「名探偵コナン 緋色の弾丸」レビュー

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映画
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評価 ★★★☆☆(41点) 全110分

あらすじ 東京で開催されることになった世界最大のスポーツの祭典「WSG―ワールド・スポーツ・ゲームス」。引用- Wikipedia

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もっと赤井さんを出せ

本作品は名探偵コナンの劇場映画作品。
名探偵コナンとしては24作目の映画作品。
監督は前作同様に永岡智佳、脚本はゼロの執行人と同じく櫻井武晴。

デトロイト


画像引用元:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』予告より
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

映画の冒頭、舞台はデトロイトだ。
名探偵コナンという作品は基本的に日本の米花町という
1日に3回は殺人事件が起る街を舞台にしている。

前作では「シンガポール」という海外が舞台になり、
今回もまさか「デトロイト」なのか?と少し期待したが、
残念ながら「15年前のデトロイト」だ。

一見、日本で起こる事件とは無関係の思える15年前のデトロイトの事件。
そんな事件が一体、どう物語に絡んでくるのか。
ミステリーとしての期待感を冒頭からきっちりと高めてくれる。

時事ネタ


画像引用元:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』予告より
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

本作品は本来ならば2020年の4月に公開されるはずだったが、
昨今の事情で1年間延期したという事情がある。
本来ならオリンピックまで三ヶ月、そんな時期だからこそ
この作品にも明らかにオリンピックを意識した要素が出る。

コナンと少年探偵団一行は真空超電導リニアのイベントに参加しており、
そのリニアは「WSG-ワールド・スポーツ・ゲームス」の
開会式に合わせて運行される予定だ。
この「WGS」は言葉こそ違うがオリンピックだ。

ロゴや5色の虹、4年に1回開かれるなど
言葉は違えど明らかにオリンピックであり、
オリンピックを控えている時期だからこその要素だ。

そんな世界的なスポーツの大会が開かれるからこそ
海外の要人などが日本に訪れている。
今作のコナンはスケール感が大きい。

なにせ今作で犯人に狙われているのは「次期大統領候補」だ。
2020年はアメリカの大統領選が行われた年でもあり、
オリンピックに次期大統領候補にリニアと、
そういったいわゆる「時事ネタ」を作品にかなり盛り込んでいる。

最大の時事ネタとも言えるのが「カルロス・ゴーン」だ(笑)

何を言っているかわからないかもしれないが、
今作では「日本の自動車メーカー」の社長も狙われている、
ジョン・ボイドと名前こそ違うものの、
明らかに日産自動車を意識したバックボーンのある自動車メーカーの
社長を務める彼が「キャリーケース」に詰め込まれて誘拐される(笑)

まるで楽器ケースに入って逃亡した彼をオマージュするかのような
パロディ要素ではあるものの、
カルロス・ゴーン氏が海外へ逃亡したのが2019年末、
この作品の上映は本来であれば2020年4月、
もしかしたら偶然の一致の可能性もあるだけに身震いしてしまう。

ミステリー


画像引用元:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』予告より
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

名探偵コナンは基本的にはミステリーではあるものの、
映画になるとアクション要素が強めになることが多く、
推理そっちのけでダイ・ハードもびっくりな内容になることが多い。
しかし、今作はミステリーとしての要素もきちんとある。

デトロイトで15年前に起きた事件、そんな事件を模倣するかのように
日本でもお菓子メーカーの社長、鈴木財閥の会長が誘拐されるが
何の要求もなく無事に発見されるという事件が起こる。
犯人の目的はなんなのか?なぜ15年前の事件を模倣するのか?
犯人は誰なのか?

