「STAND BY ME ドラえもん2」レビュー

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映画
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評価 ★☆☆☆☆(16点) 全96分

あらすじ る日、優しかったおばあちゃんとの思い出のつまった古いクマのぬいぐるみを見つけたのび太は、おばあちゃんに会いたいと思い立ち、ドラえもんの反対を押し切りタイムマシンで過去へ向かう。引用- Wikipedia

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大人になれよ…

本作品はドラえもんの3DCG作品。
ドラえもんのフルCG作品としてはタイトル通り2作品目となっている。
監督は山崎貴、八木竜一、脚本は山崎貴と前作と変わらない。
制作は白組、ROBOT、シンエイ動画

後日談


画像引用元:『STAND BY ME ドラえもん 2』予告より
(C)2020「STAND BY MEドラえもん2」製作委員会

この作品は前作の後日談的な意味合いが強く、
映画は結婚前夜でのび太とジャイアンたちの飲み会終わりから始まる。
帰り道、どこか不安な氷上を浮かべる大人ののび太、
彼が結婚前夜という本来は幸せな日に何を不安がっているのか。
自然と物語への期待感を感じさせてくれる。

前作はレビュー内でも述べたとおり「90分で分るドラえもん」として
ドラえもんを全く知らない人でもドラえもんという作品が分かるような
ストーリーになっており、言い方を悪くすれば原作の有名な
エピソードを継ぎ接ぎにした感じが強く、90分でまとめるための改変、
感動要素を後押しするための改悪が目立つ作品だった。

しかし、今作は序盤からそういった「継ぎ接ぎ」感がなく、
かなり自然なストーリー構成になってることを感じさせてくれる。
ダイジェストで一気に進めたりすることもなく、
未来の大人ののび太の話から自然と現代ののび太に移り変わり、
のび太が亡くなってしまった「おばあちゃん」に会いに行く。

その中でも「改変」してる部分はある。というよりも
後のストーリーのための「伏線」を目立つ形で描写しており、
のび太が急に一人でタイムマシンに乗って帰ってきたかと思えば
少し前の記憶を失っていたり、透明マントでもうひとりのドラえもんが
何やら怪しげな行動をしていたりとわかりやすい伏線がはられている。

今ののび太の行動は何だったのか?
透明なドラえもんはなにしに来たのか?
わかりやすい伏線なだけにかなり気になってしまう。

おばあちゃん


画像引用元:『STAND BY ME ドラえもん 2』予告より
(C)2020「STAND BY MEドラえもん2」製作委員会

この作品は原作の「おばあちゃんのおもいで」
「ぼくの生まれた日」「45年後…」のストーリーを
元にストーリーを構築している。
前作と同様に改変というなの改悪をまたしでかしている。

有名な「おばあちゃんのおもいで」のエピソードはほとんど
改変しておらず、知っているエピソードなのに涙腺を刺激されるものの、
このエピソードは一旦中断される。
おばあちゃんに「次はのびちゃんのお嫁さんを見たい」と言われた
のび太が未来の結婚式をおばあちゃんに見せようとする。

原作では現代に帰り、しずかちゃんに今すぐ結婚してと頼み込むという
ギャグなオチで終わっていたが、今作では未来の結婚式を
見せようとする展開に改変されている。

このくだりまでの改変は自然であり、ラストの
「未来の結婚式」におばあちゃんを本当に連れて行くという展開は
中盤までの展開さえなければ素直に「ドラ泣き」できたかもしれない。
始まりと終わりはいいものの、
この作品はそこに至るまでの過程が最悪だ。

のび太、逃げた


画像引用元:『STAND BY ME ドラえもん 2』予告より
(C)2020「STAND BY MEドラえもん2」製作委員会

この映画のキャッチコピーにもなってる通り、
大人になったのび太は結婚式当日に結婚式会場に訪れない。
「なぜ」彼が結婚式に来なかったのか、
見てる側はそれが非常に気がかりな状況だ。

だが、そんな状況で「のび太」が「大人ののび太」の姿になって
結婚式に変わる参加する流れになる。
「雪山のロマンス」と同じような流れではあるものの、
大人ののび太の代わりをする前にとっとと大人ののび太を
探しに行けばいいのになぜかそれはしない。

