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「映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-」レビュー

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評価 ★★★★☆(70点) 全98分

あらすじ 相も変わらず妄想に耽る六花の学業は奮わず高校3年次への進級も「おまけ」で認められ大学受験も絶望的な有様だった引用- Wikipedia

邪王真眼よ、永遠に。

本作品は中二病でも恋がしたい!の劇場版。
中二病でも恋がしたい!は以前にも劇場版を上映したが、
あれは総集編であり、本作品は完全新作の続編となっている。
なお2期は2014年だったので4年以上経過している。

基本的なスタッフや制作会社には変更はない。
監督は石原立也、制作は京都アニメーション。
ちなみに私は2期のレビューでこの作品の「結末」が劇場版で
描かれるのでは?と予測していたが、まさか4年かかるとは思わなかった。

痛々しいセリフの応酬

見出して感じるのは懐かしさだろう。
冒頭から4人でコタツに入り古いカメラを目の前に
六花と凸守による中二病トークが繰り広げられる。
この痛々しさすら感じるセリフの応酬は懐かしさを感じると同時に
「中二病で恋をしたい」という作品の雰囲気をしっかりと思いださせてくれる。

劇場版に伴い少しだけ時系列が進んでいる。
勇太と六花は高校3年生への進学を控えており、
一方の凸守は生徒会長、森サマーは副生徒会長に、くみん先輩は大学に進級と
それぞれの立場も変化している。
そして「六花」の中二病は相変わらずだ。

それところか同棲しているはずの2人は倦怠期だ。
キスすらせず、当然その先もない。
上級契約を結んだはずなのに特に変化のない2人だったが、
六花の姉による強制的なイタリアへの引っ越しを匂わされ、
2人は駆け落ちを決意するところからストーリーが始まる

逃避行は突然に。

はっきりいってびっくりするほど強引なストーリー展開だ。
「なんで駆け落ち?」と思わず思ってしまうほど強引に駆け落ちさせており、
ある意味でこの作品らしいともいえるのだが、
駆け落ちの場所もちょっと微妙だ。

中学生が修学旅行で行きそうな場所にどんどんと移動して観光したりするのだが、
ダイジェストチックな展開も多く、特にそこに面白みがない。
京アニは聖地巡礼的な要素がある場合も多いが、
今回は「修学旅行で行きそうな所」というだけで意味合いが薄い。

駆け落ちの中で敵となった「凸守」や「森サマー」とのバトルや
逃走劇などが描かれる部分は面白みはあるものの、
最終的な目的地が「北海道」なら、最初からそこを目指すという展開で
よかったのでは?と感じてしまう部分だ。

未来

もうすぐ高校3年生になり6月には六花は18歳になる。
「いつまで中二病を続けるのか?」という焦りが彼女の姉にはある。
同時にそれは視聴者の思いでもある。
1期から約5年、彼女の終わらない中二病がどうなるのか。

本作の芯はここであり、何がきっかけでどう彼女が変わるのか、
もしく変わらないかというのが作中の六花以外のキャラクターと
同じように彼女を見守ってしまう。

そんな中で描かれるプロポーズにも似たシーン。
それは勇太なりのけじめであり、誓いでもある。
未来をきちんと意識したからこそ彼女の「中二病」にも終りが見え、
彼にもらった左手の薬指に光る指輪に力を奪われる。

だが、変わりたくないという彼女の思いも強くなる。

邪王真眼も女の子

彼女は最後の選択を迫られる。
この選択は1期からずっと続いてきた問題だ。
「彼女は中二病をやめるのか、続けるのか」

これが最後のチャンスであり、中二病で恋をしたいという物語の結末でもある。
彼女にとって中二病はアイデンティティであり、主人公でもある勇太との絆だ。
それをやめても勇太とは恋人でいられるだろう。
しかし、彼女は「勇太は今の自分を好きなのでは?」という思いが強い。
変化を恐れる彼女は一人の恋する少女だ。

変わった自分を受け入れてくれるのか?変わっても自分を好きでいてくれるのか?
中二病だから自分を好きになってくれたのではないか?
中二病だから彼との絆ができたのではないか?
変化を恐れる彼女は一人の乙女だ。

そして、その問いに勇太も誠実に答える。
この作品が多くの人に愛されるのはキャラクターの可愛さもあるが、
主人公である「勇太」のキャラクター像にもあるだろう。
彼の答えはラストつながり、ラストは「そう着たか」と思わせるエンディングだ。

ああ、最後の最後でこうなるのかと。
1期から6年でたどり着いた結論はある意味でこの作品らしく、
「この先」を感じさせるラストは物語の結末としてしっくりときてしまう。
中二病でも恋をしたい、2人はそれでいいのだと。

総評:6年かけてたどり着いた結末

全体的に見て中二病でも恋がしたい!という作品を見てきた人にとっては
納得の結末であり、しっかりと楽しめる作品だ。
相変わらずの痛々しいセリフの応酬、2人の恋の行方、
2人がたどり着いた物語の結末と未来を想像させるラストは素晴らしいものだった。

2期では結末の引き伸ばしを感じたが、
この作品で見事にしっかりと作品をまとめている。これ以上描くのは野暮だろう。
きちんと作品が「終わった」事を感じさせる結末になっており、
「中二病でも恋がしたい!」という作品を見た人ならば是非見てほしい。
本の最後の1ページを読み終えたような感覚になる作品だ。

欠点を言うならばやや「駆け落ち」シーンでのダイジェストによる
尺稼ぎが目立ってしまっている点とごく一部のキャラの扱いの悪さくらいだが、
彼はあれでいいのだ(笑)

中二病がきっかけで始まった恋の結末をぜひご覧頂きたい。

個人的な感想:凸守

今回はどちらかというと賑やかし的な要因でしかなかったが、
森サマーと凸守の関係性の描き方は閑話休題的なギャグにもなっており、
彼女たちのファンならば間違いなく楽しめるイベントシーンだらけだ(笑)
ココぞというところで出てくる「くみん先輩」のお約束も素晴らしく、
1期、2期と楽しんだ作品をもう1度しっかりと味わえるような作品だった。

びっくりするほど綺麗に終わっているのも高評価につながった。
続編はないと感じさせるがキャラクターたちの未来は
感じさせるストーリーになっており、
ついでにいえば「タイトル」をしっかりと回収する作品に私は弱い(笑)

中二病でも恋がしたいという作品が好きならば間違いなく楽しめる作品なだけに、
1期2期と楽しんだ方にはおすすめの作品だ。

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