「ギヴン」レビュー

3.0
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青春
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評価 57点 全11話

あらすじ 高校生にして優れたギターの腕前をもつ上ノ山立夏は、高校で佐藤真冬が持っていたギターの弦を張り替えたことが切っ掛けで、真冬からギターを教えてもらうように頼まれる引用- Wikipedia

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この作品はもどかしさでできています。

原作は漫画な本作品。
監督は山口晃、制作はLerche
ノイタミナ枠で放映された。

出会い


画像引用元:ギヴン 1話より
©キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

1話冒頭、気だるささえ感じる始まり方だ。
何やら思い過去がありそうな茶髪な少年と、
気だるそうで眠気マックスの黒髪の少年。
そんな二人が学校の階段の踊り場で出会う。
「ギター」がきっかけで二人の関係性が始まる。

きちんと1話の冒頭で二人の出会いを描くことで
風たりの主人公の印象をしっかりと付け、物語への期待感を強める。
丁寧な画作りとキャラクチャーの見せ方を感じる1話冒頭は
普段アニメを見ない人をも対象にしている「ノイタミナ枠」らしい
一歩ずつ踏みしめるような物語の導入だ。

良い意味でアニメアニメしておらず、突飛な要素がないことで
すんなりとこの作品の世界観に入り込むことができる。
ギターを持ってるのにギターについて何も知らない少年と
ギターを愛する少年、「ギター」をきっかけに始まる物語に
「音」は欠かせない。

きちんと臨場感のある妥協のない「音の圧」を感じさせる楽器の音、
この作品がバンドアニメであることをしっかりと感じさせる
演奏シーンの音とアニメーションは一気にこの作品の世界飲まれるような
魅力溢れる描写だ。

淡々


画像引用元:ギヴン 3話より
©キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

序盤は凄く淡々とストーリーを進めている。ギター初心者である「佐藤 真冬」に
ギター経験者でありバンドも組んでいる「上ノ山 立夏」がギターを教える。
序盤はそれだけだ(笑)
そんな日常系アニメのようなほっこりとした空気感の中で
丁寧にギターを上達するさまを描いている。

こういったバンドや部活物の場合、急に上達する作品もあるが
この作品は本当に1歩ずつ丁寧に描いている。
やや地味な印象を受ける部分はあるものの、
そんな地味な日常の中で描かれるからこそ「きっかけ」が際立つ。

互いに不器用だからこそ、そんな不器用な二人が不器用なりに
コミュニケーションをとりつつも、徐々に歩み寄り、
互いを知っていき、そんな中でぶつかり合うこともある。
表現するのが苦手だった彼が「歌」という表現を彼に褒められたことで、
バンドを始める。

この作品はバンドアニメであると同時にBLアニメでもある。
不器用なコミュニケーションを積み重ねる中で恋愛感情が生まれていく。
恋愛における「過程」を繊細に描いている作品であり、
それゆえに話のテンポはやや悪いものの、そのテンポの悪さは
良い意味での「もどかしさ」のもつながっている。

バンドやろうぜ


画像引用元:ギヴン 4話より
©キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

BLアニメではあるもののバンドアニメ、音楽アニメとして
きちんと細かい部分まで描かれている。
上達ていく様や「フェーダー」を買う展開など、
バンドやギターをヤッたことある人ならば「あーこういうときあったなー」と
ひしひしと思えるような懐かしささえ感じさせてくれる

そんなバンドの中でも恋愛関係は描かれる。
二人の主人公は徐々に仲良くなってることを感じさせ、
同じバンドの二人は片方に長年片思いをしている。
そんな彼の心の声という名のモノローグを余すことなく見ている側に見せることで
彼の可愛らしささえ感じる片思いはこれまた良いもどかしさを感じさせる。

「この恋愛はどうなってしまうんだろうか?」という
先のストーリーへの期待感を中盤でしっかりと感じさせる。

過去


画像引用元:ギヴン 3話より
©キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

中盤になってくるとキャラクターの過去が明らかになってくる。
非常に重苦しい過去だけに、そんな重苦しさがバンド内に漂うことで
キャラクターたちの表情も暗く、どんよりしたものになっていく。
相手のことが好きになってしまったからこそ素直に過去を聞けず、
過去を話すこともできない。

そんな行き場の思いを彼らは音楽で表現する。
時には自らの恋心を曲にし、時には自らの行き場のない想いを歌詞にする。
前半までは「モノローグ」でわかりやすく見る側にも心の声を伝えていたが、
後半からは逆にそんなモノローグを減らし、風景や曲などの演出、
そして表情で登場人物たちの言葉に出来ない思いを表現している。

