「PUI PUIモルカー」レビュー

コメディ
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評価 ★★★★☆(75点) 全12話

あらすじ

舞台はモルモットが車になった世界 引用- Wikipedia

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世界よ!これがジャパニメーションだ!

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は見里朝希、制作はシンエイ動画、ジャパングリーンハーツ。
1話3分ほどの短編アニメ。

世界観


画像引用元:PUIPUIモルカー 1話より
©見里朝希JGH・シンエイ動画/モルカーズ

この作品の世界観は摩訶不思議だ。
人間社会の中になぜか「モルモット」が車になった生き物が存在し、
彼らは人間の車として働きつつ、自分の意志もしっかりと持っている。

足がタイヤになった彼らはどういった進化をしたのか。
そんなことまで考えてしまうほど謎の生き物である「モルカー」。
フェルト生地できた彼らのボディはモルモットの
もふもふ感を見てるだけでも感じられ、
ちょこちょこと動き回るさまは小動物の可愛さをしっかりと秘めている。

モルカーたちはそれぞれ性格も違う。
そんな性格が違うモルカーたちの人間社会での生き様というべきものが
この作品で描かれている。

社会において迷惑を掛けるもの。
それは渋滞の原因になっている迷惑な人間だったり、
銀行強盗を起こすものだったり。
モルカーの居ない我々の現実社会でも「居る」人間たちと
モルカーが絡むことでストーリーを生んでいる。

時には人間とともに喜び、時には人間に悪用され、
時には人間に逆らう。
そんな「モルカー」たちの可愛らしさと魅力を
1話1話でしっかりと感じることができる。

台詞


画像引用元:PUIPUIモルカー 1話より
©見里朝希JGH・シンエイ動画/モルカーズ

この作品に台詞と呼べるものはない。
モルカーたちの鳴き声や人間たちのオノマトペはあれど、
「台詞」らしい台詞はない。

それゆえに本来はハードルが高い。
アニメーションという媒体において「台詞」は
視聴者に内容を伝える1つの手段だ。
そんな手段の1つをこの作品は使わない。

全て「見せて」伝えている。
今彼らが置かれている状況、どんなストーリーで、
どんなキャラクターで、そのキャラクターが
どんな気持ちを抱いているのか。

この作品は台詞を一切使わずに「アニメーション」という
表現のみでそれを表している。
細かい表情の変化と動き、
「日本語」という言語が分からなくても何も問題がない。

この作品には言語という国境の壁がない。
年齢も性別も、この作品を楽しむのに「パーソナル」な要素は必要がない。
男性も女性もお年寄りも子供も、何人であろうが関係がない。
何ともグローバルな作品だ。

ネタ


画像引用元:PUIPUIモルカー 8話より
©見里朝希JGH・シンエイ動画/モルカーズ

中盤くらいになるとやや「ネタ」感が強まってくる。
例えばいきなり「ゾンビ」が現れたり、
AKIRAやバック・トゥ・ザ・フューチャーのパロディがあったり。
映画に詳しい人ならばより楽しめるパロディも多い。

子供が見ても、そのパロディの部分は伝わらないものの、
大人が見ると、元ネタがしっかりと伝わり面白さも伝わる。
別にその作品自体を知らなくても問題がなく楽しめるという
「パロディ」という誰にでも簡単にできるが扱いが難しい要素を
うまく使いこなせており、そんな小ネタが随所にある作品だ。

序盤、中盤、終盤とこの作品は雰囲気が違う。
序盤は人間社会におけるモルカーを描き、中盤はモルカーたちだけの話、
終盤はかなり変化球かつネタな内容に変わる。

なにせ「機械」でできたサメとのバトルだ(笑)
サメ映画はB級ハリウッド映画ではおなじみではあるものの、
ただのサメではなくメカシャークで、そんな存在とモルカーが戦う。
B級サメ映画のパロディをしつつ、
ジョーズのパロディまでやってのけるのがこの作品だ。

