「魔王城でおやすみ」レビュー

コメディ
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評価 ★★★★☆(68点) 全12話

あらすじ かつて、人と魔が存在していた時代。魔王は人間の姫をさらい、この世を支配しようとしていた。引用- Wikipedia

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幸せそうな寝顔してるだろ?人質なんだぜ…これで。

原作は週刊少年サンデーで連載中の漫画作品。
監督は山﨑みつえ、制作は動画工房。

誰も知らぬさらわれた姫の日常


画像引用元:魔王城でおやすみ 1話より
©熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会

1話冒頭、非常にわかりやすい始まりだ。
ファンタジーな世界で「魔王」が現れ、とある国のお姫様がさらわれる。
そんな中で勇者が現れ、姫の救出を誓う。

古来の日本のRPGの伝統的な、言い方を変えればテンプレート、
もはや古典の領域に達していると言ってもいいほどの古びた設定。
主人公は勇者となり、魔王と戦い、姫を救う物語が今、始まる。

と思いきや始まらない。この作品の主人公は勇者ではないし、魔王でもない。
さらわれた「スヤリス姫」だ。さらわれた姫様は一体、
魔王城で一体、どんな生活を送っているのか?
古典とも言える設定なのに、その設定の中で物語の視点を変え、
この作品はそれを「ギャグ」にしている作品だ。

魔王城で囚われの身になった姫様は、別に拷問もされず、
三食おいしい食事を食べられる。だが、囚われの身であるがゆえに
寝ることしか許されない。
寝ることしか許されないのに安眠できない環境であるがゆえに、
姫は「安眠」するために活動をする。

寝具の素材を求め、牢を抜け出し、
ちょっとおバカな魔物たちはあっさりと彼女の策に溺れてしまう。
そのちょっと抜けた魔物たちがどこか愛嬌すら感じ、愛着が湧く。
彼女は決して魔王城から逃げ出そうとはしない、全ては安眠のためだ。
安眠を求める姫の姿は非常に可愛らしく、すべてを許してしまう。

1話の段階で話が「パターン化」しているものの、
早い段階でパターン化するからこそ「安定した面白さ」がある。

死んでしまうとは情けない


画像引用元:魔王城でおやすみ 1話より
©熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会

この作品はギャグだ、それゆえに「死」の描写が恐ろしく軽い。
姫はなんの前触れもなくあっさりと死ぬ。
危険な魔王城の中を巡り歩き、ちょっとした拍子に滑って死んでしまう。
だが、この作品は「ファンタジー」であるがゆえに蘇生も簡単だ。

姫も魔物に対する扱いは基本的にひどく、
体が布で出来てる魔物の体をなんのためらいもなく切り裂き、
スライムはワックス代わりに使い、角のある魔物の角はヤスリ代わりだ。
魔物を素材としてしか見ていない。

RPGによくでてくる魔物は彼女にとっては安眠のための素材でしか無い。
教会で生き返るからいいじゃないかと殺しまくる(笑)
素材にされ、姫に振り回される魔物たちの戸惑いや慌てっぷりが
彼らの魔王城の日常の中でのギャグになっており、
くすくすと笑えてしまう。

姫の手にかかれば魔王でさえ、ただのツボ押しマシーンである。
彼女はいついかなる時でも「安眠」のために努力する。
たとえ死のうとも、たとえ説教されようとも、安眠できればそれでいい。
彼女の眠りは話の「オチ」になり、彼女の寝顔に誰も抗えない。

1話あたり3エピソードという
ストーリー構成であるがゆえにテンポも良い。

キャラクター


画像引用元:魔王城でおやすみ 1話より
©熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会

この作品はギャグらしく、毎話のように新キャラが出る。
新キャラと言う名の魔物たちはそれぞれ特徴があり、
立場が違うからこそ、それぞれ姫に対する接し方が違う。
あるものは魔王城を管理するものとして姫に厳しく当たる一方で、
あるものは姫のブラッシングがお気に入り。

魔物らしい特徴が彼らにはしっかりとあり、
そんな特徴も姫にとっては「安眠」のためのものでしかない(笑)
毎話のように新しい魔物が出ることで、姫の新たな安眠材料となる。

どんなキャラが出ても姫の安眠材料になるという
パターンは変わらないものの、多種多様な魔物のデザインは可愛らしく、
いつしか姫の安眠行為に迷惑だとは思いつつも、
見守っている魔物たちも可愛らしく感じられる。

魔族、魔物と呼ぶには彼らの性格はどこか甘く、
RPGでおなじみなキャラクターたちのゆるい感じがたまらない。
そもそも魔王はなぜか「勇者」を育てつつ、
魔王城に向かわせている。
勇者にアイテムを与えようとしたり、適切な相手を用意したりする。

RPGにおける「なぜ魔王はレベル1の勇者を倒しに来ないのか?」
という設定の疑問をこの作品なりに描こうとしている部分もあり、
迷子になりまくりな勇者の旅路と同時に、魔王の思惑も気になってくる。


画像引用元:魔王城でおやすみ 2話より
©熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会

話が進んでくると魔物たちは姫に対して愛情のようなものが湧いてくる。
自分たちの魔王がさらってきた、あくまで人質の存在の姫。
だが、彼女の自由奔放な行動に振り回されているうちに
彼らは彼女に対して愛情のようなものが湧いている。

