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鳥山明ワールド全開!「SAND LAND」レビュー

SANDLAND 映画
SANDLAND
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評価 ★★★★☆(75点) 全106分

【原作:鳥山明】映画『SAND LAND(サンドランド)』90秒予告【2023年8月18日(金)公開】

あらすじ 人の行為と天変地異によって、世界のほとんどが砂漠となった世界。引用- Wikipedia

鳥山明ワールド全開!

原作は2000年に連載、及び完結した
「鳥山明」先生による漫画作品。
監督は横嶋俊久、制作はサンライズ、神風動画、ANIMA。
フルCGアニメ映画として制作された。

世界観

映画の冒頭から非常にわかりやすい世界が描かれている。
砂漠で覆われた世界で水を運ぶ兵士、
この冒頭のシーンだけでこの世界において水は貴重であり、
わざわざ運ばないといけない世界観であることを伝えている。

そんな兵士の車を「悪魔」である主人公たちが襲い、水を奪っていく。
場面が変わると砂漠の中の村では井戸が枯れ、
テレビでは「王」が水を高値で売りつけるショッピング番組が放送されている。
水を奪ったはずである悪魔も、水を人間の子供に分けている。

わざわざ説明をしなくとも、ナレーションで解説しなくとも
この作品の世界観がきちんと「見て」伝わるようになっている。
砂漠に覆われた世界、水が貴重な世界、実は人間に優しい主人公、
圧政を敷いている王と苦しめられている民。
この世界観の描写のうまさが自然とこの作品の世界への没入感を高めてくれる。

主人公のキャラクターもなんとも可愛らしいキャラクターだ。
悪魔であり、人間からは恐れられている存在だ。
だが、その実態はただの「子供」だ。
自分ではとんでもなく悪いことをしているつもりでも、
ただのいたずらレベルだったり、歯を磨かないだけだったり。

彼らは人に対していたずらをしかけることはある、
だが、決して殺しはしない。
誰かの命を奪うことに対して彼らは強い抵抗感があり、
人間同士が戦争で同じ種族の命を奪い合うことにドン引きすらする始末だ。

鳥山明先生といえば「ドラゴンボール」を浮かべる人が多いはずだ。
この作品はそんな「ドラゴンボール」でいえばZでも超でもなく、
本当に初期の頃のドラゴンボールの雰囲気を彷彿とさせる。
レッドリボン軍のような悪い奴らがいて、そんな悪い奴らを主人公が倒す。
命の奪い合いなど決してしない、Dr.スランプアラレちゃんの頃と
初期のドラゴンボールの雰囲気が入り混じったような世界だ。

本来、悪魔と人間は協力関係ではない。
悪魔にとって人間は悪さをする対象であり、
人間たちはそんな悪魔を恐れている。
だが、悪魔も人間も、この世界では等しく「水がない」立場だ。

人間であり「保安官」であるラオとともに、
彼らは幻の泉を目指すところから物語が始まる。
映画の冒頭できちんと世界観を描き、
そして丁寧に物語の起承転結の起を描いている。

きちんと主人公である「ベルゼブブ」の愛らしい魅力も感じることができ、
自然と物語への期待感が高まっていく。

完成されたセルルックCG

最近の東宝が手掛けるアニメ映画には3DCGを用いたものが多い。
過去にドラゴンボール映画で戦闘シーンの一部がCGで
描かれていたときは、いかにもなCG感が強く、賛否両論だった。
そこから作品をおうごとにCGのクォリティは上がっている。

スラムダンクもそうだが、同じドラゴンボール映画でも
去年のドラゴンボールスーパーヒーローで
CGの技術の進歩を感じていたが、この作品のCGのクォリティは群を抜いている。
いわゆるセルルックCGとよばれるアニメ調のCGでこの作品は描かれている。

海外のどこかフィギュアをそのまま動かしているCGと違い、
セルルックCGは日本のアニメ絵をそのままCGでえがき、動かしている。
だが、セルルックCGも作品によってはCG特有の
ゆらーっとした独特の浮遊感を感じるものや、
CGのテイストが強い作品も存在する。

しかし、この作品は違う。
恐ろしいレベルで完成されたセルルックCGは
アニメ調であると同時にフルカラーの漫画のようなテイストも残っており、
シーンによっては手書きの作画も混ぜつつ、
アクションシーンやよく動くシーンではCG特有の
スピード感のある描写が際立っている。

特にアクションシーンは秀逸だ。
主人公であるベルゼブブは基本的に肉弾戦であり、
彼が人間相手に戦うシーンはきちんと「アクション」の
1つ1つと殴ったあとの表情をきちんとみせつつも、スローは多用していない。
流れるようなアクションシーンは心地よさすら感じさせてくれる。

