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「劇場版 名探偵コナン ハロウィンの花嫁」レビュー

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評価 ★★★★★(90点) 全111分

劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』予告2【2022年4月15日公開】

あらすじ コナンたちは高木渉と佐藤美和子の結婚式に招待され参列するが、その最中に複数の男が押し入り、高木が撃たれてしまう。しかし、それは目暮警部の同期である元刑事・村中努の結婚式を警護するための訓練であった。引用- Wikipedia

渋谷大爆発!?

本作品は名探偵コナンの劇場アニメ作品。
監督は満仲勧、制作はトムス・エンタテインメント
名探偵コナンとしては25作目の映画になる。

結婚式

コナン映画といえばたまにあるのが「嘘予告」だ。
過去にもコナンの正体が黒の組織にバレる!というような
予告を見せておいて、本編では夢でしたとなる作品もあった。
今作でもそんな嘘予告がある。

高木刑事と佐藤刑事の結婚式だ(笑)
予告を見ると二人がいよいよ結婚するのか!?という感じの
印象を受けるものの、これはコナン映画お得意のミスリード予告ともいえる。

これ自体はギャグにもなっており、
今作は「佐藤刑事」と「高木刑事」の二人のラブロマンス要素も
映画の中に盛り込まれているからこその冒頭の結婚式であり、
いつか本当に訪れるかもしれない二人の結婚式を彷彿とさせるシーンは
この映画の始まりとしては悪くない。

この冒頭のシーンは映画の「オチ」にもつながっている。
今回は作品全体としてギャグもちらほらあり、
それがくすくすと笑える要素にもなっている。

爆弾

コナン映画といえば爆発である。一作目から
ほぼすべての映画で何かしら爆発しているのがコナン映画の特徴だ。
そんな多くのコナン映画ファンが望んでいる爆発要素に
今作はフィーチャーしているといってもいい(笑)

冒頭から安室さんたちが追いかけているのは「とある爆弾犯」だ。
コナンファンならば見覚えのある犯人、
そんな犯人が脱走し、更にはなぜかクビに爆弾をくくりつけられている。
私の記憶が正しければコナン作品で捕まった犯人が再登場することはなかった。

映画だからこそ1度捕まった犯人を脱走させるという展開は素晴らしく、
コナンという作品を知っていれば記憶に残っているあの犯人が
脱走したというのは期待感を否が応でも募らせてくれる。

脱走した犯人を追う中で安室さんは別の人物に爆弾をクビに仕掛けられてしまう。
怪しげな仮面をつけた犯人、犯人の目的は一体何なのか?
爆弾を解除することはできるのか?
冒頭から素直に「今回のコナン映画は面白い」と感じられる点だ。

なにせ映画が始まってから爆発しまくりだ(笑)
逃げた犯人、警視庁の前に現れた謎の人物、ビルに仕掛けられた爆弾、
回想シーンの中での爆発と、もう隅田川の花火大会でも始まるのかと
思うほどの爆発シーンの連続に思わず笑ってしまう。
今回の爆発は犯人が特別な薬剤を使っているせいもあって
独特な色の炎をあげており、そのせいで余計に花火感がある。

脅迫状

安室さんがそんな爆弾犯を負う中で、
同時に「元刑事の結婚式に脅迫状」が送られるという事件が発生している。
果たしてこの2つの事件に関連性は有るのか?
一見関係のなさそうに見える2つの事件がどうつながっていくのかという
展開はミステリーとして素晴らしいストーリー構成になっている。

謎の外国人も暗躍しており、話しが進めば進むほど緊迫した状況になっていく。
ただ、これは邪推というか、今の御時世的にしかたない部分もあるのだが
暗躍している外国人が「ロシア人」というのは一瞬、
大丈夫か?と不安になってしまった(苦笑)

コナンたちの目の前で突如、謎の外国人が爆発する事件も起き、
コナンも爆弾犯をおうべく事件の捜査に乗り出す。

安楽椅子探偵

今回、安室さんはほとんど動けない状態だ。
クビに仕掛けられた爆弾はタイマー式ではなく、何が条件で爆発するのか、
犯人がいつ遠隔でスイッチを押すのかもわからない。
それゆえに彼は地下の施設に万が一に備えて自らを軟禁している。

