THE LAST NARUTO THE MOVIE

2014年12月6日

評価/★★★☆☆(56点)

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これは少女漫画ですか?いいえ、NARUTOです。

本作品は「NARUTO」の劇場版。
「原作の最終話の前」の時系列の話であり、
時系列的には原作のナルトとサスケの最後の戦いの後からしばらくという感じだ
なお、若干のネタバレを含みますのでご注意ください。

基本的なストーリーは原作の最終話前の続き。
第四次忍界大戦対戦が終わり平和な日々を過ごしていたナルト、
里の英雄としてついにモテ期が訪れたナルトであったが、
そんなナルトを密かにヒナタが見つめていた・・・
というところかストーリーが始まる

見出して感じるのは「雰囲気」だろう。
これまでのナルト映画は基本的に対象年齢が低めの子供向けの映画だった
少年向けの漫画作品で子供が見る時間に放映しているアニメだからこそ
子供向けテイストになっているのは当たり前だ。
しかし、今作品はそんな「子供向け」の雰囲気は一切ない。

まず、それを感じるのはキャラクターデザインだろう。
全てのキャラクターデザインが一新され少しだけ大人びた登場人物たちは
それぞれ「激戦をくぐり抜けた風格」をも漂わせるほど成長した姿が見られる
特にこの作品のメインヒロインである「ヒナタ」に関しては少女から女性へと成長しており、
冒頭から「大人の女性」の魅力を醸し出している。

だが、そんな「大人の女性」の魅力を秘めたヒナタが思いを寄せるのは
大人の男になってはいるがまだ「心は少年」のナルトだ。
彼は英雄となり、里ではモテモテになってはいるが「少年」だからこそヒナタの思いには気づかない。
彼女がせっせと編み上げたマフラーにも気づかず、彼女の思いにも気づかず、
ラブコメの主人公のごとくひたすらスルーだ

そんなナルトとヒナタの「距離感」が非常に丁寧に描かれる。
本来、子供向け作品であるはずのこの作品でまるで少女漫画の恋愛模様のような
「ドギマギ感」や「モヤモヤ感」をひたすら味わされる。
ナルトという作品を読み続けた、見続けたファンだからこそ
ヒナタの思いに中々気づかないナルトに対し若干のいらだちを感じ始めるところで
ようやく敵が現れる。

しかし、今回の敵はやってることは盛大なのだが非常に存在意義が「地味」だ。
もっとはっきりいってしまえば「ナルト」と「ヒナタ」をくっつけるための道化に過ぎず、
ある意味でキューピット役とも言える。

彼の行動は
「地球の忍者はチャクラ悪用するからダメだって先祖が言ってた!
 だから地球に月を落とすて滅ぼすぜ!その間に俺はヒナタと結婚して月で寝て新人類になるぜ!」
的な行動だ、新人類の神になる的セリフを言わなかったのがある意味、残念でならないほど
非常にチンケなうえ先祖の言動に関しては彼の思い違いだ(苦笑)

敵も彼1人しかおらず、あとは彼があやつる「傀儡」でしかなく必然的に戦闘シーンが短い。
確かに流石は劇場盤と言いたくなるほど戦闘シーンは
激しく迫力のある体術と忍術を見せてくれるのだが
1シーン1シーンの戦闘シーンが非常に短く、盛り上がる前に終わってしまう。

ストーリーに関しても「ナルトがヒナタの気持ちに気づく」までの過程を
ものすごく丁寧に描いている。
丁寧に描くのは一向にかまわないのだが「回想シーン」を多用しすぎており、
過去の話からの回想シーンだけならまだ「あの時のヒナタの気持ち」という
意味合いもあるので分かるのだが、劇場盤のストーリーの中のシーンまで回想に取り入れる。

