ポケットモンスターXY 破壊の繭とディアンシー

2014年12月6日

評価/★★★★☆(61点)

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原点回帰?これぞ子供向けポケモン映画

本作品はポケットモンスターの劇場版。
ポケットモンスターとしては17作品目の作品となり、
XYシリーズとしては初の映画作品となる

見出して感じるのは「めちゃくちゃポケモンしゃべってるなー」という印象だろう。
今回のメインポケモンであるディアンシーと、そのディアンシーに使えるメレシー達が
ポケモンでありながら冒頭からめちゃくちゃ喋る。
過去の劇場作品でも喋るポケモンは伝説クラスのポケモンには多かったが、
基本的に「テレパシー」のような描写が多かった。

今回も一応テレパシーなのだが不自然なほどしゃべりまくる。
状況の説明、ストーリーが始まるまでの流れを主人公であるサトシそっちのけで
ポケモン同士で話し合い物語をスタートしてしまう。
冒頭の9分ほど主人公であるはずのサトシの姿は一切描写されない。

9分ほどでようやく主人公であるはずのサトシは出てくるのだが喋らない。
バトルしているシーンと共に「OP」が流れるのだが・・・
これはXYシリーズのテレビアニメでもOPらしく本来は自然に受け止められるはずなのだが
彼のファンには失礼だがポケモンの世界に一切合わない曲はさすがにセンスが悪い
冒頭から萎えまくりだ。
1番だけなら我慢出来ただろう、だが2番まで流れる(苦笑)
OPで流れるポケモンバトルは悪くないのだが、曲のせいで冷静に楽しむことが出来ない

ただ、その序盤を乗り切ると「ストレート」なストーリーが素直に面白い。
ダイヤを作れるポケモンのディアンシーだが彼女は力不足で完ぺきにダイヤを作れない
ダイヤを作れないと彼女の国は滅亡してしまう。
そこで彼女は伝説のポケモンである「ゼルネアス」の「フェアリーオーラ」を分けてもらうために
旅に出てサトシと出会うところからストーリーが始まる。

この作品の「面白さ」の最大のポイントはディアンシーだろう。
彼女のお姫様で丁寧口調で舌っ足らずな感じの喋り方が物凄く可愛い。
言葉はお姫様なので非常に偉そうなのだが、ソレを感じさせないキャラ作りは素晴らしく
ディアンシーのキャラクターがきっちりしているからこそ、
サトシという主人公の立場も光る。

毎度映画では「サトシの超絶アクション」も見所の1つではあるが、
今回はポケモンや「シトロン」のロボットを使って
そのアクションが割りと自然なアクションに見せつつも迫力満載に描いている
映画という大きなスクリーンで見ても見応えたっぷりだったろうなと感じるシーンが多く、
きちんと「映画」を意識したシーンづくりになっているのは好感が持てるポイントだ

そして悪役。
ディアンシーがダイヤを作れるポケモンという理由だけで狙っておりシンプルだ
深い目的や行動理念があるわけではなく、泥棒だからダイヤを作れるポケモンをねらっている。
大人向けの映画ならば微妙な悪役でしか無いが、
あくまで「子供向け」のポケモン映画と考えると分かりやすい悪役がちょうどいい。

XYシリーズになってからサトシと同行するキャラクターが一人多い。
サトシ+3人+ディアンシーというメインのキャラクターたちに対し
悪役もそれなりに多いのだが、逆にシンプルな設定の分かりやすい悪役だからこそ
キャラクター数の多さが気にならず、悪役が増えることで「戦闘シーン」も増えており、
ポケモン映画でありがちな「怪獣対戦」になっていない。
きちんとした「ポケモンバトル」をテンポよく見せてくれる。

戦闘にはXYシリーズから参加したポケモンも非常に多く登場する。
ポケモン映画ではサトシのポケモンがピカチュウくらいしか活躍しない話もあったが、
今回はきちんと色々なポケモン同士の戦いを迫力満載に味わうことができ、
ポケモン達の見せ場をきっちりと作っている

