「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」レビュー

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青春
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評価 ★★☆☆☆(36点) 全13話

あらすじ IT企業に勤めるサラリーマン・吉田は、上司の後藤愛依梨にフラれた夜、荻原沙優という家出少女と出会う。沙優は性交と引き換えに宿を提供するよう吉田に要求するが、吉田はこれを拒否した上で、働くことを条件に彼女を居候させる。引用- Wikipedia

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落ちてるJK、拾いますか?

原作はライトノベルな本作品。
監督は上北学、制作はproject No.9

拾ってしまった

1話早々、主人公が振られるシーンから始まる。
気合を入れてレストランに誘ったものの相手は彼氏持ちである事実が発覚し、
主人公は泥酔してしまう。

5年も前から彼氏がいるのにも関わらず高めのレストランに誘われて
二人きりで食事をする女性もクソではあるものの、
主人公はそれにもましてとんでもない行為をしてしまう。
女子高生を拾う。

まるで捨てられた子猫のようにうずくまる少女、
そんな彼女は主人公に「泊めて」と頼み込む。
酔った勢い、少女を思う気持ち、そして下心。
平然と彼女は一宿一飯の恩義として「ヤらせる」ことを提案する。

とんでもない作品である(苦笑)
手を出せば当然犯罪だ、泊めることも誘拐罪などになる可能性が高い。
ヒロインにとって「やらせる」事は当たり前だ、
もはや彼女はそういう生活に慣れてしまっており、
そういうふうに生きている。

親切心と酔った勢い、だが、主人公は酔っていても
酔いが冷めても一線は越えない。それが彼の信条であり、モラルだ。
安易に一線を越えていたら1話で見るのを辞めてしまったかもしれない。
しかし、一線を越えないからこそ先の展開が気になってしまう。
家出JKとアラサーサラリーマン、禁断の関係性の行末を。

下心がないといえば嘘になる、だが、彼は絶対に手を出さない。

「触れないHカップより、触れるFカップのほうが良くない?」

男性諸君としては思わず頷いてしまうほどの正論をJKを投げかけてくるが、
主人公は絶対一線を越えない。どれだけ誘惑しても一線を越えない、
そんな彼だからこそヒロインであるJKも興味を持つ。

始まりが下心ではなく親切心だからこそ、
この作品はなんとかモラルを保ててるといっても良い。
おせっかいという名の説教ではある、だが、主人公は本気でヒロインを
心配しているからこそ、彼女を住ませることにする。

彼女を「正しく」しよう。ある意味で主人公のモラルや信条の押しつけだ。
エゴともいえる。
体を売って生活しているようなJKを彼は許せない、
まっとうに暮らしてほしい、まっとうに青春をしてほしい。
彼の価値観の押し付けているが、その押し付けがJKを救う。

自分には「体」以外になにもないと思っている。
だからこそ、彼女は他人に好意に対して自らの身体を差し出すことで
その好意に対する対価を支払おうとしている。
そうすることで彼女は生きてきた。その価値観を正そうとする物語だ。

家出した未成年を家に住まわせている時点で犯罪ではあるものの、
捜索願も出されていない家出少女であり、
「未成年者略取・誘拐罪」は親告罪だ。
リアルな話を言えば一時的に保護するならば「児童相談所」に連絡を
入れるのがベストではあるものの、あくまでもフィクションであることを
受け止めなければならない。

女性関係

主人公は別にぼっちや童貞男子ではない。
1話では上司の女性を口説こうとし、彼に好意を持つ同僚もいる。
複数の女性から好意を寄せられており、
そもそも「年下」である「JK」は彼の好みではない。

逆に「JK」なヒロインは男性に対して嫌悪感はないが、
トラウマに近いものは有り、時折、
過去の自分がやってきたことをふと思い出す。
生々しいシーンの描写をすることで彼女自身が自分のやってきたことを
後悔するきっかけにもなっている。

主人公と会い、彼の価値観に影響されたからこそ
自分の過去の行動を振り返ってしまう。
自分に絶対に手を出さない、そんな主人公だからこそ、
過去の男を比較し、主人公に惹かれていく。

