「メアリと魔女の花」レビュー

評価 ☆☆☆☆☆(6点) 全102分

あらすじ 時は昔、1人の赤毛の魔女が魔女の国から「夜間飛行」という花の種を盗み出すが、逃走中に力尽きて乗っていた箒と共に種を森に落としてしまう。
引用- Wikipedia

ジブリじゃないのにジブリがいっぱい

本作品はスタジオジブリの監督でもあった「米林宏昌」監督が
手がけたアニメ映画作品。
制作はスタジオポノック、ジブリ作品に関わったスタッフが8割という
アニメ制作会社だ。

レビューの前の余談だが、前々から私は米林宏昌監督は
ジブリの作画に甘えて長編映画に向いていない監督だと思っていた。
彼が手がける作品はどれも作画の質はいいのだが
アニメーションとしての印象が残らず、中盤以降のストーリーが
グダグダというお約束が生まれており、正直嫌いな監督だ。

そんな米林宏昌監督がジブリではなく違う制作スタジオで
アニメ映画を作るときいて、私は少し期待していた。
しかし、そんな期待は見出して5分で裏切られる。
「スタジオジブリ」という制作会社を抜け出したのに、
絵の雰囲気はジブリそのものだ。

謎の少女がほうきにまたがり空を飛び逃げ惑い、
落下したかと思えば飛行石のようなものをおとし、
トトロの謎の力のように木を一気に成長させ、
そうかと思えば場面が変わり窓から主人公が考え深げに外を眺める

「ジブリがいっぱい」みたいな冒頭のシーンは
作品への期待感をへし折り、結局、宮崎駿監督の真似事しかできていない。
アニメーションとして印象の残らない画作りしか出来ておらず、
前2作よりも進歩が見えないどころが、
ジブリの作画能力がなくなったことで余計に1シーン1シーンの印象が薄い。

それどころか「どこかで見たことのある」シーンでしか無い。
過去のジブリ作品で似たようなシーンをそのまま引用したのではないか?
と思うほどに見れば見るほどジブリ作品がデジャブのように
脳裏に浮かんでくる。

このシーンはジブリのあの作品で見たことがある、
この会話やキャラの表情はジブリのあのキャラがしていたというように、
シーンが切り替わるたびに「ジブリで見たことのある」シーンが描かれ、
まるでジブリが大好きなファンが作った同人アニメのような
シーンづくりしか出来ていない。

これでジブリ風な作画やキャラデザでなければ、
ここまでのデジャブを感じなかったかもしれないが、
客寄せのためにジブリ風にしたことで常にジブリがいっぱいな状態だ。

ストーリーもグダグダだ。
借りぐらしのアリエッティも思い出のマーニーもテンポが悪かったが、
この作品もテンポが悪い。
ヤル気はあるがドジな少女が魔女の国へ行ってしまってさぁ大変という
お話ではあるのだが、そんなシンプルな話をダラーっと描いてしまう。

更にキャラ描写の下手さ。
米林宏昌監督は自分の頭の中だけでキャラの心理描写が完結しており、
それを見る側に作品の中で伝えきることができていない。
キャラの心理が読めず、感情移入が出来ず、突拍子もない行動や言動に
見てる側が唐突に感じることが多かった。

それは相変わらずだ。
関係性の薄い「ピーター」を救うために奮闘するメアリの行動や言動は、
きちんとした「キャラクターの関係性」が描かれていないのに、
キキとトンボみたいな描写をされても違和感しか無い。

「魔女の国」の魔法学校という大きな世界観と舞台のはずなのに、
いわゆる「敵」もたった2人だ。もっとも多くのキャラクターがいても
この監督は動かすことが出来ないだろうが、
まるで「セカイ系」のごとく世界観の割には少なすぎる登場人物のせいで、
話が大きんだが小さいんだかよくわからない感じになっている。

宮崎駿監督ならばもっと魅力的なサブキャラがたくさん登場し、
物語を盛り上げただろうなと感じるほど、
少ないキャラクターを小ぢんまりとしか動かせておらず、
「魔法学校」なのに他の生徒が主人公であるメアリと絡むことはない。

そもそも行ったり来たりしすぎだ。
田舎の町から始まり、魔法学校へ行ったかとも思えば、
田舎に戻り、そうかと思えば魔法学校へ戻り、別荘に行き、
また魔法学校へ戻り、最後は自分の家にと場所が変わりすぎて落ち着きない。

結局ストーリー的にも一時的に魔法の力を手に入れたヒロインが、
魔法の国で色々あって魔法の力はいらないというだけの話で、
結局ヒロインは成長したんだかしてないんだか
よくわからないままに終わってしまう。

総評

全体的に見て面白そう止まりな作品だ。
可愛く見えそうで見えないヒロイン、面白そうで掘り下げられない世界観、
盛り上がりそうで盛り上がらないストーリー、
ジブリのようなワクワクするシーンに見えるようで見えないアニメーション、
あともう一歩踏み込めば面白くなりそうなのに面白くない。

テンポの悪さは作品全体の足を引っ張っているが、
そのテンポの悪さの原因は余計なシーンの多さだ。
102分という尺の中で余計なシーンを省けば70分位で収まりそうな内容だ。
30分ほどの余計なシーンや必要性を感じないシーンのせいで、
作品全体が間延びしており本来はあるはずの面白さが薄まってしまっている。

ストーリー自体も原作が古いのもあってしかたないのかもしれないが、
どこか掴みどころかなく、結局何を描きたかったんだ?と
感じる部分が大きい。
最後まで見ても、少女が恋をして成長するわけでも、
特別な力を手にれてなにかが変わるわけでもない。

その変わらないことに意味があるみたいなメッセージ性を
出したかったのかもしれないが、
いまいち消化しきれない話で終わってしまう。
この消化のしきれなさはもはや「米林宏昌」監督のおはこだ。

結局の所、スタジオジブリの宮崎駿監督の真似事をしようとしている
才能にない監督のアニメでしか無い。
ジブリで見たことのあるシーン、ジブリで見たことのあるキャラばかりで、
そのツギハギで出来たのがこの作品だ。
それならば過去のジブリ作品を見たほうがよっぽど楽しめるだろう。

個人的な感想

個人的にはあの作画とキャラデザの時点で期待はしていなかったが、
期待以下の作品だった。
米林宏昌さんは作れば作るほど作品の面白さが失われていっており、
正直、アニメ監督に向いていない。

結局、米林宏昌さんは監督として宮崎駿監督のマネしかできておらず、
模倣でしかない。
アニメーターとしては優秀なのかもしれないが、
「監督」としては才能がないと感じてしまう作品だった。

おそらく今後も米林宏昌さんはジブリという壁、
宮崎駿という呪縛に囚われ続けるのだろう。
次回作があるのかどうかはわからないが、
その壁と呪縛を打ち破ることをわずかながらに期待したい。

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