陸はガルパン、空はストパン、海はアルペジオだ!「劇場版蒼き鋼のアルペジオ アルスノヴァ Cadenza」レビュー

2017年1月4日

評価★★★★★(89点)全104分

あらすじ 世界に対し降伏勧告を行った千早群像の父・翔像。群像は父と再会し霧による海洋封鎖の理由を問い質すべく、北極海へ向かう。一方、イオナはウラジオストクで自らの出自を告げられ…。引用 – Wikipedia


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陸はガルパン、空はストパン、海はアルペジオだ!

本作品は蒼き鋼のアルペジオの劇場版。
前作は総集編+後日談だったが、今作は完璧な新作及び完結作品、
なお前作の後日談部分を見ていないと話しがつながらないので注意。
監督は岸誠二、制作はサンジゲン。

見出して感じるのは作画の進歩だろう。
TVアニメの序盤は明らかに「CG」と分かってしまうほど
ややクォリティの低いCGであり、特にキャラクターの作画は不安定だった。
しかし、TVアニメの中盤くらいになると洗練されはじめ、
終盤に違和感はなくなった。

そんなTVアニメのクォリティから更にクォリティが上がっている。
冒頭から大量の戦艦とそこに佇む武蔵と大和のメンタルモデル。
「劇場版」という大きなスクリーンをきっちりと意識し、
画面いっぱいに描かれる戦闘シーンとキャラクターは「圧巻」だ。
私は冒頭の5分で劇場で見ずにBDで見てしまったことを後悔したほどだ。

無骨な「戦艦」を、CGで描く欠点でもある「軽さ」を感じさせない
重厚感のある戦闘シーンを海という浮揚感も描かなければならない場面で、
きっちりと感じさせ、激しい演出でしっかりと「魅せる」戦闘シーンになっている、
圧倒される戦闘シーンは素晴らしい出来栄えだ。

更にストーリー構成。
この作品は1時間44分の作品だ、映画としては通常の尺だが、
「完結させる」という作品の主軸があるゆえに、
見る前は「テンポは早いんだろうな」と思っていたのだが、
実際に見てみるとかなりテンポは遅い。

前作の新規エピソードから登場した「霧の生徒会」と「武蔵」、
この新しいキャラクターをきっちりと映画で掘り下げている、
前作が顔見せ程度であり、今作も1時間44分という限られた時間で
なおかつ既存のキャラクターの活躍のシーンも入れ、
ストーリーも進めて、新規キャラクターを掘り下げるのは至難の業だ。

だが、そんな至難の業をこの作品はやってのけている。
やや「実力派声優」による演技でのキャラ付けがあるものの、
決して声優だよりではなくきっちりと「掘り下げ」、
きっちりと戦闘シーンを魅せる。

特に終盤の霧の艦隊と青の艦隊、
2つの艦隊のぶつかり合いは本当にぜひ「スクリーン」でみたかった。
端から端できっちりと動かし画面狭しと銃弾と砲弾が飛び交い、
艦隊が動くたびに海が唸りを上げる。
去年話題になった某「はい○り」や「艦○れ」の制作陣に見せてあげたい。

これが艦隊戦だ、これが海での戦艦の戦闘の描き方だ。
アニメ業界の陸はガルパンだが、海はハイフリなんかじゃなく、
海は蒼き鋼のアルペジオと声を高らかにしていい回りたくなるほど
終盤の戦闘シーンは圧巻だ、盛り上がり方が半端じゃない、
特に「高雄」の新装備はもはやロマンすら感じさせる。(笑)

更に既存キャラの「サブキャラ」にもきっちりと活躍の場を与える。
緊張感のある戦闘シーンに入る一歩手前での何気ない
「セクシーシーン」だったり、日常シーンだったりと、
サブキャラであるがゆえにシーンとしての尺は短いものの、
キャラ萌え的なシーンと戦闘シーンできっちりと「見せ場」を作り、
まんべんなくキャラクターが動いている。

キャラ描写のバランスの悪さというのが見ていて気にならず、
非常に丁寧なキャラ描写と、そのキャラ描写をより深くさせる
迫力ある戦闘シーンがより「キャラクターの魅力」を深め、
同時に作品の面白さも深める。

特に「高雄」の任務シーンは物語として必要なシーンではあるのだが、
同時に彼女の可愛さ100%なシーンであり、素直に萌えられるシーンだ(笑)
やや尺が短いのは気になるものの、
十分にファンサービス的なシーンもきっちりと抑えている。

そしてストーリー。
霧の艦隊と呼ばれる彼女たちがなぜ人間を襲うようになったのか、
イオナの秘密、主人公の父親はなぜ人類を裏切ったのか。
今までのストーリーの中で積み重なっていた「伏線」を
丁寧に回収し、丁寧にストーリーを進行していく。

キャラクターの心理描写はこの作品の肝でもある。
戦艦のメンタルモデルと言われる彼女たちの自我や感情の目覚め、
「命令」にただ従うだけだった彼女たちの「意思」の描写を
テンポよく描くのではなく「きっちり」と描くことで
物語が終盤で最大限の盛り上がりを見せる。

終盤のストーリーの展開のすでにたどり着いた結末は、
TVアニメで「金剛」をきっちりと描いたからこそ、
結果的に彼女の言葉と、イオナと「千早群像」の行動によって変わった仲間達が
「イオナ」を前に進ませ、人類を救う。

全体的に見てTVアニメから続く物語の「起承転結」が素晴らしく、
「転」に当たるとも言える総集編の出来栄えが足を引っ張ってはいるものの、
その総集編のマイナス部分を消し、「蒼き鋼のアルペジオ」という作品を
きっちりと完結し、きっちりと余韻を残すラストシーンを見せてくれた。

妥協のない作画、妥協のないストーリー構成、妥協のない戦闘シーン。
1時間44分という尺の中に精一杯「蒼き鋼のアルペジオ」という
作品の面白さと詰め込み、最大限に味あわせてくれる。
蒼き鋼のアルペジオという作品が好きならば間違いなく、
イオナの最後の姿に涙腺を刺激され、
「面白かった」という言葉が見終わったあとに素直に出るはずだ。

綺麗にストーリーの伏線も回収し、物語が綺麗に終わった。
昨今「続きは原作でね!」や「俺たちの戦いはこれからだ」で
終わる作品が多い中できちんと完結しただけでも評価を高くしてしまうが、
この作品は綺麗に完結し、良い余韻を残してくれた作品だ。

個人的に本当に劇場に足を運ばなかったことを後悔した、
総集編の評判の悪さと自身の多忙さのせいで、
この作品のあの戦闘シーンの数々を24インチのモニタで
見てしまったことは本当に残念でならない。

「蒼き鋼のアルペジオ」のTVアニメは見たが、
劇場版はまだ見ていないという方はぜひ、劇場版はを見ていただきたい。
素直に「面白かった」といえる作品だ。

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