「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」レビュー

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映画
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評価 ★★★★☆(71点) 全113分

あらすじ 人とポケモンが風とともに暮らす街「フウラシティ」では、1年に1度開催される「風祭り」のために、世界各地から様々な人やポケモンが集まっている。引用- Wikipedia

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異色すぎるポケモン映画

本作品はポケットモンスターの劇場アニメ作品。
監督は矢嶋哲生、製作はOLM Team Kato、WIT STUDIO。
前作の「キミにきめた!」と同様にTVシリーズとの関連はなく、
サトシが主人公であることに変わりはないものの
ほとんどのキャラクターは映画オリジナルキャラクターになっている。

制作陣が今作はなかなか興味深く、
アニメ制作は「進撃の巨人」のWITSTUDIO、
シナリオ面で「Re:ゼロから始める異世界生活」の原作者である
長月達平氏が参加しており、キャラクターデザインは「映画ドラえもん」で
メインスタッフを務めた金子志津枝氏と異色の組み合わせだ。

良い意味でスタッフからどんな作品になるか想像できず、
深夜アニメが好きな方ならば進撃の巨人やリゼロのタイトルで
興味を惹かれる作品だ。

ギャル


画像引用元:劇場版ポケットモンスター みんなの物語 予告編より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

冒頭に登場するのはゴリゴリのギャルだ(笑)
ミニスカで髪は金髪でメッシュを入れており、派手なメイクだ。
知らない人に見せても「ポケットモンスター」という作品のキャラとは
絶対わからないほどに異色のキャラが冒頭から登場する。

そんな彼女はポケットモンスターのことなど一切知らない。
しかし、怪我をした弟のために「フウラシティ」で開かれる
風祭りに参加し、ポケモンをゲットすることになる。
見た目はギャルなのに弟思いというなんともオタク心に響く設定のキャラだ。

ただ、この作品は彼女がメインヒロインというわけではない。
タイトルに「みんなの物語」とあるように、いわゆる「群像劇」になっている。
弟思いなギャル、フウラシティに住んでいる視聴の娘、ポケモン研究家、
お調子者、変わり者のおばあさんetc…

「フウラシティ」に集まる一人一人の物語が描かれる。
ポケモン映画と言えば基本的に伝説のポケモンが大暴れして、
怪獣大戦争になってる作品が多いなかで、この作品は異色と言える。

もちろん主人公は「サトシ」ではあるものの、他の作品に比べると
主人公というよりもあくまでメインキャラの一人くらいの扱いだ。
劇場版ポケットモンスターとして初めての群像劇であり、
ある意味で異色なのが本作品だ。

淡々


引用元:画像引用元:劇場版ポケットモンスター みんなの物語 予告編より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

序盤から淡々とした感じが強い。
「群像劇」であるがゆえに一人一人のキャラに焦点を当てなければならず、
そのせいで頻繁に視点が切り替わる。
視点を切り替えながら徐々にそのキャラクターがどういうキャラなのか?
彼らがなんおために「フウラシティ」にきているのかと言うのを掘り下げていく。

お祭りが開かれているフウラシティでイベントに参加し、
暴れるバンギラスを捕まえたりするアクションシーンなどはあるが、
ド派手なシーンという感じではない。

しかし、ド派手なシーンがないからこそ、一人一人のキャラを丁寧に掘り下げる。
「サトシ」という主人公がどんな主人公なのか、
「カガチ」という嘘つきおじさんがどんな男なのか、
「ラルゴ」という視聴の娘が隠れて保護しているポケモンはなんなのか、
「リサ」が弟のために追い求めているポケモンはなんなのか。
「ヒスイ」というおばあさんはなぜ、ポケモンが嫌いなのか。

人とポケモン、そんな不思議な共存をしているこの世界で
「ポケモントレーナー」と「ポケモン」の関係性を掘り下げていく。
展開としては地味ではあるものの、そんな地味な展開の中で
キャラクター同士が出会い、関わっていく。

「ポケモン」というものを殆ど知らない「リサ」が
サトシに教わってイーブイをゲットする。
そんなポケットモンスターの世界では普通の出来事である
「ポケモンをゲットする」シーンが序盤の盛り上がりと言ってもいいかもしれない。
1度モンスターボールを投げて失敗してでてきてしまうシーンや、
「ポケモンをゲットする」という嬉しさや喜びが映画の中できちんと描かれている。


引用元:画像引用元:劇場版ポケットモンスター みんなの物語 予告編より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

この作品のメインキャラたちの多くは嘘をついている。
「カガチ」は嘘を付き続けてきた人生であり、そんな嘘が姪を傷つけている。
「ヒスイ」は過去の事件をきっかけにポケモンを嫌いと言っている。

そんなそれぞれの嘘。自分を守るため、自分をよく見せるため、
ときには他者を守るために嘘を付く。
だが、そんな嘘が常に良い結果につながるとは限らない。
時には他人を傷つけ、時には自分自信すら傷つける。