非常にシンプルに話が進むことでストレートにキャラクターに感情移入しやすい
特にディアンシー、彼女の明るいキャラクターとは裏腹に彼女の国は「滅亡」しかけている。
物語の中盤でその事実が分かることで彼女の旅の目的を達成するための意味が強まり、
サトシたちと同じように見ている側もディアンシーに感情移入しているため
それを手助けするサトシ達の存在意義も強まる。

きっちりと主人公が物語に絡む。
当たり前のことなのだが、近年のポケモン映画は「ゴジラ級」のでかいポケモンが
戦うストーリー展開が多く、そのせいでサトシ達が脇役に回ってしまう事が多すぎた
だが、今回は「ディアンシー」にしろ「ゼルネアス」にしろ
サイズ感がサトシたちと同じスケールであり大きすぎるポケモンではない

大きすぎるポケモンは終盤で出てくる。
ストーリーが盛り上がってきたところで巨大なポケモン「イベルタル」が出ることで
更にストーリーが盛り上がり、出る流れも自然だ。
深い理由はない「寝ている場所で暴れてたから」というシンプルな理由であり、
更に「イベルタル」の石化能力が物語に絶望感を与える。
長い間ポケモンを見てきた人にとって「石化」といえばミュウツーの逆襲を思い出すだろう
そう、この作品はある意味、原点回帰だ。

特に終盤の「ディアンシー」のメガ進化のシーンは素晴らしい。
サトシたちと旅をし、自分の存在意義を意識し、成長した結果、進化し立ち向かう。
シンプルではあるのだが、このシンプルな展開が「子供向け映画」だからこその良さであり
シンプルに面白いといえる作品だ

ただ、最終的に結末は「怪獣対戦」になりかけてしまったのが残念なのだが
伝説のポケモン同士で「分かり合った」結果になり、ちょっと分かりづらい
しかし、その直後に「ピカチュウの石化」という最大のイベントシーンを描くことで
一瞬蚊帳の外になったサトシを物語の主軸に戻し、物語とハッピーエンドへしていく展開で
物語を締めている点は評価したいポイントだ

全体的にシンプルにポケモンバトルを描き、シンプルにストーリーを描き、
シンプルにキャラクターを描写する。
凝った設定や伝説のポケモン同士の戦いで尺を稼ぐのではなく、
きっちりと「子供が楽しめる」ポケモン映画に仕上げている
子供向けであることは否めないが、子供向け映画だからこその面白さを
丁寧に作り上げている作品といえるだろう。

ただ大人向けと考えると物足りない部分が多い。
非常にシンプルなストーリー展開でありテンポも早いため、
大人が見るなら必要な「溜め」や「間」がなくトントン拍子で話が進み、
あっさりしすぎていると感じてしまう部分が多いだろう。
特にピカチュウの石化などこちらが心配になる前に復活するので
感情の変化が間に合わない(苦笑)

大人向けと考えると「ミュウツーの逆襲」のような強い感動要素はなく、
強いメッセージ性があるわけではない。
だが、子供向けと考えればきっちりとキャラクターを立て
分かりやすいストーリーでテンポよく進むポケモン映画は
本来の視聴層である「子供向けアニメ映画」にいい意味で原点回帰できたと感じる。

変にこらなくていい、変に迫力満載にしなくていい。
ポケモンを見に来てくれる子供が楽しめる映画であればいい。
子供がワクワクして、子供が可愛いと言ってくれて、子供が面白いと言ってくれる。
そんな「ポケモン映画」に求めることに応えてくれている作品だ。
序盤は気になったポケモンがしゃべりまくるというポイントも
「子供が感情移入しやすい」ように配慮されていることを考えると欠点にはならない

オトナが楽しめる作品とは言いがたいが、子供がきっちり楽しめるポケモン映画だ
高い評価はしにくいものの近年のポケモン映画の中では
シンプルに「面白い」と言える作品といえるだろう。

個人的には悪役たちがきっちりと一時的に「罰」を受けて
そのあとしっかり更生している内容がエンドロールで流れ、
そのエンドロールの中で懐かしいポケモンたちが描かれるのは気に入ったポイントだ
細かく気になったポイントがエンドロールで気にならなくなり、
すっきりと見終える作品だ