つい10分前にやったシーンを回想して
「あの時ヒナタはこう思ってました」という風に解説されたり、
「あの時実はヒナタはこんな話を聞いてました」という風な展開になったりと
ストーリー構成がいちいち回りくどくなってしまいグダグダだ。
はっきりいって2時間という尺を使い余してるんじゃないか?と感じるほど
回想シーンを多用しすぎている。

これは「ナルト」という主人公が鈍感だからというのもある。
敵の幻術にひっかかってヒナタの気持ちをわざわざナルトに見せ
「ほらナルト好きって言ってるだろ、ほらナルトと一緒にいたいって言ってるだろ
 ここまで丁寧にヒナタの気持ちを見せてやったんだ、ほら分かるだろ?
 ナルト、ヒナタはお前のことが好きなんだよ!!!」
とまるで余計なお世話をするギャルゲーの友人のごとく
1~10までナルトに対してヒナタの恋愛感情をナルトに対し説明するストーリーだ。

視聴者的にはそこまで説明されなくてもいいうえに回想シーンを多用するため
「もうそのシーンはみた」「さっきも同じシーン見たよ」と言いたくなるほど
何度も何度も同じシーンを使いまわしすぎており、絵代わりがしない。

流石に1~10まで説明されて気づくのだが、
「あ、ヒナタ俺好きなのか。俺もすきだわー」というように急にナルトがヒナタを意識し始める。
今までが鈍感すぎたせいか物凄い急にナルトが恋心に目覚めたようなストーリー構成になっており
はっきりいって「もう少し自然にナルトに気づかせてやることは出来なかったのか?」と
感じてしまうほど、恋愛シーンの描写がくどい。

恋愛感情に気づくともう「ラブラブ」だ(苦笑)
重用な任務の最中なのにデートのように振る舞ったり、イチャイチャしたりと
2人の舞い上がり具合がこちらにまで伝わるようにラブラブになっており、
この2人にカップリングが好きな方にはたまらないシーンだろう
見ている側からすると当て付けられてると感じるほどアツアツだ(笑)

だが、この2人の恋愛描写を描くことに集中してしまったばかりに
サブキャラの出番が殆ど無い。
画面に出てはいるが一言も喋らない、戦闘シーンもないキャラクターが非常に多く
大量に隕石が落ちてくる描写もあるのにその隕石を破壊するようなシーンが少ない。

敵が1人だからこそ戦闘シーンがあまり描けなかったのかもしれないが、
大量の隕石を破壊するシーンに限って言えば
せっかくキャラクターデザインを一新したのだからサブキャラクターたちにも
もう少し活躍の場を与えても良かったのでは?と感じてしまうほど出番が少ない。

メインキャラであるはずのサスケに至っては「1分」ほどの活躍しか無くそれ以降は出番がない。
ファンとしてはナルトとヒナタの恋愛模様も気になるが、
同時にサクラとサスケの恋愛模様も気になるはずだが、
2人のストーリーが描かれなかったのは残念でならない。

ナルトとヒナタ、2人の恋愛模様をまるで少女漫画のごとく描いてしまうため
基本的に「ストーリーの起伏」が薄く丁寧すぎる心理描写でストーリーを進めてしまっている、
「ヒナタの恋愛感情」は鉄板であり、敵がいくらヒナタに対しアピールしようと無駄だ
それは見ている側にもわかるからかこそ中途半端な三角関係のような描写が
余計に展開を回りくどくしてしまっている。

これが「ナルト」に「ヒナタ」の気持ちを気づかせるための「敵」の存在なら納得できる。
いわゆるヤキモチを利用してナルトがようやくヒナタを意識するような展開であればいいが、
完璧に「二人の世界」で恋愛模様が描かれてしまい、敵は蚊帳の外だ
終始ヒナタへのアピールが空回りしつづけ、
道化のごとく二人の恋愛を更に推し進めるだけの存在になってしまい、
最後は孤独に月に1人で贖罪を続ける彼の今後を思うとちょっと可哀想で仕方がない。

