「クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱〜」レビュー

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映画

評価 ★★☆☆☆(28点) 全104分

あらすじ 春日部に古くからある中華街・アイヤータウン(哎呀街)にやってきたしんのすけ達カスカベ防衛隊引用- Wikipedia

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アミーゴの悪夢が蘇る…

本作品はクレヨンしんちゃんの劇場映画作品。
クレヨンしんちゃんとしては26作品目の作品となる。
監督は橋本昌和、制作はシンエイ動画。

なお、野原しんのすけを演じる「矢島晶子」さんが
2018年6月29日のテレビ放送をもって野原しんのすけ役を降板されたため、
この作品が矢島晶子さんにとって最後のクレヨンしんちゃん映画作品となった。
野原ひろし演じる藤原啓治さんも森川智之さんに変更されており、
徐々にメインキャラクターの世代交代が始まっているようだ。

子供の頃からクレヨンしんちゃんを見続けた身をとしては、
これが矢島晶子さんのクレヨンしんちゃんを見れる最後の作品だと思うと、
なかなか見出す決意ができなかった。

どうしたマサオくん

クレヨンしんちゃんにおける「マサオくん」といえばだめな男の代名詞である。
惚れた女には一切振り向かれず、他のキャラに比べて悲惨な目に合う事が多く、
弱虫な面もあり映画によっては裏切ることもある。
しんのすけからはとある映画で
「世の中の悪いことの全てはまさお君のせい」と断言された事もあるくらいだ。

今作ではそんな彼の様子がおかしい。
自信満々に歩き、顔はキリっとしており、いじめっ子にも毅然とした態度だ。
「クレヨンしんちゃん」という映画作品の中でここまで
彼が目立っている作品はなかなかないだろう(笑)
そんなクレヨンしんちゃん界隈きっての弱虫おにぎりが、
「カンフー」を始めていたことが発覚するところから
この作品は始まる。

ギャグアニメとカンフー映画のノリ、今までのクレヨンしんちゃん映画に
ありそうでなかった組み合わせだ。

カンフー映画

この映画は「ジャッキーチェン」の映画のようなカンフー映画のノリだ。
ある意味、パロディやカンフー映画における「お約束」といっても過言ではない。
カンフーの達人である老人がいて、そこに弟子入りして、
アクの強い地上げ屋が立ち退きを迫っていてと、
びっくりするほどカンフー映画のノリ全開でストーリーを進めてくれる。

本来の視聴者である子供はわかりやすいストーリーを理解しやすく、
一緒に見ている大人は「あ、これカンフー映画のパロディだ」と
気づくことができる。
大人と子供が違った目線ではあるものの楽しむことができる要素だ。

修行シーンも当然有る。
ただ、このあたりはギャグアニメ映画としての要素の重きをおいており、
ぷにぷに拳というクレヨンしんちゃんらしいカンフーアクションは
クレヨンしんちゃんとカンフー映画をうまく合体させた内容になっている。

今回の敵の目的は非常にわかりやすい。
ラーメンに依存度の高い成分を仕込み、
病みつきにさせ依存させてお金儲けをしようと企んでいる。
びっくりするほど分かりやすくシンプルな敵だ。

目的も行動もわかりやすい「悪」であり、
そんな悪に立ち向かうという構図は子供向け映画としては正解であり、
このわかりやすい敵はカンフー映画のお約束でもある。

同時に「ラーメンを食べた」人も敵になる。
理性を失い凶暴になったいつもの春日部住民が襲ってくるという構図は、
「クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ」を彷彿とさせる内容だが、
あの作品のような極端なホラーではない(笑)

マサオくん

今回の映画のマサオくんは一味違う。
カンフーを習って自身をつけたものの、彼には才能がない。
自分より後に習いだした「かすかべ防衛隊」の仲間たちには先を越され、
最初の技すらできない。

それどころか足を引っ張る。敵に捕まり、大事な情報をあっさりしゃべる。
いつもの「裏切りおにぎり」だ。
友達は強くなったのにマサオくんはいつものように怯えている。
今回はその「駄目なキャラ」という要素があえて強調されている。
どうせ僕なんか才能のない人間だと彼は嘆く。

