「100日間生きたワニ」レビュー

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映画
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評価 ☆☆☆☆☆(8点) 全63分

あらすじ 桜が満開の3⽉、みんなで約束したお花⾒の場に、ワニの姿はない。引用- Wikipedia

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死体蹴り

原作はTwitterで連載していた4コマ漫画作品。
監督は上田慎一郎、ふくだみゆき、制作はTIA

死体

原作を知らない人に軽く説明すると、この作品の原作は
2019年12月から100日間、1日1回ツイートに投稿された作品だ。
1ツイートにつき1日、作中でも時間が経過し、
タイトル通り100日あとにワニが死ぬ。

病気になっているわけでもいないワニがどうして死ぬのか。
「死」を匂わせることで「ワニ」の何気ない日常が際立ち、
彼の儚い恋愛愛情や友達との関係性が1日ずつ描かれることで
何気ない日々の大切さを感じさせる作品だ。

死は唐突に訪れる、その唐突に訪れる死に対する日常の大切さを描いている。
それがTwitterという媒体、リアルな100日間という時間の経過が
より見ている側の感情移入を誘い、多くの人の心を掴んだ作品だ。

ただワニが死んだ100日目のあとに露骨なキャンペーンが展開された。
書籍化は納得だが、今作の「映画化」や、いきものがかりが歌を歌ったり、
コラボカフェやグッズなど大量に一気に展開されることで、
それまでTwitterという無料の媒体で連載していたものだからこそ、
余計に最終回あとの「お金」の匂いに多くの人が嫌悪感を感じてしまった。

電通などが絡んでいるのではないかなど色々と嘘か本当かわからないような
情報も出てきてしまい、いわゆる「ステルスマーケティング」的な匂いも
漂わせてしまい、結果として露骨なキャンペーンの多くが失敗した。
もう少し丁寧に色々と商業的に展開していけばよかったものの、
一気に見せてしまったことで多くの人がドン引きしてしまった作品だ。

ただ、作品自体は決して悪くない。描きたいことも分る。
だが、この作品はお金の儲け方を失敗してしまい
「100日後に死ぬワニ」というコンテンツ自体が死んでしまったといってもいい。

そんなワニが死んで約1年とちょっと、すこしだけ遅れた一回忌。
この映画化の出来次第ではもしかしたら、「100日あとに死ぬワニ」という
コンテンツが蘇る可能性もあったかもしれない。

100日目

この作品は映画化に伴い原作から
「100日間生きたワニ」にタイトルが変わっている、過去形だ。
原作を読んでいた人が多いからこそ、ワニがどのように死を迎えるか知っている。
だからこそ、この作品は100日目からスタートする。

この仕掛自体は悪くない。
最終話のあの「花見」から始まり、ワニのあの事件が起き、
彼がもっていたアルバムをめくるように1日目に戻り、
過去を振り返るような演出で物語が始まる。

ワニを演ずる神木隆之介さんは最初は合ってない感じがあったものの、
中盤くらいではその違和感も消え、ネズミを演じる中村倫也さんの
演技と声はネズミとマッチしており、
冒頭のこの100日目のシーンに関しては期待感があった。

以上がこの作品で評価できるポイントだ。
これ以外はない。

ぐだぐだ

原作が4コマだけに話を膨らまさなければアニメにしづらい部分はあるものの、
その膨らませ方がお粗末だ。
同じセリフを繰り返したり、台詞と台詞に妙な間をあけたりすることで
露骨な尺稼ぎをしている。

本当にわかりやすく尺稼ぎだ。
キャラ同士の「無言」の時間があまりにも長く、次の台詞があるのかと思いきや
シーンが切り替わるようなことも多く、グダグダだ。

何回見せるんだ?と思うほど特にクォリティが高いわけでもない作画による
「景色」を何度も何度も見せられる。
キャラクターたちの動きも最低限であり、身振り手振りと瞬きと口の動きくらいだ。
映画という大きなスクリーンで見る価値はない。
1番動いているのは「舞い散る桜の花びら」くらいだ。

バイクで走るというシーンでさえ「背景」を動かすことで
動いているふうに見せかけているだけであり、疾走感もクソもない。
終始グダグダだ。
好意的に捉えれば行間を読ませるような演出と言えなくもないが、
好意的に捉えられる限界を超えるほどの間延びっぷりはあくびもでない。

時系列

原作では1日4コマで時間がすぎていった。
「現実の時間」というのがこの作品の仕掛けの1つでも有り、
その現実の時間の経過があるからこその良さがこの作品にはあった。

それだけにわたしは最初、映画化と聞いたときは冗談なのか?と思ったくらいだ。
その当時は映画の尺自体はわからなかったが、90分や2時間の上映時間で
原作のあのリアルな時間経過を演出できるのだろうか?という疑惑が強く、
TVアニメならば週1放送で7日間ずつ時間を経過させて三ヶ月くらい放送する
事もできるだろうになどと感じていた。

だが、蓋を開ければそんな疑惑が吹っ飛ぶようなとんでもないことが起きてしまった。
上映時間はなんと「63分」である。エンディングを除けば約1時間ほどだ。
そう考えると1日あたり36秒くらいで時間が経過することになる。
この尺が公表された時点で、多くの人はこの作品が見る前から失敗していることを
感じていたにちがいない。

