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隠れた名作、これこそディズニー映画だ「トレジャー・プラネット」レビュー

トレジャー・プラネット SF
トレジャー・プラネット
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評価 ★★★★☆(70点) 全95分

【映画】トレジャー・プラネット 予告

あらすじ 15歳の少年ジムは惑星モントレッサで母と2人暮らし。彼の父は、ジムがまだ幼い頃に家族を捨てて宇宙へと旅立ってしまった。引用- Wikipedia

隠れた名作、これこそディズニー映画だ

本作品はディズニーによるオリジナルアニメ映画作品。
監督はロン・クレメンツ、ジョン・マスカー

海賊

映画冒頭、主人公の子供時代が描かれる。
夜遅くに子供一人で本を開き、
その本に描かれる物語の世界に浸っている。

この世界には「海賊」が存在する。
まるでジャンプ漫画のワンピースのロジャーごとく、
伝説のように語られる「ナサニエル・フリント」の物語。
彼はどこからともなく現れてはお宝を奪っていき、
そのお宝をこの宇宙の何処かにあるトレジャー・プラネットに隠している。

そんなウソか真実かわからないような物語が残っている。
この冒頭からワクワクさせられる、
子供の頃に色々な本で見てきた「冒険譚」、
子供心をくすぐられる冒険譚に憧れるのは
見ている側も、主人公であるジムも同じだ。

そんな彼が成長し、空を走る機械で自由に空を駆け回っている。
彼は子供の頃の夢を、ナサニエル・フリントの伝説を忘れられていない。
15歳という子供と大人の間にいる青年は、
まだ子供のままで大人になりきれていない。

彼の父親は子供の頃にどこかへいったままきえてしまい、
母は一人で彼を育てているものの、
彼は母の仕事を手伝うわけでもなく、
自由に好きなことをしている。

なにかをしたい、なにかをなしえたい。
ナサニエル・フリントのような物語になる男になりたい。
だが、誰しもがそんな大人になれるわけでもない。
彼は問題児になっており、周囲への自分の評価を感じつつも、
大人になりきれず、夢も諦められていない。

そんな彼の前に空からカメの老人がやってくるところから
物語が始まる。

異種族

この世界は不思議な世界だ。
様々な惑星を飛び回る「船」が存在し、宇宙をまるで海のように渡っている。
人間でなく、様々な種族が存在し、同じ星で生きている。
わかりやすくいえば「スターウォーズ」のような世界観だ。
もちろん、フォースのような特別な力や、
ジェダイやシスのようなものが存在するわけでもない。

ワンピースのような大海賊時代、
そんなワンピースのような物語が
スターウォーズのような世界観で描かれてると言えばわかりやすい。

ディズニーという会社らしい様々な動物の擬人化、
自然に、だが、細かく描かれる表情の変化と動きにはワクワクさせられる。
犬のような学者、亀のような海賊、色々な動物を擬人化した種族が存在し、
そんな世界を秀逸なキャラクターデザインとアニメーションで
彩っており、見ているだけでワクワクさせられるシーンが次々と描かれる。

冒頭の主人公の空をかけるシーンだったり、
宇宙へ飛び出したあとの大航海のシーンだったり、
宇宙を舞台にしたSF作品だからこそ、
見ている側が予想できない展開からのアクションシーンが
快感さえ感じられるほどダイナミックに描かれている。

主人公の目の前に現れた亀の老人は
「トレジャー・プラネット」の場所を指し示すものを
主人公に託し息絶えてしまう。
彼にとっては夢だ、夢が実現する可能性をふいになんてできない。
彼の夢の物語が始まる。

海賊

彼と、彼の知人である「宇宙物理学者」は
トレジャー・プラネットにたどり着くために船と船員を雇うことになる。
優秀な船長と副船長、そして怪しげな船員たち。
主人公と同じくトレジャー・プラネットを狙っているものも存在する。
誰がトレジャー・プラネットを狙っているかわからないからこそ、
誰が裏切り者なのか自然に気になってくる。