そんな「嘘」でキャラクター描写をしながら「フウラシティ」で事件が起こる。
ルギアがフウラシティに送っている風、そんな風はフウラシティの発展に
役立っており、風がなければフウラシティの電力はなくなってしまう。

そんな風を送る目印である「聖火」が何者かに盗まれる。
一体、誰が、なんのために盗んだのか。
キャラクターたちの些細な行動が他のキャラクターの行動に繋がり、
それが事件に発展する。

人間とポケモン


引用元:画像引用元:劇場版ポケットモンスター みんなの物語 予告編より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

小さな伏線の積み重ねで終盤の盛り上がりを生む。
嘘ばかりついてきたおじさんは嘘では同しようもない状況に陥る。
何も力のない、嘘だけで生きてきたおじさんがウソッキーと出会い、
そんなウソッキーはおじさんの優しさに触れ、おじさんが好きになる。

嘘つきおじさんとウソッキー。そんな一人と一匹の関係、
ポケモントレーナーと所有ポケモンになるまでの関係性の描写はすばらしく、
思わず涙腺を刺激されるほどだ。

自己主張が苦手なポケモン研究家はラッキーに背中を押されて自分の思いを話す。
全力で走るのを止めてしまった少女はイーヴイを見てまた走り出す。
過去にポケモンを失ったお婆さんは大好きだったポケモンの意思を受け継ぐ。
それぞれの人とポケモンの物語が本当にしっかりと描かれている。

ゼラオラ


引用元:画像引用元:劇場版ポケットモンスター みんなの物語 予告編より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

そして「ゼラオラ」彼は過去に人間が起こした火事が原因で、人間を恨んでいる。
自分たちの住処である森が削られ、森に住んでいるポケモンが減り、
それどころか火事を起こした「人間」というものを憎んでいる。

そんな憎しみを受け入れるのは主人公たるサトシだ。
ピカチュウとともに彼に立ち向かい、彼と対話を試みる。
ゼラオラの技を自ら受け、ポケモンを守る姿がゼラオラの心を打ち、
友だちになる。
群像劇ではあるが、「主人公」としてサトシがしっかりと存在する。

人とポケモンが生きる世界だからこそ、人とポケモンが協力し生きる。
人間が「嘘」をやめ、真実を明らかにし、パートナーになることで
人だけでは、ポケモンだけではできないことをする。

まさに「みんなの」物語だ。

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総評:異色のポケモン映画


引用元:画像引用元:劇場版ポケットモンスター みんなの物語 予告編より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

全体的に見て素晴らしい作品だ。
群像劇にし多くのキャラとポケモン、そんなポケモントレーナーとポケモンの
関係性をしっかりと描写しつつ、それぞれの嘘から事件に繋がり、
そこから真実を明かし、それぞれが自分を見つめ直し、
ポケモンたちとの関係性をしっかりと作り、
人間とポケモンが共生している世界の中での絆を描いている。

本当に一人一人のキャラクター描写が秀逸だ。いわゆる悪人が居ない。
ロケット団がいつもの調子で悪事を働いてはいるものの、
映画オリジナルキャラの中に「悪人」が居ない。
そんな悪人が居ないのにそれぞれの嘘から事件が起こり、
悪人が居ないからこそ一人一人のキャラに感情移入してしまい、涙を誘われる。

序盤は地味だ、だが、そんな地味な中でも丁寧にキャラを描写したからこそ
終盤の盛り上がりと感動につながる。
いつものポケモン映画とは良い意味でも悪い意味でも違う部分が大きく、
いつものポケモン映画を期待してみてしまうと肩透かしを食らう作品だ。

しかし、そんないつものポケモン映画とは違うからこそ
しっかりと世界観とそこに生きるキャラを描いた作品であり、
いつもは冒頭に入るオーキド博士によるナレーションが今作は
映画のラストに入ってるのもにくい演出だ。

長年オーキド博士を演じた「石塚運昇」さんの最後のナレーション、
そんな最後のナレーションが心に染み渡り、映画としてしっかりと余韻の残る
ラストに仕上げている作品だ。

個人的な感想:こんなにポケモン映画で泣かされるとは..


引用元:画像引用元:劇場版ポケットモンスター みんなの物語 予告編より
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

序盤は地味な作品だなーと思ってみていたのだが、
中盤くらいから涙腺が崩壊した(苦笑)
あまり期待せずに見てなかったからこそ余計に人間とポケモンの
関係性の描写がグサグサと突き刺さってしまった。

ウソッキーやピカチュウ、イーヴイなどのポケモンの
可愛らしさもしっかりとあり、キャラクターもかわいい作品だ。
最近ポケモンの映画を見てない、ポケモンの映画はあまり好きじゃない。
そんな人にこそ是非見ていただきたいポケモンの映画だ。

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