「池袋ウエストゲートパーク」レビュー

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サスペンス
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評価 ★★☆☆☆(26点) 全12話

あらすじ マコト(真島誠)は工業高校卒業後、母親が営む池袋の青果店を手伝っている。引用- Wikipedia

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薄口醤油ラーメン

原作は石田衣良による小説。
2000年には実写ドラマ化もされた。
監督は越田知明、制作は動画工房。

前提条件


画像引用元:池袋ウェストゲートパーク 1話より
©石田衣良/文藝春秋/IWGP製作委員会

本作品はおそらく、多くの人がドラマの印象が強すぎる作品だろう。
長瀬智也、窪塚洋介を筆頭に当時の若手俳優が集い、
演出はTRICKなどでお馴染みの堤幸彦、脚本は宮藤官九郎と
これまた当時の人気ドラマを多く手掛けた方が制作に大きく関わっていた。

本作品は「アニメ」だ。
著名なドラマ作品をアニメ化する上で「イメージ」がつきまとってしまう。
長瀬智也演ずるマコト、窪塚洋介演ずるキング。
あのドラマを見てしまうとどうしてもキャラクターのイメージと
俳優の印象と演技が脳に焼きつてしまってる。

そのせいでこの作品も1話、いや、放送前から「イメージと違う」、
「ドラマと違う」という意見が多く見られた。
内容的にも90年代、00年代前半の池袋を舞台にした作品であり、
それを「今」の時代に置き換えるというのは難しい内容だ。

ブクロにカラーギャングなどはもう居ない、ガングロギャルも居ない。
その時代の街を切り取るような「石田衣良」作品を
年代を変え、媒体を変えた本作品は非常に難しい作品だ。

だが、逆に言えばあえて「令和」の「池袋」を「アニメ」という
媒体で描こうとした制作側の試みを買いたい。

それ故に私自身「池袋ウェストゲートパーク」に
非常に思い入れがあるものの、この作品に関して原作及び
ドラマとの比較はレビューではなるべく行わず、
あくまでアニメ単体としての評価を本レビューでは行いたい。

演出の弱さ


画像引用元:池袋ウェストゲートパーク 1話より
©石田衣良/文藝春秋/IWGP製作委員会

1話冒頭、ヤク中を主人公であるマコトが追いかけるシーンから始まる。
明らかに3DCGで描かれている車が背景から浮いている違和感を感じさせ、
1話冒頭という大切なシーンであえて「カーチェイス」という
シーンを採用したのにカーチェイスの面白さはない。

追い詰めたヤク中が「キング」と呼ばれる人物と対峙し、
彼にナイフを向け突き刺そうとした瞬間にスローになる。
明らかに「よける」ことが予測できてしまうスロー演出だ。
予測どおりなシーンを見せられても特に面白みはない。
意味のないスローをこの作品はよく使う。

1話冒頭の大切なシーンなのにインパクトが弱く、
特に「演出」の弱さをひしひしと感じてしまう。
そのせいで、物語自体がどこか淡々と進んでいる印象が強く
盛り上がりに欠けてしまう。

作品全体で見せ場を見せ場として魅せきれていない。
演出の弱さを感じる部分が多く、アニメーションとしての面白さも薄い。

ストーリーの弱さ


画像引用元:池袋ウェストゲートパーク 5話より
©石田衣良/文藝春秋/IWGP製作委員会

1話の内容も「脱法ドラッグ」の売人を捕まえましたというだけだ。
キャラ紹介的な意味合いも強い1話ではあるものの、
2話も同じようにキャラ紹介的な意味合いが強い「ブラック企業」の
話であり、その裏に絡んでいるワルや
キングのGボーイズとは違う、もう1つのグループが出てくるだけだ。

主人公であるマコトのもとに様々な事件が迷い込み、それを解決する。
基本的に話の流れは変わらず、教育実習生問題や炎上系YouTuberなど
毎話色々な問題が巻き起るものの、1話1話の内容が非常に薄い。

起承転結はきちんとあり、「池袋ウェストゲートパーク」という
作品から想像できる現代の池袋が抱えている問題を切り取り、
それを1話1話で描いてはいるものの、その問題の表面をなぞるだけで
深く掘り下げて何かメッセージや訴えかけるものがあるわけでもない。

扱ってる問題の割にはあっさりと解決することが多く、
30分で話をまとめるために薄味だ。
扱ってるテーマ自体は面白いものの、そのテーマの面白さを
ストーリーの面白さに昇華しきれていない。

1話完結故に話の当たり外れも生まれてしまっており、
うまく30分でまとまってる話もあるものの、
扱ってるテーマを30分でまとめきれない話のほうが多く、
たまに「ん?」となってしまう結末もある。

そもそも主人公であるマコトが何もせず傍観者であることも多く、
彼の周りの人間のコネや力を使って、なんか解決したみたいな展開は
面白みがあるとは言い難い。

華のないキャラクター


画像引用元:池袋ウェストゲートパーク 11話より
©石田衣良/文藝春秋/IWGP製作委員会

おそらく、多くの人が「ドラマ」と比べてしまうのがキャラクターだ。
はっきりいって華がない。キャラクターデザインに個性がなく、
本来は癖のあるキャラクターたちが個性のないキャラデザのせいで
その癖やキャラクター自体の魅力を感じない。