主人公もまた周囲のものを信用していない。
そんな彼の目の前に「ジョン・シルバー」というコックが現れる。
彼の下で見習いとして働きながらトレジャー・プラネットを目指す。
物語としてはシンプルであり、シンプルだからこそ
どストレートな面白さを感じられる。

「ジョン・シルバー」は怪しげなサイボーグの肉体を持っており、
見ている側が想像する通りトレジャー・プラネットを
狙っている「海賊」であり、悪だ。
ディズニー流にいうなら、今作のヴィランでもある。

だが、同時にこの作品のもう一人の主人公だ。

ジョン・シルバー

彼は悪逆非道の海賊だ。主人公が出会った亀を
追いかけ回し傷つけ死に追いやったのも彼の海賊団が仕掛けたことだ。
作中で描かれてはいないものの、殺人や窃盗、
ありとあらゆる犯罪行為を行っているに違いない。
お宝を手に入れるためならどんなことでもする、間違いなく悪だ。

だが、そんな彼のそばにはモーフという可愛げなペットが居る。
小さなスライムのような体で、自由に姿を変えることのできる彼の存在は
コメディリーフにもなっており、可愛げのあるマスコットキャラでもある。
そんなペットが彼を慕っている。
心の底から悪にそまっているような存在に、
つきまとうような存在ではないモーフがなぜ彼に付き従っているのか。

それは彼の中にある「優しさ」を見抜いているからかもしれない。
主人公は父親の居ない青年だ、
そんな彼がシルバーの仲間に絡まれているところを、
シルバーは助け、彼が父親が居ないことを知ると、
色々なことを丁寧に教えてくれる。

最初はただのしごきで、ちょっとしたいじめだったかもしれない。
だが、文句の1つもいわず、次々と仕事をきちんと覚え、
自分にたいしてどこか「父親」のように接してくれる彼に、
シルバーは「愛情」を抱いてしまう。

疲れて眠る彼にそっと自身のコートをかけ、
小型宇宙船の操縦の仕方を教え、彼を自分の息子のように接する。
もしかして主人公が幼い頃にいなくなった父親が
シルバーではないのか?
見ている側にそう感じさせるほどの関係性が中盤できちんと描かれている。

だが、シルバーは海賊だ。彼は色々なものを失ってきた。
もしかしたら、彼にも過去には家族が居たのかもしれない。
だが、そんな居たかもしれない家族や友人、仲間、
そして自身の体の一部さえ失っても彼は夢を諦めきれていない。

「失うものもあるってことさ、夢を追っているとな」

主人公の在り得たかもしれない未来の姿だ。
もし、主人公が亀の海賊と出会っていなかったら、
トレジャー・プラネットの在り処を指し示すアイテムを託されていなかったら、
この航海に行かなかったら、シルバーのようになっていたかもしれない。

最初は主人公のことを邪魔に思っていたシルバーは、
彼に深い愛情を抱いてしまう。
そんな主人公は中盤でミスをしたと思いこんでしまう。
そんな彼にシルバーはそっと囁く。

「おい、俺の話をよく聞け、ジェームズ・ホーキンス
お前ぇはすげえ事をする力を秘めてる。
だが、自分で舵を握り進路を決めなきゃダメだ。
最後までやり抜け。例え嵐が来ようと
そしてお前が力を発揮したとき、俺もお前のそばに居て
栄光に輝くお前を見てみてぇ」

真の悪役がこんなことをいうだろうか?
本当に心の底から悪に染まってしまった人物が
主人公にこんなことを投げかけるわけがない。
主人公もシルバーにそっと身を寄せ、
シルバーもまた彼を抱きしめる。

主人公の存在が、もうひとりの主人公であるシルバーにも
多くの、大きな、影響を与えていく。
主人公とヴィラン、互いの生き様が、互いの言葉が、
2人を成長させていく。

この2人の関係性、変化、そして成長が
この作品を名作たらしめんとしている。

裏切り

そんな親子のような関係性になってしまった2人だが、
シルバーは海賊であり、ヴィランだ。
終盤で彼の計画が主人公にも知られてしまい、
2人は敵対することになってしまう。