大人ののび太の代わりにヴァージンロードを歩いてくる
しずかちゃんのパパとしずかちゃんを見守り、
誓いをたて、指輪の交換をし、誓いのキスというところで
のび太は失神してしまうものの、見てる側としては
「しずかちゃん」があまりにも可愛そうで仕方ない。

結婚式のメインとも言える部分を
全て大人になった子供ののび太と済ませてしまう。
おそらくはたった1度しかない結婚式だ。

子供ののび太が緊張する様がギャグになってるのは分かるものの、
見てる側としては「大人ののび太」が
なぜ逃げたかどうかが気になって仕方ない。

ちなみに、おばあちゃんは過去でずっと待機している。
色々なことを宙ぶらりんのまま進めてしまうため、
その宙ぶらりんになってる部分が気になってストーリーに集中できない。

結局、披露宴になってから大人ののび太を探しに行くものの、
わざわざ「子供ののび太」に結婚式をさせるというためだけの展開であり
子供ののび太と結婚式をさせられたしずかちゃんが可愛そうで仕方ない。

逃げるなよ


画像引用元:『STAND BY ME ドラえもん 2』予告より
(C)2020「STAND BY MEドラえもん2」製作委員会

結婚式当日に「逃げる」からにはよっぽど理由があるからに違いない。
おそらくこの作品を見た人は大人ののび太が理由を語るまで
そう思っていたはずだ。
しかし、理由は「漠然とした不安」である(苦笑)

なにかドジをしたり、交通事故にあっていたとか、
道に迷ってしまってとか、誰かを助けていて遅れてしまった。
そういった「見てる側」が納得できる理由ではない。
自分なんかでいいのか、自分はしずかちゃんを幸せにできるのか。
いわゆる、マリッジブルーだ。

彼はすぐ戻るつもりで子供時代にきたというものの、
のび太たちが来ようと来ぬまいとすでに結婚式には遅刻しており、
ジャイアンたちやしずかちゃんも不安がっている。

しずかちゃんが結婚前夜で不安になる気持ちは理解できる、
彼女の不安をしずかちゃんのパパが解消する台詞は
名セリフだ。

「あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。」

結婚式当日に漠然とした不安で逃げ、遅刻して
友達や妻を心配させている「のび太」は
果たしてこの言葉にふさわしい大人なんだろうか?

名セリフすら台無しにするような大人ののび太の逃げた理由に
何1つ納得できない。

成長してない


画像引用元:『STAND BY ME ドラえもん 2』予告より
(C)2020「STAND BY MEドラえもん2」製作委員会

大人ののび太の元にはもうドラえもんは居ない。
それは彼が大人になった証であり、成長した証でもあるはずだ。
しかし、そんな大人になったはずの「大人ののび太」が
子供ののび太と「入れ替わりロープ」で入れ替わり童心に帰る。

このエピソード自体は原作の「45年後…」と構図は同じであるものの、
意味合いがまるで違う。原作では原作のタイトル通り45年後、
55歳になったのび太がやってきて小学生時代を楽しみ、
子供ののび太が漠然とした不安を55歳ののび太にぶつける。
そんな不安に対してこう答える。

「一つだけ教えておこう。きみはこれからも何度もつまづく。
でもそのたびに立ち直る強さももってるんだよ。」

自分から自分へのアドバイス、子供時代ののび太の不安に対する
大人になったのび太のアドバイスだからこその台詞だ。
ちなみに今作でそんな台詞はない。

しかし、今作では45年後ではなく15年後、25歳だ。
しかもマリッジブルー全開で結婚式前に考える時間がほしいと
「逃げて」きた。そんな大人ののび太に子供時代ののび太さえ
呆れるほどだ。

まったくもって大人になっていない。
あまりにも情けなさすぎる「大人ののび太」の描写に
不快感すら感じてしまう。
こんな、のび太と結婚するしずかちゃんが可哀相とすら思ってしまう。

そのままじゃだめだろ


画像引用元:『STAND BY ME ドラえもん 2』予告より
(C)2020「STAND BY MEドラえもん2」製作委員会

子供の姿になった大人ののび太が自由に楽しんでると
「中学生」に絡まれる。自分が子供の姿なのに、大人のように
彼は振る舞う様は滑稽であり、イキリまくる姿に苛立ちしか感じない。

