「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」レビュー

評価 ★★★★☆(72点) 全12話

あらすじ 『スタァ』――それは舞台の中心、「ポジション・ゼロ」に煌めく光。心を震わせる歌声で、躰が動きだす踊りで、魂を揺さぶる演技で観る者を魅了する、舞台に咲き誇る華引用- Wikipedia

少女たちの輝跡を私達キリンは永遠に見ていたいのです。

本作品はブシロードとネルケプランニングによるTVアニメオリジナル作品。
監督は古川知宏、制作はキネマシトラス。

アイドルキャラが演劇をやるだって?


引用元:© Project Revue Starlight

1話そうそう「なんか見たことある」感じのキャラクターが多く出る。
作品のタイトルを隠さずに言ってしまえば、
「ラブライブっぽい」キャラクターデザインのキャラクターであり、
いわゆる「アイドルアニメ」のキャラっぽさを感じる。

演じている声優さんも新人がかなり多く、
そのあたりも「ライブライブ」っぽさを感じる要因の1つだろう。
しかし、アイドルアニメではありえないシーンが1話から描かれる。

出てくるキャラクターが全員「レオタード」姿でストレッチをし、
どこか芝居じみた動きや、ミュージカルのような口調、
一人ひとりが「出席番号と名前」を言いながら立ち位置につく姿は、
この作品ならではの独特なシーンだ。

彼女たちは女学校の「俳優育成科」に通う少女であり、
簡単に言えば「宝塚」みたいな舞台設定だ。
この作品はアイドルアニメのキャラでアイドルではなく演劇を描こうとしている。

予想外のミュージカル


引用元:© Project Revue Starlight

そんな1話の話の流れを飛ばして、いきなりミュージカルが描かれる。
歌いながら踊りながら互いに「戦う」少女たち、
そして「キリン」という特殊すぎるキャラクターが見つめる中で、
彼女たちは歌って踊って戦う。

まるで「輪るピングドラム」や「少女革命ウテナ」のような雰囲気の中で、
独特すぎる癖のある世界観の中で見てる側が「一体どういうことなんだ?」と
感じるストーリー展開は、かなりあっけにとられる。
歌いながら戦うさまは「戦姫絶唱シンフォギア」も彷彿とさせ、
彼女たちの戦いはミュージカルのオーディションということが分かると、
余計に混乱する。

正直いって好みが分かれるだろう。
比喩表現や匂わせる要素、いわゆる見る側に「考察」させる作品であり、
1話をみたあとの「あっけにとられる」感じを、
面白いと感じるかわけがわからんと切り捨てるか。
かなり尖った作品であることは間違いなく、見る人を選ぶ作品だ。

バトルという名のオーディション


引用元:© Project Revue Starlight

地下で行われる秘密のオーディションは毎日行われる。
彼女たちはそれぞれ「口上」とともに舞台に立ち、
スタァになるために互いの情熱と煌きを武器にして戦う。
決して殺し合いではない、あくまで彼女たちがやってるのは演劇だ。
トップになるために、スタァになるために、互いが互いの思いをぶつけ合う。

各キャラクターにそれぞれ「目指すもの」と「求めるもの」があり、
それをオーディションでぶつけあいながら、審査員であるキリンに見せる。
主役になるために他者を圧倒し、有無を言わせないスタァーになるための戦いだ。
ミュージカルなバトルシーンは主役になるためのオーディションの
一種の「比喩表現」だ。

もちろんバトルではなく、淡々としたオーディションで見せる事もできただろう。
だが「バトル形式」にすることで勝敗をわかりやすくしつつ、
アニメーションとしての「動きの面白さ」も取り入れ、
見てる側が本当にミュージカルを見ているかのような気分にさせられる。

キャラクターに当たるスポットライト、キャラによって異なる舞台装置、
勝敗が決した後のキメ台詞。芝居がかった戦闘シーンは
「オーディション」だからこそであり、不思議な面白さがある。

