評価 ★★★★☆(68点) 全105分
あらすじ トランスフォーマーたちの故郷であるサイバトロン星で繰り広げられる戦いを舞台に、若かりし頃のトランスフォーマーたちの友情とトランスフォーム(変形)能力の起源を描き出す。
引用- Wikipedia
最高の前日譚
本作品は『トランスフォーマー』シリーズ最新作となる
3DCGアニメーション映画。
監督はジョシュ・クーリー、制作はパラマウント・アニメーション。
トランスフォーマー
トランスフォーマーは、非常に長い歴史を持つシリーズだ。
日本ではアニメシリーズの印象が強い方も多いかもしれないが、
実写映画シリーズも展開されており、
世界的にも大人気シリーズの1つとなっている。
本作品は、そんな『トランスフォーマー』シリーズの
フルCGアニメーション映画だ。
過去作とのつながりがあると言えばあるのだが、
いわゆる「前日譚」として描かれており、
本作単体でも楽しめる独立した作品になっている。
私個人としては、TVアニメと実写映画の3作品目くらいまでは
見た記憶がある、という程度の知識で本作品を鑑賞している。
機械生命体
トランスフォーマーはいわゆる「機械生命体」だ。
彼らは意思を持ち、それぞれが「変形」する。
それこそがトランスフォーマー最大の特徴でもある。
しかし、主人公である「オライオン・パックス」は変形することができない。
変形機能を持たない彼は、地下で危険なエネルギー採掘を行う
「労働者」として働いている。
自らの立場、環境に不満を抱えながらも、
彼らは日々の労働の中で友情を深めている。
オライオン・パックスは変形できないことに劣等感を抱きながらも、
それでも希望を捨てず、どこまでもまっすぐだ。
そんなコミカルなキャラクター描写と、
滑らかなフルCGアニメーションの相性が非常にいい。
見ていてシンプルに心地よく、
吹き替え声優陣の演技もキャラクターへの愛着につながっている。
トランスフォーマーたちの世界、
機械生命体たちが暮らす世界の作り込みもしっかりしている。
導入自体は非常にシンプルだ。
だが、その背後には40年以上続くシリーズの厚みと歴史を
感じさせるだけの世界観がある。
オライオン・パックスたちは、
「マトリクス」と呼ばれる重要な存在を失ったことで、
危険な採掘作業を強いられている。
彼はその現状を変えたいと思いながらも、
変えることができない。
そんな中、彼はある事件をきっかけに、
ほとんど誰も足を踏み入れない地下深くへと落とされてしまう。
プライム
この世界には、伝説的なトランスフォーマーである
「プライム」と呼ばれる存在がいる。
しかし、彼らはかつて敵に襲われ、
マトリクスもプライムたちも失われてしまっている。
現在は、リーダー的存在である「センチネルプライム」が
地上でマトリクスやプライムたちの捜索を続けているものの、
いまだ見つけることができない状況にある。
そんな中、オライオン・パックスは地下で
プライムの一人に関する情報を見つけてしまう。
ずっと地下で暮らし、地上の光景すら知らなかった労働者たち。
地上に出た彼らは、そこで世界の真実を知ることになる。
物語は非常にシンプルだ。
このあらすじだけでも、ある程度ストーリーを予測できてしまう部分はある。
そして実際、その予想通りに物語は進んでいく。
だが、それでいい。
本作品は奇をてらった作品ではない。
王道を王道として、真正面から描いている作品だ。
その王道のストーリーを、
テンポのいいアクションとコミカルなやり取りを交えながら描くことで、
一人ひとりのキャラクターに自然と愛着が湧いてくる。
裏切り
彼らがリーダーと信じていた「センチネル」は裏切り者だった。
プライムたちを罠にかけ、彼らを殺し、
自らが支配者となろうとしていた存在だ。
本来、トランスフォーマーが変形機能を持たずに生まれることはない。
だが、センチネルはその変形機能すら彼らから奪っていた。
彼らの人生そのものが否定される。
自分たちが劣っていたわけではない。
最初から奪われていたのだ。
この事実を知ったとき、D-16の中には怒りが生まれる。
その怒りは当然だ。
知らなければ、彼らは知らないまま働き続けていた。
奪われたことすら知らず、支配され続けていた。
その一方で、オライオンたちはプライムから力を受け継ぎ、
ついに本当の意味でトランスフォーマーとなる。
まるで少年漫画のようなシーンだ。この展開がたまらない。
初めてのトランスフォームに戸惑うコミカルな描写もありつつ、