ミステリーとしての「謎」の面白さを序盤から
丁寧に視聴者に提示することでミステリーとしての面白さの
期待感を上げてくれる。
そんなデトロイトでの事件の模倣だからこそ「FBI」も
捜査に乗り出してくる。

赤井ファミリー


画像引用元:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』予告より
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

ある意味で今作のメインとも言えるのが「赤井ファミリー」だ。
FBI捜査官、MI6、女子高生探偵、将棋の名人と際立った特徴を持つ4人。
赤井秀一はコナンと同じく事件を調査しつつ、犯人を追い、
時にはコナンに情報を提供する。

コナンの協力者としての側面を際立たせる一方で、
彼だからこその「カーチェイス」シーンや、
自らの正体を知らない妹との格闘バトルシーンなどもあり、
「赤井秀一」ファンにはたまらないシーンを繰り広げている。

ただ安室透がメインだった「ゼロの執行人」と比べると、
あくまでもメインは江戸川コナンをおきつつ物語が展開しており、
主役の座を奪うほどの活躍劇ではない。

彼お得意の「狙撃」シーンなどはあるものの、イマイチわかりづらい。
赤井秀一が撃ってから、しばらく時間が立ってから着弾するため、
狙撃シーンに限って言えば「異次元の狙撃手」でのシーンのほうが
見栄えするシーンになっており、やや物足りなさを感じてしまう。

彼だけでなく世良真純や羽田秀吉や彼らの母も出る作品なだけに、
赤井秀一の活躍するシーンも4分の1に
減らされてしまっている感覚だ。

メインとなるキャラも多いために
「一方そのころ」的に視点の切り替わりも多いのは
今作の最大の欠点でもあり、色々なキャラの状況を描くために
視点が切り替わりまくるせいで、話に集中できない。

しかし、序盤から中盤までコメディリリーフ的な存在だった
羽田秀吉が事件解決のために意外な活躍をするシーンや、
赤井秀一と彼の母のラストシーンなど、
コナンファンだからこそ楽しめるシーンも多い。

「ゼロの執行人」の安室透ほど赤井秀一がフィーチャーされている
わけではないが、赤井秀一ファンにはたまらないシーンも多いだろう。
ただ思った以上に赤井秀一のシーンが少ないと感じてしまう。
もっと出番が会っても良いのでは?と思ってしまう程だ。

キャラクター描写


画像引用元:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』予告より
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

今作はキャラクター描写が光る作品だ。
コナン映画ではお決まりの蘭のピンチと新一の「らぁぁん!」という叫び、
そんなお馴染みの要素は今作にはない。
一応、蘭が少しピンチになるシーンはあるもののコナンも同時に
命の危険にさらされているため叫ぶ暇もない。

そのかわりに関係性が進展した2人だからこそ、
なんとも甘酸っぱい「電話」での会話を繰り広げており、
見ている間にお尻のあたりがむず痒くなるほどのラブラブな
関係性の描写は今作の見どころの1つかもしれない。

同時に「羽田秀吉」と「宮本由美」もカップルとして
蘭と新一に負けじとラブラブっぷりを見せつけており、
緊張感のあるストーリーの中でのコメディシーンとしても作用し、
緊張と緩和をうまく使い分けながらストーリーが進んでいく。

灰原哀


画像引用元:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』予告より
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

赤井秀一より今作では目立っていたかもしれないと
言えるのが灰原哀だ。

彼女が自らを「子供」であり「小学生」だと言いつつも、
大人な仕草や大人顔向けな言葉遣いをする様は可愛らしく、
「コナン」の相棒としてコナンを支え、時には彼を心配し、
時には犯人にも立ち向かう。

子供の姿になったというコナンと共通の立場だからこその
「相棒」としての存在感が今作では際立っており、
毛利蘭を超えるヒロイン力を見せつけてくれており、
今作は灰原哀がもうひとりの主人公のようにたち振る舞っている。

スケボー


画像引用元:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』予告より
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

コナン映画といえばアクションシーンだ。
時には雪崩をおこし、時には宇宙からの飛来物の軌道を変える。
神のごとし御業を見せてくれるのがコナン映画の面白さでもある。

今作は物語の中盤から舞台が東京から名古屋に移る。
その際にコナンはわざわざ「スケボー」を持参している(笑)
名古屋に到着したコナンの背中に堂々と見せつけるかのように、
まるでFF7のクラウドの大剣の如くスケボーが装備されている姿は
貫禄すら感じてしまう。

