「同級生」レビュー

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映画
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評価 ★★★★★(80点) 全60分

あらすじ 高校二年生の夏、草壁光(くさかべ ひかる)は合唱祭前の練習中に、隣に立つ佐条利人(さじょう りひと)が歌わずに口パクしていることに気づいた。引用- Wikipedia

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ボーイズラブに溺れたい

原作は漫画な本作品。
監督は中村章子、制作はA-1Pictures
60分ほどの短編映画作品

雰囲気


画像引用元:『同級生』映画オリジナル予告編より
©中村明日美子/茜新社・アニプレックス

見出して感じるのは独特な雰囲気だ。
ギターが流れるBGM、夏を感じさせる蝉の声、
しっかりと描き込まれた少し古臭い「学校」という舞台、
その舞台にたつのは「男子高校生」だ。

決してインパクトのあるシーンやアニメーションの描写ではない。
だが「のめり込む」ような雰囲気の描写が素晴らしく、
ひょろっとしたキャラクターデザイン、二人の主人公を演じる
「神谷浩史」と「野島健児」の声と演技が
この作品の雰囲気の背中を後押ししている。

淡々と粛々と、だが、しっとりさを感じさせるような
そんな雰囲気がたまらない。
淡々と語るキャラクターのモノローグはまるで小説を読んでいるかのような
言葉の心地よささえ感じさせてくれる。
「神谷浩史」という声優だからこその声と演技力がたまらない。


画像引用元:『同級生』映画オリジナル予告編より
©中村明日美子/茜新社・アニプレックス

二人は同級生だ。歌が得意な男子と、歌が苦手な男子。
チャラっぽい金髪と真面目っぽい黒髪、
正反対とも言える二人が「歌の練習」をする。ただ、それだけだ。
高校生の日常、特別なことなんてなにもない。
しかし、そんな普通の日々から恋は生まれる。

いつ好きになったのかなんてわからない。
もしかしたら最初から、もしかしたらあの時から、
抑えきれない衝動がキスという名の行動になり、
自身の恋心を自覚する。

自身の気持ちが片思いとしってるからこそのふいの涙、
自身の感情を制御できない「恋」というもどかしさ、
そんなもどかしさから泣き、走り、叫ぶ彼は可愛らしい。

付き合うということ


画像引用元:『同級生』映画オリジナル予告編より
©中村明日美子/茜新社・アニプレックス

「相思相愛」と知ったときの互いの表情、
演技やセリフに思わずニヤニヤとしてしまう。
相手も好きだとわかったからこその責めっぷりは凄まじい。
だが付き合うということには問題もある。
男子校だからこそ正反対な二人は「噂」にもなり、それは互いの気まずさも生む。

そんな気まずさから関係がうまくいかないことがまさに「青春」であり、
青々しく瑞々しい二人の男子高校生の恋愛模様に悶える。
二人は相思相愛だ、それは二人も見てる側も分かっている。
だが、それを分かっているのにうまくいかないこともある。

そこにつけ込むように「先生」が入り込んでくる。
大人として、教師としての立場ではあるものの先生は彼の事を好きだった。
相手の気持も分かってるがゆえの「甘い誘惑」はずるいと思うほどの
色っぽささえ感じさせる。

そんな「甘い誘惑」から救い出すのも彼だ。
こじれた関係性を正すように、いつもの彼といつもの彼で向き合う。
少し強引な始まりだったからこそ改めて告白する。男同士なんて関係ない。
二人の関係性がきちんと正される中盤だ。

キス


画像引用元:『同級生』本編より
©中村明日美子/茜新社・アニプレックス

本当に毎回のキスシーンにニヤニヤしてしまう。
最初は衝動に、次は強引に、次はいたずらっぽく、次は思わず、また強引に。
毎回きちんとキスシーンのたびに二人の感情が変わっているのを感じさせるような
反応や表情の描写と演技がたまらない。