もう少し原作の699話と700話の間を埋めるストーリーを入れても良かったのでは?と
感じるほどあまりにもナルトとヒナタ中心のストーリーになってしまっている。
これでテンポが良ければ問題ないのだが前述したようにテンポは悪い。
ナルトという恋愛模様を描きにくい主人公だからこそ、
ヒナタという不器用な広いんだからこそ
丁寧に恋愛模様を描かざる得なかったのは分かるのだが・・・

ただ私は最後の最後でこの色々書いた欠点を許してしまった。
それはエンドロールだ。このエンドロール、実に憎い。
本当に憎い演出をしており「イルカ先生」が出てきた辺りで
それまで感じていた欠点が一瞬何処かへ消えてしまうほど素敵なエンドロールだ

これは映像で見るからこそ伝わる憎い演出であるのであえてネタバレするが
ナルトとヒナタ、2人の「結婚式」がエンドロールで流れ、
祝福する登場人物たちと「キスシーン」、
そしてエピローグとして2人の子供と遊んでいる描写で終わる。

なんとも最後の最後で「ほっこり」とした気持ちで終わり、
見終わった後に最初から最後まで終始
「結局二人の熱々ラブコメを見せられただけだったな、チキショウ」と思うのだが、
チキショウと思った後に自分の表情はニヤニヤっとしてしまう。
何だかんだで「自分の中にあるNARUTOという作品に対する愛情」を
再確認させられるような作品だったといえるだろう。

全体的に見てファン向けの作品であることは否めない。
さらに言えばまだアニメでやってない原作最終話直前の話からの時系列ではあるので
原作読者向けの作品であり、同時に「ナルト」と「ヒナタ」が好きな方向けの作品だ
2人の恋愛描写を「少年漫画」の劇場アニメとは思えないほど丁寧かつ繊細に描き
2人の距離感と恋愛模様、そして幸せになった姿をとことん味わうことができる。

はっきりいってくどいくらいだ(笑)
もう見ていなくとも予想できる人も多いと思うが、2人のキスシーンがあり、
エピローグを含めると二回もある。
最初のキスシーンに関してはもうラブラブイチャイチャしながら盛大にキスをかましてくれる
若干過剰すぎるほどの演出は「爆発しろ」と思うのだが、
そのキスシーンの後に少しするとまたキスシーンが有る(笑)
もはや、ここまで突き抜けるほど熱々描写をされると清々しさすら感じる作品だ。

ただ、最後の最後でナルトが1人の「男」として成長したんだなと
長年「NARUTO」という作品を読み続けてきた1人の読者としては感慨深いものもあるが、
1つの映画作品と考えるとファン向けの要素が強すぎる上に
2人の恋愛模様が中心に描かれすぎてしまい、
本作品のオリジナル敵があまりにも道化に見えてしまうのは残念な部分だ。

更に言うとせっかく「ほっこり」した気持ちで見終わったのにもかかわらず
来年、NARUTOの息子であるボルトを主人公として映画が作られるらしい。
正直、「ほっこり」した気持ちで1つの作品を見終わった余韻に浸りたい所に
続編の速報を映画で見せられても「余韻」が打ち消されて萎えてしまい、
結果、作中の欠点が映画の帰り際に沸々と呼び起こされてしまった感覚が強い。

来年演る新作に関してはもう少し「間」を置いてから発表でも良かったのではないだろうか?
多くの読者がナルトという長期連載の作品が終わった余韻に浸っていた所に
この情報ははっきりいって蛇足だ。
どんな内容になるかは分からないが、もう少し「余韻」を大事にしてもらいたかった。

THE LASTと銘打っており原作も終わったことで
「ハードル」を上げすぎて見てしまう方も多いと思うが、
今から見に行く人は「ハードル」を少し下げてナルトとヒナタのラブコメを楽しむつもりで
足を運んでいただきたい。

個人的にはヒナタも可愛かったがハナビが可愛かった、
来年のボルト映画での活躍を物凄く期待したい(笑)

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