「男」を好きになる、同性を好きになることに対して悩むこともある。
自分の感情を認めても良いのか、これは本当に恋心なのか。
だが、人生の先輩である彼らが彼を肯定し受け入れることで、
彼も自分自身の初めての感情を受け入れ始める。

過去の思いに決着をつけ今と向き合う。
4人のバンドメンバーがそれぞれ複雑な恋心や過去を抱え、
それに向き合っていく。
この作品は1クールかけてそういったキャラクターの感情と変化を
繊細に描いている。

丁寧すぎる


画像引用元:ギヴン 8話より
©キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

ただ逆に丁寧にやりすぎてくどくなってしまってる部分もある。
特に「佐藤 真冬」が終盤で歌詞づくりに悩むのだが、
どれだけ悩んでるんだといいたくなるほど悩みまくってしまっており、
それだけならともかくライブで披露する前にできていないにもかかわらず、
「今回は歌無しで行く」と言われると反論する。

歌詞ができていないのは彼自身のせいであり、
そこに反論するのはちょっとお門違いであり、
本来はもう少しさらっと描かれる部分も丁寧にやりすぎてしまったがゆえに
妙なくどさが出てしまっている感は否めない。

本来は9話での初ライブは1クールのアニメならば
6話くらいでやるような山場だ。この作品は全11話であるものの、
終盤になってようやく初ライブであることを考えても
ややストーリー進行の遅さは気になるところだ。

丁寧に描かれているのはこの作品のいいところでもあるが悪いところでもある。
TVアニメの後に劇場アニメの発表もあり、
そういった前提で原作のストーリーを構成してまっており、
原作で言えば3巻の中盤くらいまでの内容をアニメ化している。

1巻あたり4話ペースでアニメにしており、
そのあたりがやや冗長になってしまっている要因だ。
ややポエミーなセリフも相まってこのあたりは好みが分かれるポイントでもある。

停滞から


画像引用元:ギヴン 11話より
©キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

1クールかけて彼らは停滞していた現状から動き出す。
過去を決別し、鬱蒼とした何かを振り払い、自分の感情を表に出し
ぶつけられるようになる。それはバンド活動として本格的な始まりともいえる。
非常に平和な1クールのラスト、原作はまだ続いているものの
話の区切りとしては非常にスッキリとした部分で終わっており、良い余韻が残る。

同じバンド内の他の二人の恋愛事情や付き合い出した二人の今後など
気になる部分はあるものの、ゆっくりと1クールかけて描かれた物語としては
ほどよいラストであり、続きが気になる方は綺麗に原作や劇場版に
入っていけるような綺麗なストーリー構成になっている作品だった。

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総評:きれいに描かれた1クール


画像引用元:ギヴン 9話より
©キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

全体的に綺麗にかつ丁寧に描かれた1クールだ。
出会いから、そこから恋愛感情をいだき、過去を知り、付き合う。
このベタともいえる恋愛ストーリーの流れを繊細に描き、
重い過去という停滞から付き合うという一歩前に進む二人の主人公の変化を
きちんと感じられる作品になっている。

ただ、その反面で丁寧に描きすぎてしまっている部分も多く
終盤の主人公が悩んでる時間がやたら長かったりとくどくなっていたり、
丁寧に描きすぎたせいで物語のテンポがやや悪くなってしまっており、
物語のピークも9話でそのあとの展開も重要ではあるものの、
映画をやることを前提のストーリー構成になってしまっている。

映画が60分、約2話分ということを考えると
本来は1クールで描くこともできたはずだ。
キャラクターもストーリーも作画も良いものの、ストーリー構成だけが
足を引っ張ってしまっている感じが否めず、
1クールのTVアニメではなく2時間位の映画のほうが
この作品の良さがもう少し引き出せたのでは?と感じる作品だった。

付き合った後の面倒くさい感じや複雑な恋愛事情になる前の
きれいな所でストーリーが終わった区切りの良さは良かったものの、
作品全体に漂う「もどかしさ」を見てる側がどう感じるかで
評価が分かれそうな作品だ。

個人的な感想:しっくりとこず


画像引用元:ギヴン 7話より
©キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

個人的にはこの丁寧に積み重なりながら恋愛感情をつのらせ
ハッピーエンドになるストーリー自体は楽しめたものの、
どうにもしっくりと来ない感じが強い作品だった。

もどかしさを出すためのテンポなのは分かるが、
ちょっともどかしすぎて話がぜんぜん進まない感じも強く、
9話のライブシーンもアニメーションとしての描写は素晴らしく
盛り上がったのだが、感動するところまでは感情がついていかなかった。

あの9話が7話ないし6話くらいにあって、
映画でやる話も含めて全12話くらいのストーリー構成にならば
名作になった作品かもしれない。
そういった意味も含めてもどかしさがつきまとう作品だった。

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