終盤の彼の覚醒シーンの戦闘シーンは思わずにやけてしまうほどだ。
可愛らしい見た目と性格をしている主人公だが、悪魔の皇子だ。
悪魔の王子としての力を敵である虫人間相手にみせつけるシーンの
アクションシーンの完成度の高さは言葉では言い表せないほど
素晴らしい出来栄えだ。

多数の虫人間を凄まじい力で空中に殴りあげ、
そんな殴り上げた虫人間を空中で踏み台にしながら移動しつつ、
ハイスピードな戦闘シーンを繰り広げている。
このシーンでスローが使われていたら、私はここまで絶賛しなかった。
だが、一切スローを使わずに描かれる戦闘シーンにニヤニヤしてしまう。

ドラゴンボールで見てきた名戦闘シーンの数々、
そんな名戦闘シーンを思い起こさせるほどの素晴らしいアクションは
ニヤニヤとみていたのに、徐々に感動すら感じてしまうほどだ。

3DCGというものだからこそできるカメラワークも秀逸だ。
キャラクターを舐め回すように映しつつも、動かしすぎない。
構図やCGによる戦闘シーンの見せ方への強いこだわりを感じるような
カメラワークによって、より戦闘シーンの盛り上がりに繋がっている。

ラオ

この作品の主人公は悪魔である「ベルゼブブ」だが、
同時に人間の保安官である「ラオ」も、もうひとりの主人公だ。
彼はこの国の現状をよく思っていない、正義感にあふれる人間であり、
水を探すために、人間にとっては敵ともいえる悪魔と手を組んでいる。

この作品はベルゼブブの物語では有るのだが、
どちらかといえば比重としては「ラオ」に重きをおいている。
彼は過去に国のために「兵士」として働いて、
ときに人間を殺し、ときに魔物すら殺してきた。
それは自身の「正義」のためであり、人々のためとおもっていたからこそだ。

だが、戦争は彼から愛するものを奪ってしまった。
そんな喪失感が彼を兵士という役職から遠ざけた。
しかし、正義感は失われていない。
人々のために、民を守るために保安官という立場で
自身の正義感を満たしている。

しかし、そんな正義感を揺らがせる真実がこの度の中で多く彼の前に現れる。
人間から見た悪魔に対する偏見、それは多くが勘違いだ。
この世界の人間はなにか悪いことが起きると悪魔のせいにする、
しかし、彼らはいたずらはしても殺しはしない。

そんな悪魔たちの言葉や彼らの行動を旅の中で見ていくことで、
彼の中での偏見が消え、徐々に彼らを信頼していく。
年齢も違えば、種族も違う。
だが、彼らは旅の中で互いを信頼し、仲間になっていく。

この微笑ましい関係性の構築にニヤニヤさせられてしまう。
この作品に「ヒロイン」と呼べる存在は居ない。
モブキャラを除けば女性キャラはラオの奥さんくらいであり、
しかも写真でしか出てこない。

非常に「男臭い」作品だ(笑)
余計な恋愛要素も一切ない、BL的な要素もない。
ただ悪魔の2匹と一人の人間が水を求めて旅をする。
このシンプルな男臭いストーリーがたまらない。

そして、そんな男臭さの象徴が「戦車」だ

オールドパンツァー

3人は序盤をすぎると国王軍から戦車を盗み出すことに成功している。
この戦車のディティールは素晴らしく、
細かい動きから内装までしっかりとデザインされており、
「鳥山明」さんが描く戦車らしいコロッとした魅力があるデザインだ。

そんな戦車で暴れ回っているのがこの作品だ(笑)
序盤と終盤こそベルゼブブの肉弾戦が描かれるが、
中盤はほぼ戦車による戦闘シーンばかりであり、
映画の予告やキービジュアルからは想像できないほど、
この作品は「戦車」を中心になっている作品でも有る。

実質ガールズパンツァーだ(笑)
あの作品も戦車というものを題材にしていたが、
そんなガルパンの東宝版、いや鳥山明版といいたくなるほど
戦車による戦闘シーンにワクワクしてしまう。

たった1機しかない戦車。
そんな戦車で、時に航空機のような戦闘機と戦い、
時に4機の同型戦車と戦っている。

例えば航空機なら、相手は空の上にいる。
彼らが乗っている戦車の砲台は真上には向かない、
ならばどう戦えば良いのか?ベルゼブブである(笑)
人間には到底持ち上げることはできない戦車を彼が持ち上げ、
無理やり砲台を上に向け、空母を撃ち落とすシーンは3人の
信頼関係があってこその戦闘シーンだ。・

