している。

ファンの愛に甘えた作品だ。
原作のゲームは人気も高いようでファンも多い、
だからこそ作画が多少悪くても平気、分ける必要もないのに
テンポを悪くしてグダグダにして、2本に分けて
2回分の映画料金を回収している。
特典さえつければいいと思っているのだろう。

せめて作画がもう少しマシならファン向けとして
納得できた部分もあったが、映画館というスクリーンで見たら
もっと作画の悪さが目立っただろうなと感じる分も多く、
作画枚数をごまかすための演出や背景を映してるだけのシーンが多い。

舐めた作品だ。ファンの愛情に甘えてるだけの作品だ。
100ワニも同じように低予算で作画枚数が少なく、
63分という微妙な尺に無理やりして通常料金という
色々と厳しい作品だったが、この作品は2本に分けてる分、
100ワニよりも悪質だ。

冒頭のあらすじ説明や爆発に気合が入っていたりと、
謎にコナン映画を彷彿とさせる部分があったのは
個人的に気になったものの、なんとも微妙な作品だ。

ファン向けのストーリーであることは重々承知ではあるものの、
ストーリーのやりたいこともわかり、
描きたいこと、Collar×Maliceという作品の雰囲気は伝わっただけに、
いつかきちんとした形で本編がTVアニメなどでがっつりと
愛を持って作られることを期待したい。

個人的な感想:乙女ゲームは…

乙女ゲームのアニメ化は微妙になりやすいことも多いが、
そんな中でTVアニメ化ではなく、あえて劇場アニメを作るという
心意気はすごかったものの、出来上がったものはファンの募金箱だ。

ファンからすれば動いているだけで、大きなスクリーンで
見れるだけで嬉しい!という人も多いと思うが、
そんなファン心理を逆手に取ったような作品だ。

舞台も上演するようで、そのあたりも絡んだ劇場版だったのかもしれないが、
もう少しファンもファン以外に布教したくなるような
クォリティだったら、Collar×Maliceという作品自体が
盛り上がったかもしれないだけに本当に残念だ。

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