ドラえもん のび太と緑の巨人伝

2015年1月6日

☆☆☆☆☆(9点)

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劣化リメイク

本作品は映画ドラえもんシリーズ通算第28作品目の作品、
わさび版のドラえもんとしては三作目の作品となっており、
この作品がリメイクではない初のオリジナル作品となっている。
なお、本レビューでは新声優陣の違和感などは評価に影響しないものとします。

この作品、オリジナル作品とはいっているもの
私個人の感覚らすれば「リメイク」というべきポイントが非常に多い。
その最大の原因が「キー坊」の存在だ。

旧ドラえもんを見ていた方なら彼の存在を覚えている方も居るだろう。
のび太が裏山から拾って、ドラえもんの道具によって意思を与えられた植物だ
旧ドラえもんの「ドラえもん のび太と雲の王国」にも登場しているため
覚えている方も多いだろう。
そんな彼がデザインが大幅に変わって登場している。

リメイクではないオリジナル作品と謳っておきながら、
原案はしっかりと原作及びアニメのエピソードあり、
特に序盤のストーリーは「さらばキー坊」のリメイクでしか無く、
なら「オリジナル」作品と言う必要はなかったはずだ

ただ、その分、序盤のエピソードは悪くはない。
「キー坊」の可愛らしい描写、日常ギャグなど
ほんわかした中で「キー坊」と「のび太」たちの癒される雰囲気の中で進む
エピソードは素直に面白く、「リメイク」としてみれば悪くはない。

旧ドラえもんのアニメとは違い、新ドラのドラえもんの雰囲気によるセリフが
逆に「新鮮」に感じる部分も多く
私個人としては「新ドラえもん」と「旧ドラえもん」の雰囲気の違うを楽しむことができる
新ドラえもんにやや抵抗がある人もこの序盤はちょっと見ていただきたい。
こういう感じの「ドラえもん」もありかと思えるはずだ。
ギャグテイストとしてはこのドラえもんの雰囲気のほうが笑いが強まる

だが、面白いのはこの序盤までだ。
原作原案の部分を離れオリジナルキャラクターが出てくる当たりから
分かりやすく脚本のレベルが下がるのを感じるほどクォリティが低いうえにテンポが悪い
1シーン1シーンが間延びしており、冗長に感じるシーンが多く
ギャグシーンが笑いに繋がっていないのにくどい。
1シーン1シーンが冗長なせいで
キー坊の「キーキー」という声も耳障りに聞こえてしまう

そして声優。
中盤から出てくる声優陣が本当に最悪だ。
一般公募などで子供にやらせていたり芸能人にやらせているせいで
明らかに「演技力」に問題があり、浮いてしまっている。
これが1人や2人なら我慢できるのだが、大量だ。
素人が演じるキャラクターがしゃべりまくるせいで集中してストーリーを楽しめない

ただでさえ間延びしたストーリーなのに素人&芸能人声優のせいで
余計にストーリーの面白さが感じにくくなっており、
「尺の使い方」が明らかにおかしい。
もう少しテンポを早めるなりキャラクターを削るなりすればテンポよく
ストーリーが進むと思うのだが、無駄に多いキャラ数のせいで
ストーリーがグダグダだ。

やりたい事、描きたいことは分かる。
環境破壊が問題になっている地球、そんな地球の植物を救いたい植物の星、
そんな星のわがままな王女様が世間を知り、のび太やキー坊たちと触れ合うことで
「王女」としての自覚を持ち、大臣たちの陰謀に立ち向かうという展開だ

だが、その「描きたいこと」を子供向けとは思えないほど
回りくどく分かりづらく描いてしまっており、
ストレートに、すっきりと表現すれば伝わるのに
大量のキャラクターとセリフ回しのせいで雰囲気も重く、テンポも悪くなってしまっている
はっきりいって子供向けの「シリアス」の描き方ができていない

中途半端にシリアスなシーンの時にギャグを入れたり、
「お涙頂戴」的なシーンが目立つのだが、狙いすぎていて薄ら寒い描写になっており
メインの「環境問題」のストーリーも説教臭くなっており、
子供が見たら退屈に感じてしまうようなシーンばかりだ
大人が見る分には「描きたいこと」は伝わるので何とか退屈には感じないものの、
本来の視聴層であるはずの「子供」を意識していない展開ばかりだ

終盤の展開も唐突な展開があまりにも多く慌ただしい。
中盤、散々テンポが悪く間延びしてるくせに
終盤でここまで詰め込む意味がわからない。
そのせいで唐突な展開がより唐突になってしまっており、
大人でもついてくのが大変だ。

さらに言えば終盤、はっきりいって重すぎる。
子供向けにしてはやけに暴力的な描写やおどろおどろしい描写も多く、
演出的に独特な「怖さ」を感じる部分も多い。
それが狙った演出意図なのかよくわからない演出であり、
そのシーンを見ている側が「どう受け止めて」「どういうふうに見れば」いいのかが
全くもってわからない。

全体的に見て「さらばキー坊」を改変し水増ししただけの作品にすぎない。
やりたい事は分かる、描きたいことは分かる。
だが、多すぎて捌ききれていないキャラクターの数々、
中盤の「グダグダ」すぎるストーリー展開、
終盤の唐突すぎる展開や予定調和的ストーリーのオチなど、
「さらばキー坊」を2時間の尺に薄め、薄めた部分に余計な要素を入れすぎている

本来はラストのキー坊との別れのシーンでお涙頂戴的なのはわかるが
もう慌ただしくて感動のかけらすら生まれていない。
なぜここまで終盤、異様なまでに慌ただしくなってしまったのか・・・
もう少し全体のストーリー構成を見なせば
ここまで悪い評価にならなかったかもしれないだけに色々と残念だ

これならば素直に旧ドラえもんの「さらばキー坊」を見た方がいい
そう思ってしまう完成度だ。
もちろんそれは「旧ドラえもん」を見ている世代だからこそ、そう思うのは分かる。
だが、「新ドラえもん」はそこを超えて初めて評価される作品だと私は思う
ただのリメイクではなく、ただの原作改変水増しではなく、
きちんとした「新ドラえもん」の映画が見たいと感じてしまう。

次回作に期待したいところだ