だからこそ、彼は「名探偵」に助けを求める。
自分自身が持つ情報、過去に起きた「同期」と一緒に追った犯人との出来事を語り、
「コナン」に情報提供をする。

ただ、情報提供するだけではない、彼もまたこの作品における一人の探偵だ。
軟禁状態で自らが動けない中でも彼なりに推理をし、
ときに同じ探偵であるコナンに情報提供し、されることで犯人を追い求めていく。

いわゆる「安楽椅子探偵」だ。
コナン映画は最近は色々なキャラがゲスト主演し、
そのキャラの活躍が中心に描かれることが多い。
しかし、あくまでも名探偵コナンという作品の主人公は「コナン」だ。

だからこそ、今作ではゲストキャラである「安室さん」を
安楽椅子探偵という立ち位置にすえながら、
基本的には「コナン」が事件を追い証拠を集めながら犯人を見つけるという
流れができており、キャラクターの立ち位置がしっかりしているからこそ
余計な場面転換もなく物語がまっすぐに描かれている。

回想シーンという形の中で描かれる
「警察学校時代」の同期たちとの活躍もスリリングなアクションを交えながら描かれている。
あるものは今にも爆発しそうな爆弾を解体し、
あるものは犯人を追い、あるものはビルからビルへとジャンプする。

キビキビとしたアクションシーンは今作の見どころであり、
このあたりのアクションシーンの描き方は
さすがは「ハイキュー」を手掛けた監督だと納得できるほどの、
素晴らしいアクションシーンだ。

安室さんたちはかっこよく描かれ、コナンはジャッキー・チェンも
びっくりな6階のビルからの脱出劇が描かれる(笑)
音楽の使い方も非常にうまく、スリリングなアクションシーンを
音楽が盛り上げ、声優さんの気迫の有る演技がそこにあわさることで
思わず手を握りしめるような素晴らしいアクションシーンになっている。

犯人も凶悪だ。根塊の犯人は「プロの暗殺者」であり、正体不明だ。
仕事のためならば子供すら平気で殺す犯人は凶悪であり、
安室さん達に対しても銃を撃ちまくるわ、手榴弾を投げてくるわととんでもない(笑)
安室さんたちが苦戦するのも納得するほどの凶悪な犯人が描かれることで
より、犯人の正体が気になってくる。

警察学校時代の同期4人で最後に追った犯人、
逃してしまった犯人は安室さんにとっての心残りでも有る。

高木刑事

コナン映画といえば蘭と工藤新一のラブロマンス要素も
重要な要素の1つでは有る。
ただ、今作に限って言えば珍しく毛利蘭がピンチにならないため、
コナンが「らぁぁぁん!」と叫ぶお約束のシーンがない。
コナン映画ファンとしては残念なポイントでも有る。

しかし、今作はその代わりといってはなんだが、
「佐藤刑事」と「高木刑事」が主人公とヒロインに変わって
ラブロマンスを繰り広げている。

佐藤刑事にとってのある種のトラウマでもある「松田刑事」の事件、
そんな事件の犯人の脱走、過去に松田刑事が関わっていた人物が
今回の事件にも絡んでおり、佐藤刑事には「死神の影」が再び見えてしまう。
それでも、そんな佐藤刑事を「高木刑事」が支える。

彼は男だ。
松田刑事に未練のようなものが有る佐藤刑事のことをわかっており、
彼女に憧れ、彼女に恋い焦がれた高木刑事だからこその彼女への言葉は
思わずジーンと来てしまう。

さりげなく「白鳥警部」もかつての恋のライバルとして助言をしており、
今回はキャラクターの使い方が本当に素晴らしい。
コナンファンが、名探偵コナンが25年以上この作品を見続けてきたからこその
積み重ねたキャラクター描写とキャラへの思い入れが、
この作品の中では生きており、細かいキャラ描写に思わずニヤニヤしてしまう。

ギャグ

特に千葉刑事の使い方など、緊迫した状況にもかかわらず
いい「コメディリリーフ」になっており、
作品自体はシリアスでは有るものの、
ギャグがちょこちょこあるからこそ笑ってしまう

