ご都合主義全開&豆腐でジェンガな作品「orange」レビュー

2017年1月2日

評価★☆☆☆☆(11点)全13話

あらすじ 長野県松本市に住む女子高校生・高宮菜穂は2年生になった4月の始業式の日、差出人が自分の名前になっている手紙を受け取る。その手紙には、26歳になった10年後の自分が後悔をしていて、その後悔を16歳の自分には味わってほしくないこと、菜穂に今後起きること、それに対して菜穂にしてほしい行動が書かれていた。引用 – Wikipedia


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ご都合主義全開&豆腐でジェンガな作品

原作は別冊マーガレットで連載されていた漫画作品。
2015年12月に実写映画化もされている。
監督は浜崎博嗣、制作はテレコム・アニメーションフィルム。

最終回は1時間スペシャル、更に2016年夏アニメなのに、
2016年11月にはTVアニメの総集編+後日談の劇場版も公開されるなど、
かなり気合が入って推されていると言っても過言ではないくらいの作品だ。

見出して感じるのはいかにも「少女漫画原作」なキャラデザだ。
言われなくてもこのキャラデザだけで「あ、少女漫画ね」とわかるほど、
ベタベタな感じのキャラデザだ。

だが、かなり癖がある。
特に女性キャラの「下唇」、メインヒロインの下唇の強調加減は
昨今のギャルがよくやる「アヒル口」的な感じであり癖がある、
だが、癖がある反面でメインヒロインのはずなのだが、
どうにもモブキャラのような印象の薄さもある。

更にベタすぎる展開。
思わず、本当に口に出して「なんでベタベタな展開なんだ」と
口に出してしまうほどベタすぎる展開だ。
走って登校、教室についたら新学期で「転校生」が来る。
教科書通りのような始まり方で強烈なベタさ加減を感じさせる。

それと同時にこの作品特有の「SF要素」がある。
この作品は「10年後の自分から手紙が来る」というSF要素があり、
未来の自分が間違えてしまった選択を間違えずに、
望まない形の未来を回避するという内容だ。
最近流行りの「タイムリープモノ」ではないが、それに近い感じだ。

しかし、いまいち「タイムリープ」的SFものの面白さを感じられない。
ヒロインが最初にいわゆる未来改変を行う要素が「代打」を引き受けることだ。
10年後のヒロインが10年前の自分に書いた手紙で
クラス対抗スポーツ大会での代打引き受けのことを書いているという
細かさも非常に気になる。

この手紙の目的はもっと「重要な部分」にあるはずなのだが、
そんな細かい部分まで書く必要性があるのだろうか?
これでソフトボール部員でソフトボールの
全国大会での重要な場面とかならばわかるが、
ただのクラス対抗スポーツ大会だ、後悔もクソもないだろう。

代打を引き受けたことにより恋愛フラグが立つ流れになるのだが、
手紙には「この日、私は翔を好きになる」と書かれている。
代打を引き受けない10年後の未来の自分も好きになっているはずなのだが、
この好きになるきっかけと代打がいまいち結びつかない。

更に「未来」の描写。
たまに未来のヒロインも描かれるが、この未来のヒロインは
現在のヒロインとは別の選択をした結果のヒロインだ。
未来改変をしても結局は「パラレルワールド」であることが早々に示唆されており、
はっきりいってこういったタイムリープや未来改変系の作品では
描写してはいけない要素だろう。

登場人物が頑張って最悪な未来をなんとか回避する。
これがこの手の作品の面白さであって、
「でも結局はパラレルワールドなんでしょ?w」というツッコミは
本来は作品に水を差してしまうご法度的要素だ。

はっきりいってご都合主義がひどすぎる。
早い段階で未来の手紙とは違う状態になるのだが、
その時点で未来の手紙とは違う「世界線」=パラレルワールドなのだから
未来の手紙の内容は意味がなくなるはずなのだが、
未来が変わったはずなのに手紙内容は日付通りで非常に有用だ。

更にめんどくさすぎるヒーロー。
「君に届け」の風早くん並に爽やかイケメンであり、
スポーツ万能、頭脳明晰、爽やか笑顔と絵に描いたような
少女漫画のヒーローである。
しかし、こいつが超絶めんどくさい。

ネタバレになるがwikipediaを見ればわかるので書いてしまうが、
メインキャラの4人が未来の自分からの受け取った手紙には彼が
10年後には居ないという事が明記されている。
その居ない事実を回避するために奮闘するわけだが・・・

