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「ONE PIECE FILM GOLD」レビュー

2.0
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評価 ★★☆☆☆(24点) 全120分

映画『ONE PIECE FILM GOLD』予告編

あらすじ 新世界で冒険を続ける麦わらの一味が上陸したのは、世界最大のエンターテインメントシティと称される「グラン・テゾーロ」。引用- Wikipedia

借金ダメ、ゼッタイ

本作品はワンピースの劇場映画作品。
ワンピースとしては13作品目、3年半ぶりの映画となる。
監督は宮元宏彰、制作は東映アニメーション。
本作品にも原作者である尾田栄一郎氏が関わっている。

ド派手

見出して感じるのは派手さだろう。
タイトルに「GOLD」とある通り、金がテーマと成っており、
今作の舞台はカジノだ。冒頭から派手な演出や、
ラスベガスのカジノでやるようなショーが展開されており、
映画だからこその特別感を感じる一方で、これが別に面白くない。

ゲスト声優である「満島ひかり」が歌うキャラなため、
歌わせて宣伝に使いたかったのは分かるが、
映画の冒頭といういわゆる「掴み」のシーンで、
ゲスト声優を際だたせるためのシーンは微妙だ。
特に歌にインパクトがあるわけでもなく、歌の上手さを感じるわけでもない。

2022現在上映中のワンピース映画最新作のREDでも、
Adoさんが同じように冒頭から歌いまくっているが、
インパクトや歌唱力、アニメーションとしての見せ方にも
雲泥の差が出てしまっている。

カジノが舞台だからこそ派手なシーンと派手な演出で
賑やかな感じにしたいのは分かるが、
その派手さや賑やかさが直接的な面白さにつながっておらず、
見た目だけで中身が伴っていない。

本作品は短編を除けばワンピース映画史上初めての
3D上映と4DXでの上映を行っており、
そこを意識したカメラワークとシーンが非常に多い。
立体的にキャラを見せるカメラワーク、映像に合わせて椅子を動かすための
シーンなど、そちらに意識がいってしまっており、
そもそもアニメーションとしての面白さが薄い。

必要のないところでサニー号にクードバーストさせたりと、
派手さを優先させたシーンが冒頭からかなり目立つ印象だ。

戦闘シーン

初っ端から戦闘シーンがいきなり始まる。
その戦闘シーン自体はキャラクターを激しく動かし、
派手な演出でど派手に見せているのはわかるものの、
妙な「止め」が入って、せっかくの戦闘シーンに引っかかりが生まれている。

かっこよさを優先するあまり違和感が生まれる動きになっていたり、
派手なシーンのはずなのに迫力が生まれていなかったり、
見かけだけで、きちんとした「戦闘シーン」になっていない。

このあたりもおそらく、3Dを意識した構図やカメラワークなのはわかる。
3Dで見るならば違ったかもしれないが、
それにしても妙な止めが多いのはかなりきになるところだ。

芸能人声優

ルフィたちは今作でカジノ船的な場所に訪れている。
なんのために訪れたのかという前置きはなく、
映画の冒頭から唐突にカジノ船に訪れており、
どうにもストーリーも脈絡がない。

カジノ船でルフィたちが最初に挑むのはカメ車レースだ。
しかし、これも大人の都合のために作られた展開にすぎないお。
このカメ車レースシーンには大量の「ゲスト声優」が演じるキャラがでており、
ゲスト声優に一言二言喋らせるためだけのシーンであり、
そこに特に面白みはない。

この作品に出ている芸能人声優のキャラクターの活躍場所を
作るためだけのシーンだ。

古田新太、 成田凌、竹中直人、佐藤ありさ、 コロッケ、
三宅正治、 ナダル、北大路欣也、三村マサカズ、
西野七瀬、三吉彩花、武田玲奈、ケンドーコバヤシ、
菜々緒、濱田岳、満島ひかり

この作品には「異常」ともいうべき量の
ゲスト芸能人声優が無駄に多く登場しており、
そのムダに多いゲスト芸能人声優に作品自体が振り回されてしまっている。

過去のワンピース映画にも芸能人声優が出ていることはあったが、
ここまで出ているのはワンピース映画以前に、
アニメ映画としても異常だ。
芸能人声優を多く起用するジブリでさえここまで起用しない。

多くの芸能人声優のセリフは少ないものの、
メインキャラを演ずる満島ひかりさんの演技はかなり厳しいものがある。

型にはめる

カメ車レースシーン以降はカジノの街ということで想像できるだけの
ベタベタなスロットやポーカー、ルーレット、
賭けなどのシーンをダイジェストに流しており、
ルフィたちがカジノでギャンブルに挑むという要素を
申し訳ない程度にしか活かしていない。

