「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング」レビュー

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映画
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評価 ★★★☆☆(59点) 全96分

あらすじ ある雪の夜。ヒーロー社会を壊そうともくろむヴィラン・死柄木弔たちが、密かに「何か」を運ぼうとしていた引用- Wikipedia

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禁じ手を使って収拾つかなくなった!?

本作品は僕のヒーローアカデミアの劇場版。
僕のヒーローアカデミアとしては2作品目となる。
監督は長崎健司、製作はボンズ。

カーチェイス


画像引用元:『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』予告より
(C)2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会
(C)堀越耕平/集英社

冒頭から激しいカーチェイスだ。わたしの記憶が正しければ、
僕のヒーローアカデミアの本編で「カーチェイス」をやるシーンはなく、
映画だからこその激しいカーチェイスをしながら、
お馴染みのヒーローたちとヴィランたちが互いの個性をぶつけ合うシーンだ。

死柄木たちが運んでいた「ナイン」という人物。
冒頭から「映画オリジナルキャラクター」の存在感を際立たせることで、
否が応でも期待感をつのらせてくれる。
そしてシーンが切り替わり1-Aの生徒たちが
離島でヒーロー事務所を開きヒーロー活動をしているところが描かれる。

前作はまだ「オールマイト」が力を維持していたが、
今作ではすでに「オールマイト」の力は失われている。
前作はそんな力が残ってる状態からこそのシーンを描いたいたが、
今作は失われたからこそ次世代のヒーローである彼らに注目される。

前作ではほとんど活躍していなかったキャラにもスポットがあたっており、
離島には1-Aの彼らしかおらず、オールマイトなどは居ない。
だからこそ彼らの活躍に期待できる。

ナイン


画像引用元:『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』予告より
(C)2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会
(C)堀越耕平/集英社

今作の敵はある意味でラスボスだ。
リスク、規模こそ違うものの「ワンフォーオール」と同じ力を持っている。
ヒーローたちの個性を奪い、自分のものにする。
デクの師でもある「オールマイト」が苦戦し、傷つき、戦い抜いて
ようやく勝てた敵と同じ力を持つ存在だ。

そんな強敵が1-Aしかいない離島にとある目的のために訪れる。
相手が凶悪かつ強敵なヴィランであることを示唆し、
スムーズな流れで1-Aの生徒たちとぶつかる。
一人では決してかなない敵を彼らが協力して相手をする。

ヒーローとしてはまだまだ未熟な彼らだからこその協力戦だ。
一人ひとりがきちんと活躍する。
かつてオールマイトが苦戦した敵と同じ能力を持つヴィランが
「デク」に対峙する。映画だからこその緊張感溢れる展開だ。

一人ひとりが個性を活かし、強敵に挑む。
「ボンズ」らしいキビキビとした動き回る作画は目まぐるしく
状況が変化する戦況を妥協なく描いており、
思わず、比喩ではなく「手に汗握る」戦闘シーンだ。

助けて勝つ、勝って助ける


画像引用元:『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』予告より
(C)2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会
(C)堀越耕平/集英社

ヒーローは勝たなければならない、ヒーローは助けなければならない。
犠牲の果ての勝利ではない、助けて勝利しなければ意味がない。
例え限界でも限界の先へ「プルス・ウルトラ」。
まさにこの「僕のヒーローアカデミア」という作品が掲げているものを
この作品はしっかりと描いている。

1-Aの全生徒が限界の先へ、限界を越えた戦いを繰り広げる。
決して脇役ではない、全員が主人公とも言わんばかりの
一人ひとりのキャラクターの活躍はたぎらせる。

しかし、それでもかなわない。
追い詰めて追い詰めて追い詰めても、あまりに強敵すぎる敵だ。
「絶望感」、敵をこの言葉を評するのは賛辞だ。
主人公たちに相対する敵だからこその「絶望感」のある敵が
今作品には存在する。

一人ひとりが限界を超えても、デクと爆豪が限界を超えて戦っても、
一人の力を最大限以上に使ってもかなわない。
そんな敵にどう勝つのか。誰も想像できない、
あまりにも予想外な方法だ。

譲渡する個性


画像引用元:『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』予告より
(C)2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会
(C)堀越耕平/集英社

たった1つだけの方法、禁じ手だ。もはや禁じ手過ぎるといってもいい。
オールマイトの言葉が彼らに刻まれてる。
偉大なヒーローである彼の姿を見てきたからこそ、
どんな手を使ってでも勝って助ける。それがヒーローだ。

2つのワンフォーオール。オールマイトの力がなくなった今、
もう2度と実現しないと想っていた2つのワンフォーオールの存在。
デクが「爆豪」に自らの力を譲渡したからこその、2つのワンフォーオールだ。

デクという主人公が、個性のなかった彼が信じるともにすべてを託す。
同じ存在に憧れていた彼に、彼だからこそ全てを託せる。
二人の最後のデトロイドスマッシュ。

例えこの後、彼の個性が失われてしまっても、信頼している彼だからこそ
デクは全てを託せる。彼が最後に放つスマッシュ、
残り火が消えてしまう猫写は、儚い美しさすら感じさせる。

ん?


