「どうにかなる日々」レビュー

映画

評価 ★★☆☆☆(29点) 全54分

あらすじ

昔の恋人・百合の結婚式で出会った2人の女性のお話。 引用- Wikipedia

何秒サボテン見せるの?

原作は漫画な本作品。
監督は佐藤卓哉、制作はライデンフィルム京都スタジオ。

静かすぎる始まり


画像引用元:映画『どうにかなる日々』予告より
(C)志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会

冒頭、かなり静かな始まり方だ。
ギターの音と1枚絵、そこ出演声優や制作スタッフが映し出される。
水彩画テイストな1枚絵をひたすらに見せられるOPは
何の印象もなく面白みもない。

特にその1枚絵がなにかインパクトがあるわけでもなく、
奏でられるギターの音がなにか印象が残るわけでもなく、
映像的な面白さがあるわけでもない。

いつまで経っても本編が始まらない。
本来はエンドロールで流すようなスタッフの紹介を
ひたすらに見せられる冒頭は意味不明だ。

「あえてエンドロールを最初に持ってきた」ならまだ分かる。
だが、エンドロールはエンドロールで存在する。
そんなに制作スタッフの名前を見ている側に印象づけたいのだろうか?

ようやく退屈すぎるOPが終わり、1話目のタイトルが表示される。
「Happy」
約10秒、その文字を見せられる。
明らかな尺調整に冒頭の3分50秒間、萎えさせてくれる。
カップラーメンならすでにできて食べ始めている。

語り


画像引用元:映画『どうにかなる日々』予告より
(C)志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会

この作品はオムニバスだ。それゆえに各キャラに
「語らせる」ことで彼女達の状況や関係性を説明する。
その語りすら遅い。台詞と台詞の間に1間開けて読ませている。
そんな音響監督の声優さんに対する指示すら透けて見える演出は
冗長の極みだ。

おそらくは原作の空間、まったり感、ゆったりした感じ、
そういった「空気感」を出すためのテンポなのは理解できる。
だが、その演出が面白さにつながっていない。
ただひたすらにテンポが悪い。

まったりとした空気感を出すためにはテンポを悪くすればいい。
という手法が伝わってくるだけに、安易さが際立ってしまっている。

あたりまえ


画像引用元:映画『どうにかなる日々』予告より
(C)志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会

1話「Happy」で描かれるのはいわゆる「百合」だ。
主人公は昔、付き合っていた同級生の結婚式に参加し、
そこで出会った女性と意気投合し、恋に落ちる。

この作品はPG12だ。それゆえにそういったシーンも有る。
酔った彼女にキスをし、胸に触れ、ゆっくりと服を脱がし、
体中を撫で回す。ややセクシーさは感じるものの、
それが「売り」というわけではない。

むしろ別にこんなセクシーシーンはいらないのでは?と思うほど
中途半端すぎるセクシーシーンであり、
見ていて湧き上がるものがあるわけでもない。無意味だ。

サラッとしたセクシー描写はこの作品の世界での
「性的な当たり前」を暗喩したものであることは分かるが、
さらっとしすぎてて何の感情も湧き上がらない。

二人は過去の「恋」に思いを馳せる。
結婚してしまった過去の恋人、同じ人と付き合ってた二人、
そんな二人だからこそ分かる気持ち。
この作品で描きたいことは分かるものの、
致命的なまでの演出の悪さが際立つ。

過去の恋人のアルバムを見て彼女はそんなアルバムに顔を埋める。
主人公はそんな彼女をじっと見つめ無言になるシーンが有る。
そのシーンの後で我々が見せられるのは飾ってある「サボテン」だ。
11秒間、そのサボテンを見せられる。それの何が面白いのだろうか?
11秒間、サボテンを見せられる意味を知りたい。

場面展開すると主人公は彼女の首筋にキスをしはじめる。
11秒間サボテンを映した意味が生きてくるのだろうか?
意味がない。ただの尺稼ぎだ。無駄でしか無い。
テンポよく描けば悪くない話をテンポを崩すことで
「まったりとした空気感」を出そうとして失敗している。

結局1話の内容も過去の恋人という傷をなめ合い終わっただけだ。
百合カップルのなんてことのない普通の日々。
そんな当たり前をこの作品では描きたいのは分かるが、
だからどうしたといいたくなるような内容だ。

その話が終わると2話のタイトルが映し出される
「Go」
約9秒ほどまたこの文字だけが映し出される。
とっとと始めればいいのに、たっぷりと尺を使ってみせる。

BL


画像引用元:映画『どうにかなる日々』予告より
(C)志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会

