「化物語」レビュー

4.0
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青春
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評価 70点 全15話

あらすじ 高校3年生の阿良々木暦は春休みにとんでもない『事件』に巻き込まれて以来、人とは少しだけ異なった部分があった引用- Wikipedia

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蕩れ

原作は西尾維新のライトノベル、
TVでは全12話放送され後にWEBにて13~15話配信されたが
2009年7月放送開始し、最終話の配信は2010年6月となり
約1年もの時間がかかった。
監督は新房昭之、制作はシャフト

意味ありげ


画像引用元:化物語 1話より
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

1話冒頭から「意味ありげ」な映像のオンパレードだ。
少女のパンチラ、血まみれで倒れている女性、アロハシャツの男。
主人公の「過去」が1話冒頭で断片的に描かれ、
主人公の身に何かが起きていたことを視聴者に見せる。

そこから少女が空から舞い落ちる。あーなんてベタな展開だと言わんばかりだ。
まるで鉱山で働く少年が空から落ちてきた少女を抱きかかえるように、
この作品の主人公もまた羽のような軽さの少女を受け止める。
堕ちてきた少女、「戦場ヶ原ひたぎ」には体重と呼べるものがない。

この作品は「会話」で構成されている。
まるで原作の本をそのまま読んでいるかのような主人公による語りの多さは
この作品の特徴でもある。自身も秘密を抱えた主人公は他人に本来は興味がない。
だが「戦場ヶ原ひたぎ」を受け止めたがゆえに彼女の秘密が気になる。

なぜ彼女には「重さ」がないのか。

怪異


画像引用元:化物語 2話より
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

彼女は「蟹」に出会い重さを奪われた。
この作品の世界には「怪異」と呼ばれるものが存在する。
それは時に人の噂や都市伝説で生まれ、時に人の心の弱さにつけこみ取り付く。
戦場ヶ原ひたぎという少女もまた「おもし蟹」に襲われた。

怪異とは人間が居るからこそ生まれる存在だ。
言い換えれば人間が望むなにかの欲望の果に生まれる存在と言っても良い。
彼女は自身の体重を奪われたものの、それは彼女が「なにか」を願ったからだ。

怪異を払うため彼女は儀式へと挑む。怪異に囚われてしまったのは理由がある。
「おもし蟹」に自身の重いと思いを押し付けることで
彼女は心と体の身軽さを手に入れた。
怪異を払うためには自身と向き合わなければならない。

自身と向き合ったからこそ、自らの中の怪異を取り払うことができる。
この作品はそんな「怪異」に囚われた少女と少年の物語だ。
少女たちは囚われている、蝸牛に、猿に、縄に、猫に。

怪異に囚われた彼女たちに何かしらの問題があり、
そんな彼女たちと毎話接し、彼女たちの悩みや問題を解決することを繰り返す。
ある程度、話はパターン化しているものの、魅力的なヒロインは可愛らしく
そんなヒロインとの会話劇が癖になる。

会話劇


画像引用元:化物語 7話より
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

この作品は会話劇だ。
長くまどろっこしいセリフ、そんなセリフの応酬を演出で見せている。
舐め回すようなカメラアングル、意味ありげな背景、癖のある演出の数々、
単純な会話劇を「魅せる」画作りにすることでこの作品だからこその雰囲気を生み、
癖になる会話劇が描かれている。

キャラクターがセリフを言っているのに顔や口を映さず
「アホ毛」の動きで表す、アニメーションとしてみていて面白い絵づくりだ。
文字、実写、様々な「シャフト」と「新房監督」らしい演出は
人によって好みが分かれる部分ではあるものの、
そんな好みの分かれる演出が「化物語」という作品の世界観を作り上げている

キャラクターを演じている声優さんたちも実力派ばかりだ。
長台詞が多く、セリフ量も多く、感情的になる台詞も多い。
だからこそ神谷浩史、斎藤千和、堀江由衣、櫻井孝宏、加藤英美里、
沢城みゆき、花澤香菜、喜多村英梨、井口裕香と
きちんと演技ができる方がキャラを演じることでキャラクターの魅力を強めている。

キャラクターとしての個性が強く、そんなキャラクターがオムニバス形式で
一人ずつ2話ないし3話かけて掘り下げて描くからこそ
一人ひとりの印象がしっかりと深まる。

戦闘シーン


画像引用元:化物語 8話より
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

主人公である阿良々木暦は吸血鬼の力を持っている。
それゆえに不死身に近い再生能力も持っており、時には怪異と戦うこともある。
自身の体のことを気にせずに戦う戦闘シーンはグロテスクの極みであり、
平気で骨折し、安易に体に穴が空き、血が吹き出す(笑)