考察


画像引用元:PUIPUIモルカー 11話より
©見里朝希JGH・シンエイ動画/モルカーズ

そんな子供もオトナも楽しめる内容でありながら、
この作品は「考察」させる要素がある。

ゾンビに噛まれたモルカーが背景にさり気なくいたかとおもえば、
いつのまにかゾンビになってしまったはずのモルカーがもとに戻っている。
「時系列」が違うのか、いつの間にかゾンビ化が解けたのか。
11話では「タイムスリップ」をしており、
その影響で過去改変が行われ、少しだけモルカーたちの様子も変わる。

視聴者が「想像する余地」をこの作品は与えており、
明確な答えこそ明示されていないものの、
細かいネタの中にさりげなくそういった要素を織り込むことで
「想像する楽しさ」を感じさせてくれる。

この背景に映っているモルカーはどんな子なんだろうか、
どんなドライバーなんだろうか。そう考えるだけでも楽しい。
「モルカーたち」がモルモットからの進化であることが判明する
11話の衝撃、彼らが一体どんな過程で足がタイヤのようになり、
人を乗せるようになったのかすら考えたくなる。

断片的な要素から無限にできる想像する余地を生み出している。
最近では減ったしまったアニメで「考察する楽しさ」を
この作品は教えてくれる。

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総評:永遠に見ていたい


画像引用元:PUIPUIモルカー 12話より
©見里朝希JGH・シンエイ動画/モルカーズ

全体的に見て非常に完成度の高い作品だ。
ストップモーションアニメという非常に手間も時間もかかる手法で、
フェルトでできたモルモットなキャラクターをなめらかに動かし、
表情を細かく変えることで台詞がなくても見てて
彼らの感情がしっかりと伝わってくる。

「見せて」伝えるというのはアニメーションという技術の肝だ。
どう動かし、どう表情を変え、どう映すか。
アニメーションという媒体における「見る」ことの楽しさに
こだわり、それをこれでもか!と感じさせてくれる。

ストップモーションという技術は実写的な映像手法ではあるものの、
きちんとアニメ的な表現でモルカーたちのコミカルな表情や
キュートな動きを演出することでモルカーたちの魅力を醸し出し、
「実写演出」も積極的に取り入れることで見ていて飽きさせない。

1話3分ほどの尺の中でストーリーもしっかりと楽しまさせてくれる。
序盤は人間たちとモルカーの関係性を日常の中で描きつつ、
中盤からは非日常的なストーリーも描きつつ、
終盤はネタ感が強まるものの、バラエティに富んだ内容だ。

一歩間違えばただの子供向け作品で終わる。
しかし、そんな子供向け作品の中で大人が見て楽しめる要素も
ふんだんに盛り込むことで大人も子供も、
誰しもが楽しめるそんな作品に仕上がっている。

もちろん、強烈なセンセーショナルを生むような作品ではない。
くすくすと笑い、モルカーたちの可愛らしさを感じられ、癒やされる。
名作とは言えないものの、純粋に「モルカー」が可愛らしく、
その可愛らしさにハマってしまう作品だ。

個人的な感想:長期シリーズ化希望


画像引用元:PUIPUIモルカー 12話より
©見里朝希JGH・シンエイ動画/モルカーズ

惜しむべきは1クールで終わってしまった点だ。
機関車トーマスのように長期シリーズでやれれば、
この作品はもっと「世界に羽ばたく」ような作品になったに違いない。

ストップモーションアニメはとにかく手間暇かかる手法だ。
最近では「リラックマとカヲルさん」などでも使われていたが、
ストップモーションアニメの技術自体のクォリティも
昨今は上がっている。

Wikipediaによればこの技法自体を使う人が減少傾向にあるらしく、
それだけにもったいない。
たしかにこの1クールの作品を作るだけでも1年半もかかってるらしく、
本来は「コスト」に見合わない手法なのだろう。

しかし、本作品の監督である「見里朝希」氏は
ストップモーションアニメにこだわりがあるようで、
今後の「見里朝希」監督の作品に期待したいところだ。

「」おもしろい?つまらない?


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