ただ、わざわざ名古屋までスケボーを持ってきた割には
あまり使いこなせておらず、
車にぶつかりそうになったのを飛び越えるくらいだ。

それでも十分スゴイ技ではあるものの、過去作と比べると
あまり見ごたえのあるスケボーシーンとは言えず、
別に壊れてもいないのにあっさりとスケボーから
世良真純のバイクに乗り換えてしまったのは残念でならない。

しかも今作ではコナン映画の代名詞ともいえる爆発がない。
爆発っぽいものはあるものの建物が崩壊するレベルの、
犯人はどこから爆薬を手に入れてきたんだ?と思うほどの爆発はない。

「らぁぁん!」と叫ぶシーンもなく、スケボーシーンも控えめ、
爆破はほぼなし。いわゆる「コナン映画っぽい」要素は
今作ではかなり控えめであり、
そういった要素を期待してしまうとやや肩透かしを食らってしまう。

見せ場


画像引用元:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』予告より
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

しかしながら終盤でコナンはしっかりと魅せてくれる。
今作でコナンはリニアを貫通するほどのシュートを見せつけてくれており、
まるでスパイダーマンのあのシーンをオマージュするかのように
時速1000kで走るリニアをコナンが止める姿は
アベンジャーズ顔負けの健闘ぶりだ。

恐らくはこの映画はここから作られたのであろう。
どうすれば時速1000kで走るリニアをコナンが止められるか。
ここから脚本会議が始まったに違いないと感じさせるほど、
終盤のこのシーンのためにストーリーと伏線が散りばめられている。

終盤のアクションシーンは爆破やスケボーが物足りない分を
取り戻すかのようなシーンであり、
本当にコナンのシュートでリニアを貫通できるのか?
布と巨大化するサッカーボールで時速1000kのリニアを止められるのか?
などと突っ込んではいけない。

見ているこちらが突っ込む前に
冒頭で崩壊しそうだったドームにリニアが突っ込み崩壊することで、
こちらのツッコミたい気持ちも不思議と消化され、
これぞコナン映画であるといわんばかりのアクションシーンだ(笑)

ストーリー


画像引用元:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』予告より
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

15年前に起きたデトロイトの事件を日本で模倣する犯人、
FBIが絡む事件だからこその証人保護プログラムと
「名前を変えている犯人」は犯人をコナンが指摘するシーンで思わず、
なるほどと唸ってしまうほど考えられた謎が張り巡らされている。

今作の犯人はFBIに恨みがある。
自分の父が犯した犯罪、父は無罪を訴えながら獄中死し、
それを恨んだがために犯人は父が起こしたと言われている犯罪を模倣し、
FBIに恨みを果たそうとしている。

非常に真面目な動機だ。コナン映画の犯人はぶっ飛んでることが多いが、
今作の犯人の動機は至って真面目ではある。
ただ、やや遠回りな方法でわざわざシチュエーションを整えた状況で
恨みのある人物を殺そうとしているという手間のかかることをしており、
「早く殺しておけばよかったのでは?」という疑問はある。

しかし、今作は犯人による殺人が起きていない作品だ。
今作の犯人は確かに犯罪行為は起こしている。
拉致監禁やリニアの乗っ取りなど被害はとんでもないものの、
コナンという探偵は犯人が殺人を起こす前に未然に防ぐ事が出来ている。

彼らしい探偵としての流儀、罪は裁かれるべきではあるが
「命」までは奪わない。犯人であろうと命は守ろうとする。
そんな彼の探偵としての流儀が犯人を殺人という最大の罪を
犯す前に止めることに成功している作品だ。

そういった意味では「探偵としての流儀」を
感じさせる作品だったかもしれない。

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総評:思った以上に…


画像引用元:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』予告より
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

全体的に見て「赤井一家」がメインの作品ではあるものの、
「一家」をメインに据えてしまったことで視点が分散し、
場面の切り替えが多すぎる印象が残る作品だ。

赤井秀一、世良真純&母、羽田秀吉、コナン、灰原哀、少年探偵団、蘭と、
ストーリーの中でコロコロと視点が変わりまくり、
「一方そのころ」的にシリアスなシーンでも視点が変わるため
ストーリーにのめり込み切れない感覚がつきまとう。

