青春

キズナアイを出せ「絆のアリル セカンドシーズン」レビュー

1.0
絆のアリル セカンドシーズン 青春
©KA/絆のアリルPJ ©絆のアリル製作委員会
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評価 ★☆☆☆☆(15点) 全12話

TVアニメ「絆のアリル」PV第2弾/2023年4月3日放送開始!

あらすじ これは、少女たちが“絆”でつながる物語。バーチャル世界に彗星のごとく現れ、瞬く間に人気となったキズナアイ。彼女は「バーチャルグリッドアワード」の頂点・ラピンドールに5年連続輝いた後、突如として姿を消した引用- Wikipedia

キズナアイを出せ

本作品は絆のアリルのセカンドシーズン。
監督は駒屋健一郎、制作はWIT STUDIO SIGNAL.MD

続き

セカンドシーズンはファーストシーズンの最終話直後の話だ。
5人でユニットを組み、5人とも
「バーチャルグリッドアワード」の予選を通過した段階だ。

個人的な話になるがファーストシーズンから
セカンドシーズンの間に3ヶ月ほどの時間が合ったせいか、
話の内容の8割くらいを忘れてしまっており、
主人公以外のキャラもほとんど記憶の彼方だ。

さらっとファーストシーズンを見返すことで
ようやく思い出すことができたが、
ファーストシーズンは内容が薄い作品だった。
過疎VTuberだった主人公がキズナアイに憧れ、
VTuber養成所に入り、仲間たちとともに切磋琢磨する。

ストーリー的には王道なのだが、
テンポの悪さも合って中身が薄いと感じてしまう作品だった。
そんなファーストシーズンからのセカンドシーズンだ。
なぜ「キズナアイ」は失踪したのか。
ファーストシーズンから気になってる部分は果たして描かれるのか。

本線

「バーチャルグリッドアワード」の予選を通過した彼女たちは
本戦に挑むことになる。
ファーストシーズンではコラボ配信によるポイントの調整などがあったが、
本戦になると「ユニット配信」による審査が始まる。
誰と組んでも良い、何人で組んでも良いという条件が提示される。

メインキャラの5人はすでにユニットを組んでいるが、
他のキャラはユニットを組んでいないものも多い。
そんな中でセカンドシーズンからは1話の段階で
どばっとキャラが出てきて、メインキャラたちを勧誘し始める。

メインキャラの5人でさえ掘り下げが甘く印象も薄いのに、
セカンドシーズンで更にキャラが増えると、
余計にキャラクターの印象が薄まるだけだ。

しかも追加キャラも多い。
10人くらいのキャラがどばっとセカンドシーズンで
追加されており、一人ひとりの自己紹介もろくに無い中で
テロップで名前を出されても記憶に残るわけもない。

男だ!

メインキャラたちのライバルといえるキャラたちの
ライブシーンもサクッと描かれる。
ファーストシーズンの最終話のライブシーンもクォリティが高かったが、
セカンドシーンではライブシーンのクォリティも
最終話のライブのクォリティを保っている。

ただ、ライブシーンのクォリティが高いのは良いのだが、
フルCGの硬さや白飛びしてるほどのキャラの白さは
かなり気になるところで、明度をあげることで
クォリティを高く魅せているだけにも見えてしまう。

そこは評価したいものの、
ろくに印象に残らない新キャラのライブシーンをいきなり見せられても
特に感情が揺さぶられるわけでもなく、
ライブシーンよりもライバルユニットの中に「男性キャラ」が
居ることの方に驚きを感じてしまう(苦笑)

そんな驚きの中でメインキャラが揉める。
せっかく5人で予選を通過したのに、
もっと個人個人の力を高めるためにも、可能性を増やすためにも
「他の人」とのコラボやユニットを検討し始める。

面倒くさい遠回りなストーリー展開になっているだけで
「面白い」ストーリー展開ではない。
1度5人を別のキャラを絡めることで、
セカンドシーズンからのキャラを掘り下げようという
脚本家の意図のほうを全面に感じてしまう。

5人のうちの一人がコラボどころか
別のユニットに所属したりと、色々とトラブルも巻き起る。

ファーストシーズンまではバーチャルの世界では
女性キャラクターである「久遠」の正体が、
主人公が頼っている男の先輩であることも
セカンドシーズンでは主人公に明らかにしている。
いわゆる「ネカマ」である(苦笑)

バーチャルという要素を活かしている部分ではあるものの、
それが面白みに変わっているかと問われると別だ。

キズナアイ

ファーストシーズンでもキズナアイの登場時間は10分以下であり、
失踪の謎はそのままだったが、
セカンドシーズンでも似たような感じだ。
過去のキズナアイの映像がいきなりでてきて主人公に問いかけたりと、
彼女の精神的な支えにはなっているが失踪の謎は明らかにならない。

そんな謎のほうが気になってる中で、
ファーストシーズンよりも「キズナアイ」の出番は増えている。
これがちょっと意味不明だ。
なにかに迷ったりすると主人公はキズナアイの映像を見て、
己の中のキズナアイと対話をしだす(苦笑)

もはやキズナアイがイマジナリーフレンドになっており、
そんなイマジナリーフレンドなキズナアイとの会話で
主人公は現状を乗り越えていく謎の展開を見せられる。

キャラ多すぎ

メインキャラのうちの一人が別のユニットに行ったことで
他の4人にも焦りが生じる。
それぞれが自分と向き合って成長する。
ファーストシーズンと各話の流れはかわらない。

ただ、ファーストシーズンは同じ曲の使い回しだったが、
セカンドシーズンでは同じ曲の使い回しではない。
そのあたりで改善点は見られるものの、
内容の薄さは変わらない。