そして終盤の4機の戦車との戦闘シーンは
本当にガルパンを見ているような戦車同士のワクワクする戦闘シーンだ。
たった1機しかない戦車でどう挑むのか、もうワクワクが止まらない。
ときに逆光をいかし、ときにベルゼブブの悪魔だからこその聴覚の良さをいかし、
ときに砲台の長さの違いを生かした接近戦で挑む。

3DCGだからこそグリグリと動き回る戦車の姿がシンプルにかっこよく、
同時に可愛らしいデザインだからこそ、そして「ラオ」が
不殺を心がけてるからこその戦闘シーンは、
戦車というものを描いているのに悲惨ではない。
これも競技だからこそ不殺なガールズパンツァーと似た要素だ。

完成されたセルルックCGで描かれた戦車による戦闘シーンは
本当に素晴らしく、予想以上に戦車の要素を押し出している。

ストーリー

ストーリー自体はシンプルだ、勧善懲悪であり、
悪いことを企んでいる将軍が過去から現在に至るまで、
様々なことをやらかしている。

なぜ、急に川の水がかれてしまったのか、
なぜ、ラオは妻を失わなければならなかったのか。
幻の泉は本当にあるのか、国王たちはどこから水を持ってきているのか。
序盤の謎が終盤、キレイに回収される流れは素晴らしく、
死人らしい死人もほぼ出ていない。

だからこそ、物語をすっきりと見終わることができる。
物語の起承転結がきちんとしており、100分ほどの尺があっという間だ。
短編の漫画を映画にしたからこそのストレートな面白さ、
そして「鳥山明ワールド」全開の本作品を
幕があがり、エンドロールの後まで楽しまさせてくれる。

本作品の映像はぜひ劇場というスクリーンで味わってほしい。
完成されたセルルックCGは一見の価値ありだ。

総評:ドラゴンボール?いや!ガルパンだ!?

全体的に見て素晴らしい作品だ。
サンドランドというタイトル通り水が失われた世界で、
悪魔と人間がそこに住み、あまり関係性の良くない2種族が、
協力して水を探す。

物語としてはシンプルでは有るものの、
そのシンプルな物語の中できちんとキャラクターを描写しており、
悪魔なのに子供のようなベルゼブブの可愛らしさと
戦闘シーンでの強さのギャップ萌えのような魅力と、
人間で元兵士のラオの悲しい過去とベルゼブブの影響で
変わっていく様子が物語の中核となり、それが結末にも影響している。

そんな中で光るのは戦闘シーンだ。
ベルゼブブの戦闘シーンは肉弾戦が基本であり、
まるでドラゴンボールのように動き回り徒手格闘で暴れまわるさまは
子供の頃に見たドラゴンボールの戦闘シーンのワクワク感を思い出させてくれる。

スローを多用せず、だが、きちんと止めるところは止めて
表情や技をみせつつも、動きはハイスピードに、
追いかけ回すようなカメラアングルで
爽快感あふれる戦闘シーンを作り上げている

ラオの戦闘シーン、戦車のシーンは秀逸だ。
まるでガールズパンツァーを見ているかのような
グリグリと動く戦車の描写、そして戦闘の展開の仕方は、
本当に見ていてワクワクしてしまう。

ベルゼブブのニヤニヤとできる戦闘シーン、
ラオのワクワクとでる戦闘シーン、この2つがキレイにあわさっており、
王道なストーリーを盛り上げてくれている。

本当に完成度の高い作品であり、
ドラゴンボールやDrスランプアラレちゃん、
「鳥山明」作品が好きな人ならば間違いなく楽しめる世界観が
この作品には在り、そこにガールズパンツァーの要素まである。
なんて贅沢な作品だろうか(笑)

この映像美を、悪魔と人間の物語を、
ぜひ劇場で味わってほしい

個人的な感想:宣伝

この作品の興行収入はあまり伸びていない、
鳥山明さん自身がメッセージにそう残してしまっているほど、
思ったよりも伸びていない作品だ。

しかし、見た人の評価は高い。実際私も物凄く楽しめた作品だ。
はっきりといえば、予告映像やキービジュアルからは
この作品の面白さが伝わりきれていない。
宣伝がこの作品の最大の欠点だ。

いわゆる「芸能人声優」もいない。
声優さんはほぼベテランで固められており、若手のアイドル声優もいない。
宣伝として際立つ要素が「鳥山明」という漫画家の名前くらいなもので、
原作自体も2000年のものと20年以上前の作品だ。

内容自体は物凄く面白く、映画としての完成度も高いのに、興行収入が伸びない。
ドラゴンボール超のTVアニメもとっくに終わっており、
流れで宣伝することもできていない。

もう少しうまい宣伝方法はなかったのだろうか?と思うほど、
宣伝がこの作品の最大の欠点になってしまっている。
あまりにももったいない作品だった。

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