みツわの

評価/★★☆☆☆(23点)

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世界初の舞妓アニメ、しかし内容は・・・

原作は2012年度講談社BOX-AiR新人賞受賞作のライトノベル作品。
2014年3月にOVAとして発売された、製作はXEBEC。
恐らく世界初の「舞妓アニメ」だ

見だして早々、度肝を抜かれる。
舞妓さんという設定上「京都」を舞台にしているのはわかる、
そのために冒頭で町並みを描写するのだが、
その中で「車は走っているのに街を歩く人は静止している」という
意味の分からないシーンが流れる(苦笑)

予算的に車は動かせても人並みは描写できなかったのかもしれないが、
それならば人を描写せずに車だけを描写すればいい、
車は走っているのに人並みは止まっているというシーンはある種のホラーだ(苦笑)
そのシーンだけならばまだ納得できるのだが、この作品は全体的に動かない。

せっかく、この作品でもっともきちんと描かないといけない舞妓が
初めて画面に描写されるシーンも演出が地味でインパクトがなく、
極力静止状態のキャラクターを口だけ動かしたり、
カメラワークで動かしているようにごまかしたりと、
アニメーションの面でのクォリティがあまりにも低すぎる。

この作品はいわゆる日常アニメでもある。
ヒロインたちは舞妓見習いとして修行に励むストーリーだ、
日常アニメの多くは「キャラクターの繊細な動き」や「雰囲気」や「キャラの表情の変化」など
キャラクターを活かすための世界観づくりと空気作りが重用だ
日常アニメでは「キャラクターの可愛さ」を追求するか、
舞台描写を繊細にし背景の描き込みにこだわり街並みを徹底的に描写するパターンがあるが
この作品の場合はそのどちらもできていない。

せっかくの京都の雰囲気も確かに「木造建て」の家の雰囲気は出ているものの
あくまで雰囲気しか出ておらず、そこに京都の空気は感じない
京都の街並みをヒロインたちが歩くシーンもカメラワークが遠すぎて
京都の雰囲気と可愛らしいキャラクターが馴染んでおらず、
OVAという尺の短さもあり「じっくり」と描かないといけないところをあっさりとしか描いていない

そのせいで淡々とストーリーを進めつつ、淡々とキャラクターを描写してしまっており
見ても見てもこの作品の世界観に馴染めず、空気感が伝わらない
ヒロインが舞妓になろうと思ったキッカケの雨の日に出会った「お姉さん」など
もっと演出がしっかりしていればヒロインが舞妓に憧れ、舞妓になろうと思った感情に
見ている側も強く感情移入できるのに、演出が弱いせいで感情移入できない。
いつまでたっても見ている側が蚊帳の外だ

そしてストーリーも詰め込み過ぎだ。
わずか1話で35分ほどの尺なのだが、その割には登場人物が多く
本筋のストーリーが進まずに日常ストーリーばかりが淡々と描写される
これでキャラクターの可愛さがきちんと描写されていれば
日常ストーリーも面白いと感じるだろうが、演出が甘いせいで日常ストーリーも楽しめない

本筋のストーリーも「発表会に出れるのが3人のうち二人しか出れない」という状況の中で進むが
非常にテンポが悪く、先が見えてしまう展開なだけに楽しみきれない。
これで本筋のストーリーに行く前にもっとしっかりと
この作品の雰囲気づくりと空気感、キャラクターの魅力が伝わっていれば
先が見えてしまうストーリーでも面白いと感じたかもしれないが、
物語の起承転結の起承の部分が弱く、その後の転結がいまいち面白いと感じられない

もう少し、もう少しキャラクターの作画の質が良ければ
この作品の雰囲気もキャラクターの魅力も伝わりストーリーも素直に楽しめただろうが
その、もう少しがなく魅力と雰囲気が伝わりきらない
そのせいで終盤のシリアスなストーリーがどうにもしっくりと来ず、
シリアスな雰囲気になっても「どうせ3人一緒に出られるんだろ」という邪推が
常に頭の中でよぎってしまい、その邪推通りの結末になってしまい拍子抜けしてしまう。

全体的に見てもっとしっかりと作られていれば面白くなった作品かもしれない。
そもそもの「舞妓」の描写が演出が悪いせいでインパクトがなくなってしまっており、
たんたんと原作の内容をアニメ化しましたという印象が強く、
「アニメーション」という媒体ならではの面白さが薄い作品に仕上がってしまう。
せっかく舞妓という日本の文化を題材にし、せっかく京都という舞台があるのに
その2つの要素がアニメーションという媒体で半分死にかけてしまっていた

更にラストシーン。
3人が発表会で舞妓として踊るシーンが有るのだが、これがスタッフロールが流れる中で描写される
それ自体は全く問題ない。
だが流れている音楽が堀江由衣さんが謳っている曲だ(苦笑)
せっかくのヒロインたちの見せ場なのに音楽が現代感ばりばりの曲で踊ってしまっており、
そこまで最低限にあった京都の雰囲気や舞妓の雰囲気をぶち壊してしまっている。

本来、物語の最大の見せ場なのだからスタッフロールの流れる中ではなく
きちんとした曲で踊っている3人が見たかった。
アニメーションという媒体での「舞」の演出なども本来は見どころになるはずのに
「雰囲気」で踊っている漢字も強く出てしまっているのも残念だ

OVAで1巻しか出ないということで予算が無かったのかもしれないが、
色々と期待はずれな感じで終わってしまった作品だ
極端な話だが製作がPAWORKSだったり、監督が佐藤順一監督だったら化けた作品だったかもしれない
いろいろな要素は悪く無いと感じるだけにそれを生かしきれない作品に仕上がったのは
「世界初の舞妓アニメ」なのに惜しまれる所だ。