ヒーローはいつだって遅れてやってくる「劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子」レビュー

2017年6月2日

評価★★★★★(93点)全97分

あらすじ ウルガルの拠点を叩く決戦で勝利するが、その戦闘でイズルは重傷を負い昏睡状態となってしまう。
戦闘母艦ゴディニオンでイズルの回復を祈るアサギたち。引用 – Wikipedia


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ヒーローはいつだって遅れてやってくる

本作品は銀河機攻隊 マジェスティックプリンスの劇場アニメ作品。
監督は元永慶太郎のままだが、
セブン・アークス・ピクチャーズ×オレンジに変更されている。
1期から3年がたち、2期かと思いきやの劇場版だった
なお総集編ではなく劇場オリジナル作品となっており続編だ。

始まって早々にTVシリーズ最終話の戦闘シーンがガッツリ流れる。
確かに「これまでのお話」という意味で描き、
あの最終話の戦闘シーンをスクリーンで見れるというのは
ファン的には嬉しいかもしれないが、
尺が短いわりにはがっつりとTVシリーズ最終話が描かれる。

上映時間が約80分の作品で別に総集編でもなく、
特に新規カットが有るわけじゃないシーンが7分近く流れてしまうのは
やや残念だ。ちょっと尺調整の意味合いもあったのではと感じてしまう。

しかし、そこからつながるストーリーが衝撃だ。
TVシリーズでは主人公が命が助かったのはわかったが、
その後がどうなったかは不明状態だったが、
劇場版ではそれがすぐに描かれる。

そんなシリアスな状況にもかかわらず
いつもの面々が「いつものノリ」を魅せてくれることで、
「マジェスティックプリンス」らしい空気感をしっかりと感じさせてくれる。
重すぎず、きっちりと愛らしいキャラクターによるギャグがあるのが
この作品の特徴であり、3年の月日を感じさせないノリと空気感だ。

普通、昏睡状態に陥っている主人公が目覚めるという重要な要素が
「ヒロインの作った甘すぎるケーキをそばに置く」
という内容にはならないだろう。
本来は仲間のピンチで目覚めてとか色々王道なやり方はあるが、
この作品は甘すぎるケーキを備えるだけで主人公が目覚めてしまう(笑)

もはやギャグアニメのようなシーン展開やシーン描写は
やりすぎな感じも否めないが、このふざけてる感じが
「マジェスティックプリンス」らしさでもあり、
劇場版ではそれが凝縮されている。

そして始まる戦闘シーン。
マジェスティックプリンスはTVシリーズの際も非常にクォリティの高い
戦闘シーンを見せつけてくれる作品だった。
劇場アニメならもっと凄いのをのせてくれるに違いない、
そんな視聴者の「ハードル」をこの作品はあっさりと超える(笑)

TVシリーズ以上に洗練された機体の描写、
細かい動きからの攻撃、回避行動をよりハイスピードで描く事で、
ほんのわずかな戦闘シーンでも息を呑むほどの動きをサラっと描写する。
他のアニメ作品ならばもっと手を抜くようなシーンや、
そこまでは描かないであろう細かい部分でさえも描く。
だからこそ「ハイスピード」な動きに見応えが生まれている。

そんな見せつけてくれるような戦闘シーンをさらっと描写する。
もっとじっくり見せても良い、もっとスローとか使って
見せつけても良いはずのシーンなののに、
さらっと瞬間的に描写し、その瞬間的な描写を連続することで
「濃厚なハイスピードアクション」を見せてくれる。

そんな戦闘シーンの合間に本作特有の軽すぎるセクシーシーンも描かれる。
胸の大きいキャラの胸を揉むというシーンは
他のアニメならばもっとセクシーに描くはずなのだが、
この作品の不思議な空気感とノリがセクシーさを一切感じさせない。
ある意味すごいセクシーシーンだ。

そして追加されるキャラクター。
今作では「チームフォックス」という新チームが追加されており、
もちろん彼らの機体も追加されている。

既存の機体もかなり個性的な機体が多かったが、
新規の機体のデザインも本当に素晴らしく、
流線型のデザインにも関わらず無骨さを感じるデザインの機体が
超高速で動くさまはゾクゾクっとするものを感じさせる。
彼らの活躍があまり描かれないのがやや残念だ。

