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「七つの大罪 怨嗟のエジンバラ 後編」レビュー

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評価 ★★☆☆☆(28点) 全54分

映画『七つの大罪 怨嗟のエジンバラ 後編』予告編 – Netflix

あらすじ 王国を捨てたデスピアスの魔の手がエリザベス に迫る。呪いに侵される母親を救うためトリスタンは王国を飛び出し、デスピアスが居城を構えるエジンバラを目指す引用- Wikipedia

親の七光り

本作品は七つの大罪のスピンオフ映画作品。
総監督は阿部記之、制作はAlfred Imageworks、Marvy Jack。
Netflixオリジナル映画として前編が2022年12月に配信され、
後編は2023年8月に公開された。
本レビューは後編のレビューとなる。

八ヶ月

前編の配信開始から八ヶ月もたってるせいで、
すっかりと前編の内容を忘れてしまっている。
前編が約1時間、後編も約1時間と
普通に2時間の映画として配信されていれば、
この感覚を味わうこともなくGoogleの検索候補で「後編 いつ」なんて
サジェストも出なかったはずだ。

前編と後編を分ける意味はあったのか?とかんじるところだが、
おそらくは制作側の都合、及びNetflixの戦略上の意味もあるのかもしれないが、
前編もさして話題にならなかったがゆえに後編も話題にならず、
配信されてから2週間位して「あ、後編の配信始まってたんだ」という
感覚になってしまった。

時期的に考えても「黙示録の四騎士」が2023年秋から
はじまることもあり、宣伝効果的なものを狙ったのかもしれないが、
前編後編に分ける意味は見ている側としては理解しがたいものだ。

続き

前編では七つの大罪のメインキャラたちの子供が登場し、
彼らが「デスピアス」という原作でもアニメでも
存在感の薄い敵が仕掛けてきた呪いをとくために
旅立ち、敵と相まみえるところで終わっている。

本作品の主人公である「トリスタン」は
女神と魔神の2つの力を持っている。
幼い時に彼は力の暴走で友人を傷つけており、
そんな彼の成長の物語がこの作品だ。

前編のラストでは姿を変えていた「ランスロット」が本当の姿を
トリスタンの目の前に現れており、
後編はそこからスタートする感じだ。

CG

本作品はフルCGで描かれているが、
CGのクォリティに前編後編であまり変化はない。
「ぬるぅ」っと動くフルCG作品特有のヌルヌル感はかなり癖がある。
最近はこういった癖のあるフルCG作品は減ったものの、
この作品はかつてのフルCGアニメの癖がそのまま残っている。

別に動かさなくてもいいシーンまで「ゆらー」っと体が動いている。
CGだからこそ手書きの作画と比べて動かしやすいのはわかるが、
無駄な動きが多いせいで、視線が無駄な動きのほうに向いてしまい、
集中力が分散してしまう感じだ。

後編では「大群」とトリスタン達が戦うシーンも有り、
こういったシーンではフルCGだからこそモブ兵士を
コピペして軍隊を描きやすいものの、
明らかにコピペ感のあるモブ兵士を並べられても迫力が出るわけでもなく、
CGだからこその大量の攻撃やモブ兵士をこれでもかと見せつけている。

前編よりも戦闘シーンは多いものの、
その戦闘シーンで特に盛り上がる感じや、
見ごたえのあるシーンというのが少ない。

ランスロット

前編では正体を隠していた彼だが、後編では正体を明らかにし、
トリスタンとともに戦っている。
本来の主人公であるトリスタンよりも戦闘シーンや、
キャラクターとしての魅力が強く、そのせいか
本来の主人公であるトリスタンの存在感が彼のせいで薄まっている。

妖精族の姿と人間の姿を使い分けて戦うランスロットは
キャラクターとしての魅力がしっかりとある一方で、
トリスタンはうじうじしっぱなしだ。

しかも敵の歯ごたえもない。
「デスピアス」もランスロットにボコボコにされ、
エリザベスに呪いをかけた存在も弱い。

七つの大罪

後編では七つの大罪が勢ぞろいしており、
七つの大罪のファンにとってたまらないファンサービスだ。
少し大人になったメインキャラクターたちの姿は、
彼らの成長と変化を時間の流れを感じさせる。

しかし、そんな彼らが活躍してしまうことがこの作品の問題点だ。
トリスタンとランスロットがピンチの時に彼らが颯爽と現れる。
完全にトリスタンとランスロットのキャラを食ってしまっており、
本来の主人公やこの作品からのキャラクターよりも、
圧倒的に強い彼らの戦闘シーンのほうが盛り上がるくらいだ。

ただ、その圧倒感の表現も雑だ。
前編からそうだが、やたらスロー演出も多く、
エフェクトでごまかすようなシーンもかなり多い。
エリザベスの呪いも本当に驚くほどあっさり解けて
拍子抜けしてしまう。

本気

終盤でようやくトリスタンが本気を出そうとする。
彼は誰かを傷つけることを恐れている、
誰かが自分の力で傷つくことを恐れた結果、本気を出せない。
この本気を出すさないを後編ではずーっと繰り返している。

ようやく本気を出した彼の戦闘シーン自体は
かなり気合が入って描かれていることを感じるものの、
CG特有のスピード感に頼り切った戦闘シーンのせいか
やはり盛り上がりに欠けてしまう。

今回の事件の黒幕である「デスピアス」も実は
「アーサー王」が裏を弾いていることが終盤でわかる。
これは「七つの大罪」の続編である「黙示録の四騎士 」に
登場する人物であり、この作品はその前日端的な作品だ。

2023年秋から「黙示録の四騎士 」のアニメがはじまることを考えれば、
この作品はあくまで「黙示録の四騎士 」の宣伝といえる作品なのかもしれない。

総評:黙示録の四騎士の宣伝アニメ

全体的に見てNetflix独占配信の映画作品であるものの、
制作側としては「黙示録の四騎士」の前日譚であり、
2023年秋からはじまる黙示録の四騎士の宣伝アニメという印象が
後編を見終わった後に残ってしまう作品だ。

前編に比べて戦闘シーンはかなり多いものの、
特に動かさなくてもいい部分まで動かしてしまっているせいで、
ゆらゆらとしたキャラクターの動きにかなり違和感が生まれており、
よく動いてはいるものの、アニメーションとしての面白みが薄い。
やたらスロー演出を多用するのもかなり気になるところだ。

キャラクターとしても、本来の主人公であるトリスタンよりも
ランスロットのほうがキャラクターとしての魅力が強く、
親世代の七つの大罪がでてきてしまうと、
途端に彼らの影も薄くなってしまっている。

敵であるデスピアスも、そもそも存在感が薄いキャラであり、
実は本当の黒幕は別に居た!という展開は、
1つの映画としてはモヤモヤとした感覚が残ってしまう
ストーリーになってしまっていた。

エリザベスにかけられた呪いも驚くほどあっさりと解けてしまい、
トリスタンの成長を描きたかったのはわかるが、
前編と後編でわけたせいで、その成長もいまいち伝わりづらく、
なんだかなーという印象で終わってしまう作品だった。

黙示録の四騎士の制作はテレコム・アニメーションフィルムと
老舗だけに、七つの大罪のアニメのようなひどい作画にならないことを
期待したいところだ。

個人的な感想:前編

前編のときはまだトリスタンがどんな成長と変化を
見せてくれるのかという期待感があったが、
後編ではその期待感を超えてこず、
結局親世代の魅力を超えることは出来なかった感じだ。

ファンサービス的なシーンも多く、七つの大罪が好きな方は
楽しめるかもしれないが、それ以外の方は微妙な作品かもしれない。

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