義をもって事を成す「LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門 」レビュー

2017年7月27日

評価★★★★☆(65点)全54分

あらすじ 剣術の腕を買われた五ェ門は、伊豆半島を根城にするヤクザ・鉄竜会の用心棒として雇われる。不遜な態度をとる五ェ門に幹部たちは不満を抱くが、五ェ門は鉄竜会の運営する賭博船の中で他組の襲撃から組長を守り、幹部たちを黙らせる。引用 – Wikipedia


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義をもって事を成す

本作品はルパン三世の劇場アニメ作品。
峰不二子という女、次元大介の墓標に続くスピンオフシリーズであり、
今回はタイトル通り五右衛門が主人公の作品となっている。
監督は次元大介の墓標と同じ小池健、制作はテレコム・アニメーションフィルム

見出して感じるのは「和風」な雰囲気だろう。
五右衛門が主人公ということも有り舞台は日本、
しかも五右衛門が雇ったのは「ヤクザ」という組み合わせ。
TVアニメシリーズやTVスペシャルでは醸し出せない「渋さ」を
冒頭からビンビンに感じる。

前作の次元大介の墓標も「渋い」作品だったが、
それと同時に「ハードボイルド」を感じる渋さのある作品だった。
それは次元大介が主人公だからこその渋さとハードボイルドさであり、
その雰囲気が次元大介という主人公のカッコよさをより引き立てていた。

今作は石川五右衛門が主人公だ、渋さはあってもそこにハードボイルドは必要はない。
彼に必要なのは渋さだけでいい。
彼が「銃弾を切り裂く」といういつものシーンですらも
スローモーションの演出で「魅せる」ことによって、
いつもの同じ物シーンですらかっこいいとすら感じてしまう。

ニヒルなセリフなどはいらない。あとは結果と行動で示すのみ。
武士道ともいわんべきシーンの描写の数々は、見ていてシンプルに面白く、
その雰囲気に誘われるようにうルパンたちもかっこいい(笑)
どうかっこいいのかと問われると非常に文章での表現に困るのだが、
台詞回しがシンプルで、そのシンプルなセリフを実力派の声優達が
きっちりと演じることでキャラクターの魅力がより深まっている。

キャラクターの服装も面白い。
「帽子をかぶってない次元」や「ボブな不二子ちゃん」など
いつもと違ったルパン一味の魅力も出ており、
五右衛門の「戦わないときは右手を隠している」姿などの
細かいこだわりも随所に感じられる。

ただ本作で五右衛門の戦う相手に関してはやや独特だ。
馬鹿でかい外人で両手にオノを持っている、
イメージとしては「ハイジに出てくるおじいさん」みたいな外見なのだが、
2つのオノを巧みに使って五右衛門を戦うシーンでの迫力が素晴らしく、
「あまり語らない」キャラクターだからこその威圧感が
キャラクターとしての魅力を強めている。

そして義を通すための石川五右衛門。
1度は敵に負け、修行し、敵に勝つ。
ストーリーの流れとしては物凄くシンプルなのだが、
シンプルだからこそキャラの魅力を雰囲気をストレートに感じることができる

中盤での「修行シーン」のインパクトは凄まじく、
ありとあらゆる方法で行われる修行は思わず笑ってしまうほどだ。
そこからの「覚醒シーン」の描写はジャンプ漫画かな?と思うほどの描写なのだが、
笑ってしまいながらもそのかっこよさと、
その後の戦闘シーンの渋さに噛みしめるような面白さを感じることができる。

そして決着。
「肉を切らせて骨を断つ」という言葉の通りの描写は、
一瞬見てるこっちがびっくりするようなグロい描写があるのだが、
その後に更にグロい描写と五右衛門らしい結末で勝負が終わる。

全体的に見て素晴らしいスピンオフ作品だ。
前作の次元大介の墓標の完成度はかなり高かったが、
今作でもそのクォリティは落ちておらず、
「石川五右衛門」というキャラクターを活かしための雰囲気作りと、
余計な肉付けのないストーリーと迫力のある戦闘シーンが
最後までしっかりと楽しまさせてくれる。

ただ難点を言えばちょっとストーリーがわかりづらい。
なぜ敵がルパンたちを狙っていたのか?という部分が明かされておらず、
敵としての魅力はあったのだが、
石川五右衛門の相対する敵としてはやや「アメリカン」すぎる感じもある。

wikipediaによれば今後の伏線やネタバレになるようなシーンの描写を
あえてカットしていたようだ。つまり続編を狙っている。
そういった意味では前作のほうが「マモー」が出たインパクトも有り、
物語としてもよくまとまっていたが、
今回は匂わせる部分や描写されてない部分が多く
ちょっとしっくりと来ない感じは残る。

ただ「ルパン三世」という作品が好きならば、
「石川五右衛門」というキャラクターが好きならば間違いなく楽しめる作品だ。
今後、このスピンオフシリーズがどのように展開していくのか。
峰不二子、次元大介、石川五右衛門ときたのだから
銭形警部当たりを描くのだろうか?

非常に今後の展開が楽しみな作品だ。