視点の切り替わりが多いからこそ、それぞれのキャラクター描写が光り、
灰原哀などもう一人の主人公のように描かれているものの、
本来はもっとメインに来るはずだった「赤井秀一」のシーンも
削られてしまっており、思った以上に見せ場が少ない。

アクションシーンも格闘シーンやスケボーシーンなど色々とあるものの、
最後のリニアを止めるシーン以外のアクションシーンは
あまり盛り上がったとは言えず、
永岡智佳監督はキャラクター描写はうまいものの
アクションシーンはあまり得意ではない印象がついてしまった

細かい部分での欠点は目立つもののミステリーとしての面白さを
感じられるストーリーやキャラクターの魅力を感じられるキャラ描写、
そして最後のリニアを止めるコナンというアクションシーンという
コナン映画らしいぶっとんだアクションの面白さもある作品であり、
コナン映画としては無難な出来栄と言える作品かもしれない。

ただ、簡単に言えばどこか物足りない。
赤井秀一という本来ならもっとメインに来るはずだったキャラの活躍、
爆破やスケボーシーン、蘭のピンチ、ぶっとんだ犯人の動機など、
いつもあるはずのものがないからこその物足りなさを
感じてしまう作品だった

個人的な感想:永岡智佳監督


画像引用元:劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』予告より
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

永岡智佳監督は女性キャラクターの描写は素晴らしいものがある。
前作でも鈴木園子の新たな魅力を引き出しており、
今作でもそんな園子の魅力を感じられるシーンも有り、
毛利蘭や灰原哀など思わず可愛いと感じてしまうシーンも多い。

キャラ描写が得意な監督というイメージが今作で付いた。
その一方でやや過剰な演出も多く、
細かいアクションシーンなどは得意ではない。

コナンの原作は少年漫画であり、今までのコナン映画も少年漫画だと
感じさせる要素が多くそういう見せ方がされてきた。
しかし、永岡智佳監督の場合はどちらかというと少女漫画原作な
コナン映画にも見えてしまう。

良い言葉でいえば女性の監督ならではの視点ともいえるものの、
前作と同様に今作もどこか今までのコナン映画とは見せ方が違う、
キャラの印象が変わる部分もあり、
今作のようなシリアスなストーリーや前作のような海外を舞台にし
怪盗キッドがメインでアクションシーンが多い作品よりも、
「から紅の恋歌」のような作品のほうが合う監督ではないか?と感じた。

今までの作品とは違った魅力を出そうとしているのを感じる監督さんであり
次回作も永岡智佳監督なのかは今のところわからないものの、
コナン映画が「マンネリ」にならないように工夫しているのを感じる。

だが、あくまでも私が求めているのはそんなマンネリなコナン映画だ。
次回作の予告的にマンネリなコナン映画とは違う映画になりそうなのが
やや残念ではあるものの、次回作も私は劇場に足を運んでしまうのだろう。

コメント

  1. KGR より:

    個人的には大満足でした!
    ここ数年のコナン映画は完全なキャラ萌え狙いが見え見えであまりストーリーが楽しめなかったのですが、今作は割と真面目にコナンコナンしてて面白かったです。
    赤井ファミリー回と聞いてあまり乗り気ではなかったのですが、公安が出ない分無駄な時間がとられずサクサク進んでよかったです。
    確かによくよく考えると赤井さんの見せ場が少なかった気もしますが、ずっとコナン君と電話してたのであまり気になりませんでした。

    元太のうな重ネタやコナン君のリニアの止め方には少し違和感がありましたがあれはコナンのお約束ってことかな?w
    というかあの突っ込み方はコナン君余裕でタヒんでると思うけどww

    ただ一つ物足りなかったのは、最後の大どんでん返しがあまり感じられなかったことですね。舞台がほぼリニアで変わらず、爆破からのらぁぁん!もなかったので不完全燃焼状態でした。

    世良さんと灰原がむっちゃかわいかった。
    フィストで園子にホレたばっかなのに。。。