例えば過去の回想シーンでの松田刑事の一言。
事件が午前中だけで2,3件も起こりまくる
この街に対して思ってしまった感想だ。

「普通じゃねぇわこの街」

見ている側も納得である(笑)
作中では1年も時間が経過して居ないもの関わらず、
どんどんと起きる事件、ある種のメタ的な発言がギャグにもなっている。

更に毛利小五郎。
今作ではあまり活躍するシーンが少ないのは残念なところだが、
それでも序盤の彼の行動はさすがは毛利小五郎といわんばかりの行動であり、
その代償に怪我を負って入院してしまう。
しかし、何故か麻酔が効きにくいい。

コナンという作品を知っている方ならば、
「毛利小五郎」が麻酔がなぜききにくいかは
あえて言わなくとも分かるだろう(笑)

こういったギャグが作品全体にちょこちょことあり、
安室さんに仕掛けられた首輪爆弾、暗躍するロシア人、
連続爆破事件、正体不明の暗殺者、千葉の誘拐と
目まぐるしく事件が起きる中でのいいメリハリになっている。

少年探偵団たちもきちんと活躍しており、
それぞれが子供ながらに精一杯、事件に立ち向かう様子は
子供が見てもワクワクできる描写だ。

伏線

今作の「伏線」の回収の仕方は見事だ。
恐らくは多くの人は中盤くらいに
「あーこの人が犯人だろうな」となんとなく察することができる。
犯人自体は想像することはできるものの、中盤から、犯人の正体へと
つながるまでの流れが本当に気持ちいいくらいだ。

爆弾犯の目的や正体、なぜロシア人たちが暗躍していたのか、
安室さん達の過去の事件とどうつながるのか、
爆発したロシア人が残したメモに書き残されていた
「円マーク」のようなものはなんなのか。なぜ元刑事の結婚式に脅迫状が送られたのか。

物語が綺麗に犯人の正体と目的に収束していく感覚は素晴らしく、
頭の中で渋谷の街を駆け回りながらコナンが推理し
答えにたどり着くシーンの演出は印象的だ。

コナンが事件を追う中で見たちょっとした犯人の仕草や行動が
見事に「伏線」になっており、それをコナンと同時に見る側も気づくことが出来、
思わず「なるほど!あのシーンはそういうことだったのか!」と唸ってしまうほど
ミステリーとしての完成度が高い。

もう、ミステリー要素だけで大満足だ。
そんな大満足な中で「博士のクイズ」が出される(笑)
ハロウィン当日だからこそ仮装している子どもたちも可愛らしく、
ハロウィンの雑踏をスケボーで走り回るコナンの迷惑さも流石だ。

犯人

今回の犯人の正体はあえて言わない。
動機もある意味、コナン映画らしい
「自分の正体がバレたくなかった」というぶっ飛んだものでは有るものの、
ロシア人まで出てくる映画だからこそのスケール感で描かれる
ラストの展開は流石だ。

サブマシンガンをぶっ放しまくる犯人との銃撃戦は
これはコナン映画なのか?と思うほどの迫力で描かれており、
そんな中で描かれる「高木刑事」の活躍や佐藤刑事のアクション、
犯人のとんでもないアクションは見どころたっぷりだ。

コナンもコナンで負けじと「超絶シュート」を噛ましており、
神業レベルのシュート技術に抱腹絶倒である。
そして終盤、安楽椅子探偵だった彼が重い腰を上げる。

「安室さん」らしいちょっとかっこよすぎる登場と
アクションシーンの数々、そしてちょっとナルシズムすら感じる
安室さんらしい「台詞」に思わずニヤニヤしてしまう。

犯人は捕まった、事件は解決したかに見えた。
しかし、まだ終わってない。そう「爆弾」である(笑)

渋谷

過去のコナン映画では様々なものが爆破されてきた。
だからこそ、コナン映画で大きな建造物が出てくる度に、
我々コナン映画ファンは「お、今回はこれが爆破するのかな?」と
ワクワクとしていたはずだ。

今回は渋谷を舞台としている。
冒頭から渋谷交差点や109など色々な渋谷の有名所が描かれており、
描かれる度に「お、109爆破か?」「お、ヒカリエやっちゃいますか?」と
ニヤニヤしてしまっていたが、我々の予想を遥かに超えてくる。

渋谷大爆発である。
根塊の犯人はスケール感が違う、
だからこそ街ごとぶっ放す勢いで爆薬を仕掛けている(笑)
一歩間違えば渋谷交差点も109もヒカリエも跡形なく無くなってしまう、
渋谷という街そのものが無くなるレベルの爆薬だ。