色々なキャラ同士のコラボライブが行われ、
新キャラの掘り下げも行われるものの、
メインキャラでさえファーストシーズンで印象がついていないのに、
セカンドシーズンで増えたキャラの印象付けも
行えていない印象だ。

ゲームをしたりコラボ対決をしたりしているが、
いつまでたってもセカンドシーズンからの
キャラの名前を顔が一致しない。

しかも、神経衰弱をやったりと、どうでもいいゲームが多すぎる。
そんなことよりキズナアイの失踪問題はどうなったんだと
いいたくなるほど、どうでも良すぎるゲームがあまりにも多く、
そんな面白みにかけるゲームやコラボライブを中盤はひたすら見せられる。
心底どうでもいい感じが常につきまとう

雑にキャラをだし、雑にゲームをし、
雑にキャラを掘り下げ、雑にライブをする。
ストーリー全体がキャラ数の多さに振り回されている、
ソシャゲ原作アニメのような状況だ。

ようやく…

セカンドシーズンで本戦に進むキャラクターたちが、
それぞれの悩みや掘り下げを行いつつ、
ようやく20話でユニットが固まる。
脱退したり別ユニットに入ったりするものの、結局、最初のユニットで固定されている。
20話までのストーリーが何だったんだと思うほどの展開だ。

各ユニットが本戦への準備に勤しむ中で、
主人公たちのユニットはまだ曲もできていない。
そんな中で「学園側」も動き出す。

AIである学園長と同じく学園に努めているエイダ。
AIである学園長は「繋がり」を求めているが、
キズナアイと同じくラピンドールに輝いたエイダは
「個」の強さを求めて対立している。

エイダの存在感は立ち位置的に本来は強いキャラクターのはずなのだが、
セカンドシーズンからのキャラも多いせいで、
いまいち何がしたいのかよくわからないキャラクターだ。
せっかく曲やパフォーマンスが完成したのに、
エイダは「個」を求めるがゆえにデータを勝手に削除してしまううえに、
ログアウトもできなくなる(苦笑)

このエイダの目的が一切わからない。
彼女は自らの理想を実現させようとしているようなのだが、
その理想もふわっとしており、
そもそも肝心の「キズナアイ」はどこへ行ったんだといいたくなる。

この作品は「絆」をテーマにした作品だ。
「個」を求めるエイダはある種のヴィランであり、
そんな個を求めるエイダに絆の力で立ち向かうという
ストーリーにしたいのはわかるが、掘り下げが甘いせいで
そのストーリーの面白さがまるで描けていない。

エイダと他のキャラクターのつながりや会話も少ないうえに、
ファーストシーズンといいセカンドシーズンといい、
大会に妨害行為をしまくるエイダがなんのお咎めもないのは違和感しか無い。

どこいったんだよ!

そんなエイダの妨害行為で楽曲データや様々なデータを
削除され主人公たちは本戦に挑めない中で、
セカンドシーズンで出会ってきた仲間たちが
彼女たちを助けてくれる。絆の展開だ。
困難を絆の力で乗り越えてライブをこなして終わりだ。

結局、キズナアイの謎は謎のままだ。
本当に最初から最後までそれを引っ張るだけ引っ張って
何も明かされることはない。

何がしたかったんだと思うほど無意味な要素でしかなく、
ファーストシーズン同様に結局は
「キズナアイ」はただの客寄せパンダであり、
新人声優にVTuberの皮をかぶせてアイドルアニメをやっているだけだ。

ライブなども開催されるようで、
アイドルアニメ的な展開をしたかったのはわかるものの、
結局はほとんど話題にもならず、キャラクターの印象も残らず、
1週間後には全て忘れていそうな作品になってしまった。

総評:VTuberブームの終わり

全体的に見て「VTuber」そのもののブームの終わりすら感じた作品だ。
VTuberというものを題材にし、そんな養成所に通う
少女たちの王道の物語を描いてはいるものの、
VTuberという要素を活かしきれておらず、デザインも没個性で、
曲の記憶も残らず、内容の記憶も残らない。

今や3万人以上居ると言われるVTuberだが、
ほとんどのVTuberは既存のVTuberのマネごとでしかなく、
多くのVTuberが消えていく。生き残るのはわずかでしかなく、
大手の事務所に居ないと生き残れない。

この作品で誕生した15人のVTuberたちも
おそらくは1年か2年そこらでプロジェクト自体が無くなりそうだ。
公式YouTubeチャンネルの再生数も3000再生あればいいほうで、
登録者も1.6万人ほどしか居ない。

色々な企業がVTuberを生み出してはいるものの、
どこもうまく行っていない。
そんな色々な企業と同じく、この作品もうまく行かずに
終わってしまった印象だ。

キズナアイの名前を使って15人のVTuberをアニメの中で
生み出し、YouTubeでも活躍させたかったのはわかるが、
結局、企画倒れに終わってしまっている。
やりたいことはわかるものの、すべてを生かしきれていない。

VTuberという要素も、キズナアイという要素も、
15人のVTuberたちも何もかも活かしきれず、
消えゆく作品になってしまった。

ファーストシーズンではまだキズナアイの行方が気になる部分があったが、
セカンドシーンではそれを描かないことが中盤を過ぎたあたりから
如実に感じられてしまい、もう最後の方は惰性で見てしまっていた。

2クールも尺があるのだから15人のVTuberを
活かすことは難しくはないと思うのだが、
そんな尺を活かしきれずにどうでもいいゲームをしたり、
同じような展開ばかりを繰り返しており、
キズナアイといいエイダといい結局なんだったんだという
要素があまりにも多すぎる。

もう少ししっかりとしたストーリーがあれば
評価も違ったかもしれないが、
本当に酷い作品だった。

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