ルフィたちも今回は「騙された」とはいえ、
借金をしてまでギャンブルに挑んでおり、
敵にハメられたとはいえ、ゾロを人質に取られ
大量の借金を抱えても自業自得感がすごい。

中盤からは借金を返すためにも、
敵が溜め込んだお金を盗むことになる。
まるで「オーシャンズ11」や「ミッション・インポッシブル」のような展開であり、
海賊であるルフィたちが「泥棒になる」という
うまく活かせば面白そうな要素は、これだけで1本の映画が作れそうだ。

しかし、結局活かしきれていない。
洋画のパロディをしたかったのかもしれないが、
特に変装する意味もないのに変装したり、
一応はこっそりと潜入するはずなのにドタバタとど派手なアクションを繰り広げたりと
違和感を覚える描写があまりにも多い。

ボス

敵のボスの過去も申し訳ない程度にしか描かれず、
こういった作品で重要な「ボスの魅力」というのがまるでない。
ゲスいボスというだけを貫き通せばよかったのに、
中途半端に同情させようとする過去回想を描くからたちがわるい。

映画の特典のコミックでもう少し彼について描かれているらしいのだが、
そういった重要な部分を本編で描かないのは欠点でしか無い。
入場特典は映画館によっては早く品切れしてもらえなかったり、
映画公開終了後にBDやTV放送などで見た人にとっては
2度と見れないものだ。

敵キャラの過去という重要な描写を特典で描くくらいなら、
本編の中で出てくるどうでもいい芸能人声優のキャラの
シーンを削れば描けたはずだ。
ラストバトルも、ワンピース映画特有のリベンジマッチではあるものの、
無駄に巨大化して大味な敵になってしまっている。

終盤は革命軍や海軍など色々なキャラが無駄に出ており、
とってつけたように出るサボなどの活躍も物足りない。
ナミの昔の知り合い、敵に捕まってるキャラたち、
捕まってるキャラたちの子供、敵、海軍、サボと
キャラクターが多すぎた結果、全体的に薄味になってしまっている作品だった。

総評:FILMシリーズの汚点

全体的にみて前作の「ONE PIECE FILM Z」と、
前前作である「ONE PIECE FILM STRONG WORLD」
この両作品は私もこの手の映画作品としてはわりと高く評価しているが、
それは決して「子供だまし」ではなかったからだ。

きちんと大人も、子供も楽しめる映画作品になっており、
それ以前のワンピース映画のどこか子供向けだった作風が変わり、
「ワンピース映画」の方向性と面白さが定まったような感じだった。
しかし、今作でまた迷走してしまっている。

見た目だけの派手さ、安易なキャラクターの使い方、
宣伝のために「大量の芸能人を起用」による無駄なサブキャラの数々、
申し訳ない程度に出る「サボ」など、余計要素があまりにも多い。
はっきり言えばこの作品は子供だましだ。
ワンピースという作品が好きで仕方ない人ならば楽しめるだろうが、
それ以外の人は楽しみづらい。

やりたい要素を2時間に詰め込みまくっていて統一感がなく、
無駄にキャラが多い割には使いこなせておらず、
1つ1つの要素は悪くないはずなのに、その1つ1つの良さを殺してしまっている。

ボスの最後の姿など「安易さ」MAXだ。
確かに超巨大化すれば映画化としての派手さは出る、だが、
同時に超巨大な敵とルフィとの戦いにアンバランスさが生まれており、
安易に巨大化させてしまったために大味な戦闘シーンになっている。

ゲスト声優も流石に参加させすぎじゃないだろうか?
意味のある&必要性のあるキャラも少なく、
宣伝のための芸能人起用のためだけのキャラとシーンが
非常に目立つ作品だった。

個人的な感想:残念

今作ではルフィはギア4まで使いこなせるようになっている。
そんなギガ4の初登場の映画ではあるものの、
初登場だからこその見せ場があるともいい難い。

これだけ宣伝のための芸能人声優を起用しまくってるにも関わらず、
興行収入が前作よりも下がっていることが、
この作品の評価にもつながっていそうだ。

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  1. こーへー より:

    レビュー主さんがFILM GOLDは
    話的そう大凡おっしゃるなら
    TSUTAYAで借りてみるの考え直そうかなぁ…
    主題歌を歌ってる
    グリムスパンキーの曲は格好良いん
    ですけどね でも散々な評価 出来でも
    世の中はFILM GOLDは興収40億超えるのだから不思議極まりないです笑