もう大爆笑である。
109かヒカリエあたりを爆破するのか?と予測していたら
まさか渋谷そのものを爆破しようとしているとは予想の範囲外だ。

もちろん、渋谷は無事に終わる。
犯人の思惑どおりに渋谷が爆破されなかったのはちょっと残念では有るものの、
渋谷を守るためにコナンが策を巡らせて少年探偵団とともに
爆弾を止める流れはこの作品の最大の盛り上がりどころだ。

もはやスケール感がアメコミヒーローみたいになっているが、
そこはコナンだ。
冒頭からの伏線の1つである博士の秘密アイテム、
終盤のこの展開を予想して予め開発していたのでは?と思うほどの
道具とその使い方はちょっと笑わないのは無理だ。

一歩間違えば渋谷という街がなくなる。
そんな中でコナンが少年探偵団と協力し、博士の秘密道具を使い、
更に「ロシア人」も協力してくれる。

コナンという探偵は「復讐」というものを強く否定している。
そんな彼だからこそ復讐犯に向ける言葉が、復讐犯の心をほぐし、
彼に協力しようとする流れは美しさすら感じさせてくれる。

そして最後には「スケボーアクション」まで見せてくれる。
もうお腹いっぱいだ(笑)
ラストシーンの「キスシーン」、そしてオチ、
更に「来年の予告」でウキウキしながら家路に帰れる
素晴らしいコナン映画だった。

総評:知ってる?今、渋谷があるのはコナンのおかげなんだよ?

全体的に素晴らしいコナン映画だった。
安室さん、そして安室さんの警察学校での同期という今作のゲストキャラを
登場させながらも、主軸は「コナン」に置くことで物語がスムーズに運び、
それだけでなく多いと感じるキャラクターをきちんと活躍させている。

安室さんを安楽椅子探偵状態にすることでコナンを探偵役として
活躍させつつ、ストーリーを展開させつつ、
回想という形で警察学校の同期と安室さんの活躍を描きつつ、
徐々に犯人へと迫るストーリー構成は見事しか言いようがない。
更には今回はそこに高木刑事と佐藤刑事のラブロマンス要素も盛り込まれている。

これだけいろいろな要素やキャラクターが絡んでいるのに
まるでごちゃごちゃしていない。
きちんと一人ひとりに活躍の場があり、印象的なシーンを作り上げており、
ミステリーとしても伏線の貼り方が見事であり、
それが終盤で綺麗に回収されていく心地よさはたまらない。

そしてコナン映画のお約束とも言える「爆弾」。
今回の犯人は爆弾犯であるがゆえに冒頭から爆破しまくりであり、
そんな爆弾に対して対処していく安室さんやコナンの活躍が
素晴らしいアクションを生んでいる。

ラストの「渋谷大爆発」は未遂で終わったものの、
スケール感としては過去最大級の爆発であり、
コナン映画ファンには本当にたまらない作品だ。

コナン映画として視聴者が求めているものが全て詰まっていると言っていい。
ミステリーとしての面白さ、キャラクター描写、コナン映画のお約束。
唯一蘭とのラブロマンス要素が薄いという部分はあるものの、
そこは見事に高木刑事と佐藤刑事のラブロマンスが担ってくれている。

本当に驚くほど完成度の高い作品だ。近年稀に見る傑作と言っていい。
みなさんもぜひ、劇場でこの作品を楽しんでいただきたい。

個人的な感想:あいちゃん

なによりも灰原哀の可愛さが本当に「萌え」を感じた、
OPでのコスプレ、終盤での彼女らしいハロウィンコスプレ、
コナンとの掛け合い、さり気ないシーンでの可愛さや行動が凄まじく、
今作の「灰原哀」の魅力はやばいレベルだ。
私の気のせいかもしれないが演じている林原めぐみさんの声も
いつもより、いや、いつにもまして可愛らしくきこえてしまった。

今作の完成度があまりにも高かっただけに来年の作品が気になって仕方ない。
やはり流石は彼だ、ちょっとセリフを言うだけで存在感を感じさせ
彼女の名前を呼ぶだけでちょっと笑ってしまう(笑)

どんな作品になるのかはわからないが、
来年のコナン映画も楽しみだ。

「劇場版 名探偵コナン ハロウィンの花嫁」は面白い?つまらない?

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