高校生の二人だからこそ将来や進路を考えることもある。
他に思いを寄せてくる女子が現れたりもする。
悩んだり嫉妬したり泣いたり叫んだり。
キャラクターの感情をしっかりと感じられるような演出と描写、
そしてセリフと演技がこの作品にはある。

思わず、ドキッとさせられる。
二人も見ている側も「ドキッ」っとしてしまうようなシーンが
淡々とした彼らの日常の中で描かれることで映画としての起伏を作っている。

キス、抱きしめ合う、触り合う。
そんな「肉体的接触」がエロスではなく二人の恋愛感情が
故の行動であることが伝わる。

将来


画像引用元:『同級生』映画オリジナル予告編より
©中村明日美子/茜新社・アニプレックス

高校生の二人だからこそ進路があり、そこには不安もある。
そんな不安を隠すように互い互いなことを言えない。
自分たちだけでは解決できない、どうしようもないこともある。まだ高校生だ。

二人の関係性を知った友人の反応も生々しく、
そんな友人が居たからこそ自分自身を見つめ直すきっかけにもなる。
長い長い自問自答、そんな自問自答は見ている側の胸も締め付ける。
1度途切れてしまっても、また結べばいい。

彼は電車に乗れない。酔いやすく受験に失敗してしまった過去もある。
だが、受験に失敗してしまったからこそ彼に出会い「同級生」になることができた。
失敗が必ずしも悪いことに繋がるわけではない。

「どういう風に生きても後悔する時はあるし、逆に得るものもあると思ってる」

しかし、今は2人が別れるという選択肢はない。
終盤の「キス」は思わず笑い、思わずうるっと泣いてしまうほどのキスだ。
キスを何度も描いた作品だからこそ、そんなキスで二人の感情の変化と
恋の深まりを最初から最後まで描いた作品だった。

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総評:紛れもない青春ラブストーリー


画像引用元:『同級生』映画オリジナル予告編より
©中村明日美子/茜新社・アニプレックス

全体的に見て綺麗にまとまった60分だ。
ボーイズラブという男性同士の恋愛模様ではあるものの、
高校生な二人だからこその甘酸っぱくまっすぐでもどかしさを感じさせるような
ラブストーリーはときにニヤニヤし、ときに胸を締め付けられ、
ときに涙を流してしまう。

二人のキャラクターの描写も素晴らしく、正反対とも言える二人が
恋に落ち、キスをし、付き合い、喧嘩し、仲直りをしキスをする。
たったそれだけの60分とも言えるのだが、その60分を
この作品は本当に丁寧に描いている。

「草壁光」の無邪気さと「佐条利人」への思いは可愛らしく、
「佐条利人」も最初はツンツンとした感じではあったものの、
そんな彼が終盤で「草壁光」に自らキスをするシーンは
もう笑いながら泣いてしまうような素晴らしいシーンだ。

将来や進路に迷い、そんな悩んでる中だからこそすれ違うこともある。
だが、そんなすれ違いがあったからこそより深まった二人の関係性が
本当にたまらなくニヤニヤしてしまう。
二人がこの先どうなるかは60分という尺の中では描かれていないものの、
それでも二人は大丈夫だろうと家事させる愛を感じさせる作品だった。

個人的な感想:やばい


画像引用元:『同級生』映画オリジナル予告編より
©中村明日美子/茜新社・アニプレックス

ギターの音やBGMでの演出も非常に素晴らしく、
兎にも角にも「雰囲気」に飲まれる作品だ。
その雰囲気を後押しする声優さんの演技も本当に素晴らしく、
「神谷浩史」さんのときに無邪気でときに強引でときに素直な演技は
本当に素晴らしいものがあった。

ボーイズラブ作品ということで見ていない人もいると思うが、
今回に限りこの言葉を使いたい。
私に「騙された」と思ってちょっと見てみてほしい。
「ボーイズラブ」というジャンルに対する印象が変わってしまうような
甘酸っぱい青春作品を60分たっぷりと味わえるはずだ。

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