主人公であるマコト以外にもメインキャラクターは多いものの、
一人一人を掘り下げきれておらず、魅力を感じない。
Gボーイズの頭であるキングのカリスマ性、それに相対する
レッドエンジェルスのキョウイチの蠱惑的な魅力、
マコトに協力する刑事やハッカーなど立ち位置だけで、
その立ち位置からキャラクター自体の魅力につながるエピソードが無い。

華やかさにかけるキャラクターたちが
昔よりもおとなしくなった池袋という街で
外連味のないストーリーを展開してしまうことで
作品自体が地味になってしまっている。

1話1話淡々とすごくつまらないわけでも、すごく面白いわけでもない。
感情を揺さぶられず、かといってストレスになる要因もない。
「池袋ウェストゲートパーク」という作品でありながら、
この作品は尖った部分がなく、丸くなってしまっている。

せっかくドラマのイメージから離れよう、
原作に近い雰囲気のアニメを作ろうとしているのにも関わらず、
7話では「忘却の空」がエンディングとして採用されている。
ドラマのイメージを拭い去ることがこの作品では重要なのだが、
ある程度、アニメの雰囲気に馴染んできてきた所で
ドラマのテーマ曲を流してしまうのは悪手だ。

扱うテーマの難しさ


画像引用元:池袋ウェストゲートパーク 11話より
©石田衣良/文藝春秋/IWGP製作委員会

序盤から1話完結で現代的かつ解決の難しいテーマをもとに
ストーリーが作られていたが、中盤以降のテーマは更に難しい。
シングルマザー、ヘイトスピーチ、未成年の犯罪etc…

生々しいと感じる話もあり、その話をうまく解決するわけでもない。
現代の日本が抱える問題を掲げ、その問題に絡む話を展開し、
なんとなく解決する。本来はなんとなくで終わらせてはいけないテーマを
1話30分で扱いきれておらず、そもそも30分という尺の中で
解決できる問題でもない。

そこにヤクザやカラーギャングが絡む話の強引さもあり、
そういったテーマを扱った1クールでありながら
結局、終盤はカラーギャング同士の抗争話だ。
抗争のきっかけや話の展開も予測できるレベルであり、
黒幕も視聴者には手にとるように分かってしまい、そのとおりの展開だ。

話としては、それまでの話に比べて派手だが
現代設定にしておきながら結局は平成と変わらない展開で終わってしまう。
時代背景がドラマや小説のときと同じ90年代から00年代ならば
納得できたものの、結局は小説やドラマをなぞるような展開で
終わってしまったのは残念でならない。

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総評:アニメ化する意味はあったのか


画像引用元:池袋ウェストゲートパーク 12話より
©石田衣良/文藝春秋/IWGP製作委員会

全体的に見て色々と疑問を感じる作品だ。
「池袋ウェストゲートパーク」という作品をあえて
令和の時代にアニメ化するという試み自体は評価したいものの、
結果的にアニメとしては地味な印象が拭いきれなかった。

作品の方向性としてどうしたいのか?という部分も疑問であり、
序盤は多くの視聴者の中でのイメージが強すぎる「ドラマ」とは
違い「原作準拠」で作られている感じだったが、
7話では「忘却の空」をエンディングテーマに起用してしまい、
ドラマのラストとアニメのラストは同じ原作の話だ。

ドラマのイメージをなるべく拭い去るように
原作準拠にしたはずなのに「忘却の空」を起用したり、
ラストは同じ話だったりとやってることがちぐはぐだ。

そうなってしまうと「キャラクターの魅力」において
アニメは決定的に欠けてしまっている。
1話完結の話の中で扱うテーマが重いがゆえに
そのテーマを描くことに必死でキャラの掘り下げがあまりできておらず
主人公のマコトでさえキャラクターとしてかなり弱い。

アニメーションとして面白い部分も薄く、
作品全体として致命的なまでの「演出の弱さ」を感じる部分が多く、
そのせいで「アニメ」という媒体で「池袋ウェストゲートパーク」という
作品が映えなくなってしまっている。

アニメという媒体で「池袋ウェストゲートパーク」を描く。
制作側が目指すべきはアニメだからこそ出来る表現と、
ドラマを超えるという意気込みが必要だが、
そのどちらも欠けてしまっている作品だった。

個人的な感想:拭いきれぬ


画像引用元:池袋ウェストゲートパーク 12話より
©石田衣良/文藝春秋/IWGP製作委員会

ドラマはドラマで宮藤官九郎さんの脚色や堤幸彦さんの演出、
そして俳優陣の演技力と奇抜さでアウトローな池袋の世界観を描いていた。
原作と違う部分はあるものの、ドラマとしては名作だ。
アニメは原作準拠でやろうとして、結果的に地味になってしまい
中途半端にドラマへの擦り寄りすら感じてしまった。

制作会社の動画工房は「可愛い女の子」の描写には定評があるが、
「かっこいい男」の描写に関しては微妙なようだ。
プロダクションIGあたりが手掛けたら、違ったかもしれない。

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