ヒーローが居なくなる原因は「自殺」である(苦笑)
そもそもの問題が「母親の自殺を自分のせいと思ってしまった」という
かなり個人的な問題による自殺だ。

これで登場人物が中学生が小学生ならば、
ネガティブな思考に陥って自殺に至る流れもわからなくはないが、高校生だ。
どんだけ豆腐メンタルなんだと思うほどだ、
言い方はあれだが、彼の豆腐メンタルを崩さないように周りが必死に色々する。

豆腐でジェンガをしているような状態だ、この作品はそんな作品だ。
選択技を見すれば自殺してしまうヒーローのいる乙女ゲーなど、
マニアックすぎるだろう(苦笑)
この作品が本当に乙女ゲーでルートの中の1つなら面白いのだが、
正規ルートとしてはやや、難易度が高すぎる。

全体的に見てガバガバな作品だ。
思いつきで「未来からの自分の手紙」を元にした恋愛ストーリーを
展開したかったのはわかるが、思いつきだけで練っておらず、
突っ込みどころが多すぎる。
その突っ込みどころに目をつぶるにしても「豆腐メンタル」すぎる
ヒーローが本当に面倒くさい。

タイムリープもので本来はご法度のパラレルワールド説を出すのは
最悪良いとしても、最後の最後で「過去へ自分の手紙」を送る方法も
ふわっと描写してしまい、
その送る方法の「ガバガバ感」で呆れて終わってしまう。

そこは誤魔化しておいていい部分じゃないのか?と、
ファンタジーなのだからリアルに描写しなくてもいい部分まで
なんとか説明をつけようと描写してしまうせいでご都合主義も貫き通せず、
ガバガバな設定だけが目立ってしまう。

ツッコミどころじゃない部分、少女漫画特有の恋愛模様や5人の青春、
豆腐メンタルではあるが、そういう「メンヘラ男ルート」と
割り切れば爆笑しながら楽しむこともできる。

好感度を上げるイベントを積み重ねたにも関わらず、
最後の最後まで自殺イベントに挑もうとするヒーローの行動や言動、
最後の彼の手紙はちょっとツボに入る内容だった。

売上は250枚以下と盛大に爆死、総集編映画もやったり、
最終話は1時間SPと普通のアニメよりも予算をかけて、これでは散々すぎる。
実写映画の方は2015年冬に公開されたものなので、
このアニメが実写映画の宣伝のためという事でもないだろう。

実写映画は興行収入が32億円突破しているようだが、
それくらいの売上を目指してのアニメ化だったのだろうか?
これだけ予算をかけているのに
爆死だとプロデューサーあたりの首が飛んでそうだ(苦笑)

実写の評判も興行収入が良い割には悪く、
原作漫画の最終巻はamazonレビューでもだいぶ荒れている。
原作や実写映画とアニメがどこまで違うのかは分からないが、
大筋はそこまで違わないようだ。

なぜ、ここまでゴリ押しさせてメディアミックスして、
アニメの売上は爆死なのに総集編映画まで作られたのか
本当によくわからない作品だった。

個人的に言えば中盤くらいに作品の見方を
「メンヘラ男攻略ルート」と割り切ることでなんとか見ることが出来た。
本来はこういう見方の変更は駄作を楽しむためのものだが、
この作品の場合は最後まで見続けるために一旦、視聴心理を
自分の中で割り切らないと最後まで見るのが難しかった。

逆にそういうふうに割り切ると素晴らしいギャグアニメだ(笑)
本当に一歩間違えば自殺である、複雑な伏線と選択技を1つも
間違えないでようやくトゥルーエンドにたどり着けるが、
もう「え?そこも伏線なのか?」と思うほど細かい回避策があったからこそ、
トゥルーエンドにたどり着けている作品だ。

上の5行ほどの文章だけだとは見ていない人にとっては
「複雑な伏線による素晴らしいストーリー」と
勘違いしてしまう方もいるかもしれないが、そういう意味ではない(笑)
破綻したガバガバ設定と擁護できないヒロインとヒーローの恋愛模様が
なんとか聖人君子と策士によって収まっただけだ。

わかりやすく言うならば
氷山に追突したはずのタイタニックの客員が奇跡的に全員生還したようなものだ。
作品としては破綻しているがハッピーエンドになっている。
突っ込もうと思えばもっとレビュー内でかけるのだが、
流石に150行を超えたのでヤメた(苦笑)

余談だが実写映画の感想を書かれているサイトで
「土屋太鳳(ヒロイン)の胸でも触らせてあげれば年内くらいは自殺しないだろ」
というような感想があって爆笑した(笑)

こういう感じの作品を好きという人がいるのもわかるのだが、
私は素直には楽しみきれなかった。