かすかべ防衛隊を離れ彼なりの自己問答の末、
自分なりの答えを見つけた展開はこの作品における名シーンかもしれない。

唐突な中国

今回の舞台は春日部市なのだが、物語中盤で中国に行くことになる。
ただ、この中国への渡航が非常に唐突かつダイジェストで道中が描かれてしまい、
今までのクレヨンしんちゃん映画ならば「道中」の
敵との追いかけっ子や戦いが面白くもあったのだが、今回はその要素はない。

しんのすけたちが習っているカンフーの奥義を体得するためではあるのだが、
わざわざ中国に舞台を移す必要があったのか?と感じる部分もあり、
中盤辺りから強引な展開が目立つ。

シンプルなカンフー映画のノリを貫き通せば
素直に笑える名作になったかもしれないが、
終盤には「正義とはなんなのか?」みたいなシリアスな内容になってしまう。

橋幸夫

敵を倒したものの今作のヒロインの正義が暴走をする。
間違った力の使い方で己の正義を貫き通し、一般人にまで手を出してしまう。
「正義と悪は表裏一体」というよくある要素ではあるが、
それを描くにはあまりにも展開が雑だ。

終盤の10分で暴走したヒロインを一気に改心させるという流れは、
この作品を見ていない人でも「時間の短さ」がきになる所だろう。
しかも、手法が意味がわからない。
橋幸夫である。

もはや見ていない人にとっては意味がわからないだろう。
見ている私も意味がわからないのだが理解できないはずだ(苦笑)
春日部住民全員で橋幸夫のジェンカで踊り、敵を鎮める。
いきなり歌い出し、いきなり踊り、解決する。本当に意味がわからない。

かつてクレヨンしんちゃんでは「踊れアミーゴ」という作品で
サンバを踊って解決したストーリー展開があったが、
最低限、あの作品はアミーゴというのがタイトルに入っていたため、
納得できなくはなかった。

しかし、この作品はいきなり唐突にカンフー映画の世界で
橋幸夫の曲が流れて解決する。
正義と悪は表裏一体なんてテーマを出しておいて、
其のテーマの片付け方があまりにも雑でがっくりときてしまう作品だ。

総評:急にテーマを凝りだして失敗した

全体的に見て面白いのは前半までだ。
古き良きカンフー映画のノリとクレヨンしんちゃんというギャグアニメを
融合しつつベタだがテンプレートなカンフー映画ストーリーを展開していたが、
中盤以降は唐突に中国に行ったかと思えば戻ってきて橋幸夫の曲で終わる。
あまりにも雑すぎるストーリー展開は突っ込みどころしか無い。

しかも厄介なことに中盤以降、ストーリーを描くのに必死でギャグが減る。
クレヨンしんちゃんというのはギャグアニメだ。子供が笑えるのが大前提の作品だ。
そんなクレヨンしんちゃんという作品で「正義とはなにか?」という
難しいテーマをいきなり出してきて、シリアスにしておいて、
ぶん投げる展開は笑いにすらつながっておらず意味不明なまま終わってしまう。

もっとシンプルでよかったはずだ。
カンフー映画とクレヨンしんちゃんという要素の相性は素晴らしく、
辺に小難しいテーマを盛り込まずにシンプルに描けば、
面白い作品になったはずだ。

妙に凝ったテーマを盛り込んで結局、しっかりそのテーマを描けるわけでもなく、
雑な部分が目立ってしまう作品だった、
これが矢島晶子さんの最後のクレヨンしんちゃん映画になってしまったのが
本当に残念だ。

個人的な感想:踊れアミーゴをしたいなら僧侶を連れてこい

今作の脚本はうえのきみこさんだ。
この人は「クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃」も
手がけており、私は全く同じ感想を持った。
随所随所のシーンは悪くないのに雑な脚本家だ。

パニックホラー的要素をクレヨンしんちゃん映画にに入れたいのは分かるが、
サボテン大襲撃にしろ本作品にしろ「踊れアミーゴ」の足元にも及ばない。
あの狂気を再現したければ「僧侶になった脚本家」を連れてくるしか無い。
(踊れアミーゴは僧侶になった脚本家が脚本を手がけています)

作品としての要素は悪くないのに、それをうまく
自然な流れのストーリーにしきれていないというのが
わかりやすい感想かもしれない。
序盤の期待感が強かっただけに中盤以降は本当に残念な作品だ。

来年は野原しんのすけの声が変わってしまう。
昔からクレヨンしんちゃんを見てきた私にとっては、
見るを少し躊躇する作品になってしまうかもしれない。

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