そこから一気にアクションへとつながっていく流れが本当に素晴らしい。
爽快なアクション、コミカルな掛け合い、
そして王道のストーリーが見事に組み合わさっている。
力
だが、力を持つことで変わってしまうものもある。
力がなかったからこそ変えれなかったもの。
力がなかったからこそ諦めていたもの。
それらは、力を得たことで変えられるものになってしまう。
力は希望だ。
その希望を叶えるために力は必要なのかもしれない。
だが、その希望が必ずしも誰かにとっての正義であるとは限らない。
D-16は力を得たことで「復讐」を誓う。
奪われたものを取り返すだけではない。
奪った者を許さない。
その怒りが、彼を突き動かしていく。
だが、オライオンは違う。
力を得ても、力を得る前と同じように希望を抱き続ける。
現状を変えたい。だが、それは復讐のためではない。
だからこそ、彼は多くの人に選択を与える。
このまま真実を覆い隠し、働き続けるのか。
それとも真実と向き合い、立ち上がるのか。
トランスフォーマーの正義のリーダーとなる男の姿が、
この時点ですでに描かれている。
前日譚
王道だからこそ、キャラクター描写の秀逸さが光る。
そして前日譚だからこそ、若かりし彼らの
血の気が多く、無鉄砲で、まだ何者でもない姿がたまらない。
この作品単体としてもきちんと成立している。
同時に、トランスフォーマーシリーズの前日譚としても、
しっかりと機能している。
終盤のアクションシーンも素晴らしい。
フルCGだからこその自由でハイスピードなアクション。
特にトランスフォーム機能を得てからの、
変形を繰り返しながら戦うアクションは見応えがある。
ガチャガチャとパーツが動き、
姿を変えながら敵を翻弄する。
このメカニカルな気持ちよさは、
まさにトランスフォーマーだからこそのアクションだ。
ときおりスローを混ぜることで緩急も生まれており、
フルCGだからこその外連味もしっかりある。
バンブルビーのはしゃぎっぷりも素晴らしい。
重くなりすぎる物語の中で、
彼の存在がいい意味で空気を軽くしている。
終盤
終盤の展開は非常に印象的だ。
正義を貫こうとするオライオン。
復讐を遂げようとするD-16。
友達だった2人が、決定的に対立してしまう。
同じ真実を知り、同じ怒りを抱えたはずなのに、
選んだ道はまったく違うものになっていく。
その果てにある犠牲。そして復活。
2人のリーダーが生まれ、2人の友情は袂を分かつ。
本作品は、非常に王道な物語だ。
しかし、その王道をフルCGアニメーションの迫力と、
キャラクターの魅力、そして前日譚ならではの切なさで
しっかりと見せ切っている。
なぜオプティマスプライムは正義のリーダーになったのか。
なぜメガトロンは復讐と支配の道へ進んだのか。
その始まりを描く物語として、本作品は非常に良くできている。
シンプルで、わかりやすく、熱い。
そして最後にはきちんと切なさが残る。
『トランスフォーマー』をあまり知らなくても楽しめる作品であり、
シリーズを知っていればいるほど、
若き日の彼らの選択に胸を締め付けられる作品だった
総評:最高の前日譚
全体的に見て王道の前日譚として、非常に満足度の高い1本だった。
トランスフォーマーを知らない人も楽しめる作品になっていると同時に、
過去に1度でもトランスフォーマーシリーズを見ていればより楽しめる。
「前日譚」だからこその魅力がしっかりとある。
フルCGだからこそトランスフォーマー同士のアクションがたまらず、
ガチャガチャと音を立て変形しながら戦うさまは
まさにトランスフォーマーシリーズの魅力そのものだ。
シンプルに見ていて気持ちいアニメーションだ。
そんなアニメーションで王道のストーリーを盛り上げてくれる。
「起承転結」がきちんと強調されたストーリーは
シンプルなわかりやすさ刈り、先の展開を予測できるものの、
予測できるからこその終盤の展開では思わず声が漏れるほどの
衝撃的展開と復活劇がある。
トランスフォーマーが好きな人も、そうでない人にも
おすすめしたい作品だ。
個人的な感想:久しぶりの
実写の3作目以降は全く見ていないため、
久しぶりのトランスフォーマーシリーズだった。
この作品が上映されてるときは、実写映画と勝手に勘違いしており、
配信が始まってからフルCGアニメだと気づいた(笑)
あくまで前日譚であり、前日譚の続編というのは
あまり聞かない話ではあるものの、
この前日譚の続編はぜひ見てみたいと感じさせてくれる作品だった。