しかし、いざ本編を見てみると更にとんでもないことが起きている。
地震と雷と火事が同時に起きたような自体だ。
実はこの作品は100日目から更に100日後のエピソードも描かれている、
そのエピソードの尺が約30分だ。

つまりは原作のあの100日間をわずか「30分」ほどで描いている。
もう情緒もクソもない。この作品の良さ、魅力、面白さというのを
あえて台無しにしているのか?と思うほどの逆張りっぷりだ。
1日「約18秒」で過ぎていく。とんだ100日ワニRTAである。

序盤こそ丁寧に描かれているのだが、2月など5分くらいしか無い(苦笑)
ワニの恋愛模様など現実的な時間をかけたからこそ
あの淡い恋愛模様にも魅力があったのに、台無しだ。

最終話まであった「100日後に死んだワニ」という作品の魅力を
ここまで台無しに出来るのかと思うほどの死体蹴りだ。
最終話のワニの死を見てもなんの感情も湧いてこない、
悲しさも寂しさもない。ただただ無だ。

感情を失ってしまったのかと思うほどの虚無感を味わえる。
だが、そんな感情を失った状態に入り込んでくるのが「カエル」だ。

100日後

60分の尺のうちの半分は100日後の話だ。
ワニを失った彼らの物語、この100日後の物語はネズミが主人公といってもいい。
友達を失った喪失感、何もやる気が起きず、ただ日々を消化する。
あの何気ない日々がいかに大切だったかを噛み締めている。

これだけ書くと「お、なんかいい話だな」と思うかもしれない。
だが、勘違いしてはいけない。決していい話などではない。
こんないい話に入り込んでくるのが映画オリジナルキャラの「カエル」だ。

彼はセンパイやモグラなどにうざ絡みしてくる新参者だ。
非常にうざい、うざすぎて嫌悪感といらだちとストレスで
冗談抜きで映画館から出ようと思うほどのキャラクターだ。

初対面でいきなり馴れ馴れしくまくし立て、相手が明らかに嫌がっているのに
何度も誘いに来る。出会ったばかりの女の子にすぐ告白し、
明らかに相手が「拒絶」しているのにも関わらずグイグイくる。
彼らがワニの死から約三ヶ月でまだ彼の死を受け止めきれていない状況で
そんな新参者がきてもうざいだけだ。

一応、カエルには「友だちが欲しい」という理由がある。
カエルも彼らと同じように友人を失い新天地で気持ちを切り替えようとしていた。
それは分るものの、そんなカエルに対する同情よりもカエルに対する
ストレスが余裕で勝ってしまい、最後まで彼を好きになれない。

最終的にはそれぞれのキャラがワニの死を受け止めるものの、
「それでいいのか?」と思うほどの展開で終わってしまい、
まるでカエルがワニのかわりになるような展開は
見ている側がどう感情を処理して良いのかわからないまま、
ただただカエルに対する強烈なストレスだけが残る作品だった。

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総評:RTA100日ワニ

全体的に見て最低な作品だ。
「100日ワニ」というコンテンツ自体がいろいろな事情から死んでしまった中で、
そんな死体を蹴り倒すようなそんな気持ちになる作品だ。
友人の一周忌で墓参りしたら知らないやつが友達面して一緒に喪に服している、
そんなわけのわからなさまである。

原作の良さ、魅力、面白さ。そういったものを
アニメと言う媒体で表現しきれていない。
この作品で1番大事なのは「100日」という現実の時間だ。
そもそも映画という媒体に向いていない難しい作品であることは分るものの、
だからといって原作の内容を30分にまとめる必要はまるでない。

まるでワニの死というエンディングに最も早くたどり着くやり方をしているような、
ゲームのRTAを見ているような気分にさせられる。
それどころかエンディング後には謎の新キャラが既存のキャラの中に入り込んできて
最後には仲良くしている「気持ち悪さ」まで感じさせてくれる。
虚無からの苛立ち、そして気持ち悪さとマイナスな感情しか揺さぶられない。

原作に対しても失礼であり、63分という通常の映画より短い尺なのに
「1900円」という通常料金を取るスタイルにも苛立ちしかない。
最後の最後まで金の汚さを感じさせてくれる、ある意味で
「100日ワニ」というコンテンツの最後にふさわしい映画だったのかもしれない。

個人的な感想:シンプルにひどい

63分という段階でなんの期待もしていなかったが、
その期待0な状態から絶望の底に叩きおとされたよう作品だ。
ココまでひどいと誰が想像しただろうか。

余談だが、この作品は「今」見るならば最適とも言える作品かもしれない。
東京の居酒屋が90分で二人までなどと密を回避するための対策をしているが、
この映画もその対策をしているのだろう。
公開初日のお昼に行ったがわたしを含め「3人」しか観客が居なかった。
ソーシャルディスタンスに配慮されている映画だ(苦笑)

興行収入もかなり厳しいようで、なるべくしてこうなった感じのある作品ではあるが、
多くの人が想像した以上にひどい作品だった。

コメント

  1. 名無し より:

    「あれだけ見る人少ないなら行ってみようかな」とちょっと思ったがしなくて正解だった
    犠牲になってくれてありがとうございます