「Back Street Girls -ゴクドルズ-」レビュー

4.0
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コメディ
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評価 ★★★★☆(73点) 全10話

あらすじ 暴力団・犬金組の若手組員である、角刈りの「健太郎」、オールバックの「リョウ」、パンチパーマに髭面の「カズ」引用- Wikipedia

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不動明王なアイドルアニメ

原作はヤングマガジンで連載中の漫画作品。
監督は今千秋、制作はJ.C.STAFF。
全10話のアニメとして制作された。

ヤクザなのにアイドル


画像引用元:Back Street Girls -ゴクドルズ- 1話より
© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

この作品の設定はある意味、出落ちに近い設定だ。
物語の導入はシンプルだ。

大きなヘマをやらかしてしまったヤクザの3人が、
組長に言われタイで性転換をし「アイドル」になる。

この2行ほどの文章だけで「あ、出落ちだ」と思うほどに
作品の基本設定のインパクトが強すぎる(笑)
仁義にいき、極道の世界に生きる3人はヤクザであるがゆえに
「組長」の命令は絶対だ。

だからこそ彼らは組長が「アイドルが最近凄いらしい」という
気まぐれに近い思いつきのせいで、性転換され、全身整形され、
アイドルをやる羽目になってしまう。
足を一本切られるか、臓器を全部売られるか、性転換をするか。

アイドルか、足か、臓器か。
選択肢は1つしか無い(笑)

しかも、1話5分ほどで彼女たちは売れてしまう。
心はヤクザだが、見た目は可愛いくて大人気アイドル。
このギャップだけでこの作品は1クール全10話の話を
作り上げている。
勢いだけで作ってる感じもあるが、その勢いがすごい。


画像引用元:Back Street Girls -ゴクドルズ- 1話より
© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

この作品は曲も完璧だ。
彼女、いや彼らが歌うのは「アイドルソング」だ。
だが、その曲の歌詞を手掛けているのは組長である(笑)

「恋の盃、あたしにください。
 永遠に離さないよ、初めての間接キス」

アイドルボイスで歌うからこそアイドルソングに聞こえるが
歌詞は不穏だ。そんなヤクザリリックがアイドルソングに
乗せられて歌われるだけで笑ってしまう。

恋のサカズキ、仁義なき恋、恋の潰し屋、夢のシマへなど
ヤクザがらみの歌ばかりであり、
その歌がその話にきちんと絡んでおり新曲が出てくるたびに笑える。

完全に組長の私的な歌詞の歌まで後半は作られる始末であり、
見事なアイドルとヤクザの融合を果たしており、
アイドルアニメなのにダンスや可愛さよりも、
曲の歌詞が気になってしまうという、この作品ならではの魅力がある。
1度聞いたら忘れられないアイドルソングばかりだ(笑)

組長は本気だ。本気で彼女たちをアイドルとして育て上げ、
売れさせようとしている。
そんな組長の本気度合いと、心はヤクザな彼らの悲哀。
それがこの作品の面白さだ。

まるで闇夜に潜むダークヒーロー


画像引用元:Back Street Girls -ゴクドルズ- 2話より
© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

アイドルとして日々を暮らしてるものの、彼女たちの中身はヤクザだ。
しかし、アイドルが故に「ファン」も多く現れる。
そんな中には対立していたヤクザがファンとして現れることもある(笑)

だが、決して彼女たちが男のヤクザである事はファンにバレてはいけない。
バレてしまえばいろいろな意味で終わってしまう。
まるで正体がバレてはいけないヒーローのような葛藤も描かれている。

彼女たちはたった3人のアイドルだ。
そんな3人の中にも「人気の格差」がある。
本来はヤクザな彼ら、だが、アイドルとして悩んでしまうこともある。

「心までアイドルになってはいけない」

そうは思いつつも、アイドルとしての日常が彼らの心を
徐々に徐々に汚染していく。まるで闇の力を使うダークヒーローだ(笑)
ときには信頼していたはずの舎弟すらも自分のあるファンである事が
発覚し、彼らはどんどん追い詰められていく。

ヤクザが性転換してアイドルになったらという芯の部分は決してブレず、
その芯から様々なストーリーが展開する。
そのストーリーを見てる側が笑いながらも
こういうストーリー展開もあるのかと逆に
関心させられてしまうほどであり、
話が進めば進むほど「その手があったのか」と思うほどだ。

この手の出落ちなネタは出落ちと言われるだけに、
最初こそ面白いが話が進むとネタ切れしたり
本筋の設定からずれる事も多い。
だが、この作品は出落ちでしかない設定なのにネタ切れしない。

話の広げ方が豊富で1つの引き出しから押し込められまくったネタが
飛び出てくるように、ネタ切れや飽き、ダレを感じさせない。

徹底して動かない作画


画像引用元:Back Street Girls -ゴクドルズ- 1話より
© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

アイドルアニメといえばライブシーンでのライブの動きがあったり、
ギャグアニメといえば激しいツッコミや普通のアニメには無い動きで
ギャグにすることもあるが、この作品はそのどちらもない。
徹底して1枚絵、徹底して表情くらいしか動かない。