画像引用元:『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』予告より
(C)2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会
(C)堀越耕平/集英社

ただ、そんな主人公が犠牲にした方法のはずだ。
ヒーローになりたかったのに無個性だった少年が個性を手に入れ、
努力でここまで強くなった。しかし、そんな努力でもかなわない相手が
現れ、そんな敵にかつために自らが手に入れたものを失うことで勝利を得たはずだ。
代償の伴う勝利だからこそ感動できた。

しかし、何故か意味がわからないのだが「実は譲渡しきれてませんでした」という
クソほどに拍子抜けしてしまうオチになってしまう。
ワンフォーオールの奇跡だと言われても「いや、奇跡で片付けられても」と
ちょっとがっかりだ。

それならば「個性」というものがあるのだから、
状態を以前の状態に戻す個性などを劇場オリジナルキャラに持たせて
そのキャラに直してもらったりすればいいだけだ。

そもそも「ワンフォーオール」の譲渡も持ち主のDNAを
取り込まないといけないはずだが映画では握手というなの
傷口のこすり合わせというなんとも微妙なDNA取り込み。

譲渡してすぐに使いこなしているのも違和感が凄く、
「譲渡する」という展開を描くなら描くで、
もっとデクが戦えないくらいの状態になってしまって
時間をかけて譲渡する流れがあるならまだしも、譲渡してすぐに使いこなして
戦いまくるのは違和感を生んでしまっている。

展開としては物凄く熱い展開ではあり、これをやりたかったという
制作側の意気込みはあるものの、色々と勢い任せにやってしまった感が否めず、
ワンフォーオール譲渡の件を「爆豪」が忘れているのも意味不明だ。
せっかく話の進め方もうまく、熱く盛り上がる展開を描いたのに
その後処理の部分が「奇跡」で片付けられてしまうのは残念でならない。

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総評:奇跡の見せ方


画像引用元:『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』予告より
(C)2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会
(C)堀越耕平/集英社

全体的に見て前作よりもしっかりと劇場版の面白さがある作品だ。
1-Aのキャラクターの一人ひとりの見せ場をきっちりと作り、
「オールフォーワン」とほぼ同じ能力を持つ敵を相手にするという展開は熱く、
敵に勝つための手段もこの作品らしい熱く燃える展開だ。
努力・友情・勝利、まさにジャンプ映画だ。

しかし、そんな熱く燃える展開は良かったのだが、
その展開を本編に影響がない形で「リセット」するために、
「奇跡」という名のご都合主義を最後で使ってしまったのは本当にもったいなく、
奇跡は奇跡で別にいいが、ご都合主義にしか見せない奇跡は
がっかりしてしまう。

制作側がやりたいこと、魅せたいシーンをたっぷりと盛り込んだのはわかるものの、
話としてはやや強引すぎる展開になってしまっており、
もう少しうまくそこを奇跡なんてご都合主義ではなく、
解決するすべはなかったのだろうか?と感じてしまう。

作品としてはしっかりと面白く、僕のヒーローアカデミアという作品が
好きならば楽しめる作品に仕上がっているものの、
ラストの奇跡だけがどうにも消化できないまま終わってしまう作品だった。

個人的な感想:おしい


画像引用元:『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』予告より
(C)2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会
(C)堀越耕平/集英社

個人的には終盤の最後の戦闘シーンまで凄く楽しんでみていた作品だ。
戦闘中に無音で曲を流す演出は私個人としては余り好きではないものの、
作画自体は本当によく動き、ある種の禁じ手とも言える展開を
劇場版だからこそ見せてくれたと言うような作品だ。

ただ、その禁じ手を使ったはいいものの禁じ手過ぎて収拾がつかなくなり、
本編に影響を与えないためにも「奇跡」という形でリセットしてしまってるのは
本当にもったいない。いくらでもやりようはあったはずなのに、
そこを練り込まずに奇跡で片付けてしまったのは残念でならない。

前作がファンが見たかったシーンを最後に盛り込んだとすれば、
今作はファンも予想してなかったシーンを最後に盛り込んでいる。
どちらもファン向け作品の範疇に収まってることは否めず、
どちらもどこか引っかかりを覚える作品になってしまってる。

劇場版の三作目があるかどうかはわからないものの、
3作目があるならばファンが見たかったシーンとファンも予想できなかったシーンを
盛り込み、引っかかりを覚えない作品に仕上げてほしい所だ。

コメント

  1. いつも楽しく見てます。 より:

    終わり良ければ総て良しという言葉があるならその逆も然り。
    緻密に練られた世界観と設定があるからこそ、”ワンフォーオールの奇跡”という言葉で締めたことだけは本当に残念でなりません。

    (そもそもオールマイトがそんな軽い言葉で片づけるのだろうか…)

    一方で、奇跡ではないしっかりとした理由が残されていることと、OFAの根底を触れるエピソードがまだアニメ化されていない以上、止むを得なかったのかもしれません。

    既に禁じ手を使っているのだから映画だけで完結しようとせず、謎を残しつつアニメに続く…!という展開でもよかったですよね