2話目はBLだ。更に「先生」と「生徒」という関係性だ。
この話は特に地味だ。同性愛者であるものの生徒に手を出しはしない。
自分の中の欲望を抑えつつ、彼は日々を暮らす。

高校生が好きで、男子が好きだ。
ときに告白されることはあれど、そこから何かが始まるわけではない。
それ以上でもそれ以下でもない。

1話目のようなセクシーなシーンがあるわけでもなく、
「櫻井孝宏」さん演ずる「同性愛者の教師」の心情を楽しむしか無い。
エピソードとしては非常に地味で、地味なまま終わってしまう。
もう一歩なにか踏み込んでほしいのに踏み込んではくれない。

その話が終わると3話のタイトルが映し出される
「Lucky」
約9秒ほどまたこの文字だけが映し出される。

従姉妹


画像引用元:映画『どうにかなる日々』予告より
(C)志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会

3話目は従姉妹との物語だ。
年上の従姉妹は「AV」に出ており実家から勘当され、従兄弟の家に居る。
そんな彼女に戸惑う主人公だ。
小学6年生という思春期であるがゆえの困惑。

性というものに目覚めかけている年頃だからこそだ。
従姉妹がどういったことをしているか知っている、
「知識」はあり、興味はあれど、恥じらいが戸惑いを生み、
拒絶につながる。

幼いながらの性の目覚めと興味と恋。
大人へ変わりかけてる心と体を持つ主人公の物語としては
よく描けており、何の面白みもなかった序盤の2話に比べて
しっかりとした「話」の面白さを感じられる。

そして話が終わると4話のタイトルが映し出される。
「Dayz」
約9秒ほどまたこの文字だけが映し出される。
最後の尺調整が終了だ。

続編


画像引用元:映画『どうにかなる日々』予告より
(C)志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会

3話と4話は話が続いている。
主人公は進学し中2になったものの「従姉妹」がAVに出たという
噂は学園中に広まっている。彼にとっては嫌な噂でしか無い。

そんな彼をずっと思っているのは幼馴染だ。
彼の従姉妹にもあったことがあり、従姉妹の出演作も見ている。
幼い頃から彼を知っているがゆえに彼の変化も敏感に感じ、
彼が変化しても彼のことが好きだ。

そんな思いがなかなか通じない。
少し歪んでしまった彼、性に対しての拒否感が少し強まってしまった彼、
だが、そんな彼に対し彼女は優しく接する。
少しずつ、少しずつ、解きほぐすように。

ある種のトラウマにもなった従姉妹はのんきに結婚している。
複雑な乙女心、4話の主人公は幼馴染の彼女だ。
オチも含めて、この3話と4話の話は非常に素晴らしく、
演出の冗長さも感じない。

それゆえに1話と2話、そしてオープニングの演出が
足を引っ張っていた作品だった。

総評:映画じゃなければ…


画像引用元:映画『どうにかなる日々』予告より
(C)志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会

全体的に映画には不向きな作品だったように思える。
スクリーンに映えるようなアニメーションとして面白いシーンが
あるわけでもなく、ストーリーは地味。
54分という尺を稼ぐための演出や余計なシーンもかなり目立っており、
そのせいで作品本来の面白さや味が損なわれてしまっている。

前半の2話は物足りない部分があったが、
後半の2話はきちんとした面白さがあり、
テンポの悪さがなければもっと素直に
面白いと感じられた作品だったかもしれない。

それだけに映画ではなく1クール1話10分くらいのTVアニメとして
作られていれば作品の印象ももっと良かったかもしれない。
原作は全12話とちょうど1クール分あり、
1話10分ならば尺稼ぎする必要もない。

「映画」という媒体で54分で
この作品の4話分をアニメ化するという企画の時点で
失敗してしまっているような作品だ。
シンプルに「もったいない」と感じてしまう作品だった。

個人的な感想:期待はずれ


画像引用元:映画『どうにかなる日々』予告より
(C)志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会

「フラグタイム」と同じ監督だったため個人的には期待していたが、
OPの時点で萎えてしまい、サボテンを11秒見せられて落胆してしまった。
後半の2話は純粋に面白かったものの、
尺稼ぎが目立つ前半は内容も含めあまり評価しにくい。

本当にTVアニメとして制作されていれば
この作品の欠点がなくなる可能性が高いだけに、
残念な作品だった。

「」おもしろい?つまらない?

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