本当は敵対なんてしたくない。
だが、2人は敵対する立場だ。一方は海賊、一方は夢見る青年。
たとえ親子のような絆があっても、
本当の親子でもなく、主人公とヴィランだ。

終盤でシルバーも悩む。
海賊仲間の前では海賊の頭として振る舞うのだが、
そんな振る舞いが本音であると同時に虚勢でもある。
「夢」と「主人公」
この2つを終盤のシルバーは常に天秤にかけている。

終盤でトレジャー・プラネットにたどり着き、
色々な出来事を経てついにお宝にたどり着く。
主人公にとってもシルバーにとっても夢を叶えた瞬間だ。
だが、夢は儚い幻だ。

トレジャー・プラネットが崩壊する中で、
主人公は危険な状況に陥ってしまう。
お宝を手に入れるならば主人公の命が失われる、
主人公を助けるならばお宝が失われる。

シルバーにとっての究極の選択だ。
トレジャー・プラネットという彼の夢、
色々なものを失ってようやく手に入れるチャンスが目の前にはある。
だが、そんなチャンスを目の前にして、彼は
自身の夢よりも大切なものを守る決断をする。

このシーンに涙腺を刺激されない人は居ないだろう。
ディズニー映画の中では数々のヴィランが出てくる、
だが、そんなヴィランの中で「シルバー」よりも
魅力的なヴィランは数えるほどしか居ない。

2人は親子のような関係性になっているが
血の繋がりのある親子ではない。
ふたりとも夢を追って危険を承知でトレジャー・プラネットまでやってきた。
そんな2人が夢よりも大切なものを見つけるまでの物語が
作品全体で描かれており、ラストシーンの描写まで完璧すぎる作品だ。

夢を捨ててまで自分を救ってくれたシルバーを、主人公は最後に見送る。
もしかしたら二度と会えないかもしれない、
だが、また会えるはず。
そんな未来を感じさせるラストが本当に心地良い。

こういうディズニー映画がもっとみたい。
私が好きだったのはこういうディズニー映画だったんだと
改めて感じられることのできる作品だった。

総評:スターウォーズだ!?いや!ワンピースだ!?

全体的に見て隠れた名作と言える作品だ。
原作は「宝島」を題材にしており、ディズニー自身が
数十年前に実写化もした原作を宇宙を舞台にして、
ディズニーらしい動物の擬人化キャラクターを交えつつ、
ディズニーらしいアニメーションとしての面白さを感じられる。

宇宙を題材にしたからこその大胆なアクションの数々、
動物の擬人化だからこそのコミカルな表情の描写や動き、
手書きの作画とCGを織り交ぜることでSF感を強めながら、
臨場感あふれるアクションとコミカルなキャラクター描写が
この作品の面白さを後押ししている。

物語自体は宝島の舞台を宇宙にして
キャラクターの一部を動物の擬人化にしているくらいではあるものの、
原作の魅力、面白さをきちんと軸にしつつ、
ディズニーらしさも存分に感じられる作品だ。

惜しむべきは興行収入があまり振るわなかったことだ。
莫大な予算をかけて制作されたものの興行的には赤字だったようで、
そのせいかあまり知名度は高くない。
だが、間違いなく名作だ。

数々の童話を名作アニメ映画に仕上げてきたディズニー、
そんなディズニーの魅力と底力、面白さを
久しぶりに味わえた作品だった。

個人的な感想:パクリ

この作品のタイトルをネットで検索すると「パクリ」や
盗作といったキーワードが同時に出てくる。

終盤に出てくるトレジャー・プラネットにすんでいるロボットのデザインが
藤子不二雄の「21エモン」にでてくるベンに似ているせいで、
公開当時に色々と話題になった。

確かに同じロボットであり、コミカルな描写やデザインは
似ている部分があるものの、私個人としてはあまりパクリや
盗作といったような印象は受けなかった。

主人公もシルバーも決して人に褒められるようなキャラではない。
ひとり親の母親に迷惑をかけながら定職につかず、
フラフラと遊び回っている主人公、そして海賊であるシルバー。
そんな似た者同士な2人が出会い、成長し、変わっていく物語が
1時間40分ほどで濃密に描かれている素晴らしい作品だった。

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