中学生に追いかけ回され、追い詰められたところを
しずかちゃんに助けられ、ジャイアンやスネ夫にも助けられる。
一応、しずかちゃんを助けようと大人ののび太もなぐかかるものの、
そもそもの原因は大人ののび太の余計な行動だ。

子供時代のしずかちゃんに「のび太さんはそのままでいい」と
言わせるものの、このままでは明らかに良くない。
結局、彼が感じていた漠然とした不安がどの当たりで解消されたのか、
自分はしずかちゃんを幸せにできるんだと思ったのか。
そのあたりの描写が不足してしまっている。

「自分のせいで殴られそうになったしずかちゃんを助けたから」
という描写をしたいのかもしれないが、
自分のせいで殴られそうになってるしずかちゃんを助けて
自信を得たのならばとんだマッチポンプだ。

子供時代ののび太が情けないのはみんな承知の上であるものの、
大人になって、しかも結婚式当日にこんな様を見せられるのは
不快でしか無く、「なんでしずかちゃんが彼と結婚したのか」という
結婚前夜までの積み重ねを台無しにするような描写だ。

ついでにいえば「入れ替わりロープ」に余計な設定を追加することで
お得意の感動要素も追加している。

スピーチ


画像引用元:『STAND BY ME ドラえもん 2』予告より
(C)2020「STAND BY MEドラえもん2」製作委員会

すったもんだあった挙げ句、未来に戻り結婚式の披露宴で
大人ののび太はスピーチをする。
両親への感謝を述べるスピーチは確かに感動できるスピーチだ。
自分の両親やおばあちゃん、名前について語り、
しずかちゃんと幸せな家庭を築くことを誓う。

確かに感動でき、それを物陰から見てる「おばあちゃん」の姿にも
ぐっとくるものがある。しかし、
このスピーチで制作のドラえもんに対する愛の無さが
しみじみとわかってしまう。

大人ののび太は結婚式のスピーチで一切、ドラえもんの話をしない。
彼がここまで成長し、しずかちゃんと結婚できることになったのは
ドラえもんのおかげでもある。そんなドラえもんのドの字も出さない。
一言でもドラえもんに触れる部分があってもいいはずだ。
だが一切言及はない。

のび太は大人になっても一切成長しておらず、
そんなのび太のすべてを理解し受け入れるしずかちゃんの結婚式に
素直に祝福の拍手を送れぬまま終わってしまった。

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総評:上澄みだけ掬ってたほうがマシだった


画像引用元:『STAND BY ME ドラえもん 2』予告より
(C)2020「STAND BY MEドラえもん2」製作委員会

全体的に見て前作よりもひどい作品だ。
前作は90分でまとめ感動要素を後押しするための改変が目立ち、
そこが気になったものの「90分で分るドラえもん」としては
よくまとまっていた。

しかし、今作は原作のエピソードの改変どころか
ほとんど原型のない改変をし、「結婚式当日に逃げるのび太」の
エピソードを中心に描いてしまったせいで、
より監督や脚本家の「個」が出すぎてしまっている印象だ。

「大人になったのび太」と「子供ののび太」という二人のキャラを
使いこなせておらず、本来は大人になったのび太は
大人になったからこその精神的成長や子供ののび太に対する
アドバイスをすべき立場のキャラのはずなのに、
今作では子供ののび太に助けてもらいっぱなしだ。

「大人になったのび太」の印象を下げ、
そんな印象を下がったのび太でも全て受け入れてしまう
「しずかちゃん」の愛の大きさは感じられるものの、
自分からプロポーズしておいて結婚式当日に逃げちゃう大人ののび太に
終始、不快になってしまう作品だった。

個人的な感想:不快感


画像引用元:『STAND BY ME ドラえもん 2』予告より
(C)2020「STAND BY MEドラえもん2」製作委員会

本当に見ていて不快だと言う言葉が素直に出る作品だ。
前作は改変部分が気になったものの、不快ではなかった。
しかし、今作は明らかな不快感に満ちている。

おばあちゃんに本当に結婚式を見せるという部分は
素晴らしい改変だと思うものの、そこに至るまでの過程が
本当に不快感の塊であり、ドラ泣きどころの騒ぎではない。
しずかちゃんが可愛そうで泣いてしまっている自分がいる。

山崎貴監督が今後どんな作品を手掛けるかわからないが、
原作がないオリジナルの作品で好きにやってほしいところだ。

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