劇場版 HUNTER×HUNTER The LAST MISSION

評価/★☆☆☆☆(20点)

劇場版 HUNTER×HUNTER The LAST MISSION 評価

98分
監督/川口敬一郎
声優/潘めぐみ,伊瀬茉莉也,藤原啓治,沢城みゆき,浪川大輔ほか

あらすじ
かつてハンター協会には強大な力をもったハンターたちが存在したが、彼らは「光」と「闇」に分かれ、それぞれが選ぶ道に進んだ。そして時が流れた現代、闇のハンターたちが全ハンターを抹殺するために動き出し、その激しい攻撃の前にキルアやクラピカが倒されていく。

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ヒソカ「盛り上がりに欠けるね~」

本作品はHUNTER×HUNTERの劇場版、HUNTER×HUNTERとしては2作品目に当たる。
1作品目は酷い出来栄えで、そのせいか監督も脚本家も変更されている
だが、2作品目は1作品目と比較すると「見れる」ものにはなっているが・・・

基本的なストーリーはアクション。
グリードアイランドをクリアし、キルアと共にカイトのしごとを手伝っていたゴンたち。
彼らは天空闘技場での友人である「ズシ」の戦いをみるために再び天空闘技場に訪れていた
しかし、いざ試合が始まろうとすると謎の集団が会場を占拠した
というところからストーリーが始まる。

開始早々、HUNTER×HUNTERの原作を読んでいるなら間違いなく興奮するであろう
「百式観音」がいきなり描かれる。
CGをばりばり使った感じは否めないものの「百式観音」の描写は素晴らしく、
若かりし頃のネテロ会長が「怨」という謎の力を使う敵と戦うというシーンは
原作を読んでいれば映画の世界観に一気に引き込まれるような感覚だ。
だが、同時に物足りない。

敵も百式観音と同じようなでかいものを出すのだが、
でかい物同士の戦闘シーンで「エフェクト頼り」だったり、
近くからのカメラアングルではなく、画面から引いたカメラアングルで
激しい戦闘シーンのはずなのに、遠くから見せられているような感覚だ
絵としての「百式観音」の迫力はあるのだが、戦闘シーンとしての「迫力」が
遠巻きからの描写や派手なエフェクトでごまかしているだけで物足りない。
この物足りなさはこの映画の全編にわたって感じられるポイントだ

ストーリー的には序盤の期待は高い。
原作を読んでいる人なら思わず懐かしい!と言ってしまいたくなるような印象だ。
「天空闘技場」という懐かしい場所、「ズシ」という懐かしいキャラ、
更に原作では言葉は出たもののゴン達がそこに至る前に天空闘技場をやめてしまった
「バトルオリンピア」が開かれているという状況も
原作をきちんと読んで映画オリジナルのストーリーをふくらませてきたんだなと
意外にもきちんと作られているのは素直に驚いた。

更に懐かしのキャラクターや細かいキャラクターがかなり出る。
ズシ、ウィング、ビスケなどきちんと映画の中でもしゃべるキャラから
ファンサービス的にちょろっと出ているようなキャラクターまで
HUNTER×HUNTERが好きならば楽しめるようなファン的要素も強い。
序盤30分ほどのこの映画の「期待感」は大きい

だが、そんな期待感を徐々に削ぎ落としていく。問題はストーリーの淡々さだ。
天空闘技場を謎の敵が占拠したという状況づくりまでも若干淡々としている感じはあるのだが、
それ以降も「目立ったバトルシーン」がなく、バトルシーンになりそうな直前でカットされる。
今回の敵の1人とズシが戦うという盛り上がりそうなシーンでさえカットだ。

いわゆる「戦闘員」的な雑魚キャラも多数現れゴンたちに襲いかかるのだが、ほぼカット(苦笑)
ゴンとキルアは物語序盤で的に強制的に落とされ、下の階から上がってくるという状況なのだが
ものすごい勢いで登って行き、その中で雑魚が襲ってきても歯ごたえのある戦闘シーンはほぼ無い。
バトルオリンピアの出場者が襲ってくる!という、ようやく歯ごたえのある戦闘シーンが見れるか?
と思うような状況になっても、操られているから殺しちゃ駄目だとグダグダの戦闘シーン繰り広げる

更に視点が変わりすぎな点。
ゴンとキルアの視点、クラピカの視点、捕まっているネテロ会長の視点と
三者三様の状況の切り替えが激しく、バトルシーンを描かないために切り替えている場合もあり
盛り上がりに欠けるシーンを見せられながら淡々と「敵の目的」や「正体」を追うストーリーを見せられる。
ストーリー自体は悪くはないのだが、視点の切り替えと盛り上げ不足のシーンばかりで
見ている側の熱がどんどんと冷めてしまう。敵の回想シーンもムダに長い。

他にも色々なキャラクターを出したいのは分かるのだが、
そのキャラクターを出すために余計な尺を取られている感じもあり、
「別のこのシーンはいらないんじゃ?」と感じる場面もかなりある。