原作漫画に色を付けて声をつけて口と目を動かしてるだけな
「モーションコミック」レベルの作画であり、
集中線や効果音を過剰なほどに盛り込むことで場面を盛り上げている。

ただ逆にこのアニメで動いても面白さに変わらないかもしれない。
基本的には「中身はヤクザ、外見はアイドル」なギャップから生まれる
キャラクターたちの葛藤がギャグになっており、
キャラの「心理描写」こそが笑いになっている。

アイドルアニメのようなライブシーンの動きの可愛さや、
ギャグアニメのような顔芸やアクションによる動きの面白さは
この作品にはない。
彼女たちはヤクザの心を持ったアイドルであり、
アイドルになりたいわけでもお笑い芸人になりたいわけでもない。

メインキャラクターたちの「葛藤」が動かない作画につながっており、
その葛藤こそがギャグになってる本作品では、
逆に「動かないこと」が正解なのではないか?と感じるほどだ。
おそらくは予算がないだけだが(笑)

起承転結の素晴らしさ


画像引用元:Back Street Girls -ゴクドルズ- 5話より
© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

1話の中に5エピソードという複数話構成になっているため、
話を引き伸ばしすぎずない。そして、
そのエピソードがきちんと「起承転結」を考えられて作られており、
きちんと話しごとにフリがありオチがある。

ギャグアニメ特有の投げっぱなしなオチなどはこの作品にはほとんどなく、
1エピソードがきちんと考えられて作られており、
起承転結の良さを味わいながら、
あの手この手で描かれるヤクザなアイドルの日々の
面白さがテンポよく笑いに変わり、1話1話をしっかりと楽しめる。

彼女たちはアイドルであるものの同時にヤクザだ。
部下やスタッフはほとんどヤクザであり、事務所の社長は組長だ。
それゆえに1度恨みを買えば因縁が生まれ、
復讐しようと企む奴らまで出てくる。

ギャグアニメにおいてサブキャラは使い捨てになることが多い。
しかし、この作品は使い捨てに終わるキャラが少なく、
「ゴクドルズ」というアイドルと絡んだことによるキャラの
人生の変化が後のストーリーへと影響し、
最終話へのストーリーへとつながっていく。

ギャグアニメなのに「ストーリーがどうなるか気になる」部分も
きちんとあり、最初から最後までヤクザなアイドルの日常を
思う存分楽しむことができる作品だ。

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総評:出落ちで終わらない面白さ


画像引用元:Back Street Girls -ゴクドルズ- 6話より
© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

引用元:© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

ヤクザが性転換をしてアイドル活動をする。
この基本的な設定から派生するありとあらゆるストーリー展開は
予想外な面白さがあり、見た目は可愛い女の子でありながら
仁義にあふれる彼女たちの行動や言動が自然にギャグになっており、
そこに「組長」の無茶振りや彼女達の被害者たちがストーリーを生んでいる。

声優も非常に豪華であり、組長に藤原啓治さんを起用したことで
組長の「凄味」が生まれると同時に後半の組長の愛らしさも生まれており、
彼女たちがヤクザであることを知らないマネージャーには
諏訪部順一さんを起用したりとベテラン声優の演技も光っている。
脇役やサブキャラにも茅野愛衣さんや小山力也さんなどが起用されており、
作画の予算をすべて声優につぎ込んだと言われても納得できるほどだ(笑)

全話ほとんど徹底して動かない作画ではあるものの、
集中線や文字による演出を適度に入れることで動かないことが気にならず、
低予算で動かせない作画だからこそ演出で盛り上げており、
動かないことがこの作品の魅力にすら感じるほどに仕上げている。

欠点を言うならばヤクザであるがゆえに「シモネタ」も多い、
外見や声が女の子が下品な言葉を使っていることには変わらず、
そこが面白さになっている部分もあるのだが、
「痔」の話や「陰茎」の話なども多いため、
こういったシモネタが嫌いな人は楽しめないかもしれない。

ただ、1話を見て「笑った」なら最終話まで笑い続けられる作品だ。
決して出落ちで終わらないヤクザアイドルアニメを
ぜひご覧いただきたい。

個人的な感想:予想以上に面白かった


画像引用元:Back Street Girls -ゴクドルズ- 6話より
© ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画

原作の漫画はなにかの広告か何かでちらっと見かけたぐらいだが、
ここまで面白い作品とは思わなかった。
出落ちにしか過ぎない設定をここまで広げて、ここまで飽きさせない
ストーリーに仕上がっているのは予想外でしかなかった。

キャラクターも魅力的なキャラが多く、
特にゴクドルズのファンの濃さは妙な生々しさすら感じさせる
アイドルオタクばかりであり、オタクのキャラが濃いほどに
ドン引きするゴクドルズの反応が面白かった。

個人的に最終話のマネージャーの話は心の底から爆笑してしまった(笑)
キャラの使い捨てで終わらないギャグアニメだからこその、
組長の魅力の深さや出所してきた若頭の反応など、
もう1度見てもこの作品を笑って楽しめる魅力があった。

高い評価をしづらいジャンルの作品ではあるものの、
思わず高い評価をしてしまう勢いの良さもある作品だった。

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