視聴者もまたキリン


引用元:© Project Revue Starlight

審査員は「キリン」だが、同時に視聴者でもある。
この物語の主人公である「愛城華恋」は1話の段階では主人公らしい魅力はない。
他のキャラに比べてパンチが弱く、魅力に掛ける部分が大きい。
だからこそ彼女は他のキャラと競う中で成長していく。

序盤の山場は3話だ。
オーディションに参加したばかりの主人公と
オーディションの「1位」の座に君臨する「天堂真矢」の戦い。
彼女は舞台装置までも自由自在に操り、自分の舞台を作り上げ圧倒する。
動きまくる戦闘シーンと予想外な「舞台装置」の数々は、
主人公にも見る側にも彼女が「トップスタァ」であることを自覚させる。

幼馴染と共にスタァになりたいと願う主人公と、
「一人でもスタァだ」と言い切る「天堂真矢」の差は圧倒的だ。
キリンのつけるキャラクターの順位付けの1位の彼女の存在感は
1位であることを視聴者にも感じさせる。

この時点でキリンという独特のキャラもまた「視聴者」
という名の比喩表現であることが分かる。
「わかります」というキリンの口癖は視聴者と同じ立ち位置であることを
強調しているにすぎない。

言いたいことがあるならばオーディションで語れ


引用元:© Project Revue Starlight

青春的な要素もある作品なだけにキャラクターには悩みがある。
友人への劣等感や、嫉妬、才能への憧れetc…
彼女たちは様々な悩みを抱え、キャラクター同士でも言いたいことがある。

本来ならこういう要素を描くためには「シリアス」が不可欠だ。
キャラ同士のギスギスとした関係性や喧嘩のなかで、
キャラクターの成長を描いている。

しかし、この作品にはオーディションという名のバトルがある。
秘めていた思いを互いにぶつけありながら演じ、見せつける。
だからこそ変なシリアスにならずオーディションが終わった後は、
まるで少年漫画のライバルキャラにように真の意味で「友」になり、解決する。
一種の爽快感すらあるストーリー展開だ。

バナナ


引用元:© Project Revue Starlight

この作品のある種のキーマンが「バナナ」だ。
バナナというふざけたあだ名と存在感がやや薄い彼女、
だが、8話で彼女の真実がわかり、物語の核心に迫る。
彼女の真実がわかった後に1話を見直すと1話では気づかなかった伏線があり、
地味だったキャラが怖さすら感じるキャラへと変化する。

1クールの中で伏線を貼るのは難しい。
2クールや4クールの話になって初めて伏線を活かしやすくなる。
しかし、この作品は1話の段階で地味だったキャラがきちんと伏線を張っており、
キャラクターと伏線の使い方が非常に上手く、
1クールという限られた尺の中でもきちんと伏線を張っている。

輝きこそが、スタァへの渇望こそがトップスタァへの道へと繋がり、
オーディションでの強さへと変わる本作品において、
「最も輝いていた時の自分」をもう1度味わいたい、
他者から未来への不安や変化への恐怖を救いたいというバナナという
キャラは強い。

主人公と最終話とキリン


引用元:© Project Revue Starlight

同じ輝き、同じ舞台を求める少女に対し、
主人公は「変化」と「未来」と「1度きりの舞台の魅力」を語る。
彼女が持つ2人の夢を武器に少女と戦う様はまさに「主人公」であり、
1話で彼女に感じなかった魅力と主人公の存在感が生まれる。
一人の少女が成長し、輝いていく様をキリンと一緒に視聴者も味わう。

主人公が主人公たらしめることで物語の舞台は整い、
序盤で1度は破れた「天堂真矢」に挑む。
成長した彼女だからこそ同じ夢を持つ仲間がいるからこそ、
かつては叶わなかった敵に勝利することができる。
まるで少年漫画のような王道な展開だ。