しかしあくまでも彼らはメインキャラではなくサブキャラだ。
彼らにあまり無駄な尺をさかないからこそ、メインキャラの活躍が光る。
TVシリーズで覚醒し機体が進化するほどの進化を果たしたのは
主人公のみだったが、今作では他のキャラクターも覚醒する。
ちなみに、本作品のサブタイトルは「覚醒の遺伝子」だ。

正直に言おう。かっこよすぎる(笑)
覚醒、覚醒、覚醒、覚醒、更に覚醒。
覚醒の嵐としか言いようのない連続の覚醒シーンが怒涛に描かれる。
出し惜しみなんて一切しない、もったいぶったりもしない。
ド派手なエフェクトとアッシュの変形、かっこよすぎる演出で魅せまくる。

言葉にすればするほど陳腐にしか聞こえないかもしれない。
だが、覚醒シーンの数々はもはや反則級のカッコよさを生み出しており、
かっこよすぎて笑ってしまうほどだ(笑)
特にブルー1とローズ6の覚醒形態は本当に素晴らしく、
ブルー1の覚醒シーンにおける戦闘描写は芸術と言ってもいいくらいだ。

今回は状況的に地上での戦闘シーンがほとんどだが、
フル3DCGで描いた時の欠点である「軽さ」を感じさせない。
きっちりとした演出と音で軽さを打ち消し重みを感じさせており、
宇宙での戦闘シーンと違った「重力」を感じるハイスピードな
戦闘シーンを舐め回すようなカメラワークで見せてくれる。

TVシリーズ以上にシリアスな状況も一瞬描かれたりするのだが、
そんなことを忘れ去るようなギャグシーンをその分展開する。
この作品はシリアスな雰囲気になりそうになると
全力でギャグを行いそんな雰囲気に絶対させないのが魅力なのだが、
メインキャラの死という状況でもそれを忘れないのは凄い。

そして遅れてやってくるヒーロー、かっこよすぎる(笑)。
何度この言葉を言えば良いのかと思う方も居るかもしれないが、
主人公の新機体はマクロスを彷彿とさせる変形機構と少し変化した武装が
より洗練された戦闘シーンを見せるデザインになっており、
登場シーンのかっこよさは心のなかで「キタァ!」と叫びたくなるほどだ。

更にもう一人のヒーロー、ある種の真打ちだが、
彼の機体の無骨さは惚れ惚れするほどだ。
彼の機体は「オーバースペック」すぎて普通には動かない。
チームラビットの5体の性能をすべて併せ持つというロマン設計であり、
カラーリングもあえて「茶色」がメインカラーになっているのも素晴らしい。

主人公の新機体とロマン設計の機体、
2つの機体と敵のバトルはかっこよさをこえて「美しさ」すら感じるレベルだ。
ラベンダー畑で繰り広げられる戦闘とチーム戦での締めは、
すっきりと素晴らしい余韻を残してくれた。

全体的に見て素晴らしい劇場版だった。
TVシリーズのあの戦闘シーンを劇場版スケールにクオリティアップするだけでなく、
地上戦ならではの重力を感じさせる動きと、メイン機体の全覚醒を見せつけ、
それぞれの機体のそれぞれの魅力を200%引き出し見せつけてくれる。
ストーリー的にはシンプルだが、シンプルであるがゆえに
ストレートに楽しめる「マジェスティックプリンス」らしい内容だった。

欠点を言うならばTVシリーズを見ていないとストーリーがわからない事と、
結局、敵をすべて倒したわけではないのでTVシリーズの最終話時点の状況と
あまり変わっていないという点だろう。
言い換えればいつでも「二期」ができる内容だ。

個人的には本当に文句の付け所のない作品だった。
フル3DCGアニメの欠点を感じさせない至高の戦闘シーン、
メインキャラクターの愛らしさ、シンプルなストーリー、
そしてこの作品らしいオチまで隅から隅まで楽しんでしまった(笑)