絶望したっ!原作に敬意のない作り方で絶望した!「電波教師」レビュー

2016年5月20日

☆☆☆☆☆(0点)/全24話
電波教師 7 (完全生産限定版) [Blu-ray]

あらすじ
自称「やりたいことしかできない(YD)病」、いわゆるニートでオタク三昧な生活を送っている青年・鑑純一郎。そんな兄を心配した妹・純音は職を用意する。それはまさかの……「教師」!? 教育界を、日本を激震させる電波系オタクティーチャーストーリーここに開幕!!

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絶望したっ!原作に敬意のない作り方で絶望した!

原作はサンデーで連載中の漫画作品。
監督は佐藤真人、製作はA-1 Pictures

見だして感じるのは「うるさい」という感想だろう。
オタクな主人公とその妹が同時に大音量で喋る、
何の説明もなくハイテンポでストーリーが展開し、
セリフをしゃべりまくるのだが、それが面白さに繋がっていない。
耳から入って頭に入らずにそのまま耳から出て行くような感覚だ。

じっくり見せるということを1話では放棄しているようで、
とにかくハイテンポでどんどんストーリーを進める。
セリフの溜めや「間」というものはこの作品には存在せず、
ドンドンドン詰め込む。
同じシーンでも漫画ならば自分のペースで「読む」事ができるが、
この作品は強制的にラニングマシーンで走らされている感覚になるような作品だ

更に作画。
いわゆる「日5枠」で放映された作品であり、2クールという尺でありながら、
深夜アニメの予算が少ないアニメのような不安定過ぎる作画だ。
キャラクターデザイン自体もはっきりいって「古臭さ」を感じる、
最近のアニメとは思えないほどの作画のレベルは、
何話かに1度かならまだ我慢できるが、1話からずっと不安定だ。

シーンの見せ方がはっきりいって「悪すぎる」せいで、
恐らく同じシーンでも漫画ならばいらだちを感じないシーンでも、
不安定な作画や早すぎるテンポのせいで苛立ちしか感じないシーンになっており、
本来は笑えるはずのシーンが笑えなくなっている。

はっきりいってしまえば「アニメ作品」としての面白さがない。
原作にあるシーンを劣化した不安定な作画で口と目を動かしているだけであり、
それに声が付いているだけだ。
このクォリティならば画面を見ずにドラマCDと割りきって楽しむ方法もあるが、
一部キャラの演技が厳しい。

元アイドルであり、声優ではないため、余り言うのも酷ではあるが
きちんとした声優さんが多く登場している作品なだけに、
演技力不足や声質がキャラに合っていない感じが非常に目立ってしまううえ、
登場シーンが多いため余計に気になってしまう。

ただ序盤を過ぎると、その気になる部分が慣れてきて
この作品自体の面白さを感じることが出来る。
しかしながら、それは「原作の面白さ」であり、
決してアニメとしての面白さではない。

序盤は早すぎたテンポも話によってはまともになるのだが、
話によっては極端に遅くなったり、逆にまた早過ぎるテンポにしたりと、
ただでさえクォリティが低いのに、その低い中でバラつきが酷く、
一定の同じ方向の酷さなら2クールあるため「なれる」事もできるのだが、
まるで見ている人を船酔させるように話によって色々な方向性の酷さを見せるため、
この作品をどういう姿勢で見れば良いのか最後まで判断できない。

その反面、ストーリーはそれなりに面白い。
ベタではあるが、きちんと「キャラ立ち」している生徒たち、
一人一人問題を抱えているものの、そんな問題を抱えた生徒を
主人公である「オタクな教師」が1話~2話で問題を解決する。
変に引っ張るのではなく、サクサクとストーリーが進む感じは素直に面白く、
もちろん好みの問題はあるかもしれないが
日5という時間帯にふさわしい内容になっている。

しかしながら、中盤を超えるとクラスメイト以外のキャラが
使い捨て間隔で出て来ることが多く、
そのせいで既存のキャラの存在感が薄くなってしまう。

中盤でクラス内のメインキャラと、その他モブキャラ全員が
とあるゲームに参加してしまったことで、クラスメイト内に
それ以上のメインキャラを増やせなくなってしまっている。
クラス外か学校外のキャラばかりが増えていき、
クラスメイトを描かないわけにはいかないので、
結果的に新キャラが使い捨てばかりになってしまっていた。

全体的に見てこの作品は、アニメ作品として評価に値しない作品だ。
原作に対する「リスペクト」が一切なく、
この作品を面白くしよう、この作品をいい作品にしようという誠意を感じない。
原作からの問題点ももちろんあるだろう、
だが、それはきちんと「アニメ」として面白く仕上げてから判断する点であり、
この作品は最低限のアニメ作品としての面白さがない。

予算が少ないのかスケジュールがきついのか、
その両方なのか、それは判断しかねるが、
1話から最終話に至るまで常に不安定な作画や、
不安定な作画を想定していたかのような古臭いキャラクターデザイン、
テンポが早すぎて置いてけぼりになる展開など、
原作ファンからすれば「キチンと作ってくれよ!」と思ってしまうほどだろう。

内容自体はオタクな教師版「GTO」とでも言えばわかりやすいかもしれないが、
キチンと作られていればここまでの評価にはならなかったはずだ。
もちろんオタク的なセリフや、キャラクターの多さ、妹の暴力行為など
気になる点がないといえば嘘になるが、
学園教師モノとしてはそれなりの面白さがあり、
オタクという現代的なポイントを取り入れた教師モノという
この作品の本来の特徴と面白さもしっかり感じられた。

それだけに、その面白さを活かしきれていないもどかしさが強く出てしまい、
もっと丁寧に、もっときちんと、もっと誠実にこの作品が作られていれば、
素直に面白いと言える作品になったかもしれない可能性があっただけに、
この出来栄えは残念でならない。

売り上げ的に考えて2期は厳しそうだ。
イベントチケットがついていて1000枚以下というのは流石に笑えない。
最終話でさえ作画崩壊している作品には、
ふさわしい売り上げと言えるかもしれないが、
原作が報われ無いのが惜しまれる。