「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」レビュー

評価 ★★☆☆☆(25点) 全98分

あらすじ マサラタウンに住む少年であるサトシは10歳になりポケモントレーナーの資格を得る。彼は10歳の誕生日に、町に住むポケモン研究者のオーキド博士からポケモンを貰って旅立つことになっていた引用- Wikipedia

ピカチュウと思った?残念、チョッパーでした

本作品はアニメ、ポケットモンスターの映画作品。
ポケットモンスターとしては「20作品目」となる記念作品。
今までのポケモン映画のように放送中のシリーズの映画ではなく、
本作品は無印の1話から描かれる映画になっている。
監督は湯山邦彦、制作はOLM Team Kato

見出して早々に、カメックスとゲンガーによるポケモンバトル、
そうかと思えばフシギバナが出て・・・と、
ポケットモンスター赤・緑をプレイしていた人たちにとって懐かしいキャラの
ポケモンバトルが画面いっぱいに描かれる。

この作品はいわゆる「リメイク」作品だ。
アニメ「ポケットモンスター」の1話、あの20年前に放送された
あの「1話」を20年後の今、劇場版としてリメイクしている。

本当に懐かしすぎる今では絶対にありえない展開と描写だ。
サトシがマサラタウンで目覚め、サトシのママやオーキド博士などの
懐かしいキャラクターたちが画面狭しと動き回るさまは懐かしさ全開であり、
最近のポケモンのキャラクターを知らないという人でも楽しめる。

そしてピカチュウ。
ポケモンのアニメ化として主人公のポケモンが
ヒトカゲでも、ゼニガメでも、フシギタネでもない。
しかも「モンスターボール」にすら入らないという
当時の子供達に衝撃を与えた1話をそのままリメイクしている。

しかし、あくまでもリメイクされたのは「1話」だけだ。
サトシとピカチュウの出会い、オニスズメに襲われホウオウに出会うという
序盤の展開は細かい違いはあるものの大まかな違いはない。
だが、その1話の内容が10分ほどで描かれたあとは
パラレル展開になってしまう。

懐かしいあのオープニングテーマが流れる中でダイジェスト形式で
序盤の展開が描かれたあと、一気にタマムシジムまでサトシが移動する。
この作品の最大の欠点は「カスミ」と「タケシ」が出ないことだ。

1話のリメイク要素があるにもかかわらず、
アニメポケットモンスターで重用な彼らが出ない。
彼らの存在すら描かれず、サトシが出会ったのかどうかもわからない。
しかもジムはタマムシジムで3つ目という
「お前、一体どういうルートで進んだんだ?」と言いたくなるような展開だ。

更にはあっさりと「エンテイ」が出てくる、
タマムシジムというカントー地方のジムでバトルしていたはずなのに、
なぜジョウト地方の伝説のポケモンが出てくるのかよくわからず、
カントー地方で旅をしていたはずのサトシの前に、
別の地方のポケモンが驚くほど出てくる。

見ている側としては「ポケットモンスター(無印)」の
アニメのリメイクを想定していたはずだ。
だが、蓋を開けてみれば最近のポケモンも出まくりの
パラレルワールドストーリーになっている。

懐かしいあの旅をもう1度味わいたかったのに
見れば見るほど知らない旅になっていく。
初代のポケモンアニメの全275話という豊富な話をうまくつなげて、
90分にまとめるだけで十分に一本の映画になるのに、
よくわからないパラレルワールドのストーリーはどう消化していいかわからない。

それなのに中途半端に「ポケットモンスター(無印)」の
印象深いエピソードを盛り込んでいる。
ヒトカゲやバタフリーの話などあの頃にポケモンを見ていた人たちは
覚えているはずのエピソードも描かれているのだが、
バタフリーのエピソードなど3分くらいで描かれており、
感動エピソードを描くのに必要な「溜め」が圧倒的に足りていない。

リメイクするならリメイクする、パラレルワールドで描くなら
中途半端に「ポケットモンスター(無印)」を盛り込む必要性を感じない。
描くならきちんとした尺で描かないと描いた意味がない。

サブキャラである「ロケット団」も驚くほど扱いが悪く、
ギャグキャラとしても悪役としても中途半端であり、
出す必要性があったのか?と感じるほど邪魔なキャラにしかなっていない。

この作品で素直に褒められるのはバトルシーンだ。
ポケモン映画といえば伝説のポケモンが登場し、
巨大なポケモンと巨大なポケモン同士のよる「怪獣大戦争」になることが
恒例になってしまっているが、この作品はきちんとノーマルサイズな
ポケモン同士のポケモンバトルが描かれる。

当時のセル画ではなく、デジタル作画だからこその立体感のある
グリグリ動かすカメラワークは迫力のある
ポケモンバトルのシーンを生んでおり、やや1バトルが短い感じはあるものの、
しっかりと見応えのあるポケモンバトルを見ることができた。

総評

全体的に見て賛否両論なポケモン映画だろう。
ポケットモンスターというアニメを1話からリメイクするように見せかけて、
パラレルワールドなifストーリーが描かれてしまい、
リメイクに期待して見てしまった人は肩透かしを喰らい、
ポケモン映画を楽しみたいという純粋な気持ちで
見る人はそれなりに楽しめるだろう。

ストーリー自体は決して悪くはない。
伝説のポケモンである「ホウオウ」を中心に、
サトシが旅に出て成長していく様がしっかり描かれており、
毎度おなじみの怪獣大戦争ではないポケモンバトルを絡めながらの
ストーリー展開はよくまとまっており面白い。

だが、中途半端なリメイク要素や排除されたタケシやカスミの存在など、
あの頃の「ポケットモンスター」のアニメのリメイクを期待した人にとっては
肩透かしであり、中途半端なリメイク要素はいらだちを感じさせる。

更にこの映画が賛否が別れてしまう最大の要因はピカチュウだ。
ピカチュウはポケモンである、当然しゃべれない。
長年の間、「ピカピカ」言っていたピカチュウは
大谷育江さんの素晴らしい演技のおかげもあり、ピカピカ言ってるだけなのに
きちんと「サトシ」と聞こえ感情を感じさせる演技になっている。

だが、この映画ではピカピカ言わなくなり、
ガッツリと日本語を喋ってるシーンが有る。
サトシが朦朧とした意識の中で聞こえた言葉となっているが、
事前に「しゃべる」とわかってみていても驚くほど喋っている(苦笑)
これで「サトシ」くらいならいい、だが、そんなレベルじゃない(笑)

目をつぶってしまえばワンピースの「チョッパー」か
名探偵コナンの「光彦」にしか聞こえない声は、
日本語で喋る必要があったのか?と感じてしまう演出だった。

個人的な感想

個人的にはこの作品にものすごく期待していた。
事前の予告で無印のリメイクをするのか!どんな感じにまとめるんだろう?
と思って見だしたら、完全なパラレルワールド。
話自体はそれなりに面白く、ポケモン映画としては面白い部類に入るのだが、
リメイクを期待してしまうとがっかり感がすごい。

なぜこんな中途半端なリメイクをしたのだろうか?
正直、パラレルワールドで描く意味がよくわからず、
ホウオウ関連のストーリーもカスミやタケシと一緒でも良かったはずだ。
存在感の薄すぎる映画オリジナルキャラの必要性も感じず、
がっかりした気持ちで終わってしまった作品だった。

来年はどういう映画になるかわからないが、
ポケットモンスター THE ORIGINが非常に良かっただけに、
いつかきちんとした形でリメイク映画を作って欲しいところだ。