治癒能力があるからこそのめちゃくちゃとも言える戦闘シーンは
スピーディーに展開し、目まぐるしく動き、人体破損が起きる。
鮮烈さ極まる戦闘シーンはゾクゾクとした魅力を感じさせる。

彼が治療能力を持ってるからこその容赦ない人体破損の描写だ。

戦場ヶ原ひたぎ


画像引用元:化物語 12話より
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

主人公と序盤で恋人同士になる「戦場ヶ原ひたぎ」はツンデレ的なキャラクターだ。
過去に男性で怖い思いをし、母親とはうまくいかなかった。父親は仕事ばかりだ。
心を閉ざし、怪異に囚われていた。

そんな彼女にとって「阿良々木暦」は自身を救ってくれた王子様のような存在だ。
不器用な戦場ヶ原ひたぎは不器用なりに彼に思いを伝え、恋人同士になる。
不器用なコミュニケーションの中で「恋人らしい」事をしようとする姿は
本当に、本当に可愛らしい。

彼と彼女の初デートは思わず涙腺を刺激されてしまう。
彼女は彼女自身が持ってるものをすべて彼にぶつける。
自分の中で彼に与えられるすべてを晒すことで自分自身をすべて見せる。
過去のトラウマがあるがゆえに「阿良々木暦」という人間を失うことが怖い。
そんな怖さが不安を生む、だが、阿良々木暦は彼女の手を掴む。

甘酸っぱい青春恋愛模様はこの作品には欠かせない。
主人公である「阿良々木暦」をめぐるヒロインの恋の物語もある。

羽川翼


画像引用元:化物語 1話より
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

恋心はこじらせれば、それは人の弱さになり、怪異を呼び寄せることになる。
「阿良々木暦」に対し恋心を抱き、だが叶わなかった。
彼のことを好きだという欲望、思いが通じない絶望、奪いたいという渇望
奪えないという失望。

彼は羽川翼ではなく、戦場ヶ原ひたぎを選んだ。彼はぶれない。
魅力的なヒロインは多くいるのに、この作品の主人公はハーレムを選ばず、
なぁなぁにもせず、たった一人の女性を選んでいる。

行き場のない恋心を怪異の姿で吐き出す。
なぜ私の恋心に気づかないのか、なんで私の恋に応えてくれないのか。
あなたの心を奪えないなら、手に入らないならば殺してしまえばいい。
だが、殺すことは出来ない。1度好きになってしまったのだから。

それぞれの少女たちの物語が描かれきった1クールは
1つの作品を見た満足感をしっかりと感じさせる作品だ。

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総評:まったくもって、どいつもこいつも本当にひねくれてるよな


画像引用元:化物語 12話より
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

全体的に見てこの作品は癖全開の作品だ。
シャフトの新房監督だからこその会話劇を盛り上げるための演出の数々は、
新房監督らしさ全開であり、それが苦手な人もいる。
だが、この演出が合ってこその「化物語」だ。

ストーリーは怪異というものはでてくるものの、
一人ひとりが内面と向き合う物語だ。
自分自身と、自分の存在を、自分の悩みときちんと向き合うことで
怪異が彼女たちから離れていく。

1つ1つ物語がそれぞれのキャラクターを象徴しており、
一人ひとりのキャラクターの印象がしっかり残る。
可愛らしいキャラクターは多いものの決してハーレムではなく、
主人公が選ぶのはたった一人の女性だ。

サスペンス、ファンタジー的な要素も多い作品だが、
この作品は紛れもない青春物語だ。
思春期の少年少女が家族に、自分に、未来に、恋に悩み立ち向かう。
だからこそひとりひとりのキャラクターに愛おしさを感じてしまう。

化物語シリーズの原点たる作品であり、
この作品に「蕩れ」てさえしまえば、このあとのシリーズもきっと楽しめるはずだ。

個人的な感想:10年ぶり


画像引用元:化物語 9話より
©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

約10年ぶりに見返した作品だったが、ものすごく楽しみながら見てしまった。
色褪せないキャラクターの可愛さ、ストーリー、演出の面白さ、
シャフトと新房監督らしさのつまった化物語という作品は
10年経っても間違いなく面白い。

続きのシリーズも見ていないものも多いので、
これを機会に見てみたいと思う。

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