物語の中盤で姫がさらわれるという事件が起きる。
事件自体は無事に解決するものの、そんな事件が起きたからこそ
彼らは思う。

「もし、勇者が来たら…」

そう、勇者は彼女を助けるために行動している。
姫も本当は元の城に帰りたいはずだ。
自分たちは姫にとっての敵であり魔族だ。
本来は抱いてはいけない感情を姫にいだき、寂しがる魔物たち。

魔物と姫の関係性が緩やかに変化していくからこそ、
姫も当たり前のように牢を抜け出し、当たり前のように
魔族たちの幹部会議に参加している(笑)

この緩やかな変化が本当に自然であり、自然だからこそ
魔物たちの姫への愛情も痛いほどに伝わってくる。
拐われれば本気で心配し、病気になれば必死になって治そうとする。
姫に「魔物」として扱われてしまうと彼らは痛く傷つくほどだ(笑)
それほどまで彼らは彼女に愛情を注いでしまっている。

姫も彼らに愛情が湧いているからこそ何気ない会話や、
「悪夢」の話をしたり、新しい魔物との出会い、仲良くなっていく。
ギャグアニメではあるものの、しっかりとキャラクターを大事にし
魔物と姫たちの関係性が変化していくことでマンネリを産まない。

何よりも姫の可愛さがあるからこそ魔物たちの気持ちもわかる。
虫歯になっても「ベロが短いのを知られたくない」と
必死に隠すさまは悶えるほどの可愛い主人公だ。
いい感じにおバカな魔物たちとキュートな姫様、
彼らの日常に見れば見るほどハマってしまう。

ギャグアニメではあるものの、この作品は意外としっかりとした
世界観設定があり、笑いの下地にはややシリアスな
人間と魔物たちの事情もある。

それを断片的に見せることで姫と魔物たちの関係性との対比になり、
彼らの日常がいつか終わるかもしれないという部分を感じさせることで
より、この平和な日常がいつまで持つ続いてほしいと感じられる。

責任


画像引用元:魔王城でおやすみ 10話より
©熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会

姫は魔物たちの暮らしなかで自分の中の考えをまとめる。
彼女は姫だ、拐われた王族だ。
自分の家に帰れる機会は何度もあった、だが、彼女は帰らない。

魔王城で暮らすうちに彼女は魔族と人間との関係性に疑問を持った。
魔族はいい人だ、優しく、自分を姫として扱ってくれる。

「なんで人間と魔族って争ってるんだろうね?」

そんな疑問があるからこそ、彼女は自分の家には帰らない。
魔族の城で「さらわれた姫」としての責務を果たそうとしている。
今、家に帰ってしまえば魔族と人間の関係性はこじれたままだ。

だが、自分が人質の姫として魔王城にいれば勇者が来る。
どんな結果であれ魔族のトップである魔王と、人間族のトップになった
勇者が代表同士で戦い合い、決着をつければ争いは終わる。

人間族のためにも、なにより魔族のためにも
姫は「人質の姫」としての立場を自分の意志で選ぶ。
1話ではたださらわれただけの姫だったが、
最終話では自分の意志でさらわれる。

そんな彼女の心情の変化が魔物たちと姫の日常が1クールで
描かれたからこそきちんと伝わる。
物語的にはまだまだ続く感じで終わるものの、
そんな先の展開を感じさせ、姫の寝顔でキレイに1クール終わる作品だ

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総評:寝る子は育つ


画像引用元:魔王城でおやすみ 6話より
©熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会

全体的に見て1話から完成された作品だ。
古典的なRPGな世界観の中で「人質になった姫」に焦点をあて、
そんな彼女が安眠を求めるために奔走する姿と、
姫に翻弄される魔物たちの姿がしっかりとギャグになっている作品だ。

いい意味でも悪い意味でも変わらない作品だ。
「安眠」というテーマのもとに様々なネタを展開しているものの、
やっていることは基本的に変わらない。
それでもマンネリにならないのは姫と魔物たちの関係性が
徐々に変化し、愛くるしい姫とちょっと抜けてる魔物たちの
平和な日常が微笑ましく、くすくすと笑えつつほっこりできる。

メインストーリーとしては人間と魔族の難しい関係性が下地にあり、
そんな下地をゆっくりと見せることで、
終盤ではきちんと「姫」の成長と変化を感じられる物語が描かれている。

1話を見て笑ってしまえば最終話までクスクスと楽しめる。
古き良きギャグ漫画のノリを感じつつ、
2期も見たいと感じさせる作品だった。

個人的な感想:すやりすやり


画像引用元:魔王城でおやすみ 1話より
©熊之股鍵次・小学館/魔王城睡眠促進委員会

予想以上に笑える作品だった。
姫も魔物たちも可愛らしく、特に「デビあくま」はぜひ1匹、
家にほしいと思うほど可愛らしいキャラクターだった。

原作ストックは十分あるようなので2期の可能性も高そうだ。
安定している作品なだけに2期があっても、
1期と同じように楽しめそうだけに、早いうちに2期を
やってくれることを期待したい。

「」おもしろい?つまらない?


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