主人公をめぐる女性関係があるからこその「嫉妬」が
自身の価値観のせいで自分自身の存在意義を揺らがせる。
彼女は自分の価値は「体」にしか無いと思っている。
それを利用し今までは家出を続けてきた。
体を差し出すこととそれを受け入れてもらうことで自分自身を存在を
確立していた。

だが、主人公はそれを求めない。
何の見返りも求めない彼に、自分を認めてほしいがために
彼女は体を差し出そうとするものの、
そんな必死な彼女の思いを否定するのが主人公だ。
ここで彼女を抱くことは簡単だ、だが、それはしない。

1話から続く主人公の価値観の押しつけというエゴ、
そこにゆらぎがない。ブレない。
綺麗事とも言える、現実では誘惑に負けるほうが多いだろう。
だが彼は負けない。フィクションだからこそ、物語の主人公だからこそ、
彼の芯とも言うべき部分は折れない。折れてしまえば物語が終わる。

主人公に性欲がないと言えば嘘となる。
だが、そこは彼にとって重要ではない。
始まりは彼の正義感とエゴだったかもしれない、だが、
いつの頃から彼女と一緒にいることに居心地の良さを感じている。

「居てくれるだけでいい」

性欲という一時的なものよりも、二人は「愛情」を求めている。
ギリギリの綱渡り、モラルという細い糸を誘惑に耐えながら
渡りきった先にどうなるのか。

良い人という名のファンタジー

4話あたりから主人公とヒロインの周りにいるキャラクターたちが
積極的に彼と彼女に関わってくる。
だが、基本的に一部を除き、彼女たちはいい人たちだ。

ギャルなバイト仲間もヒロインの事情をなんとなく察し、
主人公との関係性も察している。
主人公の同僚も同じだ。
しかし、誰も彼らの関係性を通報したり、強く否定はしない。

危うい関係性なのにそれを責めたたてる存在が居ないというのは
ややご都合主義を感じる部分であり、
それどころか意味不明な展開になってくる。

主人公は1話冒頭で片思いをしていた上司に振られている。
そんな上司が中盤、実は主人公が好きだったと告白してくる。
彼氏持ちだったというのも嘘であり、告白してきた日は
「今日じゃない」と思ったから断っている。

意味不明である(苦笑)
上司があの日、断らなければ、意味不明な理由で拒絶しなければ
主人公はJKを拾うこともなかっただろう。
そんな物語の大事なきっかけとも言える出来事が
「今日じゃない」という意味不明な気まぐれなのは飲み込みがたい。

そんな彼女に対し、主人公は当然怒るからこそギリギリ話に
ついていけるが、いまいち納得できない展開になってしまう。
一言で言えば面倒くさいキャラが多い。
誰も彼も「良い人」ではあるものの、良い人である代わりに面倒くさい
考えや重い過去があるキャラが多く、話が進めば進むほど
その面倒臭さが前に出てくるような印象だ。

元宿主

中盤になるとヒロインの元宿主も出てくる。
ヒロインに対する態度や考え方は違うものの、
世間から見れば「主人公」は同じだ。
脅迫じみた行動とともにヒロインに迫ってくるものの、
主人公がそんな彼女を守る。

だが、彼は言われてしまう。

「一生あの子を育てていくのか?大学はどうするの?就職は?
できるわけないよなぁ?あんたはあの子の親でもなんでもないんだから」

ゴリゴリな正論だ(苦笑)
一時的な快楽とともに宿を提供したものと、
精神的な自己満足とエゴとともに住める場所を提供している主人公。
大差はない。

ようやく、この主人公とJKなヒロインの同居という問題に
マトモに突っ込んでくれるキャラが現れてくれる。
だが、そんな元宿主はあっさりとヒロインから身を引くどころか
もう手は出さないという約束もきちんと守っており、
ヒロインと仲良くバイトをしている。

自分を脅迫し、襲おうとした相手と笑顔を浮かべて会話をするのも
謎でしか無く、あれだけゲスな感じで描かれているのに
あっさり身を引く元宿主もよくわからず、
少し話が進むとヒロインのために色々してくれる。