しかし、終盤のストーリーは正直、ややこしい。
雰囲気でごまかされた感じも強く、その雰囲気こそがこの作品の魅力でもあるが、
勢いでハッピーエンドに強引に持っていった感じも否めない。
だが、それは「キリンが本当に見たかった」舞台でもあり、
同時に視聴者が見たかったエンディングだ。
バッドエンドは誰だってゴメンである(笑)

そこに至るまで細かい部分をぶっ飛ばしてご都合主義もありな中で描いており、
ハッピーエンドではあるものの、いささか中盤までと比べて、
最終話は予定調和感の強いラストだったことは否めなかった。
だが、細かい部分はなんかよくわかなかったが面白かったとも思えてしまう、
魅力のある作品だ。

総評:輝く少女のレヴューを刮目せよ!


引用元:© Project Revue Starlight

この作品は宝塚風の舞台設定や女性キャラ同士の百合百合な雰囲気、
「少女革命ウテナ」を彷彿とさせる演出や、
わかりづらい設定や考察させる要素が多い作品だ。
それだけに人を選ぶ作品であり、好みの分かれる作品だ。
あえて分かりづらくしてる部分もあるだけに厄介だ。

しかし、小難しい部分を取っ払えばまっすぐなストーリーであり、
細かい設定は分かりにくく、いまいち消化しきれない部分はあるものの、
キャラクター同士のストーリーは清々しく、
キャラクターの「成長」と「変化」をキリンと一緒に楽しむことができる(笑)

作画も素晴らしく、舞台という名の画面の中をキャラクターが
縦横無尽に駆け回り、大胆なカメラアングルで舐め回すように映し、
廻り、跳ね、走り、互いの武器をぶつけ合うさまは素晴らしく、
「輝きに影響」されて変化する舞台装置も、
まるで本当に凝ったミュージカルを見ているかのようだ。

ただ声優さんに関してはたまに「演技力不足」を感じることもあり、
歌はうまいのだがセリフの部分でやや不安定になることがある。
このあたりは声優さんによる「舞台ありき」の配役もあるのだろう。
もう少しだけ発声がハキハキとしていればいいのにと感じる声優さんもおり、
このあたりは少し残念な部分だ。

作品全体の癖は正直強い。
だが、根本は「演劇が好きな少女たち」が主役を求めてる物語であり、
この作品の雰囲気とノリに素直に身を任せることで、
最初から最後まで一気に楽しめてしまう作品だった。

個人的な感想:キリン


引用元:© Project Revue Starlight

正直、私はこの作品に期待してなかった。
だがいざ始まってみるとあっけにとられてる間に頭に強烈な何かを
どんどんと詰め込まれているような作品だった(笑)

1話から10話くらいまでの話はどの話も良かった。
いや…ミュージカルのない4話や11話などは物足りなさは感じたが、
この作品の9割位は心底楽しんで見れた。
ただ最終話はちょっと私の理解力の問題もあり、
ちょっと消化しきれてない部分が多く、それだけがやや残念だった。

オーディションのシーンに関しては全部楽しめた(笑)
ただ、好み問題かもしれないが最終話よりも
ひかりVSバナナ戦が私が1番好きだった。

今から見る人も多いかもしれないが、
1話で拒否感が出れば最終話までその拒否感は消えないだろう。
だが1話でこの作品になにか感じる部分があれば、
きっと最終話まで一気に見てしまう魅力のあふれる作品だ。

あえて誰しもに受け入れられる作品ではなく、
癖のある作品と独特な世界観を全力で描ききった制作陣を私は評価したい。
なろう系ばかり、萌えアニメばかり、日常アニメばかりではダメだ。
1年に1回位はこういう「勝負」をした作品を私は見たい。
そういった部分も含めてやや高めに評価しました。

余談だが、この作品を「海馬コーポレーション演劇部」と
称してる人が居て爆笑した(笑)

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