ようやく盛り上がる戦闘シーンになっても、いまいちピンとこない。
キルアとゴンが協力して敵の1人と戦う戦闘シーンはHUNTER×HUNTERらいし戦い方なのだが、
敵の念能力が「放出した念を操るだけ」という何か・・・微妙なのだ(苦笑)
今回の敵は念能力を「怨」というもので更に強化しており、
系統に関係なく100%使えるという状況なのに放出した念を操るだけ。
ゴリ押し気味な戦闘シーンは描写の甘さを感じてしまう。

更にクラピカ。
アニメ、原作を読んでいる方ならご存知の通り基本的にクラピカは
「念能力は幻影旅団意外に使えない」という誓約がある。
今回の敵は幻影旅団ではないため、クラピカは木刀を使って戦っている。
故に木刀での戦闘シーンのみとなっており、盛り上がりに欠け淡々としている。

  クラピカが戦う相手にしても「機械」を操る念能力という設定自体は悪く無いと思うのだが
いざクラピカと戦闘するときは相手のコピーを作り出すという何か意味不明な能力だ(苦笑)
これが相手の念能力までコピーしているなら、念能力を使えないクラピカと
念能力を使えるクラピカのコピーという状況が楽しめたかもしれないが、
同じように木刀で戦うコピーを出すのみ(苦笑)

基本的に敵の設定の練り込みが浅い。
浅いゆえに戦闘シーンが微妙な印象がつくものだらけで、
淡々としたストーリーの中で視点を変えながら戦闘シーンを繰り広げるため
余計に盛り上がりが薄くなってしまう。
劇中でヒソカが「盛り上がらないね~」と言い放つのだがまさにそのとおりだ(笑)

本来は1系統のみしか極められない念能力を100%使えるという怨の設定を
いまいち使いこなせていない。それは敵のボスにも言える。
敵のボスの能力は「怨を使えるようにしてくれる」という能力以外一切わからない
というより説明がない(苦笑)

ネテロ会長と戦う際に「百式観音」と同じような「百鬼呪怨」というようなものを出すのだが、
ただでかいだけで、コレがどんな能力を持っているのかという描写が一切ない。
「百式観音」自体も超高速の攻撃がウリのはずなので、
それに対する何らかの超高速の攻撃であると思うのだが
その演出が非常に甘く、巨大な物同士が普通の速度で戦っているだけにしか見えない。
絵としてのかっこよさはあるのだが、戦闘シーンの中身があまりにも薄く
ネテロと敵の戦闘シーンも短すぎてまたもや盛り上がりに欠ける。

最大の原因はゴンだ。
せっかくネテロと敵が戦っているのにしゃしゃり出てきて
「俺が主人公だ!」と言わんばかりに戦闘を終わらせてしまう。
終盤のゴン自体もピンチな状況でクラピカの命が危ない!という焦りのなかで
「怨能力」に頼るという状況になる。

これはある意味でゴンらしい無茶とも言えるのだが、
せっかくリスクを承知で「怨」を使っても弱い(苦笑)
元に戻れないかもしれない、敵と同じように怨念に囚われてしまうかもしれないという
リスクを背負った覚悟のはずなのに、本来ならもっと盛り上がってもいいはずのシーンが盛り上がらない。
最後は謎の力であれだけ苦戦した敵をパンチ1発で倒してしまうなど拍子抜けもいいところだ。

全体的に見て前作に比べれば「ストーリー」的には見れるものがある。
だが、細かい設定をきちんとしていないため敵の能力設定が浅すぎる
そのせいでバトルシーンが多い作品なのにバトルシーンの盛り上がりに欠け、
盛り上がりに欠けているのに色々な視点に切り替えるためただでさえ盛り上がらないシーンを
余計に盛り上がりに欠けるものに仕上げてしまっている。

本来色々やり方はあったはずなのに見せ方が悪い。
予算の問題がセンスの問題か能力の問題かは言及しないが、戦闘シーンの見せ方が本当に甘く
きちんとした戦闘シーンがもっと描かれていれば盛り上がりの薄さは回避できたはずだ
戦闘シーンが多い作品なのに戦闘シーンのレベルが低いというのは残念でならない。

ストーリーに関してもTVアニメ自体が深夜帯に移ったことを考えればもう子ども向けに作る必要はないはずだ
明らかに子供騙しといえるような設定の浅さや設定の使い方のヘタさは見ていてもどかしい物がある。
終盤のゴンが「怨」に頼る描写も描き方1つでもっと面白いものになったはずだ
それこそキルアを半殺しにされかけたなどという状況での怨発動にだったり、
敵を倒すために頼ったはいいが戻れなくなって仲間と戦ってしまうという状況になったりと
私の素人考えでも色々と使いドコロは思いつくのに中途半端な使い方をしてしまっている。

前作は映画としての面白さクォリティが一切なく、TVスペシャルでやっても面白く無い内容で
映画としての評価に値しない作品だった。
逆に今作は映画としての見せ方をわかっており、迫力のあるシーンも多い。
だが、1つの映画としての完成度は低い。

第三弾の予告もなかったのでこれで劇場版HUNTER×HUNTERは終わりだろうか???
興行成績もあまり芳しくないようなので第三弾はないかもしれない。
ただ今回と同じように「前作より面白い」というレベルで毎年作っていけば
8作目くらいで名作になるかもしれない(笑)