話が進めば進むほど見ている側のキャラへの理解が
追いつかなくなってきてしまう。
あまりにもファンタジーすぎる。

そんな「甘い」ともいえる状況だからこそ、
二人は互いに意識を始める。
歪な関係性、本来は法的にはアウトなところから始まった関係性、
手は出さない、誘惑はしない、そんな不思議な関係性だからこそ
互いの「恋愛感情」に意識はしつつも気づかないふりをしている。

一緒に住めば住むほど意識してしまう。
だが、互いに一歩は踏み出さない。そういうルールの元、
始まった同棲だからだ。
いつかはヒロインは自分自身の問題にむきあわないといけない。
お互いがお互いが居ない事を想像できないからこそ逆に一歩踏み出せない。

ヒロインは北海道から来たJKだ。
いつかは帰らないといけない、帰ると約束してしまっている。
それが別れになるかもしれない、一緒にいるからこそ離れることへの
不安と恐怖を感じてしまっている。それは主人公も同じだ。
話が進めば進むほど、どこか「共依存」のような関係性になっている。

だが、それではいけない。
一歩を踏み出すために、この関係生を1度は正さないといけない。
ヒロインは自分と、過去と、今と、家族と向き合うことを決意する。

ヒロインが過去と向き合ったからこそ、主人公も
「どうしたいか」を決める。
あやふやで曖昧だった関係生、その不安定な関係だからこその
良さもあった、だが、決めなければならないときが訪れる。

重い

少しずれていて、少しおかしい。
そんな二人が互いに依存し、その事実を認め、自分の気持ちと向き合う。
作品全体としての問題点やツッコミどころは多々あるものの、
話の流れ自体は悪くない。

ヒロインがどうして家出をしたのか。
「重い」過去と「厳しい」家庭が彼女をそうさせた。
そんな向き合うのが辛い問題に主人公とともに向き合う。
向き合ったからこそ立ち向かえる。

どこか「少女漫画」や昔の携帯小説じみた重さがあり、
そう感じるとこの作品で取り締まれていない犯罪的行為も
どこか納得できる部分もある。

一応は全てが解決する。ややここも強引でご都合主義を感じる部分ではあるがこの作品なりに登場人物の問題に向き合った結果だ。
最後の最後まで一線を越えないのも
この作品らしいラストと言える。

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総評:拾ったら駄目だ

全体的に見て、最後までこの作品のキャラには感情移入できない。
彼らなりに道理があり、価値観が有り、そんなエゴを押し付け合いながら
変化していく流れは悪くないものの、一部のキャラの突拍子もない行動や
それに対するヒロインの反応の違和感なども多く、
主人公が犯している犯罪行為も含めてツッコミどころはかなり多い。

簡単に言えばどこか俯瞰的に見てしまう作品だ。
「感情移入」やこの作品の世界観に入り込む没入感があるわけでもない、
非現実的かつありえない「ファンタジー」な感覚だ。

聖人すぎる主人公や、どこかおかしいヒロイン、
やっつけな感じで片付けられてしまう主人公の同僚たちとの恋愛事情、
綺麗に終わりすぎているラストなど、どこか
この作品と見ている側とでの価値観や感覚のズレが常につきまとい、
決してつまらない作品ではないものの、面白いとは言い切れないもどかしさが常に付きまとうような感じだ。

妙に生々しいリアルな部分と、ご都合主義的なフィクションな部分の
バランスが極端であり、見る人の価値観によって
かなり評価が変わりそうな作品だ。
そういった意味で賛否両論極端に
分かれるエンタメな作品だったのかもしれない

個人的な感想:うぅーん

同じ時期に放送したスーパーカブと同じく、
作中内の犯罪行為を見る側がどう受け止めるかでも
評価が変わってきそうな作品だ。

個人的には主人公がJKを家に迎え入れること自体は
主人公のキャラクター性も相まってそこまで気にならなかったが、
元宿主の件や上司の意味不明な態度など、
犯罪行為よりもそちらのほうが気になってしまう作品だった。

1クールに収めるために細かいキャラ描写を省いていると感じる部分もあり、
原作だと上司に関してはもう少しフォローがあるのかもしれないが、
アニメだと中盤からほぼ出番がないのも気になるところだった。

コメント

  1. resin K. より:

    1クールで少し不足で,かと言って2クールの尺はない感じかな?